第23話
ふと目が覚めた時、そこは見た事もない場所で混乱しましたが、すぐに女性警察官の方が色々と教えてくれました。
まずここは近くの警察署で私と風夏が燕尾服の男に保護されて警察署まで連れて来てもらったとの事。
言った通りに警察署に連れていってくれたようです。
寝てしまった後何かされてないか確認していきますが、特に不審な点は無いように感じます。
少なくとも魔法的な何かが……という感じではないですね。
異能で何かされた場合だと少し自信は無いですが……。
後でもっと精密な検査をしておいた方が良さそうです。
「それで、ちょっと聞きたいんだけどお嬢ちゃんはどうして夜遅くに出歩いてたの?」
「えっと、夜おトイレに起きたら、友達が居なくなったってパパとママが話してるのが聞こえて、私が探さなきゃって、それで……」
「そう……でも1人で危ないことしちゃダメよ?」
「はぁ〜い」
子供らしく返事をする。
あの燕尾服の男相手なら今更感もあってわざわざ演技する必要はないけど、この女性警察官の前では演じた方が面倒も少ないでしょう。
「それで、お嬢ちゃんのお名前と住んでるところを教えてくれないかな? パパとママに連絡したいんだけど、だめかな?」
「いいよ〜。私の名前はね、曹永華琳っていうの。住んでるところは〜……」
名前と住所を伝えるが、子供らしく番地なんかの詳しい所までは伝えずに、周りにどんなのがあるのかなんかをある程度誇張して伝えていきます。
そうするともっと詳しく知りたいと聞いてくるので、ぼかしつつ場所を連想出来るような回答をしていき、女性警察官からの質問が5つくらい来た後、ようやくどこか大まかに理解してくれたようです。
子供のフリも楽じゃないですね。
後はその大まかな場所から名字や名前などから割り出してくれるでしょう。
外にいる別の警察官の人に住所を伝えた後再び私に向き合います。
どうやら子供が不安にならないように親が来るまで相手をしようというつもりらしいです。
私にはそんな配慮必要ないんですが、ここに残ってくれるというのであればいくつか質問させてもらいますかね。
「あの、お姉さん……」
「ん? なぁに? どうしたの?」
「その、おじさんはどうしてますか?」
おじさん。
燕尾服の男の事です。
年齢的にはまだ20台半ば辺りに見えましたが、私の年齢から見れば大体おじさんですしおじさんで問題ないですよね?
ちょっとした嫌がらせですけどね。
なんか、信用ならない雰囲気があるんですよね〜……だから嫌がらせです。
子供っぽいとは思いますが、何かしてやりたいと思ってしまうんです。
恐らくこれも幼い身体に精神が引っ張られているんだと思う。
「あはは……おじさんね。えーと、おじさん、佐山さんの事ね。佐山さんは別のお部屋でお話を聞かせてもらってるよ? 華琳ちゃん達を保護した時の話とかをね」
実際は尋問なりなんなりされているんでしょう。
あるいは暗部組織とか言っていた気がするし、そこに所属する為に売り込みでもしているのかもしれません。
まあ、話を聞いていた時は既に夢現の状態でしたからもしかしたら夢の中の話でそんな話はしていなかったのかもしれませんが。
「そうですか」
しかし、辻褄合わせとかしてないのが少し気になります。
当然と言えば当然ですが部屋が分けられたのは痛いですね。
こうなってくるともはやどうすることも出来ませんし後はどうにでもなれと言った感じ。
その後は風夏の様子なんかを聞いたりしながら親が迎えにくるのを待っています。
ですが、まさかあれからずっと未だに寝続けているとは思いませんでしたね。
流石に起きると思うのですが……。
寝る子は育つというらしいですが、こうなってくると風夏は将来どれだけ育つのか気になります。
その前に私もちゃんと寝るべきなのかもしれませんが。
風夏が大きく育つ中私はずっと小さいままとか考えたくありません。
姉貴分としての威厳が……帰ったらゆっくり寝ましょう。
そうしましょう。




