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序章、始まりはベタにつき

人々は神々に願う。

余は人々の『願い』を叶えるために神様であり続けた。

余は『神様』であり続けるために人々の願いを叶えた。

ある日、余は一人の少年の言葉によって堕落した。

その言葉に余は救われ、呪われた。

その日から余は神様では無くなった。

今の余は、『神』ではなく『化け物』になりさがった。

古神(こがみ)先生について語ろうと思う。

彼女は、僕の住む村のような町に最近やって来た新任の教師であり、僕のクラスの担任の先生だ。

彼女はとても明るく見た目はとても美しい。

神様が作った中でも一番の出来ではないだろうか?。

もはや神様なのではないのだろうか?。

なぜ、僕がこんな話をしているのかと言うと、夏休み中において補習に来ているのが僕一人だけで、教室の中には僕と美人な先生だけという男子生徒なら夢のような空間にいるからだ。

ただし、何も知らない人が見ればその光景は犯罪にしか成らない。

と、言うのも、古神先生はとても背が低く幼すぎるのだ。

教卓の椅子に座る姿はまるで教師のマネごとをしているかのようである。

ちなみに僕の名前は古詠こよみ新時(あらとき)といい、両親は居らず父方の祖父に育てられている高校2年生です。

そして、幸せな時間も終わり、暗い帰路を僕は一人で歩いていた。

「そこの君」

ふとかけられた声に僕は背後を見る。

「そうそう君のことだよ、ちょっと人を探しているんだが・・・」

僕は帰り際に古神先生に言われた言葉を思い出す。

ー「近頃、変質者が出ていると噂があるので十分に気をつけてくださいね」。

僕に話かけてきたのは男で、腰にはニメートルほどの長さがある鞘に納められた日本刀がぶら下げられていた。

「ん?。ああ、この刀かい?、安心しなよこの刀は『本物』だ」

ほん・・もの?。

安心?。

本物の刀を持っているやつが目の前にいるのに?。

僕は学生カバン以外何も持ってないよ?。

財布の中身だって三百円、助けてもらえるだろうか?。

「うわぁあああぁぁぁぁーーー」

結果、僕は全力で逃げた。

逃げ切れると思って、走ったのだった。

「おいおいそんなに驚かなくてもいいだろう。この世には“神様”や“化け物”だって存在するのにさぁ・・俺はただの人間様、一般人だぜ?」

一人残された男は街灯の明かりの下でそう呟いた。


「なんでこんなとこにいるんだ?」

僕は気が付けば、ボロボロの今にも崩れてしまいそうな神社に来ていた。

「童よ、ちぃーとばかし助けてはくれぬか?」

先程まで、この場には僕以外誰もいなかった。

そのはずだ!。

なのに、まるで初めからその場所にいたかのように少女が祭壇の上にちょこんと座っていて、誰かからのお供え物をもぎゅもぎゅと食べていた。

「     」

僕はその場の奇妙な現状に声が出ない。

動くことすらもできない、一歩たりとも。

少女は自分のぺースでお供え物を食べ終えると、手で口元をぬぐった。

「んぐ。 童は余のことが見えておるのじゃろう?」

「?」

「余は人でないのじゃぞ、萌えるじゃろう?」

少女は立ち上がる。

「余は神であった。しかし、今は化け物じゃ」

少女は段々僕の元へと近づいて来る。

「童は余を助けてくれるのじゃろう。それ以外の選択肢は無いはずじゃ」

少女の表情は艶めかしく恍惚としていて、まるで冷たい風が首筋をなぞるような声で僕を脅迫する。

自分を化け物と名乗った少女は僕の頬に手を当てる。

「そう怖がらず安心せい、余のことがきちんと済めば体は返してやる」

僕の意識はかき消され、化け物の少女に乗っ取られてしまう。

「ふむ、少し違和感のある体じゃが仕方あるまいかの」

乗っ取られた僕の体は少女の見た目へと変わる。

「ところで、そこでこそこそと見ておるのは誰じゃ?」

「やれやれ、気配は完全に消していたつもりなんだけど・・。どうしてバレたんだい?」

鳥居の真下には先程のニメートルほどの長さがある鞘に納められたを刀を腰にぶら下げた男が立っていた。

少女は睨みながら話す。

「余は急いでおる、見逃してやるからさっさと逃げるが良い」

男は刀を鞘から抜き取り、刃を化け物の少女へと向けた。

「そうしたいのは山々だよ。でもね、君は化け物なんだ・・・理由はそれだけで十分だろう?」

少女は片手を振り上げる。

それと同時に片手を振り上げた方向に嵐が起こり、直線で全てをなぎ払う。

「たわいもない。!。」

「やっぱり化け物は怖いねぇ」

いつの間にか男は少女の背後に立っており、高く上げた刃を下へと落とす。

少女の片腕は宙を舞った。

「いいのか?、体はあくまで童のものなのじゃぞ」

「心配無いさ、この刀は特別だから」

切られた所に痛みはある、けれど切られた片腕には傷一つ付いてなどいなかった。

「錯覚?。・・・いや、余自身を切ったのか」

少女は雰囲気を変える。

少女が神様であった頃の力に比べればとても弱い力ではあるが、一人の人間を殺すには十分な化け物になる。

そこからは少女による一方的な暴力が始まった。

男は消えかけのロウソクの火のようである。

「言い残すことはないか?」

「やっぱり、君は化け物だよ」

少女は最後を男に告げる。

「そうか、死ね。ー痛っ?」

少女は両手で覆うように頭を押さえる。

「痛い、痛い、痛い、痛い痛い、痛い痛い痛い、痛い痛い痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ?」

少女の体は少しずつ僕の見た目へと戻っていく。

(?。余が童に取り込まれているのか?。消えるのか?。嫌だっ、嫌だっ嫌だっ嫌だっ。やっと、やっと会いに行けるのに、消えたくな・・ぃ     。)

体は完全に僕の姿に戻り、その場に倒れた。

僕はどうやら人であって人でなくなったらしい。

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