4話「出会い」
「スキル? って敵が使ってくるけど、どういう物なの?」
「んー簡単に言えば特殊能力だな。アキコのスピノサウルスには初期スキルが既にいくつかあるのだが……ステータス欄を見た方が早いな」
私は言われるがままにステータス? の項目を開けた。
ハンドルネーム:【アキコ】
種族:【スピノサウルス】
レベル:5
体力:3200
スタミナ:2500
攻撃力:3200
防御力:2800
素早さ:2200
スキル:【水泳】【四足疾走】【獣脚乱舞】
おお、なんか色々書かれてあるけど、意味が分かんない!
「まあそれぞれそのまんまの意味だ。攻撃力は与えるダメージだな。まあ実際のダメージ計算は、質量やら速度やら加味されるので複雑なんだけどな」
「防御力が高いと受けるダメージが減って、素早さが高くなると足が速くなる、かな?」
「そうだ。体力は頭の上にあるHPゲージの数値でスタミナは、行動を行うたびに消費され、時間経過で回復する。ぶっちゃけ2000越えたらほぼ休み無しで行動できるんだが……」
そういえば、結構遠くのフィールドまでプレイヤーを追い掛けた事あるけど平気だったなあ。
「スキルは、この三つ……最後の奴はさっきゲットした奴だね! 水泳は分かるとして残りの二つはなんだろう?」
「今度、戦う時使うと良い。ほれ、それぞれのスキルに触れれば、発動条件とどういう効果かが記載されている」
「なるほど! よし次は使ってみよっと! でもこのステータス? の数字が高いのか低いのかイマイチ分かんないなあ」
「それぞれのステータスの値で言えば、アキコより上はいる……が、総合で言えばぶっちぎりでアキコの勝ちだ」
「そうなの!? よーしランキング上位狙っちゃおうかなあ」
「いけるぜ! ガンガン狩っていけ!」
「おー!」
私は日課のボス狩りを終えたので、プレイヤーを狩りに原始林を駆けていくのであった。
☆☆☆
【前世】前々前世オンラインβ版【ナメクジ】 Part480
344 名前:前世は負け犬
この動画www
https://www.doutube.com/watch?v=oCYXv5thgo
345 名前:前世は負け犬
>>344
グロ注意
俺、これ昔映画で見たわ
346 名前:前世は負け犬
一方的な虐殺で草生える
347 名前:前世は負け犬
>>345
スピノサウルスがアロサウルスに逆サマーソルトぶちかます映画なんてあってたまるか
348 名前:前世は負け犬
>>344
俺、このボス全然倒せないんだが……なんでノーダメなの? 馬鹿なの?
つーかあの攻撃パリィ出来んのかよ
349 名前:前世は負け犬
>>348
スキル以外の攻撃はパリィ可能
なお受付猶予は……
350 名前:前世は負け犬
俺……ぜってー原始林には行かねえ
明らかにステとPSが違い過ぎる。俺なんて今猿だけど、AIアシストがあるのに全然使いこなせないぞ
人型じゃない生物をあれだけ動かせるってやばいだろ
351 名前:前世は負け犬
猿どう? 霊長類ルートに行くか、ネコ科ルート行くか迷う
352 名前:SAGE
はじめまして。今日からこのゲームやっていますが前世カマキリでした。
どうすれば、あのサソリボス倒せますか?
