続・盗賊団セフィナ
傭兵団の拠点に戻ってから、盗賊団セフィナに関する詳しい話を聞く。ファクトの言う通り、ステリアは盗賊団セフィナの拠点についても、その活動についても把握していた。違法な薬物の取引についても、傭兵団で入手した噂以上に信憑性のある話が多く含まれている。いつ、どこで、どのくらいの量を、取引したのか。そこまで聞かされれば何かの間違いだと思い込むことすら難しい。
アンとナイアの知るスピカは厳しくも優しい教官だった。戦闘の技術、心構え、守られる側としての立ち回り。特にアンは王女として人と距離を保った関係性を築かざるを得ないことも多く、その寂しさをスピカが埋めてくれていた。そんなスピカが今は犯罪に手を染めている。盗賊団セフィナについてこれ以上知りたくないという気持ちが二人には芽生え始めていた。そんな二人を叱咤したのは傭兵団を取りまとめるカイトスだった。
「君たちが悩むのは彼の教えあってこそだよな。それなのに知りたくない、見たくないと耳も目も塞いで、思い出の中の教官に顔向けできるのか。」
その言葉に二人は目が覚める。いつまでも目を逸らしているわけにもいかない。そんなことをすればより自分たちの教官と交流する機会を失うだろう。今ならまだ引き返してもらえるかもしれない。何か事情があってのことかもしれない。事情があるならそれを聞いて、自分たちにできる手助けをすれば良い。
気を取り直した二人はステリアに頼み込む。盗賊団セフィナの拠点へ連れて行ってほしいと。同時にカイトスにも頼む。次の盗賊団セフィナ捜索には自分たちが行きたい、知り合いがいれば何かできることもあるかもしれない、と。
「おそらく戦闘になる。足手纏いは連れて行けない。」
カイトスの判断のもっともだった。知り合いと戦い辛いのは仕方のないことだ。だからと言って戦闘中に庇う余裕などない。周囲の安全のことも考えると、最初から連れて行かないことが一番だった。しかしそう言われることも織り込み済み。ナイアは決して足手まといにならない、いざ戦闘になればスピカにだって攻撃すると約束する。アンも同じように言い張るもカイトスは首を縦に振らない。今は戦えると言っていてもその場でどうなるかは誰にも分からない。そんな心配が残っていた。本人たちには特別行きたい理由があっても、傭兵団として危険を冒してまで彼らを同行させる理由などなかった。
「アン、いざとなれば殺すことも必要になる。その時、賊に身を落としているにも関わらず今も教官と呼び慕う人を殺せるのか?」
ナイアは人を殺したことがある。しかしアンにその経験があるとは思えなかった。人を殺した経験すらないのに、大切な思い出の一部となっている人を殺せるのか。カイトスには今のアンの言葉が信じられなかった。戦いの場での躊躇は死を招く。それをたった十五歳のアンに理解させ、人を殺せと、それも大切な人を殺せと強いることもまた避けたかった。
頑なにアンの同行を認めないカイトスにアンは反発心を抱く。ナイアには確認するだけなのに、自分には反対するのか、と。
「私にだって自分の意思があるんです。憧れた教官が間違った道を進もうとしているのなら、止めたいって思いがあるんです。それも駄目だって言うんですか。」
そこまで強く言うのなら、とナイアとミラにアンを補助するよう頼み、カイトスはアンの同行を認める。本人にも無理だと思ったなら少なくとも人質に取られるような真似だけはしないようにと言い聞かせ、その手を人間の血で汚すことは求めなかった。
ステリアの案内で、ナイア、アンとミラ、ファクトとリラの三人と二柱が向かうことは決定した。それでも心配は残る。ナイアとアンは盗賊団セフィナ側に思い入れのある人間がいる。ただの魔物や盗賊ならこの人数で十分だが、相手は一度敗れた盗賊団セフィナ。亡国ナズムで戦闘指導教官をしていた人が所属する盗賊団だ。その上、ナイアとアンは戦力にならない恐れがある。人員には十分な余力を持って配置しなければならない。
