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第57話 食欲

 昼食も食べ終わったか。

 食った、食った久々に腹が膨れるまで食べたな。

 あれだけ動けば腹も減るわな。


 しかし、果物と野菜だけでは少々物足りなくなって来たか。

 此処はレイズさんに頼んで穀物を用意して貰おう。


 米があるならば、炊飯くらいはできる。

 豆でも良いな。

 苦い塩があるので、これを湯煎にかけてもう一度分離させれば、にがりが取れるかも知れない。

 そうしたら豆を潰して豆乳が出来れば豆腐が作れるだろう。

 おぼろ豆腐だったら、簡単にできそうだからな。 

 そう考えたら辛抱たまらなくなってきた。

 今までは、果物と野菜で十分だったのにな。

 人の欲とは尽きない物だ、余裕が少しでも出てくると色々沸いてきてしまう。

 それも知っている旨い食べ物があるとなると、手に入れたいと欲求にかられる。


 とりあえず、レイズさんが昼食後来ると言うのでもうそろそろだな。

 お金の事は多めに用意しなければいけないのが難点だけど仕方が無いか。

 とりあえず聞くだけでも良いだろう。


 そうこう考えていたら、オーナーのレイズさんがやって来た。

 それじゃ、ソファーで寛ぎながら話しでもしようかな。

 サレンさん達はまだダウンしているみたいなので余計な気を使わなくて済む。

 何故か、レイズさんにも冷たい視線を向けるからね。

 なにが気に入らないのか分からないけど、大概にしてもらいたいよな。


 「お待たせしました。

 アンドウ伯爵様、ご用件は従業員から聞き及んでいます。

 詳しくお聞かせいただけませんか」

 「あぁ、レイズさんに頼みたい事があってね。

 故郷で食べている物がちょっと恋しくなってしまったのだよ。

 作って食べて見たいんだけど、こちらには無い物ばかりらしいから。

 せめて材料が手に入るか聞いて見たくてね。

 それと、炊事とかこの部屋でやって良いのか聞きたくて。

 ちょうどベランダがある見たいのでそこで出来ないかと思って相談してみたいと思っていたのだよ。

 炊き出しの魔法のアイテムを持っているから、それで許可を貰いたいと思っていた次第だ。

 用件を聞いて貰えないかな」

 「部屋で炊事をおこなうのはご遠慮して戴きたいのですが、どうしてもって言うならば許可を出しましょう。

 火を使うのですよね。

 出来れば、外のテラスでやって欲しいです。

 この部屋から外のテラスへつないでいる扉の鍵をお渡しします。

 そちらでお願いできませんでしょうか」

 「おぉ、それは良かった。

 助かるよ」

 「買い出しの件は、構いませんですが、何分こちらで無い物はお取り寄せしか御座いません。

 伝手をたどって発注したいと思いますが、どのような物が御用入りでしょうか、お聞かせ下さい」

 「こちらに来る前に、露店で食料品を少しだけ購入したのだけど、それは非常食にしたいのでね。

 なるべくだったら使いたくはないんだよ。

 それで、似たようなものを用意して貰いたいんだ。

 買い出しに行っても良いのだが、何分、先日の魔獣襲撃事件で来ている公爵家の者達がまだうろついているのでしょう。

 奴隷売買の件もあるらしいから、しばらくは居るのでしょうな。

 俺は公爵家のキースを決闘で殺してしまっているから、なるべく公爵家の者達とは会いたくないんだよね」

 「その件は問題ないかと思います。

 神が正式に認めた決闘なのですから、公爵家の者でも手を出すことは許されませんから」

 「そうかな?

 でも今は大人しくしていたほうが良いと思うんだよね」

 「そういう訳でしたら、ご協力いたします」

 「ありがとね。

 とりあえずこちらで普通に売っている物だけど良いかな」

 「別にかまいませんがどのような物が入り用でしょうか?」

 「それじゃ、大まかに言うね。

 まずは米があったら良いのだけど無理かな」

 「米ですか?

 非常に厳しいですがあると思います。

 確か東の国から最近入って来た輸入品目にリストがあったはずです。

 玄米と言う物だったら手に入ると思いますが、白米でしたか?

