表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/96

第71話 〇〇〇〇〇〇

 「冷める前に戴きましょう」


 納得いかないが、この件は俺の敗北?

で終わりらしいな。


 長?

である俺が口を先につけないと、おやつタイムは進まないので仕方なく飲み始める。


 本当に納得いかないよな。

 なんでこんなことになったのだ・・・

 せっかくの美味いオレンジティーがやけに渋い感じがする。

 俺のだけ、蜂蜜と砂糖を入れ忘れたかな。

 たぶん彼女達のせいで苦く感じるのだろう。


 「わあ、なにこれ、オレンジの温かい飲み物、こんなの初めて、美味しいですわね」

 「ご主人様、おからクッキーも美味しいですが、このオレンジの蜂蜜漬けも甘くて本当に美味しいですよ」

 「蜂蜜、蜂蜜、蜂蜜の甘さがこの薄切りのオレンジに染み込んでている。

 不可思議な事ですわ。

 こんなに美味しくなるなんて」

 「本当にそうですわ。

 多めに貰って、正解でしたわね」

 「ずるいですよ、アニス一人だけ多く貰うなんて」

 「契約で手に入れたのですから、ずるくはないのです。

 ご主人様も了解済みですからね」

 「もっと私も食べたいですわよ」

 「安心して下さい、サレン。

 ご主人様は半分しか蜂蜜漬けを開けていませんからね」

 「え、でも冷却魔法陣のところに瓶はないですよ」

 「半分ほど入った瓶を、こっそりと、魔法の収納カバンに入れるところ見ました。

 半分残っているのは知っているのですよ。

 後で戴けると思うので期待しましょう」

 「そうなのですか。

 それは良い事を聞きましたね。

 ターナ、あとでご主人様に出して貰えるよに言いなさい。 

 貴方の言う事でしたら、聞いて貰えると思いますからね」

 ・・・

 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。

 ・・・

 ぺちゃくちゃ、ぺちゃくちゃ。

 ・・・

 なぜだ、こんなに甘い菓子とお茶なのに、余計に苦く感じるのは・・・

 好き勝手に言いたい事を言っているが、俺にとっては嫌な話が聴こえるけど、幻聴だろうか。

 奴隷として今まで扱われていたので気の毒に思って、甘く接してきたが間違えだったのか?

 でも可愛い嫁さんが素直で良い子なのでそんなきついことは言えないしな。

 それに泣かせてしまう事が問題だな。

 嘘なぎだと思えるが、本当に泣かしてしまうとなると心が痛いからな。

 二人の悪い姑がついて来たと言う事で諦めるしかないのか。

 なんか、サレンさん達の本当の地が出てしまって困るんだよ。

 猫をかぶっているのが分かるが、もうちょっと大人しくして欲しいよ、まったく。

 でも、逆に打ち解けたと言って良いのだろうか?

 それはそれで良い事と思うけど、こんな残念なエルフとは思っていなかったんだよ。


 しかし、あのよだれを垂らしたクッキーの様を見たら、どんなに奇麗な人でも減滅してしまうよな。

 百年の恋も、一瞬で冷めると言って良いだろう。

 一部の人にはご褒美と言って、喜ぶ人もいそうだけど、俺はそこまでの領域には入っていないからな。

 もうちょっとだけ、猫をかぶって欲しいと思う次第だ。


 「ふぅ」

 「どうしましたか、ご主人様」

 「いやなに、なんか身体が重く疲れがどっと出てきたと言う感じなんだよ」

 「まあ、それはいけませんね。

 連日の過酷なトレーニングで体調を崩されたのかも知れませんわ」

 「そうですわね。

 今日は、ゆっくり休んだ方が良いかも知れませんね」

 いやいや、体調は良いと思うが、精神的に苦痛を感じて疲れてくるのだよ。

 

