63話「赤き暴王」
2020/04/04
本日より、毎日2回から毎日1回更新へと変えさせていただきます。
理由:作者本業が忙しくなってきた+予定よりも話の進みが早いので調整の為。
ご理解お願いいたします!
私達はお互いにこれまでの状況を話し、ユーナちゃんを組み込んだ戦い方を素早く確認した。
ミリーと蔵人は視覚毒の話で一瞬激怒したが、解決したと私が言うと、落ち着いた。
「それ、しかしイベント中止もあり得るな」
「健康被害はな、VRゲームにとっては切っても切れない問題やしなあ」
「うん。まあとにかく今のところ、【Day1】が中断って話は聞いてないにゃん」
「せやな。さてパーティも揃ったところで、速報や」
ミリーがそう切り出した。
「残り時間1時間。オビ1から連絡があって、他の同盟のメンバーは各所でプレイヤー狩りと雑魚狩りを続行。あたしらもそうしろと言われた。ただ……見てみ」
ミリーが空へと視線を向けた。
「あはは……何が始まるのかな?」
「知らないのかラノア……ああいうのはきっとろくでもない事にゃん……」
西側、南側、北側の空から、あの巨大空中戦艦がまるでこちらに引き寄せられるようにゆっくりと向かって来ている。
「意味ない演出やと思いたいが……まあちゃうやろな。絶対ここは爆弾の降り止まない戦場になるで。それとあの空中戦艦と同じようにこちらに向かって来ているもんがある——【暴王】や。これまで動いてなかった暴王のメインパーティがこちらに向かって来ているってさっき同盟から連絡があった。“まともに正面から戦うな”という助言を最後に通信は途絶えた」
「メインパーティ……って事は?」
「ようやくや……偽アキコが来る」
ミリーが、歯を剥きだして凶暴に笑った。蔵人さんもにやりと口角を上げる。ユーナちゃんはそれを見て呆れたような表情を浮かべていた。
「このパーティはラノア含めバーサーカーばっかにゃん……そもそも正面から戦うのは得策じゃないにゃん……アレは化物にゃん……本来ならオビ1のように陣地を作ってトラップを仕掛けて搦め手で倒すのが賢いにゃん」
「そんな時間はないよユーナちゃん」
私の言葉にユーナちゃんが頷いた。
「だったらもう……正面から叩き潰すしかないにゃん。いきなりの実戦が暴王のメインパーティは荷が重いけど……精一杯やる」
「任せたで。あんたが遠距離からデバフばら撒きと足止め、そして——指揮」
「……任せろにゃん」
さきほど私には難しい話を色々と2人が話し合った結果、パーティ全体の指揮をこれまでのようにミリーがするのではなく、ユーナちゃんが取ることになった。
私は特に反対する事はなかった。蔵人さんが若干その判断に疑問視していたが、やってみなければ分からないからと納得してくれた。
「せめて、戦いやすい場所は選ぶ必要があるにゃん」
そう言って、ユーナちゃんが選んだのは、この荒れ地の中央部分。
まるでここで戦ってくれと言わんばかりに、そこだけ障害物がないちょっとした広場。
「……ほんまにガチンコする気かユーナ」
「そうにゃん。下手に小細工仕掛けるより……実力で捻じ伏せる方が速いにゃん。多分向こうも同じ考え……ほら」
ユーナちゃんが日傘を変形させながら、私達の広場を挟んで反対側へと向けた。
そこには——4人組がいた。
先頭に立つのは長身の無償髭の生えた男性。右手に剣、左手には変な形の短剣を持っている。なぜか鎧ではなく真っ赤なTシャツを着ている。頭には耳が生えており、口元から大きな牙が覗いている。
ハンドルネームは【陰猫】。かげねこ……と読むのかな?
その陰猫さんの横にてくてくと歩いているのは少女だった。背の高い男の横にいるせいで余計に小さく見える。
少女は真っ赤なマントを羽織っており、その下に布製の着心地の良さそう服の上に煌びやかな鎧を来ていた。金色の髪が眩しい頭の横に小さな王冠がちょこんと付けられている。
手に本人の身体よりも巨大な大剣を抱えていた。
ハンドルネームは【ペン王】と表示されている。
その後ろにいたのもまた少女だった。長い黒髪が腰まで伸びており、前髪が額でまっすぐにカットされている。黒髪にミリーと同じように猫耳が生えており、背後に細長い尻尾が揺れている。手に持つのは朱色の短槍。
ハンドルネームは【つなかん】。
そしてその3人の背後に……いた。
長い黒髪に、軍服を思わせる服。ゴツいブーツを履いていて背後には私と似たような太い爬虫類のような尻尾が揺れている。
涼しげで切れ上がった目元。赤いアイラインが目尻に引いてあり、髪の一部を赤く染めている。
ハンドルネームは——【アキコ】
ついに、対決です。