 それだと時間がかかると思います」

 「おぉ、白米まで売っているんだ」

 「そのように聞いております。

 保存が玄米より難しいと聞いています。

 玄米を白米にするにはより時間がかかると聞いています。

 それなりの時間を貰えるならばお取り寄せできると思います」

 「それじゃ、お願いしようかな。

 白米の方が欲しいけど、先に手に入れられるのだったら玄米でもいいよ」

 「分かりました。

 馴染みの商人に発注をかけたいと思います」

 まずは玄米でも手に入れば良いかな。


 白米は精米機が無いとかなり時間がかかる。

 原始的なやり方で、すりこ木棒でやる方法があるらしいが途方もなく時間がかるらしい。

 ニ百グラムの玄米を瓶に詰め、すりこ木棒で上から落とし削る方法を聞いたことあるけど、半日かけて何とか削り取り、やっとのところ白米にして食べれたと言う話を聞いた事がある。

 ニ百グラムの玄米を半日、すりこ木棒で上下させて削っていたらしい。

 それなりに道具が無いと白米にするのは時間がかかるみたいだからね。

 この世界に専用の道具があるのだろうか。

 東からの貿易品が最近入って来た物だと言っていたから、削る道具も入って来ていると思うのだけどどうなんだろう。

 

 そういえば俺って東の国から来たことになっているらしいが、どういう事になっているのだろう。

 東の国から来ている訳ではないし、立場的にどうなんだろうな。

 東からの使者ではないよね。

 恐らくは、個人的に秘密裏に調査、観光をおこなう貴族と言う立場になっているんだろうな。

 特使とかだったら待遇がまったく違っているだろう。

 単なる東から来た貴族で済んでいるのだろうな。


 東の地域は魔獣が多くいるので人が来るのにも大変だと聞いているから、関係者に会う機会があるのだろうか?

 部族ごとに小国が集まっているみたいだから、会うようだったら適当に東の東の奥深い辺境の部族って言って誤魔化してしまおう。

 だって東の国なんて知らないもん。

 関係者にあっても説明も何にもできない。


 ・・・


 「レイズさん、あとは豆類が欲しいな。

 種類はいろいろあっても良いから、五キロぐらいずつ手に入れて貰いたい。

 あとは小麦があったらお願いしたい。

 こちらも五キロくらいほいしね」

 「豆類と小麦ですか。

 普通に流通している物で宜しのですよね」

 「うーん、そうなのだけど。

 こちらでどのような種類の物が流通しているか俺は知らないからね。

 俺の国で食べている豆と違っているとかあるでしょうな」

 「そうでしたね。

 これは失礼しました。

 取り急ぎ用意できる物は提供したいと思います。

 どうか失礼をお許しください」

 「別に良いよ。

 それじゃ、お願いするね。

 あとは調味料などを手に入れて戴きたい。

 かなり苦い塩と、砂糖、蜂蜜などの糖液などあれば良いかな。

 後は胡椒とかあれば良いのだけどな」

 「それならば、ありますけど。

 胡椒はそれなりに値段がします。

 あとかなり苦い塩とはどういった物でしょうか?

 苦いのは当り前です塩に違いがあるのでしょうか」

 「うーん、とりあえず塩が苦ければ良いかな。

 こちらの塩は苦いんだよね」

 「?

