43話「Day1」
「結局ユーナから返信なかったんか?」
「……うん。なんか事情があるみたいだったから」
「仕方ない。ベストを尽くそう」
参加者控え室。【群体】毎に用意された部屋で、ここには私達三人しかいない。
私達はモニターで紅白の妖精がルールを解説しているのを見ていた。
「しかし、うちらにはえらい不利なルールやな」
「そもそも三人で参加する事を想定していないのだろう。有力群体はどこも16人以上はメンバーはいるからな」
「そうだよねえ」
ミリーが仕方ないとばかりに首を振った。
「しゃあない。あたしらの強みは……ラノアのマイホームや。ホイホイ人を入れて見せてええんもんちゃう」
「せめてあと一人ぐらいは……いやもはや言うまい」
「三人で頑張ろう!」
「まあ……やりようはあるんやけど……これはまあ運やな」
「そういえば……いやまあいいか」
蔵人さんがなんだか言いにくそうにミリーに声を掛けたが、途中で濁した。
「なんや? 先言うてくれたほうがありがたいで?」
「あ、いやイベントとかに関係なくてだな……」
「なんやはっきりせん男やなあ、言うてみ?」
なんだか凄く言いづらそうな蔵人さん。なんだろ?
「あ、いや別にいいんだが、その何というか、前まではこうこちらに遠慮していたというか、合わせていたのか……言葉が……」
「ああ、そういえばミリーすっかり関西弁だね!」
「……っ!! ちゃうねん! あ、違う! あー!!」
ミリーが顔をほのかに赤くして手をバタバタさせた。
「ちゃうねん……頑張って標準語使おうとしてたんやけど……戦闘中は余裕ないから素やったし……その流れでもうええかなって……」
「あはは……別に関西弁でも全然気にしないよ? 関西弁可愛いし!」
「俺も別に、気にしてないぞ! 可愛いと思うぞ! あ、ちが!」
今度は蔵人さんが慌てだした。
「ふふふ……二人とも可愛いね」
「! ちゃう! 一緒にすんな!」
「……いらない事を言ってしまった……すまない」
「まあまあ! なんか緊張もほぐれたし、結果オーライ! ミリーも気にせず話しやすいように話したらいいよ」
私がそう言うと、二人がこくこくと頷いた。
「さて、装備もオッケー。アイテムもよーし」
ミリーは相変わらずワイルドなヘソ出しだけど、各部をあのダンジョンで手に入れた新しい金属素材【蒸機の部品】で補強している。軽いけど丈夫だという特性を活かして作ったのだけど、なんだか歯車やら機械の部品が付いておりぱっと見だとあのボスっぽい見た目になっている。
武器は古竜の石爪とアダマンタイトを加工して作った【永久に刻みしクラリナ】というクロー武器。
蔵人さんはこだわりがあるのか着流しのままだけど、魔獣の糸と皮を薬品で加工し作り上げた私の自信作だ。
見た目も実際の着心地も軽いがかなり頑丈になっている。
武器は、希望通り数本違う物を渡しているが、メインはアダマンタイトと古竜素材で作った刀、【風化させし竜凪】。見た目は石の刀だけど、切れ味は抜群だし、何より混合属性で殴打属性も付いている。
こないだみたいな斬撃耐性持っている敵にも対応できる。
私はというと、重いけど頑丈な古竜素材で作った鎧を着ている。とはいえ、動きにくいのは嫌なので、一部パーツを外して動きやすくしている。……太ももや二の腕が露出しているのはミリーの趣味だ。頭には竜の顎を思わせるカチューシャを装着。
武器はというと。
「はは、ほんまそれゴツいな……ラノアにぴったりや。獣化した時が楽しみ」
見た目は黒い斧槍だ。ただし、それにゴチャゴチャと歯車やらパイプやら謎の赤く光るコアやらが付いている。
名は【蒸機斧槍スクハザ】
そう、あのボスの名前が付いているのだ。確かにあのボスが持っていそうな武器ではある。
「さてじゃあ、そろそろ時間だね」
スタートまで残り1分を切った。
「おそらくやけど、【暴王】は絶対にこっちを狙ってくる。恨みはたんまりあるやろうしな」
邪悪な笑みを浮かべるミリー。
「いくらでもくればいい。全て捻じ伏せてやる。俺はこれまでもそうしてきたし、これからもそうする」
そう言って、蔵人さんが刀を腰に装着。
「元上位ランカーの意地、見せてやろうね!」
私がそう言うと同時に私達は光に包まれた。
【Day1】が——始まる。
さあ次話から1日目スタートです!




