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第72話 考察

 いやはや、とんでもない話を聞いてしまったな。


 この国の北の大地を支配する門閥貴族の頭目だろう。

 それも名はジークフリード・〇〇〇〇〇〇。

 何と言って良いか分からないぞ。


 恐らくは、転生者?

 天才的な発想で、画期的な物を考え造り出したとか。

 何を作ったのか不明だが、貴族の少年が思いつく事では無いよな。

 知識が無いのに新しい物など創り出すことは神でも無理な話だ。

 前もって知っているしか他にならない。

 それもゲームなどの娯楽品を開発して、一般人に広めようと考えたのだろう。

 チェスやオ〇ロと言う話だよな。

 俺の知っているボードゲームだよな?

 おっと、オ〇ロじゃなくリバーシか。


 オセロはルールをきちんと決めた日本で商標したゲームだったな。

 Webサイトやソフトウェアメーカー達が、ライセンス料の支払いを避ける為に、オ〇ロの事をリバーシと呼んだと言う。

 多くの人々が、リバーシの事をオ〇ロと同じゲームで似たゲームと捉えていたから、その混乱から利益を得ようとしたのだとか何かのサイトで見た事が有るな。

 リバーシは中世のヨーロッパで生まれたらしいが、明確なルールが無くて、対戦相手に忖度が出来るような仕組みのゲームと聞いた。

 貴族にとってはルールが途中から変えられるからある意味都合の良いボードゲームだよな。

 わざと勝ち負けを調整する事無く、ルールを途中変えられるんだったら対戦相手も気にすることなく負けるだろう。

 ルールがあるオ〇ロではそうはいかない。

 リバーシは目上の者が勝つのを前提としたお遊びだよな。

 いかさまでも勝てれば楽しいと思うからな。

 今の時代はルールは明確に有り、オ〇ロ仕様で名前はリバーシと言ったところだから負けるのも上手くいかないよな。

 たかだかゲームで勝ってしまって、殺されてしまう事もあるらしいからな。


 囲碁や将棋でも、目上の者に相手するならばプロがハンデを付けても忖度し、わざと負ける事などざらにあると言う話だからな。

 SNSでハンデ付けても余裕で勝てるとか誰か言っていたような事を見たことあるな。


 まぁ、それは良いか。

 話を聞いたかぎり俺の見立てだど、どうにも元居た世界からの転生者だろうな。

 なんて言うか直感と言うか、話を聞いたかぎり転生者ではないかと思ってしまった。


 それにしても持っている能力がえげつない。

 守護獣とか言うこの大陸に封印されていた、八匹の魔獣を使役しているのだろう。

 その力を使って魔神、魔獣を取り込んで力を行使できるとはいやはや恐ろしい限りだな。

 どんな能力を使うのか見当がつかない。


 人の領域を超えている。

 人間をすでに辞めてしまっているだろうな。

 と言うか、家族、領民、親しきものが殺されているのだろう。

 それに立ち会ってしまえば、頭壊れちまったんじゃないのか。

 如何に、俺の居た元の世界でいろいろな知識、悪い事を含め知っていたとしても、現実として目の当たりにしてしまえば頭とち狂ってもおかしくはないぞ。

 元の世界ではそんな事は有り得ないのだからな。


 力を求め、守護獣とやらの封印を解いて、復讐をしようと考えた時点で壊れているのだろうな。

 絶対に頭いかれているよ。

 どんな人物像だか予想してみるか。

 頭が壊れてしまった前提だ。


 まずは、復讐しようと考えても、危険な封印されている化け物を解き放つなんて考える事は有れど、実行するのはどうかと思うよな。

 考えても実行するかが問題なんだよな。

 なんでもそうだけど。

 その時点でかなりやばいやつだ。


 下手をしなくても普通に死んじゃうのではないかな。

 封印を解いた時点で殺されたりして、その後の事を考えないのか。

 自分は死んで守護獣が暴れまわり、周りに被害をもたらすそんな事も考えつかないのか。

 幸い守護獣を使役しているようだが、出来る保証なんてなかっただろうに。

 自暴自棄になって周りの事を考えずおこなった可能性も出てくるか。


 それとなんか子供じみたい感じがみ受け取れる。

 それにボードゲーム、オ〇ロとか言うかな?

