第24話
今回は少し短めです
風夏が誘拐されてから十日が経った。
あの後迎えにきた両親に泣きながら叱られるというどう反応したらいいのか分からない説教を受け、私も恥ずかしながら少し泣いてしまいました。
前世持ちという少々風変わりな私ですが、親の愛をしっかりと感じられて涙腺が緩んじゃったのかな? と思います。
前世の親は私が成人してすぐの頃に亡くなってしまいましたしね……だからこそ、親の愛が嬉しかったんだと思います。
風夏は誘拐された時の事はあまりよく覚えていないそうです。
私の家にお見舞いに行くと親に告げて家を出たそうですが、そこからの記憶が曖昧らしい。
おそらくは何か精神に作用する薬品を使われたのでしょう。
その結果記憶が不鮮明になったと。
風夏に変な後遺症が出たらどうするつもりだったんですか全く!
幸い、運良く、たまたま、奇跡的に事件前後の記憶が不鮮明になるだけで日常生活にはなんの問題もなかったとはいえ、もうちょっと考えて欲しいものです。
風夏を攫った『天の光』とかいう名前の宗教団体はその後警察がきっちりと調べ上げてその実態を明らかにした。
教祖たる黒川は“組織施設内の執務室にて不健康が祟った為に病死”しており、その後内部分裂が起こって組織は崩壊。
信者の家族からの一報で警察が捜査に乗り出し、その結果薬と話術で洗脳して女性に対して性的暴行を加えたり、あるいは金品を騙し取っていたと報道された。
報道内容に猫田と佐山の名前は一切出て来ず、報道内容が私が見聞きした事とも異なる事から、真実は隠されているみたい。
流石に、異能がどうとかは話せないですよね。
私が知ってるのは報道された事と私が実際に見聞きしたもののみ。
ですが、それらを合わせて考えると恐らくですがあの狭山とかいう胡散くらい男は無事に暗部組織とやらに組み込まれたのでしょうね。
多分、猫田も一緒に。
そして暗部というのですから当然その存在は明るみに出る事はなく、その結果が嘘で塗り固められたあの報道という事でしょう。
どうせなら女児誘拐も報道しても良かったんですよ?
私はともかく、風夏を攫ったのは事実なのですから。
「華琳ちゃ〜ん。そろそろバス来るわよ〜」
「は〜い!」
少し気になるところはあるものの、事件自体は無事に解決しており、こうなってくるともはや私に出来る事は何もありません。
なのでまた日常に戻るだけ。
「あ、かりんちゃ〜ん!」
「おはよう、風夏」
「おはよう!」
「風夏は今日も元気だね〜」
「うん!」
「あれからどこも問題ない? どこか痛いとかない?」
「も〜! かりんちゃんまでママみたいな事言う〜」
「ごめんね。でも風夏の事が大切だから気になっちゃって」
「わたしはげんきだっていつもいってるよね」
「うん、そうだね。でも調子悪くなったらちゃんと言うんだよ?」
「わかってる〜」
助けられたという実感を再確認しつつ、バスに乗り込んで幼稚園へと向かう。
さて、今日ものんびり過ごしましょうかね。
これにて第一章が終了し、次回からは第二章となります
次章からは少し時間が進んで小学生編となります
期待は……あまりしないでくれるとプレッシャーが減って楽になるかな
とにかく、今後もよろしくお願いします




