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第17話

見回りに来たであろう男性。

最初の内は隠れてやり過ごそうかと思っていたのですが、カメラで確認と言った時に察しました。

この人は館内を隈なく探すのではなく、私を探してこの場所に来た事を。

なので騒がれる前に素早く意識を刈り取らせて頂きましたが……カメラですか。

前世では使い魔での監視、確認が当たり前でしたがこの世界ではカメラで監視しているのでしたね。

その事がすっかり頭から抜け落ちてしまっていました。


この世界に転生してから5年ほど経っていますが、まだ5年です。

未だ外を出歩く時は基本親と一緒ですし、テレビで得られる知識も子供向けのものが大半なので知識が少ないと実感させられますね。

一応、アニメなどで監視カメラなるものがあるのは知ってはいましたが、知っているだけで、それが持つ力を理解してはいませんでした。

こうして敵に回して初めてその厄介さを理解させられます。

……パパがカメラ下手だからここまで出来るとは思わなかったのも要因の一つでしょうね。


ですが、こうなってしまってはもはやのんびりしている暇などありません。

誰にも知らせずに1人で見に来た……と、考えるのは些か楽観的過ぎるというもの。

ここから先は時間との勝負。

出来るだけ速やかに風夏を見つけて助け出し、この施設から離れる必要がある。

転移系統の魔法が使えればいいのだが、あいにく私はあの人と違い魔法では使えず、転移は専ら魔術頼りでした。

そしてこの世界では転移の為の準備などは全くして来なかったので当然出来るはずもなく。

なので、なんとかして助け出さないといけないわけですが……うん。

頑張りましょう。

人間、頑張れば大抵のことは出来るはず。

頑張れ私。


「痛っ!」


髪の毛を抜いて、それを【導きの偶像】に結びつける。

こうする事で遠くまで飛んで行かないようにする事が出来ます。

後はこの状態で飛ばせば向かう方向が分かるという事。

本当はもっとゆっくりと時間を掛けて慎重に、隠れながら探っていきたいところなのですがそうは言っていられませんからね。

時間が無いので移動しながらですが、一応クモさんを先行させてはいます。

ですが、どうしても周囲に対する注意力が少し散漫になってしまいます。

幼い体では負荷が大きいようで、二つの光景を同時に見ると見落としがあるようですね。

音や気配の察知も甘くなっている気がします。

出来るだけ気を配る必要が……


ーーガチャッ


あ……。


「なんだこの幼女!?」


トイレから人が出てきました。

全然音してないんですけど、ちゃんとトイレ流した!?

それに手を洗いなさい!

って、それどころじゃなくて、今はとにかくこの状況を打破しなくては!


『この者に与えるは跡なき傷み。されどそれは現実なる痛み。精神を蝕み、意識を刈り取れ』


この魔法の名前は【幻想鎌撃】。

精神に強い痛みを与えて意識を刈り取る事が出来る魔法。

しかし、相手の精神や魂に干渉するような魔法だと、相手の精神力や魔法に対する耐性によって効果が大きく変わる。

階段の所と今回の人はたまたまこの魔法が効く相手で良かったけど、次に遭遇する相手にも効くとは限らない以上、今後はより強い警戒が必要。

とりあえずは扉付近ではまずは人の有無を確認した方がいいでしょう。

この人をトイレに押し込むには体重差があり過ぎるので放置するしかない。

念動の魔法は人を動かすともなると魔力消費が大きく、今後の事も考えて控えておいた方がいい。

この人を放置するのとどちらが危険かは悩ましい所ですが、今は時間を優先します。

最悪、風夏を念動の魔法で浮かせて逃げることになるでしょうし、魔力消費は抑えておくに越したことはないですし。

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