第74話 二人のティータイム ②
「そうですか。
以後は気を付けます]
「本当かしら」
「・・・
勇者の事は小さい頃噂で聞いただけですからね。
得体の知れない人達だもの、神の代行者と言うのも怪しい限りだわ」
「確かにそうだわね」
「そういえば、他の大陸では神が直接降臨すると言う事が有るみたいだけど、この地には降臨された事があったのかしら?
神の御使いは来ているみたいだけど、この千年は誰も見たことがなかったはずよね」
「そういえばそうね。
ご主人様がキースとの決闘の時に、神の御使いが現れたよね。
私は初めて見たわ」
「私も初めて見ました。
神殿では神の御使いが降臨する事は確認されていたけれど、本当にいるとは思っていなかったからびっくりしましたわ」
「私もそうでしたね」
「御使いは来るのに、どうしてこちらの大陸には神様が降臨しないのでしょう?」
「神がこの大陸に張った結界のせいとか噂話はあるわよね」
「結界ですか。
この大陸に魔獣そのものを押し入れた結界ですよね。
「おかしな話ですね。
その結界が有るのをほとんどの人民は知らされていないのですから」
「確かに、知らされていないのも、なにか訳が有りそうですよね」
「確かに何か勘ぐることが有りますわね」
・・・
「神様って本当にいるのでしょうか?
私は常に疑問に思います」
「それは私も分かりません。
ただ、王族、貴族は神の与えた特別な特権ですよね。
特権の他に神に与えられた特別な力を持っている者が多くいます。
神が持っている能力を加護として与えられていると聞きいていますよね。
神の加護が施された者がいますならばたぶんいるのでしょうね」
「確かに、エルフの王族でも特別な力を持っています人が多いですよね。
それにこの国で北の大地を支配するあの方も特殊な力をもっています。
特別な力を持って神の代行者として王族や貴族などが権力を欲しいままにしていますからね。
神の加護は、世界に存在します悪しき魔獣から守り、この地を平和に統治する為に与えられているのでしょう」
「そうですけど平和と言うのは怪しいですわね。
特にこの結界の中の世界では、他の大陸より危険が伴うのでしょう」
「確かにそれは言えますね。
でもその分、自然災害が少ないと言われていますわよ。
神が張った結界の作用だと言う話ですね」
「自然災害ですか。
自然災害の実感がわかないのですが。
確かに森に火などついても早めに消えてしまいますよね
おかしなほどに」
「そうですよね。
魔法が働いているみたく消化してしまいますから」
「やはり神が見ていて力を貸してくれているのでしょうか?」
「そうかも知れませんね」
・・・
「神様から勇者が召喚されて来るとは、厄介な事ですね」
「この地を統治している王族、貴族は唐突にやってくる勇者が来ると衝突してしまいます。
どちらも、神の代行者と思っていますから」
「そうですね。
まともな勇者なんて少ないのですからね。
力が有り魔獣を封印するのにかこつけて、盗賊まがいの横暴な限りをするのですから。
どう言う思考をしているのでしょうか?
神の代行者だけど、正義感を持った勇者ではないですよね」
「その点は王族と貴族も同じですよ」
「確かにそれは言えるわね。
でも、まだましな方ですかね」
・・・
「剣聖様が長生きでいてくれて良かったわ。
横暴な勇者を倒してくれるのだから。
でも、剣聖様は王族、貴族でも切り捨ててしまいますから、ちょっと戦っている意味合いが違うのかも知れませんね」
「そうかもね。
でも、エルフよりも長生きで、今も現役で戦いをしてくれているのだから頼もしいわ」
「!
あっ、そうなのかな?」
「どうしたの、サレン?」
「もしかして、ご主人様って神が遣わした勇者なのかな?
それも剣聖様と同じように勇者を倒す勇者」
「馬鹿ねサレン、先ほど私が言いましたよね。
剣聖様はこの地の権力者達が、神の代行者として勇者を倒す勇者として都合よく解釈して人民に伝えたと・・・
『剣聖』と言う地位を王族は特別に授けたのですから」
「確かに新たな『剣聖』と言う地位が設けられましたのよね」
「それに、ご主人様は神がいない魔法もない異世界からやって来たって言っていたじゃないの」
「でも貴方は、私と同じ匂いがすると言ってたではないかしら」
「確かにそうだけど。
うーん、どうなっているのでしょう。
・・・
それとアニスそうむきにならないで下さいな。
なんか勇者と剣聖様の話になると、急に怒り気味に興奮しているわ」
「そうでしたかしら。
・・・
でも私は、ご主人様が勇者だなんて思えはしませんわ」
「でも私達を助けてくれたわよね」
「・・・
そう考えると微妙なところですね。
!
