第79話 公爵家の特使
次の鍛える方向性は決まったな。
聖拳を真似して使ってみようと思う。
基本は空手の型だが応用が利くだろう。
手刀で林檎を切り裂くことが出来るのだ、使用できることは間違いない。
手刀と抜き手で人を切り裂けるほどの鋭さの拳を身につけたいな。
俺の好きなキャラの理想を掲げるか。
もちろん、聖帝だ。
かなり酷いおこないをするキャラだが、その風格が良いんだよ。
拳を極める者としては理想の雰囲気をかもしだしている。
聖帝も一子相伝の拳なので強いんだよ。
初見でケンシ〇ウを実質、殺せたはずなのだからな。
でも使う拳法は、ユ〇の仕様が良いんだよ。
唯一気を放ち、対象を切り裂ける事ができる。
ん、どちらかと言うと俺ってユ〇に似ていないよな。
あれほどナルシストでは無いし、似ている感じはないだろう。
奇麗な女性をはべらしている事は該当するかな。
でも、女性を浚って調教するような事はさすがにやらないしな。
しかし、餌付けだけはするけど、全然違う事だろう。
それに化粧する事もないし、まぁ、似ている部分はちょっとだけあるけど気にしないでおこう。
まさか、あんなおかま見たくはなりたくはないからな。
それじゃ方向性は決まったので、更に高みを目指して研鑽を積むトレーニングに入ろう。
あと三日でルイージさんの店に靴を取りに行くのだ。
外には公爵家の者達が居るのだろう。
会って揉め事を起こしたくはないが、何か合った時用に鍛えておきたいのだ。
外に出る為に此処までやるとは誰も思わないだろうな。
でも、この世界は危険すぎるのだよ。
そんな事を思っていたのだが、次の日公爵家の使いの者達がやって来てアポイントとを取る話をレイズさんに聞いて来たのだ。
俺は面倒だったので、アポ無しでも良いから直接会ってしまいたいと思った。
面倒事は早めに片付けたい。
今はそんな事よりも、トレーニングをして鍛えたいのだ。
理想形が見つかると、早くそのイメージどうり鍛えたいと思うものなんだ。
・・・
昼食を取り終えた頃、ホテルの支配人であるレイズさんと公爵家の使いである第八騎士団の五人が話し合っている。
何やら俺に用事があるらしく、合いたいと言う話だそうだ。
その為にアポイントが取れるか確認に来たようだ。
わざわざアポイントを取らなくてもすぐに用事は済ませると思ったので、今から会う事にした。
「公爵家の使いのお方、今からアンドウ伯爵様がお会いになさるそうです。
どうぞ此方へ」
「え、今からですか。
別に今からじゃなくても、今日はアポイントを取りに来ましたのですよ。
明日でも私目は宜しいので、ご無理をなさらずお会いしなくても大丈夫ですよ。
都合の良い日をお指定して下さい」
「誠にご配慮して戴き嬉しいんですが、私共もアンドウ伯爵様に頼まれているので、ご機嫌をたがわれるとなるとどうなります事やら私でも思いつきません。
出来ましたら今日お会いになった方が宜しいと存じ得ますが。
私共からも、お願いしたいですね」
ホテルの支配人ルイズさんは困ったように答えた。
「わ 分かりました。
今から会う事にしましょう。
会う前に出来ましたら、お手洗いを借りて良いでしょうか」
「ええ、もちろん良いですよ。
ごゆっくりお使い下さい。
私共は、今からお会いしますと言う旨を、お伝えしたいと思います。
応接間でしばしお待ち下さい」
「わ 分かりました」
ルイズさんは用件を話しにアンドウの元へむかった。
ブレイブ団長は従業員にお手洗いを案内される。
副団長のクリスまで付いて来た。
「団長、お手洗いとはどういうことですか。
貴方がそんな気が小さいタマでしたか。
まさか逃亡するのではないですよね。
定番ですよお手洗いに行って逃げ出すのは」
「何を馬鹿な事を言うんだ、クリス君。
私がそんな事をする訳、無いじゃないか。
突然会う事になったのでちょっとだけ緊張しているだけだよ。
本当は今日はアポイントを取るだけのはずだったのだからな」
「本当ですか?
