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47話「VSエンザ・カルナ——sideミリー」



「しまった!」

「ラノア!」


 くそ、とミリーが心の中で悪態を付いた。

 想定すべきだった。既にその場所に移動済みのパーティがいることを。


 ミリーが入口直前で、道を変えた理由はそこに人の匂いが色濃く残っていたからだ。

 このゲームは、味覚だけではなく嗅覚も再現しており、前世が鼻のきくタイプだとより強化される。


 ラノアが巻き込まれた爆発は、おそらく人為的な物。十中八九ブービートラップだろう。

 スタートしてさして時間が経っていないところを考えるに、スタート地点がここで、急いで他プレイヤー対策に罠を仕掛けたのだろうが……。


「にしても動きが速い。蔵人も気ぃつけて! おそらく他にも罠がある!」

「ラノアは無事か!?」

「HPは残ってる!」


 ミリーがラノアのHPゲージを見ながら答えた。化物みたいなあのHPが7割も削れている。おそらく自分や蔵人なら即死だっただろう。


「それに、獣化ゲージも溜まってる。よほどでなければ……ほら!」


 ミリーがそう蔵人に話しかけた途端に響き渡る咆吼。


「ラノアは事前の打ち合わせ通り、合流しようとするだろう。俺達も動こう!」

「そうは——いかんみたいやで!」


 風を切る音と共に飛来する矢に超反応したミリーがクローを振ってそれを防いだ。

 同時に横にいた蔵人がサイドステップして道の脇に落ちている瓦礫へと身を隠した。


「そら、トドメさしに来るわな!」


 ミリーが矢の射線を辿るとそこには建物があり、二階部分の窓辺に二人の女性が立っていた。

 一人はウサギのような耳をはやした長身の女性で弓を構えている。頭上には【エンザ:ソーレス】と表示されていた。

 もう一人は背が低く、一見見た目は普通だが、よく見れば耳付近にヒレが生えている。こちらには【カルナ:ソーレス】と出ている。


「【ソーレス】……最悪な奴のところに飛び込んでもうたな!」


 ミリーがそう言いながら、飛んできた矢を避け蔵人とは反対側の崩れた壁へと避難。


「知っているのかミリー!?」

「【群体(レギオン)】としては中の下やな! 1パーティしかいないはずやし戦力はさほどや。ただ、群体長のオビ1って奴が……厄介や」

「搦め手で攻めてくるタイプか」

「搦め手で守るタイプや。よりにもよってそいつの根城に来てまうとは」

「それで——どうする?」

「どないもこないも……行くしかない」

「だろうな!」


 同時にミリーと蔵人が飛び出す。すぐに矢が飛来してくるが、ミリーはそれを身体を捻って躱す。


「もう一人おるから、そっちも注意!」

「任せろ。俺が斬り込む」

「飛べるってほんま便利やな!」


 ジグザグに動き、射線をずらすミリーと、一直線に進む蔵人。


 道の幅はさほど広くない上に左右が壁で囲まれている。

 一直線に伸びる道の奥にある建物の二階の窓から撃つ二人の位置は遠い。


 まさに狙撃するのはうってつけの場所だろう。


「あーもーちょこまか動いて!」

「爆弾投げる?」

「それはもうちょい近付いてから!」


 ミリー達を迎え撃つ側の二人が会話しながらも手を動かす。

 エンザは偏差射撃で矢を撃ち、カルナはインベントリから投擲用爆弾を取り出し、いつでも投げられるようにスタンバイ。



 横の壁を蹴って、三次元の動きも取り入れてミリーが前進。

 先を進む蔵人にも矢が飛ぶが、全て彼の刀の間合いに入ると斬られ、エフェクトを散らしながら消失する。


「あれ、スキルじゃなくて素でやってるっぽいよね」

「もおおおおこれだからPS高い奴は嫌いなの! さっさと爆弾!」

「はーい」


 エンザが怒鳴るも、カルナはマイペースに手に持った爆弾を投げた。

 やる気のない動きだが、その狙いは的確で蔵人のゆく数歩前へと投下された。


「これは避けきれないでしょ!」


 エンザがスキル【アローレイン】を発動。


 撃った矢が空中で分裂し、雨となって蔵人と後方のミリーへと殺到する。

 それを躱しきれず、矢を数本身体に刺さったまま蔵人が目の前に落ちた爆弾が地面に触れると同時に飛翔。


「ブースターを用意してくるとは……ありがたい」


 蔵人が背中の黒い翼を広げた。真下で起きた爆炎と爆風を翼で受けて急上昇する。


 多少のダメージは覚悟の上。ラノアの作った着流しには耐火性能が付与されているおかげで直撃でなければさほど痛くない。


「鳥系前世持ちか!」


 エンザが再び矢を射るも、既に、目の前へと迫る蔵人に動きを見切られて当たらない。


「エンザ、撤退」

「オビ1さんに怒られる!」


 カルナが後方へと走り出す。

 エンザも弓を仕舞い、短剣を抜きつつ最後の土産とばかりに時限爆弾を置いてカルナの後を追う。


「ミリー、爆弾がある!」


 建物の二階部分の窓にたどり着いた蔵人がタイマーを刻む音に気付き、そう叫びながら更に地面を蹴って、前方へと回避。


「あたしは一階から行く。そのまま追って、倒せるなら倒して!」


 ミリーがそう言うと、建物の一階へと飛び込んだ。頭上で爆発。

 天井が倒壊する事を危惧して、更に先へと進む。


「イベント始まって早々【群体戦】とは……先が思いやられる!」


 ミリーの叫びはしかし天井が倒壊する音に掻き消された。



弓等の遠距離武器については、AIアシストがオンになっていると自動である程度狙いを付けてくれます。器用さにステを振っているとその挙動の正確性速度が上昇するのですが、近接武器と同じく一対一はともかく対複数戦には対応しきれない場面も多いです。狙った部位に当てる、偏差射撃をするなどをしたいが為にAIアシストをオフにするプレイヤーは多いとか。エンザは上手く使い分けているタイプです。







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ハイファン新作です! かつては敵同士だった最強の魔術師とエルフの王女が国を再建する話です! こちらもよろしくお願いします。

平和になったので用済みだと処刑された最強の軍用魔術師、敗戦国のエルフ姫に英雄召喚されたので国家再建に手を貸すことに。祖国よ邪魔するのは良いがその魔術作ったの俺なので効かないし、こっちの魔力は無限だが?



興味ある方は是非読んでみてください
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