もしかして貴方が言うように、本当にご主人様が勇者でこれから神の代行の使命をするかも知れませんわ。
確かにその兆候はありますよね」
「!
なによ、さっきと話が逆さまじゃないの。
それに先ほどとは違い、面白そうな顔をしているの?
どうしたのかしら」
「だって、もしご主人様が勇者だったら私達勇者パーティの御一行様じゃない。
それだったら面白いわよね」
「何を言っているのよ。
私達はお金で雇われているのですよ。
お金で雇われている勇者パーティーの仲間だなっておかしいでしょう」
「確かにそれも、そうね」
「それに何時、私達は首になってもおかしくないのよ。
すでにご主人様の目的の言葉の魔法は、必要が無くなって話せるよになっているのですから」
「確かにそう考えると、私達ってもう役目を終えているのかしら。
ご主人様は、ターナが居れば良い感じだしね」
「そうなのよ」
「それでしたら一番先に首になるのはサレン、貴方と言う事ね」
「なんで私が首なのですか!」
「心あたりが有りすぎるでしょう。
さっきだってあんな失態しておいて」
「それは・・・」
「サレン、今までご苦労さまでした。
私はまだご主人様が必要とされているみたいですから、しばらくはいっしょに行動させて貰いますわ。
貴方は里へとっと帰った方が良いわね。
里へ帰る目的もあるでしょう。
ご主人様には知らせておいてあげるわ」
「わ 私が首。
なんでそうなるのよ・・・」
・・・
「冗談ですよ。
サレンそう怒らないで下さいな」
「もう、アニスったら。
私は里へ帰ってもどうしようもない。
何をするのにも力が足りませんから」
「確かにそうだわね。
回復もしてきたし、そろそろターナを見習って修行を始めても良いかもね」
「そうですね」
「ですが、もうちょっとだけ回復するのを待ちましょう。
せめて禁断症状が無くなってからの方が良いでしょうね」
「確かにその方が良いですわね」
・・・
「サレン、剣聖様の事で良い話を聞かせて貰いましたわ。
ありがとう」
「?
アニス貴方が私に礼を言うなんて、どういう風の吹き回しかな」
「別に何でもないですよ。
気にしないで下さいな。
私は剣聖様のファンなのですよ」
「?
そうなのですか」
「それよりも、ご主人様が夜に豆腐なる物を作ると言っていましたよ。
その下準備を用意しても良いのではなくて」
「豆腐ですか。
じゅるり」
「サレン、よだれがたれていますよ。
蜂蜜の禁断症状じゃなくて、ただの食いしん坊さんではないのですか」
「ち 違いますよ。
何故か知らないですが、その豆腐と言う食べ物の事を聞いて、心が躍るのですよ」
「もう、サレンてご主人様が話した食べ物のすべてに食いついているのではないですか。
豆腐も同じようなものでしょう。
食いしんぼさんなんだから」
「違いますよ。
ただ、何となく豆腐と言う言葉に惹かれる何かがあるのですよ。
唯、それだけですよ」
「本当にそうかしら。
またあのような失態をすると困りますよ」
「そんな事はないですよ。
それに豆乳の件は貴方が先に飲んでしまったのではないですか?
絶対にご主人様には気づかれないと言ったのは貴方ですよ」
「そうだったかしら。
それよりも、ご主人様に聞いて準備だけはしておいた方が宜しいですね。
早めに対応できますからね」
「じゅるり」
「こら、また、サレン、よだれがたれていますよ。
もう気をつけて下さいな。
ターナに見られたら示しがつかないですからね」
「そうですね。
これは本当に気をつけないといけませんわね」
「そうですよ。
『サ レ ンさん』」
・・・
ふう、一息つくか。
しかし、考えると考えるだけ、本当にやばい想定外の事だな。
もしかしたら、新たなフラグをたててしまったのか?