353 名前:前世は負け犬
>>352
sageはメール欄だハゲ
354 名前:前世は負け犬
>>352
まず服を脱ぎます
533 名前:前世は負け犬
ふーん、移動特化の俺なら倒せるなこいつ
やってみるか
534 名前:前世は負け犬
>>533
RIP
録画しとけよ
………………
☆☆☆
「なんかアキコ最近、明るくなったね」
「そお?」
「ちょっと前まで悲劇のヒロインぶってたから正直ウザいと思ってたけど」
「ひどい!」
VRオンラインカフェの一角で、私はユキナと女子会をしていた。
「なんかアバターの雰囲気変わったし。アキコそんなに爬虫類萌えだったっけ?」
ユキナが私の着ている服を見て怪訝そうにそう聞いてきた。ユキナは、赤と白のストライプワンピを着ていたが、私はというと、ジーンズの上にデフォルメした恐竜になれるパーカーを着ていた。
フードに赤い目と赤いヒレ、縁には牙みたいな白い三角がついており、背中側の下の方には尻尾も付いている。
現実だと恥ずかしくて着られないけど、VRオンライン上ならいいかと思って購入したやつだ。
「爬虫類じゃないよ〜恐竜〜」
「一緒じゃない。ただのトカゲでしょ?」
「違うってば。まあ何? ラッキーアイテム? 的な?」
「ふーん。まあいいけどさ」
興味を無くしたのかユキナが星がキラキラ光っている綺麗なソーダを飲み始めた。
「そういえばアキコ、あれやってるの? あの前世占いの奴」
「え? あーうん、ちょっとだけね」
毎日他のプレイヤー狩ってるなんて言えない
「勧めておいてなんだけど、あれなんか裏モード? みたいなのがあってそっちがメインらしいし面白くないらしいよ。占いもしょぼいらしいし」
「あはは……そうなんだね」
その裏モードをやり込んでいるんだけどね……。
「なんかその裏モードに彼ぴがハマッててさー最近オンライン上でも会えない。ひどくない?」
「へー……彼の前世なんだったの?」
「なんだっけな。確かオオアリクイだったような」
……きっとオオアリクイはよくある前世に違いない!
「やあ、面白そうな話をしているね。僕も混ぜてよ」
突然そう声を掛けてきたのは、長身の眼鏡を掛けた男性だった。
「ええっと、ユキナ知り合い?」
「知らない」
警戒するように低い声を出したユキナ。あーあれかオンラインナンパか。
「まあそう邪険にしないでよ。今の話、【前々前世オンラインVer.β】の事でしょ?」
男はそう言いながら私の横へと勝手に座った。ちょっと誰も同席していいと言ってませんけど!
「だったら何?」
ユキナが睨み付ける。
「いや、僕もそのゲームにハマッていてね。せっかくだからお話したいな、と」
「結構です。いこ、アキコ——あちょっと待って」
立ち上がったユキナが、耳元に付けているデバイスに手を当てると、喋り始めた
「あ、いっくん!? どうしたの? え、今から? うん、大丈夫! うん、うん、わかった! じゃね!」
彼氏からの電話かな?
「ごめん、アキコ、私落ちるわ」
そう言って、ごめんねポーズをしながら、ユキナが消えた。
「置いていかれたね」
男が柔和な笑みを浮かべて、肩をすくめたポーズを取るとユキナが座っていた席へと移動した。
さっきはいきなり横に座ってドキリとしたのでほっとした。
「まあいつもの事です」
「そのパーカー可愛いね。それに、その下に着ているTシャツ、映画のロゴマークでしょ?」
「え、分かるんですか!?」
そう、私がパーカーの下に着ているのは大昔に作られた映画のロゴがプリントされたTシャツだ。
丸いロゴの中に恐竜の骨格が描かれており、その下にタイトルと、三本の引っ掻き傷。
何を隠そう、この描かれている恐竜の骨格が私の前世でもあるスピノサウルス、らしい
「その映画の主役恐竜は確かスピノサウルス、だったかな?」
「そうなんですよ! まあ映画自体は見たことないんですけど」
「あー古い映画だからデータ自体が出回ってないね。僕は仕事柄そういうデータ色々持ってるけど……見たい?」
「見たい! です!」
「あはは、好きなんだね恐竜」
「はい!」
「よし、じゃあ、また日程決めてくれたら、僕の個人VRシネマへの招待URL送るよ。連絡先聞いてもいい?」
私は言われるがままに、連絡先を交換した。まあ現実ならともかくオンライン上なら別に大丈夫だろう。
それによく見れば、銀縁眼鏡に、綺麗になでつけた黒髪。スーツ姿が似合う中々のイケメンだった。
彼から送られてきたプロフィールを見ると、
ID:【鈴木】
仕事:ゲームデザイナー
とだけ書かれていた。
鈴木って本名かな? と思ったけど聞かない。
「じゃあ、また連絡待っているよ」
にっこりと笑う鈴木さんに、私は少しだけ予感めいた物を感じていた。
私の運気、上がってる気がします!
鈴木……一体何者なんだ……




