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異世界転移イケオジ受肉三人衆~TSって普通美少年ちゃうんか~  作者: 藤 都斗


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マクロと枕って似てるよね。

 


 発見した大量の紙はアタシが書類やら家計簿やらなんやらで使うだろうからと所持品欄にぶち込んで、本の形になってるやつはノート代わりに使用したいから、現在の寝室として使ってる雑魚寝部屋の空いたスペースに設置しておいた。

 今後、気になるタイトルの本は、きっとハーツさんかドラゴさんによって何らかの色々をされることだろう。知らんけど。


 その後、ちゃんと飯食ってどこかへ行方不明にしてた情緒をなんとか取り戻したハーツさんと一緒に皿洗いを開始することにした。


 本日のメニューは猪肉スペアリブの香草焼きでした。美味しいは正義。白米って何とも合うよね。


「やー、骨まで美味しく出来るとかマジでドラゴさんすげェっすわ」

「えっ、まって、ユーリャさんなんで骨まで食べてんですか!?」

「んぇ?」

 

 ボリボリ骨食いながら食器をまとめてたら、ハーツさんにヤバい奴見た時みたいな反応で驚かれてしまった。解せぬ。


「だって、猪の骨ですよ!?」

「うん。ゴミの削減」

「今までどこに捨ててるんだろうと思ってたら、全部食べてたんですか!?」

「うん」


 食える物は食うよ。美味しい物は特に。だって美味しいは正義だからね。わたしは なにも まちがってない。


「まだあるよ? 食う?」

「わーい! 食べるー!」

「ドラゴさんまで……」


 様子見してたドラゴさんがウキウキしながらやって来て、自分のお皿に残っていた骨をもぐもぐ食べ始めた。


「なんかサクサク食べれるねこれ」

「そーなンすよ。スナック菓子並」

「いや、スナック菓子からする音じゃないですけど」


 ガリゴリボリンガキンゴキンみたいな音はしているけど、ホントにめっちゃ簡単に苦労無く楽に食えちゃうのだからなんとも言えない。エビせんべいみたいな食感である。うまー。


「ハーツさんの残した骨もあるけどハーツさんどーする?」

「一応、いただきます……」


 自分のお皿に残っていた骨を恐る恐る手に取って、ガキッボキ、バリ……という音を立てながら咀嚼するハーツさんだが、何故だかだんだんしょんぼりした顔になっていった。


「……柔らかい石食ってる気分なんですけど……味ほとんど無いし……」


 ものすんごくしょんぼりした顔でしょんぼりした声を発しながら、しょんぼりと残った骨をお皿に置くハーツさんである。

 しょんぼりイケオジって地味に需要ありそうだな。


「えー、結構味あるよー? ねーユーリャさん」

「うん。下味付いてたら結構イケるっすよ?」

「……よく考えたら二人は猫ちゃんとトカゲちゃんですもんね」


 猫ちゃん言うな。誰がネコチャンや。こちとら獣人やぞ。


「トカゲちゃんじゃなくて龍ちゃんだよ!」

「いやリアクションに困る」


 つーかツッコむとこそこなん?


「わたしはエルフさんなので、味覚は人間寄りなんでしょうね」


 なんか二人共に無視されたンすけど。なにこれ酷くない?


 まぁ、考えたら分かる事なんでこのやり取りは茶番というか、じゃれ合いである。


 ハーツさんが残した食べかけの骨は、仕方がないので生ゴミとして森にブン投げるとしよう。プラスチックじゃないから自然に還るはず。断じて不法投棄ではない。


 そんな時、本当にふと、どうでもいいことを思い出した。


「……そういや、マクロってどうなったんかな」

「枕? まだちゃんとした皆の頭にぴったりのやつは作れてないよ」


 いや、ちゃうねん。それは地味に欲しいけども。つーかドラゴさんそんなんも出来るんか。やべェな。


「違う違う。ほら、遊び半分でやってたじゃん」

「あぁー、ボタンひとつで防御から攻撃とか、無限制作とか採取とか色々出来るアレですか」

「そうそう。なんかのポーズ取りながら職業を変えて装備まで一気に変えたりとかさ」

「やってたねー」


 説明しよう!

 マクロとは、なんかよく分からんプログラムを使用し、キーボードのボタン操作ひとつで色々な動作を自動でなんか色々してくれる、ゲーマーにとってはめちゃくちゃに便利な機能なのである!

