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月涼の気

回復室に入った月涼は、すぐに、気を回復した。立つこともできなかったはずなのに、部屋に入った途端、回復させてしまう月涼に、皆が驚いた。


「リア?本当にもう大丈夫なのか?」


ソニアは、月涼を支えるように寄り添って、聞いたが月涼はケロッとして答えた。


「はい。もう、大丈夫です。なんだったんでしょうね?へへへ。」


「おい。月涼?本当にもう、立てるのか?俺の背に乗っても良いんだぞ。」


チビも心配そうに頭を摺り寄せて聞いてきた。月涼は、ソニアの手をから離れて、一人で立って動けると、お道化て見せて言う。


「ほら、ね?動けるし体も軽いから・・・。そんなに、心配しないでください。それより、チビ・・・人の気じゃないって?どういうことなの?」


チビは少しバツが悪そうに話し始める。


「なんか、あいつ隠している感じだっただろう?良いのか月涼?聞きたいか?」


「うん・・・。気になるよ、ね・・・義母上もだよね。」


チビの感じる月涼の気は、人とは異なり、精霊族・・・つまり、チビたちの気と似ていると言う事だった。人である月涼にとって、ありえない事だが、きっかけが有れば、そう言うことも起こりうると言う話をチビはするのだった。


「月涼、お前・・・一回死んでるだろう?」


「死んではいないと思うけど・・・。だって、今ここにいる訳だし。ただ・・・子供の頃、身代わりで毒を飲んで、生死を彷徨った事は、あるけど・・・・・・。」


「多分、それが、分岐点だ。お前の御霊が入れ替わったんだと思う。」


この話に、ソニアが身を乗り出して、話に入ってきた。


「御霊が入れ替われば。別人では無いのか?(チビよ。」


「いや・・・。別人では無い。ちゃんと生まれてからの記録が肉体でされているし、別人の御霊に入れ替わるとかって話ではないんだ。」


「はっ?意味が分からん・・・さっき入れ替わったと・・・言ったではないか?チビ


ソニアは、理解に苦しみ、月涼も同じように思って聞く。


「じゃあ、チビ、同一の御霊がいくつかあるってこと?」


チビが頭を振り、違うと言う。


「そうじゃない。本体は、あくまで一つだ。人は、俺たちと違って、輪廻転生する。俺たちの死は消滅だが、人の御霊は、余程の事が無いと消滅しない。人が転生するとき、神の領域にある本体の御霊を分魂して、修行が必要な御霊だけその肉体に入れて転生するんだ。通常、入れ替えなどせず、決められた寿命が来れば、死を受け入れて転生の為に、本体に戻るわけだが・・・。お前は、死なずに御霊の一部を入れ替えて生を続けているってことだ。」


ソニアも月涼も『なるほど・・・』とは、思うものの何故そんな事になったか?の方が気になった。


「でも、入れ替えて、こっちの世界に帰って来たとしても人は、人の御霊じゃないの?」


「そこだな。さっきも言ったように。普通は、死か元の御霊のままで、助かるかだ。だが、お前は、死線を彷徨っているときに、何らかの力が働いて入れ替わった。その時に、力を貸したのが・・・俺たちの種族もしくは、双頭龍王族だと思う。おそらく、後者だな・・・あいつの態度からして。」


ソニアと月涼は、顔を見合わせて、更に困惑してきていた。


「んんーーー。双頭龍王族は、人じゃないってこと?・・・チビ。」


「人でもあるし・・・精霊族にも属するようにもなった種族だ・・・。もともと、龍族と契約をして、始まりの聖地を守る人族でな。いつの頃かは、知らんが・・・龍族の女王と人が愛し合って、双子が生まれた。そのうちの一人が双頭龍王族の初代国王だ。もう一人は、精霊界に身を置いていたはず・・・。俺もそのくらいしか知らん。ここら辺は、あいつ(シン)に聞いた方が早いだろ・・・。話すかどうかは、分からんが・・・。」


「ちょっと待って・・・。じゃあ、私が死にかけたときに、助けてこの世に戻したのは、シン様かもしれないってこと?」


チビが答えようとすると、シンが回復室に月涼の様子を見にやって来てその問いに答えた。


「そうだ・・・。我が助けた。いや、助けられたといった方が正しいのかも知れぬ。」


月涼もソニアも疑問に拍車がかかるばかりの答えに、身を乗り出すように聞く。


「えっどういうことですか?助けたんじゃなく助けられたとは?」


シンは、遠い目をして静かに答える。


「我は、あの頃、アーロンとの契約期限が来ており、継ぐ者なく消滅するところだった。だが、この地を守れるものがいないか探し続けていたのだ。半ば諦め…消滅を待つばかりの時だった。死の淵にある其方の御霊が、本体に戻ろうとするのが見えた。通常・・・戻ろうとする御霊は見えても、神界にある本体は見えぬのだが・・・見えたのだ。我は、その不思議な現象に一縷の望みをかけ本体に語りかけた・・・。」


この話に、慌てて・・・ソニアが口を挟んだ。


「太后様・・・水晶宮は、消滅するところだったと言うことですか?水晶宮が・・・消滅していたら・・・この地は、瘴気に満ちる事になったのでは・・・?」


少し俯きながら、すまなさそうに・・・シンは、言う。


「うむ。水晶宮が消滅してすぐに、一気に瘴気が満ちることはないが・・・華山の出す瘴気の流れは、常に青華国にあるからな・・・いずれは、死地となりうるだろうな。もともと・・・この地は、人が住める状態では無かったからのう。」


「そんな・・・。」


ソニアは、ショックで押し黙ってしまった。




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