52話「アライアンス」
2020/03/29
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『同盟?』
「そう。あたしらだって3人でいつまでもやっていけるとは思わへんし、このイベント……少なくとも【Day1】、【Day2】まで、あたしらのような1パーティの【群体】同士は敵対するより同盟組んでポイント山分けの方が賢い。自分もどうせそう考えて水面下では既に動いてるんやろ?」
ミリーがそう断言した。
んーゲームに詳しくない私にはそれが正しいかどうか分からない。Verβではそもそもイベントなかったし。
『正解だ。いくつかの【群体】には声を掛けている。君らに声を掛けていないのは、ただたんに君らがギリギリに結成して参加したせいだな。データを集める暇がなかった……結果油断した』
「はん! 油断? 言い訳やな」
ミリーがオビ1さんの言葉を鼻で笑った。
『いや、訂正しよう。油断はなかった……。たんに君らの全てが俺の想定以上だった……つまり俺の落ち度だ』
「素直なとこは好きやで、そんでどうするん?」
『——仲間と相談させて欲しい。俺の一存で決める事ではない』
そう言うオビ1さんの言葉に、エンザさんが反応した
「なら、私は賛成。PS、状況判断、適応力。全部問題無し。私達の同盟の一番の弱味である、突破力打撃力を補える」
「あたしもいいと思うよ〜。少なくとも道理は通じるし〜」
カルナさんもそれに続いた。ぐぬぬ〜と唸っていた由犀君が諦めたように溜め息をついて、力なく言葉を吐いた。
「オビ1さんがそう言うなら……僕は構いません」
「だそうや」
ミリーがそう言ったのに対して、頭上から返事が返ってきた。
「ならば、同盟を受け入れる」
いつの間にか要塞の二階部分の外壁の近くに姿を現したオビ1さん。
「やっぱり近くにおったか」
ミリーの言葉と共に飛び降りたオビ1さんが着地。
「皆、すまない」
「人質なってすみません」
「いやあ想定していたとはいえ、早々こうなるとはね〜」
「ぐぬぬ〜、もっかい戦闘させて欲しい!」
再会を喜ぶ4人。
蔵人さんが無言で刀を鞘へ納めた。
「ラノア、ごめんな勝手に話を進めて。ほんまなら長であるラノアに相談してからやってんけど」
ミリーがそう言って頭を下げた。
私は慌ててそれを止めさせる。
「いいって! ミリーの判断なら私も大賛成!」
「俺も同意だ。仲間は……多い方が良い。信頼出来るならば、だが」
蔵人さんがそう言って、鋭い目線をオビ1さん達【ソーレス】のメンバーへと向けた。
「心配するな。同盟とは口約束ではなく、ちゃんとシステムとして存在している。イベント内でのポイントは当然共有されるわけではないが、少なくとも同盟を組んだ【群体】のメンバーをPKすると……ペナルティが発生する」
オビ1さんがそう説明してくれた。
「あーそういやそんなんあったなあ。まああたし個人的にはあんたは信用してるから、疑いはしない。好まん戦い方やけど……いちゲーマーとしてはあんたを尊敬してる」
どうやらオビ1さんは有名なプレイヤーらしい。
「ふ、元Verβランカーにそう言われるとは光栄だ。じゃあ時間も勿体ない。早速同盟を組んで、他の【群体】にもそれを伝える。ついでに、これからの方針も決めないといけないので、一度集合する必要があるな」
通知音と共にオビ1さんから同盟の誘いが届いた。
私はそれに付いている注意事項を良く読み、それをミリーと蔵人さんに伝えた。
【群体同盟(イベント内仕様)】
【群体】同士で組めるもので群体長にのみ、それへの参加権限を与えられる。同盟が組まれた【群体】同士でのポイント共有はないが、異なる【群体】のプレイヤーによる混合パーティを組んだ際はそれぞれにポイントが公平に分配される。
また同盟の他群体メンバーをPKした場合はPKした本人のみならず、PKしたプレイヤーの所属している【群体】にもペナルティが与えられる。
「なるほど。へえ混合パーティなんて作れるんだ」
「ああ。例えば2:2で4人のパーティを組んだとして、そのパーティが100ポイントを得たら、50ポイントずつそれぞれの【群体】へと振り分けられる」
この【Day1】は、そのパーティが倒した魔獣によって得たポイントはパーティ毎に分けられて、集計時に【群体】の総合ポイントとして計算される。なので、混合パーティを作成しても、取り分はちゃんと貰えるようになっているようだ。
「なるほど。まあしかし、即席の混合パーティはリスクがあるな」
「その通りだ。それぞれの【群体】にはそれぞれのやり方がある。まあその辺りは他の【群体同盟】の連中と話せばわかる」
「ああ、そういや他の【群体】ってどれぐらいおるんや?」
「……ざっと10」
「結構やな」
同盟に参加している10の【群体】は、オビ1さん曰くほとんどが1パーティのみの【群体】だそうだ。
「まとめ役は俺とあと【ラストオーダー】って【群体】の内藤って奴なんだが、まあ他も癖者揃いでな。くくっ、【アキコ】が仲間になったと聞いたら……さてどんな顔が見れるやら」
オビ1さんがやけに楽しそうだ。というかそれは内緒でお願いしたいのですが!
「……ふむ……まあどうせすぐにバレると思うが……まあとにかく、申請を受けてくれ」
「あ、ごめんなさい、条件追加していい?」
突然そう言いだした私に、オビ1さんが首を傾げた。
何というか、渋いおじさんって感じなのに、イタチの耳と尻尾のせいで妙に可愛らしいオビ1さん。
「条件とは?」
疑問の表情を浮かべたみんなが私に注目したのだ、私は飛びっきりの笑顔を浮かべてこういった。
「あー、えっと——あのボスワーム一緒にぶっ倒してくれません?」
ラノアちゃんは、やられたらやり返す主義です。ハンムラビ法典アタック!
群体同盟は、イベント時とその他の時では仕様が違います。イベント時の仕様は、群体間におけるパーティ数の差を埋める為に作られた物です。ただし効率やその他リスクを考慮すると、4パーティ揃えた群体が有利なのは変わり有りません。




