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第66話 豆乳を作ってみた

 朝か、今日はどうやら曇っているみたいだな。


 日差しは入ってこないが、いつもどうりの時間に起きる。

 カラゲーを手に取り、時間を六時に合わせようとしたら、六時四十四分となっていた。

 元の世界と一時間近くズレているのが分かっていたが、四十四分のズレが有るのか?

 俺の体内時計の誤差も有るけど、それにしても縁起の悪い数値だ。

 なにか良くない事が、起きるのかと思ってしまう。


 ターナさんも、起きてしまったか。

 俺が起きるのが早いせいか、ターナさんにも早起きをさせてしまう。

 申し訳無いと思っている。

 寝る時間が早く、睡眠は十分とれていると思うのでそれだけは良いと考えて良いかな。


 やることが少しづつ増えてきたので、時間に追われる日が来るようで懐かしさを感じる。

 でも、今のうちそう思うえるだけかな。

 この異世界では何が起きるか分からないので不安なんだよな。


 今日のやることは決まっている。

 豆乳の制作と塩の生成だ。

 昨日の甘煮豆の制作は量的に少なかった。

 試しだったので、どの豆も小鍋の底が埋まる程度で三百グラムから五百ぐらいの間だろう。

 すべて目検討、手探りでやるのは面倒だが仕方がない事だ。

 正確な計りなど無いのだから、それに俺はこの世界の重さの基準も知らない。

 その前に文字も読めないのでどうしようも無いのだが。


 目検討で出来る物しか作らないが、それで良いだろう。

 それに俺が知っているのは、目検討で出来る簡単な物がほとんどだからな。

 失敗したら修正して造り直せば良い。

 その程度の物である。


 良い具合にみきわめたら、自分でレシピを作れば良いだろう。

 カラゲーが有るので、写真を撮ってメモして置けば良い。

 こういう時に有ると便利だな。

 本当はスマホが欲しいけど、さすがにこの世界に来ていないか。

 どの道、有ったとしても、電気が無いので充電が出来ず使えない。

 その点はソーラーシステムが導入している、このカラゲーは最適と言って良いな。

 でも、充電が不十分なので、時計代わりしかならないのが今のところの問題か。

 魔法でなんとかならないか探ってみたいものだな。


 今回は、豆乳を多めにほしい。

 身体がやけに欲しているのだ。

 確か豆乳を一リットル作るのに、大豆三百五十グラムと水千三百ミリリットルだったかな。

 今回は豆乳を三百ミリコップで二十杯分、約六リットルくらい欲しい。

 大豆約二キロと水八リットルの用意か。

  

 しかし問題がある。

 計りが無いのですべて、目検討になる。

 聞いた話だと、こちらの世界の計りは天秤仕様なので使い勝手が悪いそうだ。

 さすがにそんな測りまでは用意して貰うのは、難かしいと思って用意してもらっていない。

 目検討で対応するしか無いのだ。


 一応、水戻しの大豆に対して等倍の水を入れれば良いはずだった。

 その計算でもニキロ豆で、約豆乳六リットル出来るはず。


 今回もあくまで試しなのでこれで良いだろう。

 失敗しても問題はない。

 大豆は一般的に流通して手に入れられる物らしいからな。


 問題は大豆は生だと毒があるから、熱分解させなくてはいけないくらいだ。

 どの道一端煮るし、生で食べる人なんていないのだろう。

 まさかエルフの少女達は生では食べないだろうな。

 大きい生の空豆は毒が有るって言っていたから、生大豆にもある事を知っているのだろう。


 とりあえず目検討だが、大豆約ニキロ、水戻し状態で約五キロを使い、作業予定だ。

 ミキサーのような撹拌、擂り潰す機械が無いので、一端豆を煮てから柔らかくし、鉢ですり潰し煮る方法だな。

 ミキサーが有ればそのまま水戻した状態で、豆を砕いてしまっい生呉なまご状態にしてしまえば、そのまま煮る事が出来る。

 しかしミキサーが無いので出来ない。

 一端煮て柔らかくすると言う一工程多くやらなければならないんだよな。


 もっとも生呉状態だと毒があるから危ないんだよ。

 間違って子供など飲んでしまう事が有るみたいだからな。

 うちにはそんな人いないと思うが?