「それならセタス、あなたが来なさい。今のあなたに必要なのは世界を見ることだから。」
ステリアの助言に頷いて了承を示すセタスに、今までの戦いぶりや成果、そして船にいる時も自分と離れて過ごすことも多くなっている彼女の成長を感じ、カイトスは同行者の一人に加えることを決めた。先日の戦いで盗賊団セフィナにもセタスが十分戦力となることは知られている。体が小さいとはいえ、油断を誘うことはできないだろう。それでも戦力として申し分ない。亡国ナズムの問題で動揺するかもしれない人が含まれた面子の中に混ぜるには、動揺せずにいられる人が適任だ。彼らはセタスが動揺しているところを一度も見たことがなかった。
感情がないわけではない。最近ではバーセルの手料理に頬を緩めることも増えていた。ビハムに誘われて一緒に遊ぶこともある。様々なことに興味を示しているのだ。そのおかげか戦術の幅も広がっている。双剣での戦闘が基本だが、小石を投げたりとその場にある物を利用する戦い方は習得した。そんな成果をカイトスに披露していたのだ。
「セタス、任せてもいいか。ファクトと二人で中心になってほしい。」
真剣な表情で力強く頷くセタス。ナイアとアンが頼れない、精霊のミラとリラは当てにすべきでない、ステリアはただの案内人と心得るべき、と彼女にも分かるのだろう。腰の剣に手を置き、その剣で敵を排除する意思を伝えている。この様子なら安心して任せられる、とカイトスは先の三人と三柱にセタスを加えた面子で盗賊団セフィナに向かうよう依頼した。
船長でもあるカイトスの操縦で船アーシュレーシャーは大海を走り出す。よほど高性能な装置を搭載しているのか、障害物の少ない場所なら自動操縦も可能だと、ステリアの指定する海域に近づくまでは寛いだ時間を過ごせることとなった。しかしこれからスピカに会うのだとナイアとアンは緊張したままだ。自室に戻ることも他の人と会話することもなく甲板から水平線を眺めている。
「十年よ。人間にとってその十年がとても大きいことは二人ならよく分かるでしょう。アンもナイアも、この十年でとても変わったでしょう?人が変わってしまうには十分な月日だわ。」
自分も人間だというのにどこか他人事のようにファクトは言う。長く精霊のリラと関わって来たせいだろうか、それとも王族として教育を受けているせいだろうか。ミラもアンに寄り添い、話を聞いているが声をかけることはしない。人間の気持ちは分からないのか、理解してもかける言葉が見つけられないのか、他人の言葉で解決する問題ではないと分かっているのか。彼らの思いはどうあれ、いざスピカを目の前にすれば覚悟を決めなければならない。戦いたくないと逃げないことを条件に、カイトスに同行を認めてもらったのだから。
徐々に近づく小さな島影。人が住んでいるとは思えない岩ばかりの島で、隙間からちらほらと草が覗く程度だ。岩肌を撫でる風が見えるほど近づいても人の声一つ、鳥の声一つしない。盗賊団の船は島の丁度反対側だ。きっと気付かれてはいない。
「本当にここなのか。」
「うん、そうだよ。」
ナイアの確認に肯定を返すステリア。仮にも盗賊団の拠点だ。何かの仕掛けがあると考えるべきというのはナイアも理解している。その上、前回の戦闘には槍のスピカと弓兵部隊が十人以上とただの盗賊にしては連携の取れた動きも見せていた。そんな奴らが自分たちの拠点を無防備にしているわけがない。できることなら内部を事前に探りたい。
