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続く戦い
……それから、何年もが過ぎたが、俺たちHLFとスキル至上主義との戦いは、まだ続いていた。
金属加工。
製紙。
染色。
陶芸。
様々な工業的な分野において、ノウハウを確立し、分業をして効率化を進め、規格を採用して品質の安定を図った。
おかげで、HLF製の品物はいずれも 『高品質でコスパが良い』 と評判になり、どんどんと流通していくのが常だった。
……そして、その都度、 『スキル持ち』 の職人連中からアンチをくらっては潰れていくのも、常態化していた。
――― スキルなどにこだわらなければ、より良い技術が望める。
何度そう示しても、彼らは決して、分かろうとしないのだ。 ―――
しかし、まだ負けたわけじゃない!
「先生、次は何にする?」
アマンダの問いに、俺は大きくうなずく。
ここまでの目に遭っては、後は思い付くのはこれしかない!
「禁断の ―――」
「禁断の ―――!?」
「ミシンだぁぁぁっ!」
おおっ、と歓声をあげ、ひとしきりパチパチと手を叩いた後、アマンダは目をぱちくりとさせて尋ねてきた。
「……で。ソレ、いったいナニ……?」