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第7話 高級宿屋のサービス


 従業員のメイドさん達が案内してくれるので、従ってついて行く。

 行った先は脱衣場だった。


 5人の若いメイドさんが居て、こちらに駆け寄ってきた。どうやら荷物の預かりと服を脱がせてくれるらしい。


 荷物はお金の入った袋だけを別にして後は全部預けてしまった。


 宝箱のような奇麗な箱に入れられ、鍵を閉めたのが見えた。

 鍵を丁寧な態度で渡されたのでどうやら荷物を管理してくれるのだろう。

 ここは信用するしかないな。


 俺と同じような年齢の若い人が、服を脱がせてくれるのは嬉しいのだけど緊張してしまう。

 だいじな息子も見られてしまう。


 言葉が話せないので成り行きに任せるしかないのだ。服をすべて脱がされ浴槽場に案内された。


 案内された中には裸の首輪の付けた若い人間の女性が2人いた。2人とも長い金髪のグラマーな美人な女性だ。


 これってどうしたら良い、お俺の息子が反応してしまったよ。若い俺だこればかりはどうにもならんだろう。


 それに裸で首輪が付いている女性が中のいるとは思わなかったんだよ。この人たちって奴隷って立場の人かな?


 かなり奇麗な女性なのにどうしてこんな事をやっているのだろう。


 奇麗な人とか関係はないのか。奴隷なので仕方なくこんなことやらされているのだろうな。


 裸で相手させられる仕事とかやらされていると思うと、なんだか嫌な気分になってしまった。だけど俺の気持ちと体の反応は別なのだ。


 息子よおさまれと思っているのだが、我が息子は言う事を聞いてくれない。こればかりは若いのでどうしようもないのだよ。


 中にいる裸の首輪の付いた若い2人の女性は特に気にした様子もみせない。洗い場のところまで案内してくれる。


 小さな木の椅子に座らされる。風呂場の中を見渡すと大理石でできたかなり高級な浴槽場だ。


 どうやら裸の2人の女性は洗ってくれるらしいのだが、俺の息子が元気なままなのでどうしたら良いだろうか。

 ここは成り行きを任せるしかないと思い椅子に座ったままでいる。


 裸の首輪の付いた若い2人の女性は慣れているようでまったく気にしてもいないな。それだけが救いだが複雑な気分だ。


 石鹸のような物をやわらかいタワシのような物に付け全身を隅々まで洗ってくれた。


 最後に俺の元気だった息子を念入りに奇麗に洗ってくれたのだが、そのおかげで元気な息子はおさまってしまった。

 

 あくまで奇麗に洗ってくれたと言うことだけを言っておこう。へんな推測はしないでいただきたい。


 すっきり、いやかなりさっぱりとした。


 こんな待遇今まで一度も経験した事がないので、異世界に来て良かったと思ってきた。

 俺って欲深いやつだな、昨日まで生死がどうのこうのと思っていたのにこの待遇で豹変している。


 風呂からあがったのだが、どうやら別の服を用意してくれたらしく、メイドさん達に違う服へ着替えさせられた。


 着替えもやってくれるとは、王様対応だな、この世界気に入ってしまったよ。


 俺の服はどこへいったのかなと思ったが、洗って返してくれるのだと思い聞かないでおいた。

 もっとも話せないのでどうにもならないのだが。



 (高級宿屋店舗側)