 わざと、一端煮る工程を入れたほうが良いだろう。


 熱くて潰すのに大変だと思うけど、やって貰うしかないか。

 あっ、魔法で熱耐性あげられるんだったな。

 それじゃ問題は無いかな。

 俺がやるのではないから良しとしよう。


 さてと、下準備に取り掛かろうかな。

 一度、熱とおしして、湯がいて置かなくてはな。

 ターナさんに手伝って貰い火然石の調整して貰おう。


 昨日の夜、豆の水戻しは、言われなくてもサレンさん達は手伝ってくれた。

 まぁ、豆を洗って水に浸すだけなんだけど。

 水も幸い俺がたっぷり育生したので有るからな。

 あれ、これって水属性魔法得意のアニスさんにやって貰うはずだったけど、俺がやっている。

 気のせいかな、サレンさんみたく使われてないよね。


 さすがに二人は朝から手伝ってはくれそうにない。

 いつもどうりに、朝食の準備が終わったら、のそっと起きてくるのだろう。

 この時間帯では絶対に、起きてこない事が分かっている。

 下準備の方が大変なので、本当はやって貰いたいんだが・・・


 「ターナさん、おはよう」

 「お早うございます」

 「悪いね、いつもこんな朝早くから、起こしてしまって」

 「ご主人様、私のお務めですから気にしなくて良いですよ。

 毎朝、私に謝らなくて結構なので、お気遣いなくお願いします」

 「そうだったね。

 そういえば、今日は言葉の魔法は使わなくて良いからね。

 今も普通に話せるから、そろそろ魔法効果で話せるようになった可能性が有る。

 それを確かめてみたい。

 様子見で今日は一端やめておこう」

 「分かりました、ご主人様」

 「もし、話せなくなったら、唇を人差し指で三回づつ何回か触るから、その時に言葉の魔法をお願いするね」

 「分かりました」

 「さてと、それじゃ今日は曇り空だけど張りきっていくかな」

 「はい」

 「今日は豆乳を作るので、昨日用意した大豆の下準備しておこう。

 下準備さえやって置けば、あとは楽に作れるからね」

 「そのようですね」

 「ターナさんには、いつも手伝って貰って悪いね」

 「別に気にしないで下さい」

 「ありがとね。

 豆乳は、ターナさん達エルフでもお腹いっぱいになれる物だから知っていても損は無いと思うよ。

 アレンジすれば豆乳のスープとか作れるから。

 メインになる食材になるかもしれないね。

 俺は料理の事は余り知らないけど、アニスさんとかにアレンジして作って貰えれば美味い料理ができると思う」

 「そうなんですか。

 期待しておきます」

 「量はちょっとだけ、多いから頑張ってやってしまおう」

 「分かりました」

 

