45話「地の利——sideオビ1」
【イベント】前々前世オンライン【Day1】 Part825
612 名前:前世は負け犬
ふざけんな。爆弾でワンパンかよ
613 名前:前世は負け犬
ああああああここ見てたら猿に殺されたあああああああ
ふざけろ
614 名前:前世は負け犬
>>613
みるなよ
615 名前:前世は負け犬
レアモブ見付けた!
すげえこいつだけで5000ぽいんとげっつ
616 名前:前世は負け犬
>>615
詳細はよ
617 名前:前世は負け犬
>>616
マップ北の崩れた大橋の下
ラッキーメタルバグって奴がそう
618 名前:前世は負け犬
ちょっと行ってみよ
マップ東は湖で水棲前世持ちじゃねえとしんどいな
619 名前:前世は負け犬
あーお前らマップ南の要塞は近寄らないほうがいいな
手前に強いドラゴンうじゃうじゃいるし、中入ってもなんもねえわ
時間の無駄だなそれよりマップ北が穴場っぽいぞ
620 名前:前世は負け犬
>>617
>>619
あーあせっかくの穴場が
621 名前:前世は負け犬
ぽまえら情報サンクスw
………………
☆☆☆
【イベントフィールド:所在地不明の古戦場】
【マップ南方:敗北者の要塞】
すぐ近くで爆発音が聞こえる
それを聞いて、崩れた壁から外を見つめていた一人の男が振り返った。
年齢は三十代を少し過ぎたぐらいだろうか? 往年のアクションスターを思わせる渋い顔つきだが、背後にはふさふさとして尻尾が垂れ下がっていて、頭部に丸っこい獣耳が生えており顔とのギャップを感じさせた。
金属で出来た軽鎧を身に包んでおり、腰には短刀が2本ぶら下がっている。
男の頭上には【オビ1:ソーレス】と表示されている。
「どうだ?」
「順調ですよ。流石っすね。狙い通り、狩り場に獲物が集まってきてます。【ユンニャン】の【群体】には連絡済」
それに答えたのはウィンドウを開いている少年だった。少年の頭からは、太い一本角が生えている。少年の頭上には、【由犀:ソーレス】と表示されていた。
少年——由犀はオビ1とは反対に岩のような重鎧を着込んでおり、脇には巨大なハンマーが置いてあった。
「はん、高度な情報戦すら出来ないアホは死んでも仕方ない。エンザとカルナを呼び戻しておけ……多分プレイヤーが近くまで来てる」
「まじっすか? すぐに通信送ります」
由犀が慌てたようにウィンドウを操作しはじめた。
「……まあこんだけ爆弾が降ってたら、近くの建物に避難するだろうが……運が悪い」
オビ1はそう呟くとあちこちが崩れている部屋の、床に空いた穴の縁に向かった。
「一足先に歓迎してくる。お前ら三人は後詰めで来い」
「はは、僕の分、残しておいてくださいよ? 僕ら【ソーレス】の初舞台なんですから」
「はっ、せいぜい相手の強さに期待しておけ」
オビ1はそれだけ言い残して、穴へと飛び降りた。一つ下の階に降りた彼は、崩れた壁の隙間から、この要塞へと走ってくる人影を見つけた。
「三人? ……飛び入りじゃないのなら……【サーベラス】か? いや、一人が隠れている可能性もある。いずれにせよ……」
オビ1が見守る中、その三人がこの要塞の正面から入ってこようとしている。
「正面突破は愚策だ」
三人が要塞の入口にたどり着いた瞬間に響く爆発音。
「新規マップに入る時は慎重に念入りに下調べするのが——常識だろルーキー共」
それと同時に正面入口の壁が崩れる音。
爆発したのは、正面入口にオビ1が仕掛けた【投擲爆弾】を使った簡易トラップ。
さらに壁が崩れるように配置し、万が一爆発を逃れた奴がいても仕留められようにしている。
オビ1自身はこれまでいくつものVRゲームを渡り歩いてきたが、得意とする戦法はいつも同じだった。
地の利を活かした、ゲリラ戦。
自ら攻める事はせず、相手を狩り場へと追い込み、殲滅させる。
その為なら嘘情報をネットに流し、事前に協力関係を結んでいた【群体】の狩り場へと誘導するなど、手段を選ばない。
戦いは始まる前から既に勝敗は決まっている。
それがオビ1の持論だった。
「ランダム転移で俺のパーティの初期位置をこんな最高なところにした運営を恨め」
今の爆発で、この要塞に眠る敵も起動しただろう。
仮に全滅していなかったとしても、あのクソみたいなモブ敵を倒して消耗、疲弊したところを討つだけだ。
オビ1は勝利を確信しながらも、ここからいかに脱出するかのプランを練りあげていた。
トラップは各所に仕掛けたしあと半日は動かないつもりだったが、なぜか胸騒ぎが収まらない。
「……震えているのか? この俺が?」
自嘲気味に言葉を吐き出したオビ1が群体チャットでそれぞれに指示を送った。
「I have a bad feeling about this……嫌な予感がする」
いぶし銀なオビ1さんは結構お気に入りのキャラです。