 早い話が、したい動作を全自動で全てやってくれる。それがマクロ。

 色んなモーションを連続でセットしておけば、大人数で音楽に合わせてダンス、みたいなことすら出来ちゃうのである。


 キーボードとプログラムが必要なので、据置きゲーム機だけの人には無理な、ゲーム用高スペックパソコン持ってる人だけの特権みたいな気がほんのりしているが、ゲーム機勢も頑張れば出来んこともないので、本人の頑張り次第だったりする。


『ご安心ください! ありますよ!』


 そして突然のワタナベである。


「いや急に何」

『変身にはその職業を唱えてください!』

「は?」

「え?」


 ドヤ顔のところ悪いんだけど意味不明なんだが。

 と思ってたら何故かドラゴさんがノった。


「わかった! いざ、侍!」

「えっ」


 ババっ! となんかよく分からんポーズ取りながら楽しそうに職業を唱えた瞬間、ドラゴさんの足元からブワッと大量の赤い葉っぱが舞い上がった。

 それはそのまま竜巻のようにドラゴさんを包み込み、ドラゴさんの姿が見えなくなる。多分この葉っぱは紅葉なんだろうけどなにこれ。

 すると次の瞬間、紅葉が周囲にブワッと広がり、大きな太刀を構えた、見るからに様変わりしたドラゴさんが姿を現した。


「おおー!」

「いや、おおーじゃなくて」


 上半身を半分だけ脱いだ着物に、胸元からウエストにかけてサラシを巻いた、某桜吹雪お奉行様スタイル&ポニーテールなドラゴさんが爆誕している。

 着物は赤から黒へのグラデーションとなんかの花。

 ドラゴさんの肌が絵の具塗ったみたいな白だからか、元からデフォルトで生えてる首やら腕やら背中やらの鱗が刺青みたいに見えてくるから不思議である。


「……でも自分じゃよく分からんね……。タナベさん写真撮って〜」

『タナベじゃないけど写真は撮りますご安心ください!』

「やった〜」


 いやはや、素晴らしいイケオジが爆誕してしまった。なにこれ。ていうかなんで髪の毛伸びてんの?

 しかし、マジで似合ってるな。どうすんだこれ。


「ほらほら、ユーリャさんもハーツさんもやろうよ!」


 めちゃくちゃ楽しそうにこっち見ているドラゴさんだが、アタシぁ正直ついていけてない。なんなんこれ。


「え? えーと、じゃあ白魔法士!」


 よく分からないノリのまま、ハーツさんが職業を唱えると、これまた不思議な光が地面からポワポワ湧いてきて、ハーツさんを包み込んだ。

 それはそのまま全身が全く見えなくなるまでハーツさんを包んで、次の瞬間パッと弾ける。

 姿を見せたのは、ハーツさんが気に入って時々着てたなんかそれっぽい衣装の、白系に染めた組み合わせだ。


「おぉー」


 銀色の片眼鏡に、白いローブ。とはいえ野暮ったいダボッとしたやつじゃなくて、シュッとしてヒラっとした、コートに近い形をしている。

 肩あたりにふわふわのファーが付いているがコートが肩を出すタイプのものなので、白いタートルネックのノースリーブがよく見えている。あと肩。

 それぞれの布地に銀色で色んな刺繍が入ってるからめっちゃ豪華である。

 すげェなこれ、どうなってんだ?


「ほらほら、次ユーリャさんだよ!」

「えええ」

「ほら、早く早く」


 ワクワクしたドラゴさんと、心なしかエルフ耳がピコッと上がったハーツさんの姿に、なんかもう仕方なく考える。


「んー……、ほしたらえーと、忍者」


 言った瞬間、足元から闇がブワッと広がった。

 突然の出来事に固まることしか出来ない。


 気付いたら服が変わっていた。ゲーム内で忍者用にコーディネートしてた装備を着ている。


「おおー!」

「カッコイイですねユーリャさん」

「お、おん」


 確かこの装備は、忍者のクエストで貰った忍者っぽい服と、それに合うなんか適当な服を選んでいた気がする。

 大きめのスカーフで首元が覆われていて、後ろにヒラヒラとたなびいている。そんでもって腰にも巻きスカートみたいな感じでなんかの布がヒラヒラしている。顔は上半分しか出てない。全体的にシュッとしてて黒い。

 まさに忍者。


「どしたのユーリャさん」

「や、なんでもねっす」


 不思議そうなドラゴさんには、サラッとそう返しておく。


「待ってユーリャさんしっぽがタヌキになってますよ」

「あ、耳もイカ耳」

「……なんだと!?」


 振り向けばボンバーしたしっぽ。頭を触れば普段と方向の違った耳。なんということでしょう。こんちくしょう。


「あぁ、もしかして、びっくりしちゃったんじゃないですか?」

「なるほどー!」


 なるほどーじゃねぇよ。


「うぐぐぐぐ……!」

「ユーリャさんそのタヌキしっぽ触っていい?」

「やだ!」


 手ェわきわきすんな! こっち来んな!


「……で、これどうすンすか?」

「え? 別にどうもしない」

「しないですねぇ」

「しねーのかよ」


 着替えた意味など、初めから無かったらしい。なんやねん。



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― 新着の感想 ―
すごく情景が浮かびやすくてみんなかわいくてめっちゃ好きですぅ…… 二回目の一気読みしてつい衝動的に感想を…… つまり新ビジュがいっぱい……!? そして骨はスナックだったんですね。小骨とか絶対刺さらな…
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