第95話 条件?
「えっ、神武器って何?
破邪の剣て何かな」
「神が造ったとされる最強の剣の一振りです。
この世界には神が勇者の為に作ったと言われる、魔獣を封印できる武器やアイテムが存在するのです。
その神武器を王国が有名どころの鍛冶屋に頼んで模倣し、造ったレプリカの武器が存在するのです。
キースが持っていた剣は神武器のレプリカだと思いますが、神武器に近い優れた能力を持っていると思います」
「そうなんだ。
それは驚きだな。
あの剣がそうなのね。
・・・
勇者っていうのは確か、この大陸を侵略しに来る異国のテロリストの事だよね」
「それはちょっと違うと思いますが、神が封印した魔獣を再封印する者達です。
蒼き月から地上に召喚されて来ますと言う事です。
神の意向により魔獣を再封印する為に地上に来ると言われますが、目的を蔑ろにし、神の傘に横暴な振る舞いをする者が多く、盗賊まがいの事をする者もいますと言われております。
ご主人様が言うようにテロリストと似ている部分は確かにあるかも知れませんが、正義の使者と言う事なので・・・
現在では必要の無い存在ですが」
「えっ、そうなんだ。
一応、勇者って目的は合ったんだね。
他国からの侵略者の手先だと思っていたよ。
本国では勇者、敵国ではテロリストそんな感じだと思っていたからね。
まぁ、やっている事が盗賊まがいと言うならば、テロリストと間違えて仕方がないだろう。
それに今は勇者は必要無いのね。
あっ、そうか北の領主に魔獣の封印が解かれ、使役されているか、取り込まれて居なくなっているんだ。
確かに必要ない存在だわな。
剣聖・伊三郎と言う俺と同郷の人物が、魔獣の討伐と封印をしていたのだろう?
ついでに勇者を切り殺していたとかそんな話だったよね。
サレンさんのお爺さんだったかな。
かなりの長生きしている人だよね」
「私の、ひい、ひい、ひい、ひい、ひい、お爺さんです」
「えっ、本当に?
ひいが何個か多くないかな。
エルフってかなりの長寿って聞いたけど、サレンさん結構長生きしていないのかな」
「ご主人様、女性の年齢を探るのはご法度ですよ。
気をつけて下さい」
「わ 分かりました。
そんなにマジで怖い顔しないで下さいよ」
「分かれば宜しいのですよ」
・・・
「しかし神武器のレプリカの破邪の剣とはね。
なんかえらく高そうだな。
売ったらいくらくらいするのだろう」
「売り物ではないですよ。
値段など付けられない貴重な神武器なのです。
レプリカ品でも各地の領主などによって大切に保管されているアイテムなのですから」
「そうなんだ。
それじゃ、下手に貸し出しは出来ないって事かな」
「それは私にも分かります。
お貸しして下さるならば、私もそれなりの条件を飲みたいと思います。
何なりと言って下さい」
「本当に。
本当になんでも聞いてくれるのかな」
「わ 私で出来る事でしたら」
「それじゃ条件を言って見ようかな。
何にしようかな」
「ご主人様、悪いニヤケ顔をしていますよ。
時たまそのような危ない顔をしている事がありますけど、気を付けた方が良いですよ。
不審者と思われても仕方がない事ですから」
「不審者とは失敬な。
ちょっとだけ不謹慎な事を考えているだけだよ」
「それが、危ないと言うのですよ」
「別にそれほど悪い事は考えていないと思うんだけど。
ただ、条件に合いそうな事を考えているだけだよ」
「そ そうなのですか。
なにかよからぬ事を考えていませんか、怪しいですね」
「うむ、何点か条件が有るのだけどそれでも良いかな。
たいした事では無いと思うのが、三つほどある」
「分かりました、宜しいです。
三つほどの条件をお聞かせ下さい。
レプリカの神武器・破邪の剣をお借りできるならば私で出来る事でしたらなんでもします」
「本当に」
「本当にです」
「それじゃ言って見ようかな」
「分かりました。
どうぞ言って下さい」
「それじゃ、一つ目は俺に剣技を後でで良いから教えて貰いたい」
「剣技ですか。
それは良いですが、ご主人様も剣を使うのですか?」
「いや使わないよ。
知識として持っていても良いと思ってね。
後でで良いから教えて貰いたい」
「わ 分かりました。
一つ目の条件は承認しましょう」
「一つ目はこれで良いね。
とりあえず今の俺は魔法拳を使いたいからね。
いずれ剣技を覚えていても損はないだろう。
それと光属性魔法を覚えたいけど、それはこの中には入らないよね。
魔法は最初に教えてくれると言う話だったから」
「それは分っていますとも、しかし属性相性が有りますから覚えるのにも難しいかもしれませんね。
才能も関係ありますがお教えしましょう。
ですができるかどうかは別の話です」
「確かにそれはあるな。
光属性魔法は他の四属性魔法より難しいのだよね」
「そのとうりです。
特に光属性と言っても回復魔法系の神聖魔法が相性が有りますね。
ターナが練習で使っている光を照らす魔法、ライティングは有りますが、あれは光属性魔法では無いのでご注意を」
「えっ、そうなの!
