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神下ろしの条件

街の近くにある森では、様々な魔物が生息し、森ならではの恵みを採取することが出来る。


奥に向かうほどに希少な物が取れる反面、危険性は高くなっていくので、各々が自分のレベルに見合った場所を狩場にしている場所である。


ミリカだけならば森の中心で稼ぐことも可能なのだが、今回は見習い3人に加えて護衛対象である百代もいる大所帯である。


森の入り口付近で弱い魔物を狩りつつ、食材や薬草の採取を行うのであった。


朝早い時間では、森の奥に行く冒険者達で賑わっていたのだが、昼過ぎになってくると通る者がいなくなり静かになる。


陽が落ちてくると、帰ってくる冒険者達でまた賑わうのだが、この時間になると人通りは全く無くなるのであった。


子供達を監督していたミリカは、この静かな時間を利用して休憩を呼びかけた。


朝から動いていた子供達はお腹がペコペコだったようで、お気に入りの場所で食べてくると言って食事を持って去っていく。


「見なくても良いのですが?」


「一応、目の届く範囲にはいますから。

……その、巫女様は本当にこんな所に着いてきて良かったのですか?」


ミリカが子供達を指導している間、百代はずっと後ろの方で彼女達をニコニコと見つめていた。


その姿を見るたびに、笑顔でいるものの、内心は退屈をさせていないかと心配していたのである。


「はい、勿論ですよ。

子供達の逞しさやミリカさんの指導力や人柄などが見れましたから。

やはり貴女は素晴らしい女性ですね」


「そ、そんな事はないですよ。

私は自分にできることをしているだけで」


「いえ、その心が素晴らしいのです。

豊穣の女神ラクネ様もそう仰っていますわ」


「女神様が!?

え、今もお話しされているのですか?」


「ええ、今朝出かける時に渡してくれたこの石のおかげです」


そう言って百代は、懐から紅い巾着袋を取り出した。


その中には青白く光る欠片が収められていた。


「それって、女神様に頼まれた女神像の欠片ですよね?」


「ええ、ラクネ様の力が宿ったこの石があれば、いつでも意思疎通が出来ますわ」


神下ろしの時に女神がミリカに頼んだ事。


それは女神像の欠片を百代に渡すという事であった。


直ぐに神父に報告し、信者に見えない位置が良いだろうと、女神像の背中の部分を少しだけ削って百代に渡したのである。


百代が神と交信を行うには条件が一つある……それは、その神の力を感じ取れる物が直ぐ近くにあるという事である。


教会では人々の信仰を集めた女神像を通じて神下ろしの儀式を成功させた。


そして一度回線を開いてしまった神であれば、このような小さな力しか宿していない欠片でも、それを中継地点として交信することが可能になるのである。

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