 「支配人大変です。

 貴族らしき御方が今しがた参られました。

 どうやら何かがあって汚れた装いでいますが、お召しになっている服装があきらかに一般の方とは違います。

 それも金貨を1枚預からさせてもらいました。

 どうしたら宜しいでしょうか。

 それに私ら等ではわからない言葉で話しています。

 対応に苦慮しますがどうしたら宜しいでしょうか?」


 「何だとそれは一大事だ、絶対に失礼があってはならないぞ、私も行く」

 貴族の客だと、それも異国の言葉を使うとは難儀なことだな。


 せめて言葉の魔法を使える魔術師がいれば良いのだがな。先日、どこぞの誰かに金で引き抜かれ辞めてしまった。


 言葉の魔法を使用できる魔術師は数少ない。もっと親密にしておけば良かったと今になって後悔している。


 しかし、わからないな? 異国の言葉を話すとは、嫌みな貴族はたまに、他国の言葉を使ってくる輩がいるのだがその類の奴らか。


 それに汚れた様相をしているのだったな。


 護衛もつけずに来た、どういう事だ? この街まで来るのになにかあったのだろうか。


 他で問題を起こしていなければ良いのだがどうなんだろう。機嫌が悪いのかも知れないな。


 すぐ湯あみの支度をさせなくてはいけないか。


 「持ち場のあいている者、今すぐ集まって貴族様相手に対応をしろ。

 良いか絶対に貴族様に失礼があってはならないからな。

 気をつけて対応してくれよ。

 例え、何をされても無抵抗のままでいるのだからな。

 下手に手を出してしまえば、命まで取られかねすらない。

 わかっているなおまえ達」


 「はい」

 従業員は緊張した様子で一斉に返事をする。


 支配人は慌てた様子を取り繕い、貴族の客を迎えに行く。


 貴族、この世界では神、王族に次ぐ絶対の権力者だ。

 歯向かう事など一般人には許されず、悪口を言っただけで粛清の対象になる。

 爵位を持った者は生脱与奪権を持っている。

 一般人など気に入らなければ適当理由を付けて殺すのは日常茶飯事だ。

 爵位を持っていなくても同じようなものだ、難癖をつけ搾取をおこなう者が多い。

 善良に統治している者もいるが稀で、この世界では少なく珍しい存在だ。

 一般人は恐れおののいている。


 「支配人様、今しがた浴槽場に入り湯あみをされております。

 服は汚れていますので洗いたいと思っているのですが、私では見たことのない素材、それに製法の仕方が考えられないくらい細かくほどこされています。

 派手な装飾品がなされていませんが、こんな製法の仕方、見たことも聞いたこともありません。

 どうしたら、良いでしょうか」


 「わかった、私に見せてもらおう」

 私にはこの高級宿屋を続けている長年の経験がある。


 どんな服装でもわかる。見てやるとするかな。


 貴族の服装はわれわれが着る素材とは違うものが多く使われている。

 シルクなどは当然な事だが、それ以外にも特別な魔獣などの皮や繊維が使われている事も多くあるのだ。


 そんな素材を普通に洗ったら縮んだり伸びたりしまう事などざらにあるのは従業員も知っている。


 洗い方を変えたりしなくてはならない。特に特殊繊維、魔獣の毛皮と糸は重要だ。

 長年やっている者でもわからない素材とかも出てくる。


 それも貴族相手だ。粗相などあってはならない。


 ここは私が教えてあげるとするかな。

 

 支配人は洗濯場へ入るが、ここで長年勤めるプロである従業員達も困惑している姿が目に映る。


 「どうれ、ここは私の出番という事かな」

 支配人は近くに来て指導を促す。しかしその場にある服を見て驚愕する。


 見たことのない素材、それも製法の糸の縫いが緊密で一定の間で交差して作られているのだ。


 こんな細かい作業できるのは一着数ヶ月、いや年単位でおこなっても仕上げられるものではないぞ。


 それに読めない、見たことのない、文字、家紋を現す印? など入っている。


 スーツだけではない下着もだ。


 こちらも見たことない素材でできており、素材も製法も一級品だ。


 これは大貴族、もしくは王族が持っていてもおかしくない代物だ。

 支配人は顔からだらりと汗を垂らしている。


 今、浴槽場の中で湯あみをしている人物が相当身分の高い、大貴族または王族関係者ではないかと思い始める。


 「と、とりあえず、これは私と洗濯長で対応しよう。

 あ、あまりにも高い高級素材品だ。

 製法も未知な方法で作られていて、仕立ても超一級品だ。

 丁寧に扱い、洗浄をしてみよう。

 洗濯長、今日は徹夜になる。

 休みなしで取り掛かかるとしよう。

 私も直接手伝う。

 乾かすのに、風と炎を使える魔法使いが必要だ誰か呼んできてくれ。

 朝までには仕上げなくてはならないぞ」


 「はい、心得ました」

 洗濯場なのに緊張が走る。



 俺は部屋の上階の高級そうな広い部屋に案内された。

 

 すごい広い部屋だな、金と黒の赤い模様が入った絨毯が引き詰められて、高そうな調度品の家具、部屋一面に書かれた神々達かな?


 天使が書かれている絵とか、異常なほどの成金趣味のした部屋だ。


 こんなところに泊まって良いのだろうか? ベットも大きいし、大きな白い1枚の大理石でできたテーブルもある。

 これってやばくないかと俺は焦り出した。


 緊張した中、椅子に座り休んでいたら、ノックが聞こえたので、つい日本語で

 「どうぞ」

 と声をかけた。


 従業員のメイドらしい人たちが何人も入って来た。


 食事の用意をし始める。それもすごい高級そうな食べ物ばかりだ。


 量も多いな、絶対に食べきれない。半分いや3分の1も食えないだろう。

 贅沢の極みって感じだな。


 従業員のメイドが2人がついていて、皿に取り分けてくれる。

 ワイングラスらしいコップに、飲み物も注いでくれる。


 これこそ夢ではないかと思ってきたな。

 俺は手早く食事をってしまう事にする。


 味は正直言うとまずかった。味全体が薄く、油ぎったものがほとんどだったのだ。


 肉など焼きすぎている感じがした。でも衛生面から焼きすぎている方が良いよねと思っていたけど。


 見事に見た目に騙されたって感じだったな。

 食事が終わってから夜もふけ眠ろうかなと思った時に、ノックの音がした。


 消灯かなと思ったら、風呂場で俺の体を洗ってくれた裸の首輪の付いた若い女性が2人はいってきた。

 薄い紫色の色っぽい服装で入って来たのだ。


 これってもしかして、夜伽というやつか。


 どうしたら良いのかわからず、右の女性に目をあわせたら、もう1人の女性が頭を下げ部屋から出て行ってしまった。


 部屋の蝋燭の火を数本消し、薄暗くする。

 首輪の付いた女性は服を脱ぎだし、ベットの中に入り込んだ。


 こ これって、そういう事なんだよね。

 据え膳くわずは男の恥って言うがどうしたら良い。


 この首輪の付いている女性は奴隷になっている人だよね。

 命令されて仕方なく仕事としてやらされているかも知れないな。


 もしここで俺が断ってしまったらこの女性はどうなるんだろう。

 それを考えると受け入れるしかないのか。


 それ以前に俺の息子が先ほど風呂場で出したのに、起きだしてしまっている。


 こ、これはどうしようもないな。これは女性に恥をかかせないためする行為だ。そう割りきってさせてもらう事にしよう。


 行為が終わって女性が部屋から出るときに、俺は予備に持っていた巾着袋の中に入っている金貨を1枚取り出し、手に握らせてあげた。

 女性は膝まづいて俺に礼らしき事を言っているようだった。


 もしかしたら、借金のために奴隷をやっているのかもしれないな。

 女性はろうそくの火を消して部屋を出ていった。


 なんか気の毒に感じてしまった。

 さっき渡した金貨が少しでも足しになり、借金が返せるのであれば良いなと思ってしまった。

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