 苦いですが、そもそも苦くない塩なんてあるのでしょうか?」

 「それは・・・

 あるのかも知れないけど、こちらでは無いのかも知れない」

 「?」

 「まぁ、普通の塩で良いよ。

 それで、お願いするね」

 「はあ・・・

 分かりました」

 「それと調味料ではないけど重曹があれば欲しいな」

 「重曹ですか?」

 「そうそう膨らし粉、とかベイキングパウダーとか言われる物なんだけど、同じような物があれば欲しいんだよな」

 「あまり詳しくないので存じ上げないのですが・・・

 その手の者には知っているかも知れません。

 聞いてみましょう」

 「お願いしますね」

 「それじゃとりあえず、塩は三キロぐらい。

 砂糖は五キロぐらい、砂糖は多めでも良いからね。

 あと砂糖でも種類があるのでしょう。

 まとめて五キロくらいで良いから。

 あとは糖液類で蜂蜜を五百CCの瓶くらいで五つほどあと重曹があれば一キロくらいかな。

 これは無い可能性があるので無理して探さなくても良いからね。

 そのかわり蜂蜜は絶対に欲しいな。

 「了解いたしました」

 「個人的に使うのだったら量的には多いと思うのだけど、魔法の収納カバンに入れておくので持っていたいんだよね。

 あと、そうそう瓶が欲しいかな。

 奇麗な蓋のできる透明な瓶が、そうだな十個くらい欲しいんだよね。

 瓶は何個かあるんだけど蓋が良く閉まらなくてね。

 中の物が漏れてしまうんだよ。

 それに汚れが落ちなくてさ新しい物が欲しいんだな」

 「そうでしたか。

 ご用意出来ましょう。

 何でしたら瓶の方は私の方で引き取りますが、それか蓋屋がありますのでそちらに持って行きましょう。

 透明な瓶は貴重なので捨てるのは勿体ないと思います。

 磨ける職人もおりますので、私共に譲っていただけると助かります」

 「そうして貰えるのだったら助かるよ」

 瓶が貴重なのかな。


 !

 そうか透明な瓶が貴重なのか。

 当たり前のように元の世界では使っているけど、こちらの世界では透明に作るのが難しいのかも知れないね。

 そういえば持っているものは色付きの瓶が多かったな。

 それと蓋屋なる店があるのか。

 もしかして瓶に一つ一つ手作業で蓋を作るのかな。

 有り得そうだな。

 均等に円柱を作るのが難しいかも知れないね。


 当たり前に使っているけど、均等に円形に作るのはそれなりに技術が発達している世界では無いと無理だろうな。

 この世界はその水準まで到達していないのだろう。


 しかし瓶の蓋屋があるとは、面白い店が有るものだな。

 今度見に行って見たいと思う。


 「そうだそれと調理道具一式を貸して貰いたい。

 特に大なべをね。

 一応、キースが野外用に使う調理道具は合ったけど、それでは足りなくなるかもしれないので、借りられたらお願いしたいね。

 購入しても良いけど、それは次に外へ出かける時に購入しようと思っている。

 ちょうどルイージさんのお店に行くと約束があるのでその帰りにでも買おうと思っているから。

 本当は出かけたくないけど、約束してしまった手前あるから」

 「分かりました。

 そういう訳でしたら、お貸ししましょう」

 「それじゃ、お願いするね。

 それと、お代はどのくらいになるのかな。

 一応先払いで材料代で金貨十枚、手間賃で金貨十枚と考えているのだが足りるだろうか。

 無理だったら追加で出せるけど、それか材料を減らしても良いのだけどね」

 「代金の方は気になさらずに、貴族の方から当方は貰おうとは思っていません。

 アンドウ伯爵様は他国から来ましたので知らないようですが、貴族がお金を出すことは稀なのですよ。

 私共がご入用、用意しますのがあたりまえでしてね。

 従業員が少しばかり気に入ったら、お渡しして戴ければ幸いです」

 「なるほどね」

 えっ、気にいったらってどういう事?


 従業員と接する事なんて無いし、もしかしてそれって怪しい夜の仕事の事かな?

 有るのは知っていたが、俺には監視、見たいのがいるのでそんな誘い貰っていないのだが・・・

 やっぱりそう言う事をする斡旋てあるのだな。

 なるほど、と言ったところか。


 「そういえば、レイズさん。

 物が入りような時に、みんな頼んで用意して貰っているのかな。

 売店はこの宿屋に無いんだよね」

 「そうですが、売店とはどういうことですか?」

 「いやなに、これだけ大きい宿屋だったらさ、売店がロビーとかにあっても良いんじゃないかと思ってね」

 「ホテル内に売店を置いてあるところなどあるのですか?