内部調査を行うなら、相手に気付かれない、もしくは相手が招き入れてくれるか油断してくれるような人が適任だ。全員顔は知られている。アンも少女の姿と幼い女の子の姿を持っているが、幼い女の子の姿になってもその面影は残っている。なにより冷静でいられるか分からないアンを一人潜入させることはしたくなかった。
「リラ、頼んでいいかしら。」
「もちろん。闇の精霊というのはこういった行動が得意だからね。」
闇に紛れての行動、影に隠れての捜索。地面に落ちる影にその身を溶かし、リラは島の中へと進んでいく。気配に敏感な人なら気付くこともあるが、多くは違和感すら覚えない。気付いても気のせいで済ませてしまう。音を消して、リラは彼らの様子を探った。
人間なら岩場を跳んで移動するのだろう飛び石の道を滑り、その隙間に仕掛けられた先端の尖った罠を確認する。自分たち専用の入り口があるのか、出入りする際はその罠を無効化する何かを使うのか。いずれにせよこの場所を通って侵入させることは難しい。罠の解除も賊たちに気付かれてしまう。ひとまずは素通りし、内部に賊がいるのか確かめた。
「師匠、裏口に船がつけています!まだ誰も降りて来ていませんが、どうしますか?」
「様子見に行って来よう。待っていてくれ。」
言いつけられた者だけでなく、周囲の者たちまで弓を準備し始める。師匠と呼ばれたその男は槍を持ち、船の方へと歩き出す。前回も交戦したスピカだ。彼にとっては慣れた足場で戦うことになるかもしれない。戦闘の準備をしなければ。リラは急いで船へと戻る。奴らは既に襲撃に備えていた。気付かれていないと思っている船に残った仲間たちは油断しているだろう。
闇の精霊が急いで移動する速度に並の人間がついて来られるわけがない。当然リラのほうが先に船に到着し、迎撃態勢を取るよう指示する。スピカに爆弾等を所持していた様子はなかった。船での戦闘となれば十分互角に渡り合えるだろう。
「教官!どうしてこんなことをしているのですか!」
スピカの姿が見えるなり、ナイアが問い質す。顔を合わせた時に何と言うか考えていたのだろうか。犯罪行為なんて以前の教官ならしなかった、むしろ賊を討伐する側だった、それなのに危険な薬物の取引にまで手を出すなんて、と矢継ぎ早に繰り出す。しかし返事もなくスピカは船に乗り込んだ。
全員の注目が彼に集まっていた。しかしそれもアンの悲鳴によって散らされる。
「バーセル?いったい何をしてるの?」
ミラの問いかけにも答えない。彼はアンを捕えていた。人質にでも取るように、彼女を海の上に吊り下げている。
「教官に恩義があるんでね。お前のバーセルはもう死んでるんだ。」
「そう、ね。それはそうよ。精霊のバーセルもプレウラのバーセルももういない。そのお守りだって別人が拾ったとも解釈できるわ。」
バーセルの胸元に下がる桃と林檎をあしらった可愛らしいペンダント。ミラにはそれが自分自身の加護が込められたお守りだと明確に分かる。決して忘れはしない思い出の品だ。ナズム崩壊の足音が聞こえ始めた二十年前のあの日、その身の無事を祈って、旅立つ彼の胸元に自らの手で下げた物だ。今もまだ加護は宿っている。そのペンダントの裏に二人の名が刻まれていることだって知っている。それでもその人はもういない。新たな関係性を築き始めた人間のバーセルが今目の前にいるはずだった。
戦闘の姿勢を見せずに、ミラはバーセルとアンに近づく。しかしバーセルは近づくなと、アンを落とすぞと脅しをかけた。ナイアももう説得してみようなどと言っていられないと覚悟を決める。アンも落とされるかもしれないという恐怖心に襲われつつ、自力での脱出を試みている。
「わざわざこんな所まで来たんだ。手ぶらでは帰れないはずだ。バーセル、退くぞ。」
「へいへい、教官。」
