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第2話

今日からまた幼稚園の日が続く。

定期的に休みがあるのはいいけど、休みたい時に休めないというのはちょっと面倒です。

一体誰なんでしょうかね、曜日というものを作ったのは。

その点前世は楽でしたね。

休みたい時に休み、研究したい時に研究をしていたのだから。

まあ、そんな生活をしていたら自堕落だと言われたりもしましたが。

そういえば……前世の私は一月くらい研究室に篭っていたなんて言われた事が何度もありますね。

多分私には曜日というものは合っているのでしょう。

曜日がないときっとなかなか休まないでしょうし。

前世の世界には真面目な人が合っているのでしょう。

時間や自分の体調をしっかりと管理出来そうですし。


「バス来たよー」

「はーい」


どうやらお迎えの時間らしいですね。

もう少しこの【魔女っ子ミミル】というアニメが見たいんだけど、無理そうですね。

残念です。

このアニメの魔法を少しでも解析したかったんですけど……サボるのはしたくないですね。

風夏にあまり心配かけたくありませんので。


「かりんちゃ〜ん」

「おはよう、風夏」

「おはよ〜。えへへ」

「もう、いきなり何?」

「だってかりんちゃんに会えたから」

「昨日も公園で遊んだでしょう?」

「そうだけど〜、でもかりんちゃんと一緒なのが嬉しいんだもん」

「全く風夏は……」


こんな満面の笑みで言われたら何も言えなくなっちゃうでしょうが。

はぁ……。

私、風夏には勝てないかもしれないわね。

この笑顔をされたら多分何をされても許しちゃうと思うわ。


風夏の隣に座ってシートベルトを付けたところでバスが発進する。

バスの迎えは私の家が最後なのでこのまま幼稚園へと向かう。

私が通っている幼稚園はいわゆるのびのび系というものらしく、お勉強系は小学校に入学する時のことを見越した勉強を主軸にするのに対し、私の通う幼稚園は自由に遊ばせてコミュニケーション能力などを高めることを目的としている。

だからといって勉強しないということではなく、絵を描いたり、歌や踊り、後は平仮名の練習とかはしたりしてます。


今日は絵を描く日。

さて何を書きましょうかね……人物はあまり得意ではないのですが……あ、アレを試してみましょう。

おそらくなんの意味もないでしょうがもしかしてという事もあるでしょうし、何か役に立つかもしれません。

確かこんな感じだったはず。


「何を描いているの?」

「魔法陣です。【魔女っ子ミミル】の」

「ああ、あのアニメの……えっと、ミミルは描かないの?」

「下手なので」

「そ、そう……。でも居ないと変じゃない?」

「そうですか? でも……私が描くとこうなるんですよね……」

「あー、これは……」


昔から人物画は苦手なんですよね。

魔法陣……というよりも術式なら完璧に描けるんですけど。

ちなみに、この世界ではどうかは分かりませんが、元いた世界における魔導というものは魔素を扱う技術の総称で、一般的には魔術と魔法の2種類が魔素を扱う技術体系で、大規模魔術儀式を成功させる。

無詠唱魔法を扱う事が出来る。

この2つを出来るようになって初めて、魔を修め、魔を持って人々を導く者、魔導師と呼ばれるようになる。

そして、魔法は詠唱によって発動させる形を定め行使するので身一つで使える事から主に戦闘面で活用される。

一方魔術は触媒や術式などを使って発動する為に事前準備が必要となるので、魔道具やなんらかの儀式に用いられることが多い。

戦闘で使えない事もないけど、戦闘魔術師はあまり見かけない。


魔法は詠唱と発動させる現象を正しく理解していれば扱えるが、発動させる魔法の全てを自身で制御せねばならず、規模の大きい魔法となればそれ相応の魔力制御能力が要求され術者に対する負担が大きくなるのが欠点だ。

一方魔術の方は事前準備に時間と労力、金銭などといった代償が必要となる代わりに、制御を術式の方にある程度負担させる事が出来るので大きな力を行使するのに向いている。

どちらにも得手不得手がありどちらも重要だと理解しない脳筋魔法師や頭でっかち魔術師が多かったっけなぁ……。


「きゅ、急に遠くを見てどうしたの!?」

「あ、いえ、なんでもないです……あはは」


いけない。

今は絵を描く時間でした。

集中集中。



結局この日描いた魔法陣はなんの意味もないただの記号の羅列だった。

魔力を流してもうんともすんとも言わなかった。

ちょっと残念。

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