それでは僕もお手洗いまでついてきますよ。
団長の護衛は部下である副団長の務めですからね。
決して逃げ出すとは僕は思っていませんけど、護衛はさせてもらいますよ」
「・・・
分かった、それじゃ行ってこよう。
お前達は此処で少しだけ待っていてくれ」
「了解しました」
二人はお手洗いにむかった。
「おいおい、団長は本当に大丈夫か?」
「ああ、よほど緊張しているな。
あんな姿の団長をはじめて見たぞ」
「確かにそうだよな。
俺もアンドウと言う輩に会うのが怖いよ」
「俺もそうだ。
昨日、団長は焼け酒ではなく、やけ食いをしていたからな。
そのせいで朝から腹の調子が悪いらしい」
「そうみたいだな。
酒臭いと失礼にあたるかも知れないと言って、飲んでいなかった」
「ああ、そうだ。
あの団長がそれほど気を使う相手だ。
俺らも失礼が無いように心がけようぜ」
「ああ、分かっている。
なんせ命がかかっているのだからな。
機嫌を損ねないように最善をつくさないといけない。
迂闊にくしゃみ、いや咳も出来んだろう。
俺は知っているぜ。
貴族の家に護衛に言ってくしゃみをしただけで、首を跳ねられた者がいると」
「確かにそんな奴がいたな。
細心の注意が必要だ」
「ああ、お互いに気を付け合うとしよう」
しばらくしてから団長が戻って来た。
呼ばれるまで騎士団員達は応接室で待っている。
・・・
「うーん、公爵家の使いが何用で来るのだろう?
これは不味い案件かな。
アニスさんどう思う」
「私も分かりませんが、これだけの期間をおいて接触してきたのですから、何かの思惑が有るかも知れません」
「確かにそう思えるよな。
何だろうな、察しがつかない」
「使いの者が死んでいないと言うことは、ご主人様の即死魔法は発動してはいないのでしょう。
悪意も感じませんので、今の所は大丈夫だと思えますね」
「そりゃそうだな。
殺意があれば、俺のチート能力が発動してその時点で死んでいるのだから、問題は無いと思える。
それとも、本当に何も知らされていない、ただの使いの者と言う可能性もあるのか」
「それは、さすがに無いと思えます。
先方も相手の動向を見ますので、失礼が無い様に最低限の事は知らされているはずですね」
「そんなものなのかな。
本当にお使いだけの人とかいそうだけど、こちらでは対応が違うのか」
「そのようだと思いますが、ご主人様の世界では違うのですか?」
「ケースバイケースかな。
意図を知らせないで使者だけ送るって事もあるからね。
本当に重要なカードは部下にも見せないと言う事が稀にあるから。
見方も騙して送り出させるって事もあるらしいからね。
まぁ、それほど俺は重要に見られてはいないだろう。
話の内容に寄って、不快な思いだけはしたくないな」
「・・・」
「あっ、サレンさんお茶の用意だけ、お願いできるかな」
分かりました」
「ご主人様、着替えなくて良いのですか」
「うーん、トレーニングの最中だし、用件を話したらすぐに帰ってくれるだろう。
別にこのままで良いや。
それに筋肉の世界ではタオルを首に巻けばネクタイ替わりとなる常識があるので問題は無いのだろう」
「意味は分かりませんが、上半身裸で良いのですね」
「別に良いよ。
この鍛え抜かれた筋肉が服と言っても良いだろう。
気にすることはないさ」
「はあ、ご主人様がそうであれば私どもは何も言いません。
では、お茶の用意をしてきますね」
「うん、ありがとね、サレンさん」
ちょうどトレーニングの最中だったからな。
上半身裸では失礼だろうか?
しかしこの鍛え抜かれた身体では別に失礼には当たらないだろう。
むしろ服など着なくて見て貰いたいと言う次第だ。
タオルを首に巻けばネクタイ替わりになるから、おかしくはないはずだ。
それよりもなんの用だろう。
キースの事で報復を言いにわざわざ来たのだったら困った事になるな。
しかし、それはあのキースに付いていた執事が大丈夫と言っているので気にすることは無いと思うが、本当の所はどうなのか気がかりだ。
とりあえず、まずは会って話を聞いてから対応策を考えるとしますか。
悪い方向へむかわない事を願うばかりだ。
しかし、公爵家の使いの者か、俺も舐められた態度を取られては示しがつかんだろう。
此処は俺の理想である聖帝の雰囲気をかもしだすような気を放って見るかな。
出せるか分からないけど。
この世界で特使とかに会う時には、あのくらいの迫力を出さなくてはいけないだろうな。
違う意味で世紀末の世界と言って良いほど問題がある世界だから。
「アンドウ伯爵様。
公爵家の使者を連れて参りました。
ご尊顔お願いしします」
ホテルのオーナーで有るレイズさんは、騎士達風の四人の使者を連れてきた。
俺は会う事にする。
しかし、レイズさんの言いまわしがおかしくはないか?
