53話「穿孔するウィルム」
偉大なる喜劇王のご冥福をお祈りいたします
「よーしじゃあ作戦通りに!」
「なんで僕が……」
「文句言わないの!」
「行くぞ」
私、由犀君、エンザさん、蔵人さんでパーティを組んで、要塞へと再び突撃。
大穴のあいたエントランスの上部に、ミリー、カルナさん、オビ1さんの姿が見えた。
「ほな、はじめよか!」
ミリーの元気の良い声と共にカルナさんとオビ1さんが、二階から投擲爆弾を大穴へとばらまき始めた。
爆弾が、大穴に吸い込まれるように落ちていき……そして爆発を起こした。
ビリビリと鼓膜を震わす轟音と爆炎。
「キュアアア!!」
もはや聞き慣れたあのボスワームの声が地下から聞こえてきた。
「毒液に注意して!」
地響きを鳴らしながらボスである【穿孔するウィルム】が大穴より現れた。
やはり、私が削った分、HPは減っていた。先ほどの爆発でもダメージは入ったのかHPゲージは半分を切っている。
「僕こういう系のモンス嫌いなんだよ!」
「喰われないように気を付けろよ少年」
蔵人さんが、ポンと手を由犀君の肩に置くと、そのまま疾走。
「援護する!」
エンザさんが弓を構え、矢をボスへと放つ。
上を見れば、ボスの気を引こうとオビ1さんが投げナイフ、カルナさんが石を投げていた。ミリーはうずうずした様子で待機中だ。
エンザさんの矢が風を切り、ボスの身体へと命中。しかし、さほどダメージは入っていない。
「こいつ遠距離武器に耐性があるみたいね。ああやだやだ露骨な遠距離アタッカー殺しだわ」
「俺の出番だな!」
ボスへと唯一接近できる近接職である蔵人さんが黒い翼を羽ばたかせながら、ボスへと迫る。
「はああ!!」
蔵人さんが気合いを入れた一閃をボスへと叩き込む。矢と比べてダメージの通りがいい。
「キシャアア!」
気付いたボスが大きく身体を鞭のようにしならせて、蔵人さんへと攻撃しようとする。
「やらせない!」
見た目からは有り得ないほどの脚力で壁を蹴って飛翔したエンザさんが矢をボスへと放つ。
それはただの矢でなく、先端が丸っこくなっており甲高い音を鳴らしながら飛んでいく。
なぜかそれに過剰反応するボスが、蔵人さんへの攻撃の途中でそちらへと顔を向けた。
「こういう地下に潜ってる系は音に引かれるのは定番!」
エンザさんが着地すると、また地面を蹴って、違う位置からあの音の鳴る矢を放つ。
「助かる!」
その隙に、蔵人さんが壁を蹴ってまた宙に舞いボスへと接近。
十字に翻る剣閃が見えると、同時にボスが苦悶の声を上げた。
「いける!」
「なあ……僕らは何をすればいいんだ?」
退屈そうに見ていた由犀君がそうぼやいたと同時に、ボスが赤く光りながら咆吼を放った。
ボスは毒液を撒き散らしながら、そこら中へと無差別に攻撃し始めた。
「これは攻撃できそうにないな!」
「ひえええ」
蔵人さんが近付けず、壁から突き出ている瓦礫に着地。エンザさんは、私と由犀君の間へと戻ってきた。
「ギュアアア!!」
ボスの攻撃が止んだと同時、床のあちこちから、あの雑魚ワームが飛び出てきた。
「やっぱり! さあ由犀君出番だよ!」
「あああもおお何匹いるんだよおおお」
襲いかかってくる雑魚ワームを由犀君が叫びながら持っているハンマーで叩き潰していく。
私も負けじと由犀君とは反対方向から襲ってくる奴を斧槍で薙ぎ払う。
「任せたよ2人!」
エンザさんが私達の間から、矢を放つ。
私達のパーティの役割はこうだ。
メインアタッカーが蔵人さん。それを援護するエンザさん。
そのエンザさんを守る私と由犀君。
ミリーのところは、ミリーが守る役で後の2人が陽動だ。
見れば、既に位置を変えてまた気を引こうと攻撃を続けている。
「由犀君、もしあいつらが出てきたら……」
「分かってる!」
私の言葉に由犀君が怒鳴るように返事をした。んー反抗期かな?
視線をボスへと戻す。
蔵人さんが、空中で乱射される毒液を華麗に避けているが、攻撃には移れていない。
ボスの攻撃が激しくなっている。
さあ、ここからが正念場だ!
混合パーティの試験運用的な組み合わせになっています。
ブクマと評価が大好物です!
よろしくお願いします!




