色々とどうなのこれ。
倉庫なう。
いやもうこれ絶対使ってる人居ねーよな。
何年前だよっていうね。もう正式に何年前とか分からんわアタシにも。下手したら十何年とかかもしれん。えっ、やだ、怖。時間の流れ怖すぎる。
そんなどうでもいい事を考えながら三人で地下の倉庫を物色する。ぱーっと周囲を見渡して、つい声が漏れた。
「めっちゃ家具あるくね?」
見渡す限り家具なんすけどなにこれ。
「そりゃーまぁ、限界近くまで入ってたしね〜」
「なんでそんな入れたん」
「え〜? 春には春っぽいの、夏には夏っぽいの、春夏秋冬用意してたらそうなるよ」
「クリスマスもハロウィンもありますしね」
あー、なるほど。
「季節イベントっぽい内装、全部やってたすもんね、そういや」
冬になったら暖炉とか、季節に合わせてそれっぽい模様替えするだけでギルドハウスの雰囲気はガラリと変わる。ゲームとはいえ、季節に合わせるって意外と重要だ。何がって“キャラクターがここで生きてる”って感じが出せるから。
やらない人はやらないし、なんなら全然気にせずにプレイしてる人も居る。
だけど、それはアタシらにゃ該当してなかった。
自分のキャラには良い服着せたかったし、良い武器使わせたかったし、むしろもう一人の自分のようにすら思っていた節もある。
まあ、ハウスに関してアタシぁ基本ボーッと見てただけだから、そーゆーのやったの全部ドラゴさんなんだけども。
なお、自然素材の収集は主にハーツさんで、アタシがやってたのァ余分になった素材や家具、薬剤をマーケットに出品したり、魔物の素材とかダンジョンでしか手に入らないアイテムの収集したり、街の店売りしてる物を買いに行ったりとかだけなんすけどね。
とか考えてる間に目当ての物を発見した。
「お、あった本棚!」
「こっちも書類棚あったよー」
「んじゃ収納しといて、次行きましょう」
ハーツさんの声かけに、はーい、と返し、各々が見付けた家具を持ち物へ収納する。中身の確認はまた後だ。
その時、ふとハーツさんが何かに気付いて、驚いたような顔である一方を指差す。
「みんな、見てください!」
「えっ、なになに」
釣られるようにみんなで見たその方向に、とても素晴らしい家具が鎮座しているのを確認した三人のテンションが爆上がりした。
「でっかい猫のソファ!」
「おおお!」
「あったねぇそういや!」
香箱座りした白い猫をそのままソファにしたような素晴らしいソファである。
なおゲームで分からなかった手触りはというと、触ってみたらなんか普通だった。まあ、毛はそれなりにもふもふだし、デザインは可愛いし、むしろソファは丈夫な方が良いので何も問題はない。
「あ! こっちにラグマットもあるよ!」
「おおおお!」
真っ白い猫がそのままデフォルメされたラグである。
セットものってやっぱり、セットで置いたらめちゃくちゃ可愛いよね。
「え、どうする使う?」
「屋根裏部屋に置きましょうよ!」
「よき! そうしよ!」
マイキャット達と猫ラグ&猫ソファとか可愛いしか存在してないじゃないですか。最 & 高以外のなんでもないよ。素晴らしいね。
だがしかし、そこでドラゴさんがある事に気付く。
「まって、たしか同じシリーズでキャットタワーなかった……?」
「あ……っ!」
「そういえば……!」
三人の脳内では、可愛いが渋滞している素晴らしき光景が過ぎって行くばかりである。
「じゃあもしかしてこの倉庫のどこかに……?」
「よし探そう!」
「んじゃアタシぁこっち見て来るっす!」
「もし無くても作るからね!」
「りょ!」
「おけ!」
三者三様に嬉々としたリアクションを取りつつ、それぞれが駆け出した。
結果として、キャットタワーは存在した。
ものすげー隅っこに色んな家具に埋もれながらだったから見付けるのに時間が掛かったけどなんとか見つかった。ていうか見付けた。最終的にドラゴさんの野生の勘まで使って見付けた。それで本当に見付かるあたり、さすがドラゴさんである。
見付けた素晴らしき家具たちは持ち物欄に余裕のあるドラゴさんに収納して頂いて。
「はーいみんなしゅうごーう」
「へーい」
「はーい」
ドラゴさんの掛け声で全員が集まる。
「なんか使えそうなのあった?」
「ジュークボックス」
「レコードプレーヤー」
ちゃんと本来の目的も途中で思い出せたあたり、素晴らしきチームワークである。
「レコードプレーヤーは……レコード無いからインテリアだな……」
「ジュークボックスはキッチンに置いときましょ」
「賛成」
ハーツさんと二人で悩んだりしていると、物凄く不思議そうな顔をしたドラゴさんが口を挟んだ。
「ねーねーねーねー」
「なにドラゴさんどしたん」
「じゅーすぼっくすってなに……? 自販機?」
「まじか」
そういやこの中で一番若いのドラゴさんだったわ。
元年齢が五歳前後離れてるとそれなりにジェネレーションギャップが存在してしまうらしい。
ゲーマーって基本、興味無い物はどうでもいいから結構こういうことあるよね。
「ジュークボックスとは、1940年くらいからめちゃくちゃ流行ったレコード内蔵式音楽プレーヤーですよ。お金入れれば一曲丸々聞けたらしいです。知らんけど」
「知らんの?」
「そこまで知ってたらむしろ知ってる方だろ」
真顔で説明してたかと思ったらこれである。
いや、ハーツさんのこの知識どっから来たの???
