何を言っているのかわからないエッセイを読んだ話。其之弐
アダルト広告問題に託けて、「小説家になろう」というサイトに対して「児童文学市場の公募サイトになってほしい」と宣うエッセイがランキングに入っていて笑ってしまいました。
いやいや、何を言ってるんだろう?
荒唐無稽すぎて笑ってしまいましたよ。片腹大激痛です。
「小説家になろう」というサイトへの提言なら、まずは書籍の市場売上を調べる前に、このサイトでデータを取って然るべきではないでしょうか。
早速調べてみました。以下のデータは「小説家になろう」内で調べられるものです。
最初のデータとして、「累計総合ランキング」に「童話〔その他〕」はどれくらい入っているのかを調べました。まず「童話〔その他〕」の「累計1位」のポイントと「累計総合ランキング」の「300位」のポイントを比較しました。
童話1位 : 13,580pt
総合300位:175,569pt
(どちらも2024年2月26日現在)
「累計総合ランキング」の「300位」以内に「童話〔その他〕」は入っていない、という結論がいきなり出てしまいました。
これと同様に、「年間」「四半期」「月間」「週間」「日間」も比較しましたが、各「総合ランキング」の「300位」内に「童話〔その他〕」は入っていませんでした。実際のデータは省略します。
次に、作品の投稿数はどうなっているのかを比較してみました。
「ラノベ」と「絵本」の比較ですので、所謂「ラノベ」と思われる「異世界(恋愛)」「現実世界(恋愛)」「ハイファンタジー」「ローファンタジー」の合計投稿数と「童話(その他)」の合計投稿数を比較してみましょう。
童話 : 16,174
ラノベ:345,575
(どちらも2024年2月26日現在)
「いやいや、件のエッセイでは『近年すさまじく伸びて』って言ってるよ」とツッコまれそうなので、昨年2023年に投稿された作品数を比較してみましょう。
童話 : 1,522
ラノベ:40,955
(どちらも2024年2月26日現在)
「童話」の投稿数は近年若干増加しているかもしれないと思われます。
さて、この2つのデータからわかることは、
“「小説家になろう」ユーザーの大半は所謂「ラノベ」を求めている。”
ということです。
作品投稿数も付加ポイント数も圧倒的に「ラノベ」が多いのが一目瞭然です。つまり、書き手も読み手も圧倒的にラノベを求めています。
ラノベの市場売上が下降傾向なのにおかしいと件のエッセイ主は言いそうですね。しかし、その理由は簡単に説明できます。
「媒体」の違いです。
「絵本」が読まれる媒体はおそらくは大多数が「紙書籍」だと思われます。これに関しては調べてみたのですが、具体的なデータが見つからなかったので予測です。しかしながら、子供がタブレットを使って「絵本」を読むかというと読まないでしょう。子供がタブレットを使うなら動画を観たり、ゲームをするのではないかと考えられるからです。親や保護者が厳しく管理するなら話は別ですが、果たして、どれくらいの方がそこまでするのでしょうか。
一方で、ラノベの読者層のほとんどは「個人のスマホやタブレット」を持っていると思われます。無料で読める「小説家になろう」作品はラノベの読者層の空き時間や待ち時間にスマホで読まれやすいのではないかと私は考えています。手軽に読めるラノベに目が行くのは自然なことではないでしょうか。
では、そんな状態の「小説家になろう」が「児童文学市場の公募サイト」に変わったら、一体どうなるでしょうか。
私の予想では、それはもう蜘蛛の子を散らすように稼働ユーザー数が激減すると思われます。
そして、件のエッセイ主は「児童文学市場の公募サイト」に変わるのだからアダルト広告を一切止めるべきと言っています。
どうやって、サイトを運営するのでしょうか?
件のエッセイ主は「商売の面でもプラス」と言っていますが、一体どうやって今よりプラスになるのでしょうか。
ユーザーが減ってしまえば、当然、広告収入も減るのは誰にでもわかるでしょう。
ここで誤解無きようお伝えしたいのは、私は童話や絵本に含むところは何もありません。「小説家になろう」にある一つのジャンルとして、これからもあり続けると私は考えています。
とはいえ、流石に「小説家になろう」というサイトを「児童文学市場の公募サイト」にまでするほどの力はないと私は考えます。
件のエッセイ主が言っているのは、デパートに向かって「おもちゃだ。他でおもちゃの売上がいいみたいだから、このデパートをおもちゃの専門店にしてほしい」と言っているのと同じではないでしょうか。
件のエッセイが全くといっていいほど何も考えられていないことがこれで理解いただけたでしょうか。
†
最後に、今回のエッセイも含めて、私は安易な運営様への要望エッセイを複数批判しました。
私はサイトの運営に関わったことはありません。
しかし、私は過去に小売店の実店舗で経営に携わっていた経験でこうして批判エッセイを投稿しました。
客側(利用者)の安易な要望は店舗側(運営)に何のメリットもなく、寧ろ苦しめる可能性が高いからです。
客側(利用者)からしてみれば、客側(利用者)の要望は別に難しいことではないと思われるでしょう。
以前、私の別のエッセイの感想欄に中々に面倒な提案をした上で「それをしようともしないのは、運営の怠慢でしかないと思いますよ」というコメントを頂戴しました。
しかし、そんなことは決してなく、その要望による変更をするのは非常に労力と時間が掛かる場合が多いのです。簡単に言えば、お金がたくさん掛かります。そのお金は降って湧いてくるわけではありません。一体、どこから捻出するのか。そういったことを考えることもない「客側(利用者)の要望」を「安易」と言ってもおかしくはないのではないでしょうか。
「経営努力」と言う方もいるでしょう。ですが、今回の場合、極一部のユーザーのわがままともいえる要望に、多大なコストを掛けて変更する価値は本当にあるのでしょうか。というよりも、変更するメリットもありません。
とはいえ、私は客側(利用者)が店舗側(運営)に要望を伝えることを非難するつもりはありません。そこは客側(利用者)の自由です。
しかし、今回のように碌な根拠もない状態でエッセイにして他のユーザーを煽る行為は、如何なものかと思い、このエッセイを投稿することに致しました。
皆様、少しでいいので、サイトを利用させてもらっている、と考えてみるのは如何でしょうか。そう考えれば、簡単に「ああしてほしい。こうしてほしい」とは言えなくなりませんか?