手を離すバーセル。アンは海面に真っ逆さまだ。しかし水に落ちた音はしない。ミラが風を操り、そっと受け止めていた。アンの無事を確かめている間に奴らは船を降り、自分たちの島へと退いて行く。飛び石の下には棘が敷き詰められているというのに余裕の表情だ。ナイアはリラの忠告も聞かず、スピカの後を追ってしまう。アンも助かったと安堵したと思ったら飛び出してしまった。落下しないよう気を付けてはいるが、いつ体勢を崩してしまうかわからない。はらはらとしつつもファクトもその後に続いた。
飛び石の下の罠に落とされることなく、拠点の内部まで入り込める。途中で落下すれば僥倖程度の認識なのかもしれない。すぐ前をスピカたちが走っているおかげもあり、拠点内部からの攻撃も飛んで来ない。しかし到着すれば矢の雨がナイアたちを襲った。
「やれ!生きて返すな!」
スピカが指示を出し、弓兵と一緒にナイアたちに攻撃を仕掛ける。前衛の得物の攻撃範囲ではナイアたちが圧倒的に不利だ。主に前衛を担うナイアもセタスも長剣、ファクトも短剣。アンは術による援護が主で、リラの闇に潜んでの移動、ミラの術などが頼りとなる。それも攻撃し続けられるわけではないため、上手く連携を取って倒す必要がある。
これ以上下がることのできないナイアたちは躱すこともままならない。そこへバーセルの大剣でさらに動きが制限される。スピカも槍で確実に最も大きな的となっているナイアを狙った。
「教官、答えてください!どうしてこんなことをしているのですか!」
「諦めろ、ナイア。」
ファクトがナイアを窘める。ようやくナイアも諦めがついたのか、スピカと刃を交えた。セタスは最初から躊躇なくバーセルの懐に飛び込み、自分一人に意識を集中させている。長い槍、大剣とその攻撃範囲の広さでは傭兵団に不利ではあるが、ファクトも素早い動きで二人をその場に縫い付けた。リラとアン、ミラが主に弓兵たちを行動不能にするため動く。
数こそ多く、盗賊団の拠点という場所でもあるが、一人一人の戦力では弓兵たちの力など微々たるもの。三人で協力して確実に沈めて行けば、その援護もスピカやバーセルのために向かわされる。次第にほぼ互角となっていた戦いがナイアたちに傾き、アンもスピカに声をかけた。
「お久しぶりです、教官。アン・ナズムです、覚えていますか。こんなに大きくなったんですよ。」
会っていた当時は五歳、今はプレウラと化しており十五歳。面影はあっても、王都シリウスで死んでいると思われていたアンだとは気付けないだろう。守られるしかなかった幼い子どもが、自ら戦闘の場に立てるほど成長している。十年の歳月の長さにスピカは思いを馳せた。それでも攻撃の手は緩めない。最早分かり合えないのかとアンは再び援護の姿勢を整える。
ほんの僅かな迷いをナイアは見逃さなかった。その剣に突き刺さる槍の重さが真正面から自分に向かって来なくなったのだ。
「戦場での迷いは命取りだ。そうでしたよね、教官。」
迷いはした。それでも矛を収めることをしなかったのはスピカの選択。そしてそれを討つのが自分の覚悟。ナイアは距離を詰めて剣を突き刺そうとした。しかしその隙間に入り込んだ人物がいた。それはアン。自分の杖を捨て、その身をナイアの振るう剣の前に滑り込ませた。
「アン!?」
驚き剣を止めようとしても止められない、逸らそうとしても逸らしきれない。そんな直前にアンは飛び込んで来た。勢いのついたそれが真っ直ぐアンの体に吸い込まれる。この場に治癒術を得意とするのはアン一人。術に頼らない止血しか行えない。その手当てならナイアも慣れている。しかし今は刺すつもりのなかったアンに自分の剣を突き刺してしまったことに動揺し、剣を引き抜くこともできていない。すぐに手当てできないなら抜かずにおくことが正解と宥めるリラの言葉も耳に入っていないようだ。
