表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/76

37話「模擬戦——sideミリー」


 【ラノアの拠点】 


「シャアア!!」


 草原の背の高い草の中に潜む一体の豹が、木刀を持つ蔵人へと襲いかかる。


「っ!」


 蔵人は半歩下がり、その飛びかかりを回避すると、刀を振った。

 しかし、器用に空中で身体を捻らせた豹がそれを避ける。


 地面に降り立った豹が再び突撃。低い位置からの攻撃を蔵人は木刀を地面に突き刺すように立てて止めようとする。


 それを予期していた豹が、地面を蹴って跳躍。それに合わせて、蔵人が地面に突き立てた木刀を払うが、間に合わない。


 鋭い豹の爪が蔵人の胸を切り裂く。


「参った」


 蔵人がそう宣言すると、着地した豹が光に包まれた。

 光が消え、現れたのはミリーだった。


「だいぶ速なった?」

「速いし、一撃が重い」

「ふふーん。やっぱりネコ科は大きいほど動かしやすい」


 ミリーと蔵人はラノアの拠点にある草原で模擬戦をしていた。ミリーが自身の前世をカラカルからパンサーに変えたので蔵人に頼んだのだ。


 拠点にはいくつか便利機能があるが、一つは、獣化ゲージが常に溜まっており、無制限で使える点だ。

 当然、HPも減らないので色々試すには良い環境だ。


 ただ残念ながらここで溜まった獣化ゲージは拠点の外に出るとゼロに戻ってしまう。


「まあVerβやってない人はいきなり前世の姿なっても上手く動かせないし、ええ機能やな」


 ミリーは元々ネコ科をずっと動かしていたので、動きは熟知しているがいかんせん以前動かしていたサーベルタイガーがピーキー過ぎて、現状の前世ではどうにもぎこちない動きしか出来ない事を悩んでいた。


 蔵人レベルのPS持ちなら良い練習相手になると思い、蔵人は蔵人で、人相手ならともかく獣相手の剣術は未知だったので、良い経験になると思い喜んでその申し出を受け入れた。


「獣化は中々扱いが難しい」

「身体の一部だけ獣化とかも出来るみたいやで?」

「ほお?」

「私も良く知らんけど、なんかそういう調整をしてくれるNPCがおるみたい。まああたしはきっちりそれぞれの姿で分けて動いてるから、今のままでええけど。いっぺん考えてみたら?」


 ミリーは何やら悩んでいる蔵人にそう助言した。


 ぶっちゃけて言えば、彼はかなり強い。

 多分1対1じゃああたしもラノアも勝てないのではとミリーは思っている。


 とにかく、動きが綺麗で、何より無駄がない。おそらくだが、現実でも剣道とかそういうスポーツを嗜んでいるんだろうなとミリーは勝手に思っていた。


「そうだな。一度検討しよう。それよりそろそろラノアを引っ張り出さないか?」

「あー、あれからずっと引き籠もってるもんね」

「【大竜星祭】も近い。そろそろ群体も作らないと。流石にいくら強いとはいえ三人だけでは不利だ」


 蔵人の言うことはもっともだった。

 ミリーもそれをずっと考えてはいた。


 このゲーム初のイベント【大竜星祭】


 それはイベント専用フィールドで繰り広げられるポイント争奪戦。

 

 ゲーム内時間3日に及ぶイベントで、1日目、2日目、3日目とそれぞれ別のルールで各群体が競い合い、それによってランキングが決まる。最終的に最も多くポイントを取った群体、つまりランキング1位の群体が優勝となる。優勝すると賞金と、何やら特別な賞品が貰えるらしい。


「一応、群体でなくても参加は出来るらしいけど、同じ群体から最高4パーティ、計16人が参加できる事を考えると……最低でもあと1人は欲しい」

「それに——俺らの群体の名前も決まっていない」

「それなー」


 群体名。それはめちゃくちゃに大事だとミリーは思っている。

 いくつか候補を考えてはいるがどうにもしっくりこない。


 こう、ストロングでスマッシュなセンテンスが欲しい……だけど残念ながらミリーは自分にネーミングセンスがない事を自覚していた。


「俺に期待するなよ? あったらこんなネタネームでゲームやってない」

「蔵人? ええやん武士っぽくて」

「まあ正確には秘書的なアレなんだが……いや元ネタの元ネタはどうでもいい」


 さて、そしたらラノアを巣穴から引っ張り出しますかとミリーが言い、枯大木の拠点に戻る。


 階段を登ると、拠点の扉が内側から勢いよく開いた。


「凄いの出来た!! みんな集合!!!」


 煤で汚れた顔のままラノアが太陽のような笑顔を浮かべ飛び出てきた。


「もう何が飛び出てきてもあたしは驚かないで」

「右に同じだ」


 そう宣言する2人だったが、数分後に開いた口が塞がらなくなる事をこの時点ではまだ知らない。


イベント前の準備。こういうパートを書くのもバトルと同じぐらい好きです!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファン新作です! かつては敵同士だった最強の魔術師とエルフの王女が国を再建する話です! こちらもよろしくお願いします。

平和になったので用済みだと処刑された最強の軍用魔術師、敗戦国のエルフ姫に英雄召喚されたので国家再建に手を貸すことに。祖国よ邪魔するのは良いがその魔術作ったの俺なので効かないし、こっちの魔力は無限だが?



興味ある方は是非読んでみてください
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