天使
僕が四缶目のビールに口をつけた時にその人は現れた。しかも僕の家のベランダから。
「ここ五階ですよ?なに考えてるんですか」
僕はその突然現れた女性に呆れながら言った。
「あなたが呼んだから来たんじゃない」
身に覚えがない。どうでもいいけど。
「ほら早くこっちに来なさい」
僕はその女性に腕を引っ張られ、ベランダへ連れていかれる。その女性の長い黒髪が何度も顔に触れ、その度に花のような繊細な香りを感じ、それだけで僕はとても落ち着いた。
ベランダにたどり着くと、女性は下を見下ろし「まだ足りないわね」と言って突然服を脱ぎ、その真っ白な清水のような背中から大きな黒い翼を生やした。
「行くわよ」
女性はそう言って僕の手を握り、大きな翼で勢いよく空気を蹴り、ベランダを飛び出してグングン高度を上げていく。
夜景が美しい。
僕がそう思ったとき、女性が手を広げ、僕を落とした。