66話「暴虐の女王Ⅰ」
偽アキコが目の前へと迫る。
その舐めるような目線に、ぞくりと悪寒が背中を流れていく。
え、何あの人……。
偽アキコは美人と表現してもいい。他の暴王のメンバーと同じように赤のワンポイントを髪に入れて、真っ赤なアイラインが妙に似合っている。
なのに、その目は妙に無機質で、温かさを感じない。
「でも、殴れば倒せる!」
斧槍の間合いに入った偽アキコへと大振りの薙ぎ払いを放つ。
向こうは曲刀で、リーチはさほどない。リーチ外から攻撃を繰り返せば——
私の薙ぎ払いへと無造作に踏み込んだ偽アキコはまるでハエを払うかのように軽く曲刀を振る。
その動作と不釣り合いなほどの金属音が大音量で鳴り、私の斧槍はいとも簡単に弾かれた。
「嘘!?」
私は力にはかなりステータスを振っているし、この斧槍だってかなり重い。
並のプレイヤーでは受けきるのが精一杯で、むしろ下手に防御すると逆に弾かれてしまうほど重い一撃のはず。
なのに、それをいとも簡単に弾いた偽アキコが更に踏み込んでくる。
「少し、天狗になってない?」
偽アキコがそう言いながら、先ほどとは比べものにならないほどの速さで曲刀を振る。
反応しきれず、ガードが間に合わない。私は咄嗟にバックステップするも、首を狙ったその一撃は軌道を変え、鎧の表面部分を削れて私のHPが少しだけ減る。
しかしそこで攻撃は終わらなかった。偽アキコは流れるように動き、演舞のように回転しながら曲刀を叩き込んでくる。
何発かはガードをするが、それでもHPが削れられていく。
ガードが効いてない?
「考えてる時間はないよ」
偽アキコが嬉しそうにそう言いながら更に攻撃をたたみかけてくる。
持久力どんだけあるんだこの人!
ダメだ、防戦一方はまずい。
「【突撃】!」
一旦強制ノックバックで間合いを取って……。
「考えが浅い……浅すぎる」
しかしそれを予見していたのか偽アキコがあっさりとそれを避けた。なんで!?
明らかに今挙動おかしかった!
「とろい、軽い、幼稚。ねえいつになったら攻撃してくるの?」
見下したような目で見つめてくる偽アキコ。
受けるダメージ自体は少ないものの、確実にHPが削られるのはしんどい。その上、こちらの攻撃はまるで予見したかのように全て回避するか弾かれている。パリィは運良くされてはいないけど……。
……そういえばなんでパリィはしてこないのだろう。
私は偽アキコの攻撃を受けながらも冷静に彼女の挙動を観察する。
私の攻撃はまるで事前に見えているかのように躱す。
避けられない攻撃は弾く。
そしてこちらに隙が出来たら連撃を叩き込む。
それの繰り返しだ。
特に彼女の連撃は、まるで短い動画を何度も何度も繰り返し再生するかのように、全く同じ攻撃とモーションだ。
スキルも一切使ってこない。スキル……? そうか。それか。妙な違和感の正体はそれだ。
私も含め、他のプレイヤーの動きにはそれぞれ癖があるし、全く同じ攻撃をしているつもりでも、角度が変わったり、少し高さが違ったりと、微妙に変化する。
これはまあ当たり前の話で、現実と同じなのだから、人はそんな機械的に同じ行動を繰り返す事は中々出来ない。もちろん、蔵人さんみたいな達人クラスになると別だろうけど……それでも難しいと思う。
少なくとも、この偽アキコが行っているように、始まりから終わりまでを全く同じ動きでしかも何度もやるのは不可能だ。一回は仮に出来てもめまぐるしく変わる戦闘中にそれを繰り返す事は無理だ。
このゲームでそれが可能であるとすれば——それはスキルだけだ。
スキルは発動すると、必ず同じモーションになる。
さっき倒したペン王ちゃんの連撃スキルも、動きは全く同じだった。
なぜそうなるかというと、スキル発動中はAIアシストが身体を自動的に動かしているからだ。
だけど、偽アキコにスキルを発動させている様子はない。パッシブスキルならともかく、攻撃スキルは使用時に必ず赤く発光するはずなのだ。なのに、それが見えなかった。
もしかして……。
私は偽アキコのその異様な強さの秘密を掴みかけている気がした。
VS偽アキコ
これまでのプレイヤーとは一線を画する強さです。
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