 精神面も鍛えられて良いかも知れんが、このまま続くとさすがにきつい気がする。

 しかし、この異世界ではこのくらいの事はのりこえないといけない事案だろうな。

 もっと過酷な事が予想されているので、力を身につける為にトレーニングを開始したのだからな。

 大目に見て頑張るしかないのか。


 「サレンさん達は元気で良いね」

 「おかげさまで、魔力も回復し体調も万全になりました。

 ご主人様には感謝しても仕切れないです」

 「それは良かったね。

 ふぅ・・・」

 「どうしました、ご主人様、本当に元気が無いですよ」

 「何でもないよ。

 このオレンジティーを飲んで、故郷の事を思い出してしまったのさ。

 ホームシックってやつかな」

 適当に思いついた言葉で誤魔化す。


 君達のせいで、精神的に追い詰められたとはいえないからな。


 「そうでしたか。

 ご主人様は異世界から来た来訪者ですものね。

 この世界の仕様は、元の世界とは全く異なるのでしょう。

 特に私達に合わせている、食生活をしているので負担になっているのかも知れませんね。

 私達に気にせず、肉や魚をお取りなされたら良いのではないですか。

 あれだけのトレーニングをしているのでは食べないと力が出ないと思いますよ」 

「それは大丈夫だよ。

 その為に今日、豆乳を制作したんだからね」

 「?」

 「俺の居た所では大豆は植物の肉と言われているから、身体の栄養価を取りやすいのだよ。

 特に豆乳はそうかな。

 それとおからも栄養価高いので、そのまま戴いても良いんだよね」

 「そうなのでしたのね。

 それでは私達は協力して毎日でも造りたいと思いますわ」

 「それは助かるよ」

 「幸い材料が有れば私達でも出来る物ですからね」

 「それではお願いしようかな」

 とりあえず、自ら作ってくれると約束はこぎつけた。


 もっとも、やって貰う事だったのだが。

 問題は今日のように水で薄められると困るのだけど。

 まぁ、多めに作って戴ければ問題は無いか。

 とりあえず、もうちょっとだけ様子をみて見ようか。

 小麦とかも手に入るので、そちら関係の食べ物を作りたいが、今はこれだけにしておこう。

 やることが多すぎてしっちゃかめちゃかになってはどうにもならんからな。

 とりあえず、強くなるのを優先してトレーニングを開始するとしようか。

 

 「サレンさん達、俺が教えた食べ物の事一人で出来そうかな」

 「ええ、材料と道具が揃えば難しい事は無いですね」

 「そう、それは良かったよ。

 しかし、此処では塩とか生成していないんだね。

 湖から引き揚げているとは知らなかったよ。

 俺が塩を生成した方法と豆乳やお菓子の作り方を一般に流せば、美味い物とか食えるんではないかな」

 「!

 ご主人様、申し訳御座いません。

 それは絶対に有り得ない事です」

 「?

