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第18話

【導きの偶像】に従って進んでいきますが、その道中で扉があればその度に止まって人の気配を探ります。

そのため、予想よりも時間がかかってしまっていて、このままでは見つかってしまうのではと不安になってきます。

しかし、警戒をしないと先程のように突然遭遇して余計な魔力を消費することになりかねない。

先の事を考えて慎重に行くか、それとも時間を優先して大胆に行くか……悩ましい。

悩ましいが……決めた。

大胆に行こう。

既に人に見つかっていて、いつ本格的な捜索になるかも分からない状況で今みたいにゆっくりしていては風夏を見つける前に私が見つかってしまう。

ならば、ここは多少危険であっても大胆にいった方がはずです。


そう思い駆け足で進んでいきます。

途中でいくつかの扉の前を通りますが、幸いなことにそこから誰かが現れるということはありませんでした。

そうして【導きの偶像】の通りに進んでいくと広い部屋へと辿り着きました。

足元は畳となってます。

イグサの良い香りがするのでどうやら新しくしたばかりのようで、悪党の施設内とはいえこの畳に靴で踏み込みのは躊躇われます。

なので靴を持って入っていきます。


「本当に子供じゃねーか」


奥の扉から人が出てきました。

その人は頭頂部が黒くなっている変わった金色の髪をした男の人で、先程の言葉からして私を探しに来たようです。

そして、【導きの偶像】は男の人が出てきた先へと向かっています。

つまり、なんとかしてこの人を切り抜けて扉の向こうへと向かわないといけないという事です。


「ま、なんでもいいか。教祖様からの指示通り捕まえるだけだ」


靴を適当な隅の方に放り投げて【導きの偶像】を掴んでポケットの中に突っ込む。

その間に男は私を捕まえる為に接近してきています。

もちろん律儀に捕まる理由もないのでその手を掻い潜りつつ眠らせる為に詠唱を行います。


『この者に与えるは跡なき傷み。されどそれは現実なる痛み。精神を蝕み、意識を刈り取れ』


詠唱を終え、魔法を放つという瞬間で男は突然私を飛び越えて後ろへと回り込んできました。

……え?

跳んだ?

待ってください。

私は、自分で言うのもなんですが、ただの5歳児ですよ?

確かに詠唱はしました。

でもそんなのはこの人からしてみれば何やらブツブツとつぶやく幼女でしかなく、脅威に値しない。

わざわざそんな事せずにそのまま捕まえてしまえばいいはず。

何故……?

ですが、それのおかげで、いえ、それのせいで魔法が外れてしまいましたね。

まさか……気付かれた?


「今なんかしたろ? おっそろしい子共だなぁ。ま、新しい異能者捕まえたとなりゃ報酬は期待出来るし、ツイてるねぇ、こりゃ」


異能者?

魔法の事?

この世界には魔導なんて……いえ、私も使えますし、風夏にも魔法の才がありますし、他にも魔法を扱う才能がある人がいたとしてもおかしくはない。

どうやらこの組織では魔法かそれに類する技能を持った人が居るようですね。

そして、風夏が拐われた理由は風夏の魔法の才に気付かれ利用しようと考えてのもののようですね。


「ふ、ふふ、ふふふ……まさか、まさかそんな理由で、私から風夏を奪ったとは……いえ、確かにこの世界では風夏の力は魅力的に映るでしょうね」

「あ? どした?」

「いえ、なんでもありません。ですが、どうやらこっそりと助け出すだけではダメなようなのでね、一つ相手をしてあげようかなと思いまして。ほら、かかってきなさい、小童。組織を潰す前に、貴様から叩き潰してくれようぞ」


魔導師の力、その身にとくと味わうがいい。

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