 朝早くから下準備をしてしまう。

 終わったら、いつもどうり魔法の練習を開始した。

 日々の日課がこんな他愛ものない事で終われば良いなと思っている。


 朝飯の時間か、食事の準備が終わり給仕の従業員が帰って行った。

 それからいつもどうり、のそっと二人は起きてくる。

 ・・・

 食事も終わり、一息ついてから今日の作業に取り掛かる。


 「アニスさん、手順は昨日話したとうりだけど、今回は豆が煮終わったてから呼んでくれないかな。

 豆の潰し方と、煮方を教えるから。

 簡単な事なので、聞いただけでも分ると思うけど、一応教えるから」

 「お受けいたしました」

 「煮る時間は昨日と同じ三十分くらいで柔らかくなると思う。

 その時に呼んでね。

 くれぐれも昨日のような早くできる魔法は使わないで良いから。

 ゆっくり煮といてくださいな。

 それと、サレンさんは塩の方をやって貰えるかな。

 こちらは水分が無くなるまで煮るだけだから、時間がかかると思うけど、ゆっくりやってね」

 「分かりました」

 「俺はターナさんといっしょにトレーニングを開始するから宜しくね」

 ん、なんか今日はサレンさん達やけに眠そうだな。


 曇りだと日差しが入ってこないから、眠たくなるのかな。

 なんか年取っているお婆ちゃんに見える時が有るんだよな。


 「ご主人様、煮え終わりました」

 「おっ、煮え終わったか。

 三十分は早いな。

 今、行くね」

 トレーニングを中断し、ターナさんを連れて行く。


 「ご主人様、どうですか。

 湯切りしてボールに取ってあります。

 「おぉ、気が利くね。

 ・・・

 うん、良く煮えてるなこれだけ柔らければ、潰すのも楽だろう。

 それじゃ、この豆を、このすり鉢で潰して貰えるかな」

 「熱いから気を付けてね」

 「耐熱魔法を使っているので大丈夫ですよ」

 「そうだったね」

 ・・・

 「・・・

 全部擂り潰してしまってけど宜しかったのですよね。

 あぁ、全然問題ないよ。

 ・・・

 あそこで、指を加えている人は気にしないで良いからさ」

 サレンさんが物欲しそうに指を加えていたのが見えた。


 今回の目的は豆乳だ。

 大豆甘煮も出来るけど、今回はあきらめて貰おう。


 「さて、この潰した大豆を水を入れ、もう一度煮直して細かい布で濾せば完成だ。

 あっ、アニスさん。

 潰した大豆を三つに分けてくれるかな」

 「三つに分けるのですか?

 そうそう、水をどのくらい入れて良いか分からないんだよ。

 目検討で、調整しようと思ってね。

 それで三回に分けてやろうと思う。

 それに量がちょっと多いでしょう」

 「確かにそれは有りますね」

 「とりあえず、まずは等倍の水で煮て見ようと思う。

 一度、作ってみればだいたい分かるからね」

 目検討だが水を足して煮立て見る。


 「良くかき混ぜながら、煮えたったら十分くらい最初は強火で煮て下さい。

 !

 あ、ごめん、、間違えた。

 煮え立ったら中火で五分で大丈夫だった。

 それでお願いするね」

 「強火では無くて良いのですよね」

 「中火くらいで良いよ。

 強火で最初に煮るのは生の豆をすり潰した生呉状態だったから。

 俺の方で間違えたよ」

 「そうなのですか」

 「水戻し豆でもできなくはないんだ。

 でも硬くて擂り潰せないでしょう。

 出来るんだったら今度やっても良いけど。

 今は、柔らかく煮る一工程増やしてやっているからね」

 「確かに、水戻し豆はまだ硬そうですね」

 「そうなんだよね。

 ミキサーと言う擂り潰すアイテムが有るんだよ。

 さすがにミキサーはこの世界には無いので、煮て柔らかくしてから潰しだね。

 どの道煮るのは同じだからね。

 それに毒が有るから、熱で分解させないといけないしね」

 「理解できました。

 確かにその方が良いかと思います」

 「アニスさんは分っているんだね。

 それにアニスさんは掻き廻している姿が良く似合うね。

 さっき、擂り潰していた姿もそうだけど」

 「そうですか。 

 私はポーション造りで手慣れていますので、恐らくそう見えるのでしょう」

 確かに、黒いローブ来て、でかい壺に紫色の怪しい液体をかき混ぜている姿が目に浮かぶよ。


 別の意味で言ったのだが、機嫌よさそうにかき混ぜている。


 「そろそろ、五分たちますがどうでしょうか」

 「良し止めて、今度はボールに開けて漉してしまおう。

 やり方は簡単だけど、熱いから見本で最初は俺がやるよ」

 「耐熱魔法をかけますか?」

 「おぉ、お願いね」

 アニスさんに耐熱魔法をかけて貰う。


 魔法をかけて貰ったんだが、特に変化が無い?


 「あれ、これって耐熱魔法かかっているのかな。

 変化が感じられないけど・・・」

 「魔法は間違いなくかかっているのでご安心を。

 腕に青いオーラ状の膜が掛かっています」

 「青い膜?

 俺には見えないけど・・・」

 「魔法効果が見えるのは才能が関係しています。

 最初から見える人は稀で、魔法を習うにも適した人です。

 何年も修行を続けて、マナを見えるくらいにならなければ、魔法効果は見えないものがあります。

 スキル、サーチと言うのが合って、魔法効果などを見られるような魔法も有ります。

 それにゴーストなどの零体値も測る事ができますね」

 「幽霊HPかな?