「いえ、同人誌書くのに必要だった知識として知った程度ですし、細かい所はうろおぼえなので」
「うろおぼえとは」
「自分の知ってるうろおぼえじゃない」
そこまで覚えてたらもう覚えてる知識でええやん。
「まあいいや、他は?」
「うーん、観葉植物と、なんか良さげな絵ですかね」
「応接室とかに飾るか」
「せやな」
ハーツさんの見付けたセットは応接室にピッタリそうだった。今応接室どうなってんのか知らんけど、合いそうなら置いたらいいよね。
「自分はねー、畳!」
「畳なんてありましたっけ」
「え? ラグ系の畳マットか床ならあったけど、畳単体は知らんすわ」
「はいこれ」
どん、と目の前に置かれたのは、どう見ても違う物だった。
「紛うことなき和箪笥」
「しかもちょっと低めのやつ」
使い勝手良さそうな和箪笥よね。玄関置いたら椅子代わりにもなる感じの。
「これをねー、畳っぽい色に染色して床に並べると天板が畳みたいに見えるんだー!」
「もうそれ箪笥並べまくっただけなんよ」
使い勝手ってそういうのじゃないんよ。
「掘りごたつみたいに出来たんだよ!」
「うん、ゲームではな?」
「ほんでねー、この絵画の額縁が畳の縁っことしてちょうど良くてね、こう、無理矢理ねじ込んだらすごく畳になったんだよ!」
「それであんなに良さげな絵がたくさんあったんですね倉庫」
「現実で物理法則無視しようとせんでもろて」
それもう箪笥を絵で挟んだだけになるんよ。
「ドラゴさん、もうそんな事しなくても土台さえちゃんと作れば普通に小上がりの和室作れるんですよ。畳マット倉庫にあったし」
「まじで!?」
驚いてるとこ悪いけど、そらそうよ。
「ということは、土台としてこの箪笥を」
「なんで執拗に箪笥使おうとしてんすか」
「はっ、そうか、要らないんだった」
ゲームから現実に帰って来てドラゴさん。
「土台にするんじゃなくて隠し収納とかに使ったらいいんじゃないですか? デッドスペースも減りますし」
「なるほど」
「さすがハーツさんかしこい!」
その隠し収納に何入れるのかはまた後々考えるとして。
「じゃあ間取り考えなきゃだね!」
「一階と二階は普通に作っちゃう感じじゃなかったっけ?」
「そうですね……残るは地下ですが……」
ドラゴさんはとても楽しそうだ。出来ないことが出来るって楽しいから、変なテンションになってるんだろうな。
重い物軽々持てるし、大体なんでも作れちゃうし。
「ふっふっふ……地下をどうするかは、実は考えてるんだー!」
「おお、さすがはドラゴさん」
「ギルドハウスの全内装外装を手掛けてるだけはありますね」
「まあ楽しみに待っててよ!」
楽しそうに笑うドラゴさんにゃ悪ィんだが、そのイケオジ顔だともうギャップしかねェんよな……。
とか考えていたら、ふと何かを思い出したらしいドラゴさんが天井を見上げた。
「はっ、そうだ気になることがあったんだった。おーい! タナベさーん!」
『タナベって誰!? 浮気!? 浮気なんですか!? わたくし以外の神なんて許さないんですからね!?』
「うるせえ」
何を言っとるんだお前は。
「鍛冶場とか錬金術系のアトリエって動力何にしたらいいと思うー?」
『清々しい無視!』
「魔石にするべきか、石炭とかそういうガチめなやつにするかなんだけど」
『あ、話聞いてくれないんですね』
さすがドラゴさん。話を聞いてるようで聞いてない。
「どっちがいい?」
『石炭にすると耐熱はともかく、排気が難しいので家中が煤だらけになりますよ』
「それは困るね。じゃあ、魔石を動力にした色々を考えてみようかな……」
そんな感じで、アタシらにゃよく分からん何かが色々と決められていったのだった。
えーと……とりあえず、家具はドラゴさんに丸投げしといたらいいかな。うん。
環境の急激な変化により、不定期亀更新となっております。
少しずつでも更新出来るよう頑張っておりますので、気長にお待ち下されば幸いです……。