異常事態にファクトとセタスも気付く。しかし彼女らはバーセルの相手をしており、加勢できる状態にない。スピカも止められるのはミラくらい。しかしそのミラも自身の契約者であるアンが守ろうとしたことから攻撃の手を止めていた。
「バーセル、やめてくれ。彼女は殺せない。」
スピカが槍を捨て、アンの手当てを始めた。戦闘に巻き込まれない位置に退避していた配下に薬と包帯の用意を指示する。呻くアンに二択の質問を繰り返し、上手く内臓を避けて刺さったことを確認する。自分で止血できるかとも問いかけ、傷口に痛み止めを浴びせる。バーセルが戦いの手を止める間にそれらを全て行うほどスピカの行動は迅速だった。
今なら聞けるかもしれない。自ら治癒術で傷口を塞いだアンの呼吸が整うのを見届け、ナイアはスピカに声をかける。
「教官、なぜ盗賊団に身を寄せているのですか。教官ほどの腕があればアンタレス王国の軍にも、民間の傭兵団にも入れたはずです。こんな、犯罪に手を染めずとも。」
「いまはアンの治療が先決だ。船に医術士はいるか。」
盗賊団にも手当てをできる者はいる。しかしナイアたちが信じられる医術士とはならない。そのための質問だった。ナイアたちの船で医術士の役割を果たしていたのはアン。応急処置をそれぞれで、術による治癒はアンが行い、より専門的な治療行為が必要な場合は最寄りの港で医師に診せている。その旨を伝えれば、医師の質問にも答えられるからとスピカは単身での同行を提案した。ナイアたちに異論はない。アンの身を案じる気持ちに嘘は見えなかった。一方で盗賊団側の人々はスピカ一人で行くことに反対している。先ほどまで戦っていたのだから当然の反応か。スピカの行動も信じられないと言うようにバーセルは彼を見ていた。
スピカはアンを優しく抱き上げ、ナイアとファクトに先導を求めた。バーセルにはそれを黙って見送ることなどできない。引き留めるような声を上げれば、意外な人物から返答があった。
「私が残るわ。バーセル、少し話しましょう?」
風の精霊ミラが人質として残り、代わりにスピカを連れ帰るナイアたち。船の医務室でアンを寝かせれば、早速ナイアはスピカに質問をした。なぜ盗賊団にいるのか、なぜ罪を犯しているのか。変わってしまったのかなど言いたいことは沢山あったが、全て我慢し、その二つだけを問いかける。
アンの容態はまだ分からない。眠っているだけのようにも見えるが、実際のところは医師の判断が必要だ。一刻も早く医師に診せたいと思っても港に着くまではどうしようもない。それなら着くまでの間は、とその場でスピカは考え始める。何からどう話そうかと。
「俺は戦うしかできない人間だから。」
そんな言葉から始められたスピカの話は否定することも受け入れることも難しい話だった。
ある日突然、居場所を無くした。それはナイアも同じだ。魔物を討伐しつつも身近な人たちと笑い合える、ある意味では平穏な日々が突如として奪われた。魔物の数が増え、一体一体も強くなり、ついには王都シリウスが崩落した。多くの住民は亡国と生死を共にし、一部だけが隣のアンタレス王国へと流れることに成功した。しかし新たな生活を始めるために苦労をしなかった者はいない。上手く新しい仕事を得られた者だって以前と同じような生活を送れるわけではない。騎士の家系の子だったナイアも個人で傭兵として活動することとなっている。
だれもが自分を食わせるだけの収入を得られるわけでも、自ら食料を得られるわけでもない。稼ぐ術を知らない子どもも、もう動き回って仕事することも難しい老人も、たまたまその日王都を離れていただけで、たまたまアンタレス王国を訪れていただけで、滅亡のその日を生き延びることはできた。
「アジトの奥に、来てほしい。」