光属性って言っていなかったかな?
あれだったら効果が弱いが一応使えるんだよね」
「あれはどちらかと言うと風属性の雷系の魔法に属するのですよ。
光属性も合わせた複合魔法です。
光属性と風属性、両方を使っているのですよ」
「そうだったんだ。
知らなかった。
てっきり光属性だと思っていたからね」
「複合魔法ですが、比較的誰でも使える魔法です。
魔力の調整練習には持ってこいの魔法ですね」
「そうだったんだ。
それじゃ俺って光属性魔法は使えないんだ」
「正確にいえば神聖系の魔法ですね。
魔法の分類がかなり分かれているのですよ。
覚えられる魔法によって習う場所もそれぞれ有りますからね」
「一応、魔法を習える教室みたいのがあるんだ。
でも上位魔法はさすがに覚えられないんだよね」
「正確には中級魔法以上ですね。
高位の魔法使いなどに弟子入りしなくては覚えられないでしょう。
もしくは自分で本を買って独自で覚えるしかないですね」
「そうなんだ」
「後の二つは何でしょうか?」
「二つ目は、剣を貸し出すのだから、ついでに護衛をして貰いたいんだよね。
外を出歩いたりする時にね。
それも俺ではなくターナさんを優先的に守っていただきたいんだよな」
「ターナをですか。
別にそれはいつもの事なので、構わないのですがご主人様の護衛は宜しいのですか?」
「俺はちょっとだけで良いよ。
鍛えているから心配はないだろう?」
「そうなのですか。
分かりました、二つ目の条件をお引き受けします」
「それで三つめは前から考えていたのだが、重要な事だ。
一番これを守っていただきたい」
「それは何ですか」
「俺が死んだ場合の事だよ。
俺がもし死んだら、ターナさんをエルフの里に返して貰ってやってくれ」
「そ それは」
「難しい事かな。
ターナさんは君達と違い耳が人間くらいしか再生しなかったから入れるか心配だな。
エルフの里へ入れなくなくても、おかしくはないだろう。
それに奴隷になったと言う事が、知れ渡っているかも知れないし。
それは君達も同じ事が言えるのだが、入るのが難しいかも知れないが、この事を前から頼みたいと思っていたのだよ」
「しかし、ご主人様が死んだ場合とは・・・」
「俺も人間だ。
普通に死ぬのは当然だろう。
不死身では無いのだから。
エルフは長寿なんだよね。
寿命から考えても俺の方が先にたぶん逝くだろうな。
あれ、その事については分からないのか。
俺って早く老いるのだろうか。
髭も伸びていないし。
俺と同郷のサレンさんのお爺さんも長生き何だろう。
その事を考えると疑問に思ってきたぞ。
サレンさんはどう思うかな」
「私には当然のことですが、分からないですよ。
ご主人様自身の事ですからね」
「えっ、でもサレンさんのお爺さんだよね。
何か分からないかな」
「分かりませんね。
私も、里にたまにお見えになった時に、遠くから見る程度でしたから。
声をかけると言うか挨拶さえしていないのですよ」
「そうだったのね。
それだとどうなるんだろう。
剣聖に会って聞くしか無いのか。
でも、いずれは死ぬのだから、俺が死んだ後に残された者がどうなるか気がかりだからね。
先に約束を取り付けたいと思っていたところだよ。
今回は話せる機会が合って良かった。
俺の持ち物をすべてターナさんに譲って、エルフの国に戻してあげて欲しいんだ。
出来なくても安全なところへ移住させて欲しい。
本当はエルフの里へ帰るのが、彼女にとっては一番良い事だと思うのだけど、世の中そうは上手くいかないだろう。
エルフの里にも規律、掟が有るのだよね。
俺が死んだ時の、それが一番の心残りかな」
