休日2
「ラララ〜」
ご機嫌に鼻歌を歌うひまり。それをBGMしながらソシャゲのデイリーミッションをプレイしていく。
チラッとひまりの方を視線を向けると、ちょうど玉ねぎを切っているところだった。
買い出しをしてるいる時にも感じたけど、僕の家でエプロンをつけて料理なんてしている姿を見るとひまりと夫婦なんなじゃないかと勘違いしそうになる。
にしても…
エプロン姿の女の子っていいよね。
ちなみに、ひまりは黒色でフリルのついたワンピース風のエプロンをつけていて、新妻感があって最高だ。きっと家庭的で可愛い彼女は将来いい奥さんになることだろう。
旦那になる男が妬ましくてしょうがない…
というか、さっきからひまりのエプロン姿に気を取られてなかなかデイリーミッションが終わらない。早くクエストをクリアしなければ。
「ねぇ、ひかる〜。ちょっと来て」
「どうしたの?」
「味見してみてくれる?」
「分かった」
スプーンでタレをぱくりと一口。少し濃い味付けだけど僕はこれぐらいの味付けの方が好きだ。
「うん、すごく美味しい!」
「良かった〜、ひかるは濃い味付けの方が好きかなって」
え?
僕の好みに合わせて作ってくれたの…?
どうしよう、すごく嬉しくて僕の心がキュンキュンいっている。
「ありがとうひまり。僕のことを考えて作ってくれてたなんて、すごく嬉しいよ」
「ひかるが喜んでくれて良かった。作り手としては食べてくれる人が喜んでくれるのが1番だからね」
花が咲くような笑顔で嬉しいことを言ってくれるひまり。
こんなにも幸せだなんて、もしかしたら僕の人生にある幸運を全て使い切ってしまったのかもしれない。
だってこんな美少女が毎日ご飯作ってくれるなんて……こんな未来はまったく想像していなかった。
そうして、30分もしない間に料理は出来上がり、食卓には2人分の夕食がひまりの手によって並べられていく。
親子丼に味噌汁、サニーレタスのサラダ、ネギが乗っかった豆腐。
親子丼だけでなく副菜もついているのはありがたい。
見栄えも良くてバランスの良さそうなメニューだ。
「いただきます」
両手を合わせて挨拶をする。
ひまりに見つめられながら、まずはメインの親子丼に手を伸ばす。
「どう? 美味しい?」
「うん、美味しい!」
お世辞ではなく本当に美味しい。
卵はふわとろで鶏肉はしっかりと噛みごたえがあってご飯も進む。
ついつい美味しくて口元が緩んでしまう。
「そんなに見られると食べづらいかな…?」
「あ、ごめんなさい。ひかるが美味しそうに食べてくれるから…嬉しくて…つい…」
「シェフの腕が抜群だからね」
「も〜、そんなに持ち上げても何も出ないわよ。でも、褒めてくれてありがとう」
「こちらこそ、美味しいご飯をありがとうございます」
「ふふふ、感謝してね」
「もちろん!」
それからお互いに雑談したりしながら食べ進めていった。
先に食べ終わった僕は食器を流しに持っていき洗い始める。
「皿洗いぐらい私がやるわよ?」
「これぐらいは僕にもやらせて」
「じゃあ、お願い」
「うん、任せて」
食事を作ってもらっているんだから皿洗いぐらいは僕がやらないと。
一度水で濡らしたスポンジに洗剤をつけて皿を洗っていく。
「なんかこうしていると夫婦みたいね」
「あ、それは僕も思った」
どうやらひまりと僕は同じようなことを考えていたみたいだ。