 子供はオ〇ロと言うかも知れないけど、リバーシだよね今の時代は。

 そう考えれば、元の世界で大人になって死んだ可能性は低いか。

 子供のうちに亡くなったと予想しても良いだろうな。

 それか大人になりきれていない大人か。


 自ら働いて税金を納付するようになってから、世間の現実の厳しさとか分かってくるんだよな。

 歳の離れている人とか接する機会が普通になるので、それで人間関係とか分ってくる。

 あとは女性と本格的に付き合うと痛いほど現実が分ってくるんだよ。

 ある意味それを知ってから大人になったと感じてくるんだよな。

 上手く取り繕う為に気を使う事を覚える。

 特に女性はね・・・

 こいつ、そんな事を知らないように思えるな。


 そうでなければ、画期的な物を造っても、他の貴族にも疎まれる事は無かっただろうに。

 大人はその辺を上手く根回しするから違うんだよ。

 その辺を考えても、子供の内に亡くなった可能性が有るな。


 それと何故か時代を感じる。

 オ〇ロって言い方かなり古さを感じたからな。

 著作権問題でネットではリバーシと言う使われ方をしていたからかな。

 そうなると、ネットが普及していない時代の人か。


 「サレンさん一つ聞きたいのだが、この世界で何年前に起こった話だろう」

 「それは、ですね私が人間に捕まり奴隷になる前と言っておきましょう」

 「?

 ん、正確な年数が聞きたいのだけど」

 「・・・

 それは私のプライベートな事柄に触れますので控えさせていただきます」

 「?

 あっ、年齢が関係するのか」

 サレンさんがギョロリと目を丸くして睨んで来た。


 「女性に対し、そう言う事は聞かない方が良いですよ。

 ご主人様」

 「失礼しました。

 以後気をつけます」

 「それは宜しいかと思いますよ」

 かなり怖い顔で睨んでいるよ。

 女性に間接的でも年齢の事聞くのはやばいな。


 そうなるとこの世界の年数で十年、ニ十年では無いよな。

 それくらいだったらサレンさんでも話せる許容範囲だろう。

 五十年、いや八十年、さすがに百年はいかないか。

 でも此処では一年は百日だから元居た俺に年数で三分の一にも満たない。

 サレンさんの受け答えからして、五十年としても十四年弱か。

 それ以前死んで転生したのがその時代にすぐに転生するとは限らないからな。

 そう考えるともっと年数がたって元の世界で死んだ可能性もある。

 十五年から三十年前に亡くなってこちらに転生した可能性が有ると思って良いかな。

 そうすればあの小説、アニメを知っていても不思議では無いからな。

 もしかしたら全盛期に見ていた可能性もあるか。

 確か千九百八十二年から二千年に展開されていた小説、アニメだったよな。

 そうなると、三十年以上前?

 そう考えてもおかしくは無いか。

 今でも根強い人気が有って、動画などで無料で見られるサイトがあるから一概には言えないけど、可能性は高いか。

 

 しかし無鉄砲と言うか、頭が壊れたからやったのか分からないが、守護獣を封印から解き放つなんて無謀な事をするな。

 危険だから、神や勇者が封印したのだろう。

 もっともこの世界では、悪魔が神のふりして人民を騙している可能性は有るのだが。

 俺が見た神の使いはどう見ても魔界村のレッドアーリマだったからな。

 それにキースの魂を食ったみたいだし、どう見ても神の使いじゃないだろう。

 神のふりした悪魔がこの世界を支配しているんじゃないかって思えてきているよ。


 その神が貴族に絶大な特権を与えて人民を苦しめているんだろう。

 その苦しみを糧とし悪魔が支配している。

 悪魔が住まうには最適な環境って良いだろうな。

 そうなると善良な者とか邪魔になって、悪魔にそそのかされて追い落とされるって事も有っても不思議ではない。

 

 それと、気になるのは封印を解いた守護獣との契約だろう。

 どういう理由で契約したのかは、サレンさんが言っていたとうり何となく分かる気がする。

 封印した神に対して、復讐を考えられるよね。

 まさか、そのジークフリード・〇〇〇〇〇〇てやつは神とかに喧嘩を売っていると言う事は無いよな。

 なんか有りそうで怖い話だ。

 もしかして旅と言うのは嘘で、神と戦ってたりしたりしてね。 

 あっ、俺の予想では悪魔だったか。

 そういえば、貴族を唆した神が居るとなれば、敵にもなるよな。

 それに守護獣を封印した敵も神じゃないか。

 目的が一致する?

 まさか本当に神と戦っていたりしてね。

 

 俺とは強さの次元が違うレベルなので関りを持っては絶対いけない奴だな。

 会わない事を祈る事しかないか。


 大陸外とか行っているならば会う事は無いかな。

 でも、守護獣の力で空とか普通に飛んで簡単に戻って来られそうだよな。

 ひょっこり帰って来ているのだろう。

 瞬間移動とかも普通に使えるのかも知れないし。

 そんな化け物に関わるなんて、出来る訳が無いだろう。

 此処は大人しく、目立たなく行動を取って、会わずにやり過ごせることを祈るしかない。

 会ってしまったら、絶対に面倒な事に巻き込まれそうだ。


 対策を、今から対策を考えないといけないか。

 透明化が出来るようになって、気配を極限に消し存在を消せるくらいな事をしなくてはいけないだろう。

 肉体を鍛え終わったら、全力で気配の消し方を学ぼうとしようかな。

 それかアニスさんが伝説の魔法とか言っていた時間に関わる魔法だ。

 ザ・ワールドのように時を止めるような能力とか無くては対抗できないぞ。

 でも、そんな事はできる訳もないし。

 

 どうしようか。

 ドラゴンボールのかめはめ破の練習では無いが、ザ・ワールドの練習でもしなくてはいけないのか。

 どちらも絶対に出来ないのに、現実で練習している人が稀にいるって話だからな。

 特にかめはめ波の練習はやっている人が多いと聞いたが・・・

 俺もこの異世界で練習しなくてはいけないのか?

