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75話【冥界の瞳】


「うがーめんどくさい!」

「ほら文句言わんと、押すで」


 ピラミッド内部はとにかくめんどくさいところだった。

 床のスイッチに連動して飛んでくる矢、流沙、無駄に硬いし状態異常をかけてくる敵。


 特に、上の階層に行くにはギミックを解除しないといけないので余計にめんどくさい。


 私とミリーが壁際にあるスイッチのような石を同時に押した。


 すると部屋の奥の仕掛けが動き始め、階段が天井から現れた。同時にミイラの群れが階段から降りてくる。


「俺がいこう」

「援護するにゃん」


 階段前で待っていた蔵人さんとユーナちゃんがミイラの群れを迎撃する。

 流れるように斬りながら、階段を上がる蔵人さん。

 その範囲外からこちらへ来ようとするミイラにユーナちゃんの矢が刺さり、デバフがかかる。


「あたしらもいこか」

「うん!」


 ミリーが爪を構えて前傾姿勢で突撃。まるで獣のように階段を駆け上がり、残る敵を切り裂いていく。


「私の出番なさそうだなあ」

「どうせまたボスがいるにゃん。ラノアの出番はその時にゃん」

「ボスかー」


 そうのんびり会話しながら階段を上がるとそこは、大きな空間になっていた。


「ラノア、あれを見ろ!」


 先に上がっていた蔵人さんが指差す先には、祭壇のような物があってその上に一人の少女が座っていた。褐色の肌の美少女で、なんというかエジプトっぽい雰囲気の服を纏っている。


 その少女の回りをミイラ達が取り囲んでおり、今にも少女に襲いかからんとしていた。


「助けないと!」

「あ、ラノアちょっとストップ——」


 地面を蹴って、ミイラの群れへと飛び込む。こちらに気付いたミイラ達が私に腕を振り上げるが、その腕ごと斧槍で切断する。回転斬りでまとめて数体を斬り飛ばし、少女へと駆け寄る。