 そんなのも見られるんだ」

 「エネルギー値のようなモノが感じられるのです」

 「なるほど、初心者のペイペイの俺では見えないのも当たり前か。

 サーチの魔法か、覚えておこう」

 「冷却効果時間は三十分は有ります。

 いきなり解けるのではなく、徐々に効果が薄れていくので、魔法が解ける感じが分ると思いますよ。

 この魔法は重ね掛け出来るので、効果がアップできます」

 「なるほどね。

 もしかして、今の状態でお湯に手を突っ込んでも火傷しないかな?」

 「お湯どころか炎にも直接触れるはずです」

 「ほほう」

 「私のような上級魔導士になると、そのような事など造作も御座いません」

 「と言うと、人によって効果が違うのかな」

 「そのとうりです。

 魔導士でも能力に差があるように、魔法も効果で差が有るのです」

 「なるほどね」

 なんかアニスさん胸を張って言ってるよ。

 よほど自身が有るんだね。

 

 潰し煮たてた豆を細かい布で濾す。

 最後に包んで潰した豆を、絞っていく。


 「おぉ、本当だ。

 まったく熱くない」

 湯気がたっているのが分かる。

 間違いなく熱いはずだ。

 ぎゅうっと力強く絞ったら、スラックスに汁が飛び散った。


 「あちぃ。

 おおい、熱かったんだけど、これって全身にはかかっていないのかな?」

 「はい、腕だけと申しましたが、全身の方がよかったですか」

 「・・・ 

 別に、大丈夫だよ」

 うーん、なんだかな。

 

 全身にかけられるなら、それでも良かったんだけど。

 アニスさんてこういうところせこいんだよね。


 「よし、絞り終えたぞ。

 これで出来上がりだ」

 「甘い、豆の良い香りがします。

 美味しそうですね」

 「そうだね、ターナさん。

 飲んで見れば分かるけど、甘くて美味しいんだよ」

 「そのようですね」

 「さすがにまだ熱いからこれでは飲めそうもないな」

 「お任せ下さい。

 私が魔法で冷やさせてもらいますよ」

 サレンさんが何故か一早く言ってきた。


 それにコップが四つすでに用意されている。

 さっきまで無かったはずなのだが、何処から持ってきたのだろう。

 サレンさんが持って来たのは確かだな。

 こういうところは目ざといな。


 「それじゃお願いするかな。

 飲めるくらいの温度までで良いから。

 出来たての温かい方が甘くて美味いんだよね」

 「分かりました。

 うまく調整させて戴きます」

 そう言って冷却魔法をかけていった。


 「このくらいでどうでしょうか?」

 「おぉ、良い感じじゃないかな。

 ちょっと味見してみるね」

 俺はコップに豆乳を入れる。


 「ゴクリ」

 一口飲んだ。

 そのあと一気に飲み干す。


 「ふぁー、濃いなぁ。

 こんなに濃くて美味いの飲んだ事ないよ。

 市販の物と全然味が違うな。

 豆の甘さがかなり有るよ」

 「ご主人様、私達にもいただけないでしょうか。

 あぁ、好きなだけ飲んでくれ」

 「それじゃ私達も戴きましょう」

 アニスさんがお玉でコップについでいった。


 みんなに入れ終わって飲み始める。


 「ゴクリ」

 「ゴクリ、ゴクリ」

 「ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ」

 「ほわわ、本当に美味しいわ」

 「甘い、甘いですよ。

 ご主人様。

 とても美味しいですね」

 「本当に美味しいですわね。

 これって砂糖は入っていないのでしょう。

 何故このように甘いのですか?」

 「美味いでしょう。

 栄養価がすぐに取れるから重宝するんだよね。

 筋肉にもってこいだ。

 でもちょっと味が濃くないかな」

 「私はちょうど良いと思いますよ」

 「私もです」

 「私はもっと甘くても良いと思います」

 三人は次々と足して飲んでしまう。


 !

 あれれ、ちょっとちょっと飲みすぎでは無いのかな。

 無くなってしまうよ。

 あれよあれよのうちに飲み干されて無くなってしまった。

 おいおい、確かに好きなだけ飲んで良いって言ったけど全部飲んでしまう事は無いんじゃないの?


 おれコップ一杯しか飲んでいないよ。

 だいたい二百くらいだよね。

 ニリットルくらい作ったはずだから、三人で分けると一人六百!

 でもサレンさんとアニスさんは凄まじい速さで飲んでいなかったか?

 それは飲みすぎだろう。

 豆乳だから腹に溜まるぞ。


 サレンさんなんか行儀悪く、ゲップしているよ。

 見た目奇麗な人がゲップしているのを見ると引いてしまうな。

 まぁ、中身はポンコツと分かっているけど、がっかりな事だよ。


 確かに俺は好きなだけ飲んで良いと言った。

 でも、全部飲んでしまうのとはそれは無いんじゃないの?


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