 どうして」

 「一般の人が良いと思って作っても、すべて貴族や王族に搾取されてしまうのです。

 一般人が美味しい食べ物などの技術を手にれる事は難しいのです。

 あったとしても個人で秘匿されています。

 貴族は、物だけでなく技術も持っていってしまいます。

 その持っていった技術は自らの特権で考えた本人も使えなくしてしまいます。

 そのせいで新しい技術も育たず、苦しい生活をおくっている者達が多いのです。

 分かっているのですが、奪われてしまうでしたら作らない方が良いと考えあきらめてしまうのですよ。

 それに外には、多くの魔物、魔獣などがいまして身を守るのが精一杯ですからね」

 「なるほど。

 技術が育たないとサレンさん達も理解しているんだ。

 確かに、考えた物が何もしていない貴族の特権ですべてを奪われると言うのは酷い話だね。

 当然、考えるだけ馬鹿らしくて思いもしなくなるだろうな。

 それで旨い物とか出来てこないんだ。

 理由が分かったような気がする。

 しかし貴族とは酷い奴等だね。

 あっ、俺がそうだったか・・・」

 「ご主人様でしたら、お売りする事が出来ますかも知れませんが。

 それでもごく少量の物しか扱えないでしょう。

 大量に扱いますと他の貴族に疎まれ反感をかってしまいますからね」

 「そんな事になるんだ」

 「実際、数十年前大規模に改革をしようとしたとある貴族の少年がこの国でいましたから。

 現在は北の大地を支配する門閥貴族の当主となられていると言う話ですね。

 ご主人様は、その方のお話を是非、聞いて欲しいと考えております。

 少しだけですが私の知り得た情報をお話ししますので宜しいでしょうか?」

 「あぁ、知っていたほうがよさげな話だね。

 聞かせてくれるかな」

 「それではお話したいと思います。

 その貴族の少年は門閥遺族の一派の大貴族に生まれた誉れ高き家系の者でした。

 幼いながら天才的な頭脳を持つ少年は、自ら考えた新しい物を開発し民に訳与えようとしたのです。

 それはどれもが画期的な発明だと聞いています。

 私達エルフの国は北に位置します。

 その貴族が治める領地とは隣合わせです。

 交流は少しだけしか有りませんでしたが、旅商人からの噂で聞いていたのです。

 実際にエルフの貴族間で、その少年の考えたゲームなる物を商人から買い付け今でも用いて遊ばれていると思われています。

 確かチェスとかオ〇ロとか私は聞きました。

 そのゲームもエルフの貴族達の特権により民は知り得る事もできません。

 普及することも出来なく、貴族の元で止められているのです。

 寛容の高いエルフの国でも秘匿にされている面白いゲームだそうです。

 娯楽は人を駄目にすると言う理由で秘匿されているみたいですね。

 そのような物が良く深き人間の国に有ればどうなるかおわかりになるでしょう。

 如何に大貴族の出身でも、他の貴族に疎まれ、家は追い落とされてしまったのです。

 少年以外すべて領民、当主の命さえ奪われるとなった大惨事の事件が合ったのです。

 結託したのは、同じ門閥貴族の者達でした。

 裏では、王家に連なる公爵家の者達が関与していたと言う噂も流れています。

 我らエルフは隣国と言えども知り得ても関与は出来ません。

 自ら考え造り出した物によって、疎まれ何もかも奪われた少年は人が変わったよに力を求めました。

 復讐、変革を求める為に・・・

 この大陸には、神と勇者によって封じられた、各大陸から集められた魔神、魔邪獣、守護獣がいましたのですよ。

 邪悪で不死な存在なので、封印されていると言う。

 しかし、その貴族の少年によってすべての封印は解かれました。

 エルフの国にも守護獣が封印されていましたのですが、封印は解かれ、その少年によって使役されていますと聞いています。

 自らの持っている特殊な能力で、使役をおこない。

 また守護獣の力で身体に魔獣、魔神を取り込んでしまったと言われております。

 封印されていた八匹の守護獣と呼ばれる獣達は、本来、各世界に守り神として崇められていた存在だと聞きます。

 しかし、太古の昔に天神によって封印されたとか。

 封印された理由は邪悪な存在だったとしか分かっておりません。

 その八匹の守護獣と少年は契約にこぎつけました。

 どんな契約を交わしたのかは、理由は分かりませんが、想像はつきます。

 少年の理由と似たような事でしょう。

 その力を持ってまずは、自らを追いやった者達へ復讐を果たしました。

 関わった貴族は一人残らず殺されたと聞きます。

 公爵家の王族に綱らる一派の者達まで、すべて殺されたと聞いております。

 王家ではその事件は無かったことにされていますが・・・

 復讐をとげ、一人戻った少年は新たにやり直そうと決意しました。

 貧しい者達を集め、家の再興しようとしたのです。

 しかしながら、再興は途中までしか上手くいきませんでした。

 彼の余りにも巨大な力に民もが恐れ始めたのです。

 今は北の大地を任される門閥貴族の当主となっていますが、信頼できる部下に統治をまかせ、大陸外を旅をしていると聞きおよんでいます。

 本当に旅かは分かりません。

 ふらっとたまに帰るらしいですね」

 「なるほど、どこかで聞いたような話だけど、実際に有りそうな話だよね」

 「その事を知っていた私は、思ったのですよ」

 「ご主人様もいずれその少年と同じ道をたどるのではないかと・・・」

 「そんな、まさか。

 いや、もし・・・」

 「ゴホン、不躾ながらこのような話をしてしまい申し訳御座いません。

 私は、ご主人様がそうならないように危惧している次第です」

 サレンさんが真面目にこんな話するとはな。


 先ほど、クッキーによだれを垂らした人物とは同じに思えないよ。

 しかし、何かあれば俺も似たような事をするかも知れない。

 実際生き残る為に強くなろうとし始めているからな。


 それにしても、その北の領地を統治する少年。

 この世界で数十年前だから青年にでもなっているのかな?

 なんかゲームとか言っていた事が気になるな。

 チェスにオ〇ロ、まさかね。


 「サレンさん。

 その北の地域を支配する、門閥貴族の当主って名前が分かるかな」

 「確か家名はジークフリードと言ったはずです。

 名は成人した時に自ら変えられたと聞きました。

 ジークフリード・〇〇〇〇〇〇でしたと思ったのですが」

 「・・・」

 どうかしましたか、ご主人様。

 「いやなに、なんか聞いた事のあるような名前だったのでね」

 「お知り合いですか?」

 「まさか俺は異世界から来たのだよ。 

 その貴族はこの世界の生まれだよね」 

 「確かにそうですね」

 うむ、なんか小説とかアニメで有名な脇役、いや主役級の名前の人がいるのだが・・・


 アニメがリメイクされたのでその時に俺は見たので知っているんだけど、そのキャラ名と同じなんだよな。

 まさか自分で命名したとしたら、その名前を取ったのでは無いよな。

 俺は此方の世界に異世界転移して来たのだから、その貴族の当主とやらが異世界転生して来たとしてもなんらおかしくない話だ。


 もともとかなり古い有名なアニメで、もしその当主がこちらの世界に転生したのだったら、知っていてもおかしくない話だし。

 信義が熱いキャラだったからな、好きな人は大勢いるだろう。

 主君を守って死んでしまうのだけど・・・

 まさか、その名を戴いて名乗ったのかな?

 可能性はなきにしもあらずか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