「・・・」
「いや、心残りは元の世界に有るけど、エログッズの処分はどうにも出来ないからな。
と言うか、今頃、俺が居なくなってどうなっているのか分からん。
新聞は溜まっていると思うのでそろそろ大家などが気づいていると思うけど、実家への連絡か、警察へ捜索願いとか出して有るのだろうか。
いまいち分らんな。
・・・
うむ、今一番気になっているのはターナさんの事だから、頼めるかな。
頼めるならば、レプリカの神武器・破邪の剣だったか。
貸してあげても良いよ。
あっ、もちろん無くしたり、盗まれたり、売ってしまったら駄目だからね。
管理をきちんとする前提で貸し出しをするのだからお忘れなく」
「分かりました。
理解していますとも。
・・・
了解いたしました。
その三つの条件で、レプリカの破邪の剣をお借り受けしたいと思います」
「そうか、それじゃ契約成立と言う事で良いかな」
「承諾いたしました」
「それじゃ、頼む事にするよ」
・・・
「やっぱり、ターナが羨ましいですわ」
「!
もしかしてサレンさんて俺に気が有るのかな」
「そんな事は・・・」
「それだったらさ。
サレンさん、俺のお妾さんとして貰ってもあげても良いけどどうかな。
愛人でも良いよ。
サレンさんは美人だし。
性格をもうちょっと優しく直して貰えれば全然OKだからね」
「性格はどうか知りませんが、私はお妾さんも愛人も嫌です。
ですが条件が有ります」
「条件?」
「私の家の事情を解決できるならば考えるだけ考えてやっても良いでしょう。
本来エルフは、本妻ではなくてはいろいろ認められない事が多いのですが。
家の事情を解決してくれるならば考えても良いですよ」
「ちょっとまって。
家の事って、王家の剣の指南役の家系なんだよね。
それって国家ぐるみのお家騒動に巻き込まれているのではないのかな。
そんなの俺が解決できる訳ないだろう」
「それくらいしないと私は妾になる事はできないと言う事です」
「?
おかしいな。
エルフって一夫多妻では駄目ではなかったのかな。
妾っていないはずだよね」
「確かにそうでしたわね。
特別に解決してくれたら、なってやっても良いと言う話ですよ。
ですから難しいと考えております」
「理由をこじつけた、お断りの挨拶みたいなものなのね」
「そう思って考えても結構ですよ」
「そうか、そう言う事なら仕方ないな。
美人で素敵な人だと思っていたのだけど。
それに日本人の血が入っているので俺的に親しみが持てると思っていたんだけどな。
まぁ、幼児退行しなければの話だけどね」
「ご主人様、それは言わないで下さい。
あれはストレスによる病気なのですよ」
「やはり病気だったのか。
それでは仕方ないな。
労わってやらないといけないみたいだね」
「・・・」
「話はこれで終りで良いかな」
「そうですね。
有難うございました。
私も頑張れそうです」
「別に何でもない事だよ。
・・・
あっ、それと別件で俺もサレンさんに話があったんだ」
「なんですか」
「いやー、そろそろ三時のティータイムに林檎の砂糖煮を出してくれても良いんじゃないかと思ってね。
聞いて見たかったんだよな」
「林檎の砂糖の甘煮ですか?」
「そうそう。
午前中に良い匂いが部屋中に漂っていたからね。
気になっていたところなんだよね」
「それは、アニスから聞いたのですか?」
「アニスさん?
何か関係あるのかな」
「いえ、別にないですが、分かりました。
まだ試作段階ですが、考えておくことにしましょう」
「考えておく事にするだけなんだ。
でも、三時のティータイムに出る事を期待しようかな」