 元の世界では絶対に出来ないけど、もしかしたら異世界ではどちらも出来る可能性が有るので、こっそりと練習して見ようかな。

 かめはめ破は魔法の代用で似たような気功弾が発射出来るかも知れない。

 時を止める、ザ・ワールドはさすがに無理だろうけどやるだけやってみる価値があるかも知れないな。


 とりあえず肉体を先に鍛えてから考えるとするか。

 そう思ったら、時間が惜しく感じてきた。

 お茶を飲み終わったら夜まで時間は少ないが、トレーニングを開始してみるか。

 終わったら、予定であった豆腐を作ってみよう。

 栄養も値も欲しいので作ってみたいところだった。


 結論。

 ジークフリード・〇〇〇〇〇〇、頭のネジが一本はずれた危ない人物だと認識しておこう。


 !

 もしかして良心を得たい為に、成人してからその名前を自ら命名したのかも知れないな。

 だったら良い人物だろうか。

 いやはや、それはちょっと違うかも知れない。

 やはり、壊れていそうな感じがするから、どうにも言えんだろう。


 「サレンさん、重要な話を聞かせてくれて礼を言うよ」

 「ご主人様、余計な話を聞かせてしまったのかも知れません。

 でも、私の話を聞いて、噂の人と同じ道を辿らない事が出来そうです」

 「えっ、それは絶対ないと思うよ」

 「聞いたかぎりでは、俺とはレベルの次元そのものが違うから。

 サレンさんが、どう噂の人を判断しているか分からないが、聞いていた感じバケモンって言うクラスの危ない奴だよ。

 俺がそんな事が出来るまで、なるはずないじゃないか」

 「そうでしょうか。

 それは大変失礼しました」

 私から見ればご主人様も同じように見えるのですが、気のせいでしょうか?


 あの特殊な即死魔法を使える。

 それも他人に付与できる加護状態の即死魔法なんて聞いた事が無い。

 それに僅か数日で、劇的に身体能力、魔力共に上がっている。

 魔力なんてエルフと同様に感じるくらいに。


 エルフは人間の十倍の魔力を持っていると言われているわ。

 人間が努力して魔力を上げられても、肉体が追い付いてこない。

 魔力が暴走して肉体が崩壊してしまう。

 エルフはその特性を緩和できる肉体を最初から持っている。

 ご主人様も同じように、いえそれ以上かも知れないわ。


 私があの噂の方と同じように思ったのは確かだわ。

 もし、なにかあったら同じ道を辿り、それ以上の力を要するかも知れない。

 私の思い過ごしだったら良いのですけど。


 「ん、どうしたサレンさん。

 先ほどの話で、なんか想いふけった事があるのかな」

 「別にそういう訳では御座いませんが、オレンジの蜂蜜付けが無くなってしまいました。

 ご主人様のところには、まだ一枚残っていますよね。

 ジー」

 「さっき俺の分、分けてあげたじゃないか。

 これは駄目だ。

 これはやらんぞ」

 「ご主人様はケチですね。

 さすがに今日の失敗もありますから、そこまでは私も求めたりしませんよ」

 「どうだかな、怪しいもんだ。

 俺がちょっとお手洗いに行って席を立ったら、帰って来た時には無くなっている可能性があるぞ」

 「そんな事はしませんよ。

 他の人の物を取るなんて私には出来ませんからね」

 「それじゃ、実際に席を立ってみようかな。

 サレンさん、見はっていてくれるかな」

 「別に良いですわよ。

 どうぞ行って下さいな」

 「あっ、やっぱ止めておこう。

 クッキーと同じで、よだれまみれになっていたら食えないからな。

 その手をやられたら俺の蜂蜜漬けは食えなくなるのも同然だろう」

 「ちぃ、残念ですね」

 「あっ、もしかしてあれはわざとだったのか。

 次におからクッキーを作った時は、サレンさんの分は五枚減らすからな」

 「そんな、許すと言ったでは無いですか」

 「わざとじゃないと判断したからだよ

 計算ずくとはさすがに思わなかったからな」

 「わざとでは無いですよ。

 許して下さい、ご主人様・・・」


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