ご尊顔お願いしますって何か違うようなきがするのだが。
宗教関係ではあるまい、法王とかに会うのではないから、ちょっと変ではないかと思ってしまった。
?
レイズさんが、連れてきた公爵家の使いの騎士風の人達が入り口で止まっている。
どうしたのかな?
何かあるのか疑問をいだいてしまうぞ。
・・・
「団長、あのお方がアンドウ伯爵様ですか」
「そ そうらしいな」
「しかし、なんで上半身が裸何でしょう?
それになんて鍛えあげた身体なんですかね。
あれほどの筋肉見た事は有りませんよ」
「そうだな。
騎士団でも居ないだろうな」
「上半身裸で会うと言うのは東の国の習わし何ですかね?
食事は手掴みで食うと言う風習を聞いた事があります。
こちらとは違う風習なのであれが東の国の正しい作法ですか」
「そ そうかも知れないな。
その事は気にしないでおこう」
「それになんでエルフの女性がメイド姿の格好でいるのですか?
三人もついていますよ」
「そうだな。
魔力の桁が半端なく桁違いだ。
魔法兵団にもあれほどの魔力を持った奴は居ないだろう」
「そうですね」
「圧倒的な魔力を感じます。
それに僕たちの事を睨んでいますよ。
奇麗な人達なのに怖い、怖くてたまりません」
「落ち着け、クリス。
問題なのはエルフの女性ではない。
アンドウ伯爵なんだよ。
良く感じて見ろ、エルフ並みの魔力を感じるぞ」
「確かに、そうですね」
「クリス、絶対に失礼な事はするなよ」
「分かっていますよ。
しかし、しかしですよ。
僕、おかしくなってしまったのですか?」
「ん、どうした。
おかしいのは前から分っているから気にしなくても良いぞ」
「ち 違いますよ。
耳鳴りが、耳鳴りが聴こえるのですよ。
あのアンドウ伯爵の姿を見てから、ゴゴゴゴゴッて鳴りが響いているのです。
僕っておかしいですかね」
「いや、それはたぶんおかしくないはずだ。
なんせ俺もお前が言うゴゴゴゴゴッて音が聴こえるのだからな」
「やはりそうですか」
「聞こえるだけならまだ良いと思うぜ。
俺にはアンドウの後ろに黒い異国の文字らしいのが浮かんで見えるぞ。
それも音に合わせて震えて見えるのだからな」
「何を言っているのですか団長、そんなの見える訳無い・・・
すいません、団長。
僕にもなんか見えてきました。
どうやら幻聴、幻覚ではないらしいですね。
黒い異国の黒い文字のようなものが浮かんで何個か見えますよ。
確かに音に合わせて震えていますね。
あれって何なんでしょうか?」
「分からん。
しかし即死魔法に関係するものかも知れない。
失礼が無いように頼むぞ」
「分かりました」
・・・
「お使者の方どうなされました。
此方へどうぞ」
レイズさんが案内を促す。
「アンドウ伯爵様、公爵家の使いの者が参りました」
「あぁ、有難う。
レイズさん下がって結構だよ。
後は此方で対応するからね」
「分かりました。
それでは失礼します」
レイズさんは従業員を連れ退席した。
アニスさんが一番偉そうな人にソファーに座るよう促す。
一人だけ座って、残りの騎士達は後ろで立っているようだ。
背筋を伸ばしピンと規律よく立っているね。
サレンさんがお茶を出してくれる。
ん、ちょっと待て、目の前の使者の人と俺とのお茶に違いがあるぞ。
俺のはアップルティーで、お菓子まで付いている。
もちろん砂糖も付いているのだが、使者の人はただのお茶だけじゃないか。
これって不味いのではないの。
こういう席で差を付けちゃいかんだろう。
それとも此方のしきたりなのかな。
いやいや違うと思うのだけど。
と言うか三人は怖い顔して使者達を睨んでいるよ。
なんか、使者の人全員の額から汗が出ているもだけど、無言の圧力をかけているからではないよね。
これって話し合いに支障がでないのか?
今から心配になって来たぞ。