近い未来に何かが起きると予想出来るな。
どの方向にフラグを振ったのか定かではない。
良い方向へ行ってほしい限りだ。
とりあえず、魔法で肉体を極限まで鍛えてみよう。
それから新たな能力が欲しいな。
先を見通せる未来予知かすべての答えを出せるアンサートカーが使えれば良いのだがな。
どちらかの能力があれば、力が無くても安全な場所へ逃げられる可能性が出てくる。
良い土地を見つけ、奇麗な奥さんと退廃的な生活をするのが良いんだけど・・・
それは夢でしかないのか。
今は脳みそをプリンに出来る特殊チート能力よりもアンサートカー、すべての答えを出す能力が欲しい。
某主人公、ヒロインに最強の一郭の能力として使用されているからな。
しかし、俺には無理な話か。
今は出来るところまで身体を鍛えておこう。
「ご主人様」
「お、ずいぶん話が弾んでいたみたいだね。
三時のおやつは気に入って貰えたかな」
「はい、存分に堪能させて貰いました」
「それは良かった。
で、なにか用かな」
「実はですね。
サレンが、従者の仕事を辞めたいそうです」
「なに、それは本当か。
・・・
まぁ、それだったらしかたないな。
サレンさんは何か家の事情があるらしいから、早めにエルフの里へ戻った方が良いのだろう」
「何を言っているの、アニス私はまだ辞めませんよ。
豆腐を食べるまでは、辞めたりしませんからね」
「えっ、そうなの。
家の方で何かあると思っていたから早く帰った方が良いんじゃないの?」
「ご主人様、私は辞めませんからね・・・」
「?
どういう事」
「ごめんなさい。
ご主人様、私の冗談ですよ。
ついサレンを揶揄ってしまいました。
お許し下さい」
「なんだ、そうなのね。
まぁ、冗談だったら別に良いよ」
「別に良いよでは有りませんよ。
ご主人様。
私は契約どうりの日数はきちんと働かせて貰います。
助けて貰った御恩をまだ返していないので、最低でもきちんと契約された日数は守らせて戴きますよ。
それに私はまだ回復したばかりですから、禁断症状もあるらしいですからね。
直してからエルフの里へは戻ろうと思っています。
それに戻っても力がなければ何もできませんから、少しは修行をしたいのです」
「なるほど、そうなんだ。
やはり禁断症状が出ると分っているみたいならば病気なんだね。
ちょっとおかしいと思っていたけど病気だったんだ」
「病気とは違うと思いますが、今までのストレスが溜まっていただけです。
少したてば治ると思いますよ」
「本当かしら、サレン」
「もう、アニスったら揶揄かわないで下さいよ」
「ウフフ、だって面白いんだもの」
「そんな事を言いますと、あの事をご主人様に言いますからね」
「え、それは止めて下さい」
「!
サレンさん。
アニスさんの事で何かあるのかな」
「実はですね。
ご主人様」
「駄目よ、サレンそれは言っちゃ駄目よ」
「なにか重要な隠し事を俺にしているのかな。
サレンさん言ってくれないか」
「分かりました。
実はアニスは・・・」
「駄目よ、聞かないで」
・・・
・・・
・・・
「おいおい、マジかよ。
サレンさんの蜂蜜での幼児退行なんかより深刻な事ではないか。
破壊したい衝動がでるだと、深刻な問題だろうが・・・
今此処で、爆弾を抱えているようなもんだぞ」
「もうサレン・・・
ご主人様、大丈夫ですよ。
ちょっとだけそんな気分になることが有るだけですから。
私はサレンみたく理性を失くすなんて有り得無いですからね。
大丈夫です。
私もサレンと同じように今までのストレスが合っただけですから。
今も常に落ちついているのでご安心を。
私はサレンとは違いますからね」
「本当かしら」
「もう、サレン、私を揶揄うのは止めてください」
「さっきの仕返しですよ。
それに本当に禁断症状が出てしまったら怖いので、ご主人様には知らせておきたかったのですよ」
「・・・」
「知らせてくれて助かったよ。
もっとも知らせてもなにも対策は俺には考えつかないんだけどな。
突然、魔法をぶっぱされるのは困るので禁断症状が出たら町の外に言って放って貰うしかないしな」
「ご主人様、大丈夫ですよ。
ストレスは美味しいものを、食べて発散させていますからね。
それに作るのも面白いし、本当に大丈夫ですから」
「うーん、そうかそれじゃ信じて見るかな」
「有難う御座います、ご主人様」
「なんで私とは対応が違うのですか。
えこひいきですよ」
「いやー、サレンさんえこひいきしているのはサレンさんが一番だと思うよ。
かなりの失敗の件を譲歩しているからな」
「そうですよ、サレン。
貴方は一番、許して貰っているのですからね。
今度何か起こしたらペナルティを付けた方が宜しいと思いますよ」
「確かに考えた方が良いかも知れないな。
今度禁断症状が出たらお菓子の量を減らすとかした方が良いかな」
「そんな意地悪な事を言わないで下さいよ。
ご主人様」