「大丈夫?」


 後ろから駆けつけたミリー達が残りのミイラを処理している間にその少女へと話しかけた。

 少女は近くで見るととても綺麗な瞳をしていた。まるで星空のような……そんな瞳だ。


 その雰囲気は何となくだが、古竜の寝所で見たあの少女に似ている。


「……ありがとう」

「なぜこんなところに?」

「私の名前はセレナ。助けてくれてありがとう。私は(そら)に戻らないと行けません」

「セレナちゃんって言うんだね。空?」

「さようなら旅人さん、私は私の宙へ戻ります」


 全然私の話を聞かないままセレナちゃんが祭壇から降りるととことこと部屋の奥から先に続く通路へと進む。よく見れば、セレナちゃんの頭の上にHPバーが表示されている。


「ラノア、その子NPC」

「あーうん。あの子大丈夫かな?」

「大丈夫ちゃうやろなあ」

「護衛クエストにゃん、よく有る奴にゃん」

「では、早く追い掛けないと。敵がすぐにでも現れるぞ」

「せやな」


 セレナちゃんの後を四人で追い掛ける。案の定次の部屋に辿り着くと、今度は二足歩行するサソリ人間に囲まれて、床に座り込んでいた。


 それを四人で蹴散らすとまた、「宙に帰らないと」って言って先に進んでいくセレナちゃん。


 こうして少女を守るというハンデを負いながら私達はピラミッドを攻略していくのであった。


☆☆☆


「長い……」

「ポーション切れそう……」


 一体どれだけの高層に来たか分からないけど、一階層分のマップは地階に比べたらかなり狭まっているので上層に来たのは確かだ。


「これまた思わせぶりな大扉やな」

「絶対ボスにゃん」


 セレナちゃんと共に大きな階段を上り詰めると、そこには巨大な扉があった。


 セレナちゃんがその扉に触れると、ゴゴゴゴ……と音を立ててその扉が開く。


「なるほど、ここまで守らないとボスに挑めない仕様か」

「問題はボス戦も守らなきゃいけないかどうかにゃん」


 扉を抜けると、そこは空っぽの部屋だった。

 床は正方形で、天井は上に行くにつれ細まっていき、まるで四角錐の中にいるみたいだ。

 ボスどころか、物が何一つない空間。


「ここは、ピラミッドのてっぺんかな?」

「やろなあ……ボスはおらんけど……」


 なんて言っていると、セレナちゃんがトコトコと部屋の真ん中へと歩いて行き、上を見上げた。


「この窮屈な墓所から私は宙へ……」


 そう呟くと、セレナちゃんが両手を掲げた。


「……嫌な予感がするにゃん」


 ユーナちゃんの嫌そうな声と共に、四方からから仕掛けが動くような音が聞こえる。


「うわー」

「やれやれやな」


 四方の壁が、まるで花が咲くように、外側へと倒れていく。密閉空間は開かれ、地平線の向こうまで砂漠が広がる光景が見える。砂混じりの風が吹き荒れて、私達の髪をバタバタと暴れさせた。


 上に見えるのはあの夜空と月。まるでセレナちゃんの瞳、そのままのようだ。


「ここが最終決戦ってわけで……」

「キュオオオオン」


 咆吼と共に現れたのはあのシャチ——【宝珠を守りし冥界】だ。

 それが、まるで、寄り添うようにセレナちゃんの側へと降りてくる。


「さあ……戻ろう」


 そう言いながらセレナちゃんがシャチに触れると、その身体がシャチへと取り込まれていく。


「あの子が実はボスだったパターンか!」

「……ううーこのゲームいじわる! せっかく守ったのに!」

「来るで!」



 額の部分からセレナちゃんの上半身が生えたそのシャチが翻り、夜空を泳ぐと再びこちらへと顎を開け咆吼した。


 こうしてこのフィールドの最終ボス、【冥界の瞳セレナ】と私達の戦闘が始まった。


ボス戦アゲイン!

ピラミッドはかなり長丁場ですが、ポイントポイントでセーブと休憩できる箇所があります。

あと、セレナちゃんは簡単に死にますが、祭壇に戻ると復活します。敵はリポップするので敵を枯らしてから戻っても意味ないです。ソロの場合だと、セレナちゃんさんが本気を出すので実は楽とか……。


次回、ボス戦、そこから日常挟んで次のフィールドの予定ですが、次のフィールドはかなり特殊もとい原点に戻る仕様になっています。お楽しみに!




今日から新しくハイファンタジーで連載始めました!

転生転移チート無しの王道ファンタジー真っ向勝負な作品です。

自信作なのでぜひ1話だけでも読んで見てください。裏切りませんとも!


冒険者ギルドの万能アドバイザー 〜【器用貧乏】と言われ勇者パーティを追放された【魔法剣士】だけど、剣術も魔術も教えられる【万能講師】なので愛弟子に魔王討伐を託す事にした

https://ncode.syosetu.com/n5703gf

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ハイファン新作です! かつては敵同士だった最強の魔術師とエルフの王女が国を再建する話です! こちらもよろしくお願いします。

平和になったので用済みだと処刑された最強の軍用魔術師、敗戦国のエルフ姫に英雄召喚されたので国家再建に手を貸すことに。祖国よ邪魔するのは良いがその魔術作ったの俺なので効かないし、こっちの魔力は無限だが?



興味ある方は是非読んでみてください
― 新着の感想 ―
[気になる点] 無茶苦茶強いプレイヤー(可能かどうかは知らんけどシャチが単独撃破できるくらい)がソロで挑んでもセレナちゃんさんは本気を出すんですか?
[良い点] 「ボス戦が楽しみだニャン」 「せやなー」 「うむ」 「私スピちゃんになって戦って良い?」 「「「駄目!」」」 「えー⁈ なんで」涙目のアキコ……。 [気になる点] スピちゃんアキコが見たい…
2020/05/11 18:18 退会済み
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