56話「蹂躙——side自由の鐘」
「くそ! くそ! ラッキーメタルバグなんて全然いねえじゃねえか!!」
「お前、ふざけんなよ! ガセネタ掴まされやがって!」
「うるせえ! お前も同意しただろうが!」
「もー喧嘩する暇あったら移動しよ!」
崩れた鉄橋の下。元々は川が流れていたのだろうが今はすっかり干上がった谷底で、4人組のパーティが喚き合っていた。
それを、真上の鉄橋の無事な部分から見下ろしている者が数名。
「さっさと潰そ」
「サクッとプチッと〜」
「ぼやぼやしてると次が来るからやろっか」
それは3人の少女だった。
茶髪で犬耳の少女が鉄橋の縁に不自然にある鉄塊を指差しており、ニコニコとそれを見つめるのは、背中に青い蝶のような羽が生えた少女。
最後の1人、頭の横に角の生えた少女で、少女は何の躊躇いもなく鉄塊を蹴飛ばした。蹴ると同時に、まるで少女の山羊のような角が蠢く。それは、角ではなく弧を描く太く節くれだった触肢だった。
見れば内側に、まるで獲物を絡め取る牙のような突起物がびっしりと並んでいる。
少女の蹴飛ばした鉄塊が、重力と共に真下で言い争うパーティへと迫る。
「は?」
彼らがそれに気付いた時は既に遅く、全員が鉄塊に押し潰された。
HPゲージが削れ、エフェクトを散らす間もなく消失。
「んージンパパのエイムは流石です」
「まあね! 次ちょうちょやる?」
「次わたしの番」
「じゃあテマリンに譲りますよ」
鉄橋の上で少女達がはしゃぐ。全員の名前の横に群体名である【自由の鐘】と表示されている。
「そういえば、オビ1さんからの通信、出なくて良かったの?」
ちょうちょと呼ばれた青い羽の少女——ハンドルネーム【狭倉朏】が頭に触肢を生やした少女——【ジンパパ】にそう話しかけた。
「あ、忘れてた」
「おいー。絶対全滅したとか思われるじゃん」
誤魔化すように笑うジンパパにテマリンと呼ばれていた犬耳の少女がツッコミを入れた。ハンドルネームは【テマリ】だが、身内にはテマリンと呼ばれているようだ。
「まあほら、予定通り、ちゃんと【ユンニャン】からこの場を引き継いでやってるし、大丈夫じゃない?」
彼女達3人の【群体】もまたオビ1が結成した群体同盟、九尾の一員だった。元々ここでプレイヤー潰しを行っていた同じ同盟の群体【ユンニャン】から場所を譲ってもらって、鉄塊落しに励んでいた。
フィールドの物を使ってプレイヤーを倒してもポイントが入る事は確認済だ。
3人がお喋りしている間に、下に落ちた鉄塊が消えそして鉄橋の端に戻っていた。この鉄塊には座標が初期位置からずれると、元の場所に戻る設定が付いているようだ。
テマリが誰か来ないかなあと辺りを探っていると、鉄橋のたもとから物音が聞こえた。
「っ! やば、誰かきた! わたし逃げるね!」
それだけ言い残して、犬耳なのに脱兎の如く身体を翻して逃げようとするテマリンの服の袖を掴むジンパパ。
「あんた逃げるってどこに逃げるのよ!」
「あーまずい。あれガチ勢ですよ……人数少ないですけど」
狭倉がそう指差した先に現れたのは2人の男だった。片方は軽装で、両手にナイフを持っており、もう片方はプレートメイルにフルフェイスの兜、手には戦斧を構えていた。ナイフ男は背後に細いトカゲのような尻尾が生えており、斧男の背後でふさふさした尻尾が揺れている。
「いやあ俺っちさあ気が付いちゃったわけよ。ちまちま雑魚倒すより……プレイヤー倒す方がはええって」
「流石相棒! 天才の発想だわ! やべえ!」
どや顔で語るナイフ男を斧男が褒めちぎる。
ゆっくりと迫る2人組に、
「なんかすげー馬鹿っぽい」
「頭悪そうです」
「でも強いかもだから油断禁物!」
3人の少女が会話しながらそれぞれの武器を抜いた。
テマリが持つのは一見すると刃こぼれしたロングソード。しかし、なぜか刃の先端近くのまるでそこを掴んでくださいとばかりに指の形に刃こぼれした部分を持ち、柄を上に掲げている。
狭倉が装備しているのは小さなボーガン。装着されている矢の鏃には細かい溝の入っており、特殊な形状をしていた。
ジンパパは幅広の両手剣だが、刃がまるでヒレのように分かれており、ノコギリのような見た目をしている。
「おいおいおいおい、あの子らやる気だぜえ? どうするよ? どうしちゃうよ?」
「相棒、やることは一つ。蹂躙のみよ!」
またまた新キャラ3人。
祝1万ポイント!わーぱちぱち
皆さん改めてありがとうございます!
目標にしていたので本当に嬉しいです。
でももっと欲しいので、ブクマ評価まだの方はぜひ。