 まさか、エンジェルハイロウでそのような行為をしている話は・・・

 アンドウ伯爵、貴方からは聞かされていませんでしたが・・・」 

 「あっ、そこではないね。

 俺がいた国では普通にあったのでね」

 「そのような事が、それで何を売っているのでしょうか」

 「うーん。

 煙草とかちょっとした食料品とか靴下とか普段使う物かな。

 日用品て言って良いだろうな」

 「なるほど、煙草など販売するホテルがあるのですね。

 それは興味深いです。

 ・・・

 ・・・

 煙草ですか私等は良くご注文を承りますね・・・

 なるほど、専用の店をホテル内に作っても面白いかも知れませんね。

 確かにちょっとした日用品とかもロビーにあれば便利な事はこの上ない。

 従業員の負担も軽減できるか、これはやってみる価値はあると言う事ですね。

 それにエンジェルハイロウではそのようなサービスはやっていない。

 うちで一早く取り入れるのも面白いではなかろうか。

 弟の店から商品など持ってきても良いな・・・

 ・・・

 ・・・ 

 ・・・」

 何やらレイズさんは独り言を言っているな。

 それほど興味を持たれた事なのかな。


 「レイズさん、レイズさん」

 「ハッ、失礼しましたアンドウ伯爵様。

 興味深い話だったのでつい・・・」

 「あの、俺の話おかしかったかな」

 「いえいえ、違いますよ。

 ホテル内に売店を置くなんて斬新な考えでして、私もあれば良いかなと思った次第です。

 特に煙草はホテルを利用するお客には多いので、従業員達も大変なんですよ。

 種類があり気に入りませんと買い出しに何度でもいかされると言う事がありますから、煙草専門店を置いても良いのではないかと思っていた次第です」

 「なるほど。

 煙草は部屋で吸ってもOK何だね」

 「別にそれは問題ないですがどうしてでしょうか?」

 「いやー、国では煙草を吸うところの場所が専門にあったりして、煙草の愛好家は肩身が狭くだんだんなっていますからね。

 それにヤニの匂いが部屋につくでしょう。

 嫌がられるところもありますからね」

 「確かに私共でも正直言いますと敬遠はしたいです。

 しかしお客様のご要望に応えるのが私共の務めですから」

 「なるほど。

 煙草は一応吸って良いんだよね」

 「アンドウ伯爵様はお吸いで御座いますか」

 「いや、まったく吸ったこともないからさ。

 俺の国では喫煙者が白い眼で見られるから、身体に悪いし、他人にも煙たがられ迷惑になるからね。

 特に子供に悪影響及ぼすので敬遠されているんだよ」

 「そうなのですか。 

 それはお辛い立場なのですね」

 「まぁ、俺は吸いたいとも思わないから別に良いんだけど。

 そういえば愛煙家が多いんだよね。

 部屋が煙草臭くなるけどどうやって掃除しているのだろう」

 「それですが、洗浄魔法を使える魔術師を魔術師協会に頼んで派遣して貰っています」

 「そうか洗浄魔法があったか」

 「そのとうりです。

 かなりの上位魔法ですので派遣されるのも高位魔術師ばかりです。

 使える魔術師も少なく、洗浄魔法は危険な魔法なので注意が必要なのです。

 それ故にお代金もそれなりに掛かりますし、何とか煙草の買い出しで上乗せして帳尻を合わせているのですが負担額が大きすぎます。

 少しでも減らしたいと思っていたところ、ホテル内に売店と言う話を聞いて考えてしまったのですよ。

 ・・・

 アンドウ伯爵様、余計な事を私は言いましたね。

 申し訳御座いません。

 深くお詫びします」

 「あっ、別に良いですよ」

 !

 ん、後ろにいる従業員の人がレイズさんに何かゼスチャーしている。

 なにかレイズさんに用事かな。

 なにかあるみたいなので、話をこれで終わりにして切り上げよう。


 「レイズさん、そろそろ話はこれで・・・」

 「そうですね。

 お頼みされた品、発注しておきます」

 「それじゃ代金はこれでお願いね。

 足りなくなったら言って下さい」

 「アンドウ伯爵様、お心遣い有難うございます。

 それでは失礼します」

 レイズさんは急ぎ足で従業員の元へ駆けつけた。

 そのまま素早く、どこかへ行ってしまったね。

 なにかあったのだろうか。

 まっ、良いかな。


 なんとか欲しい物は頼めたな。

 良かった事だ、恐らくは全部の材料は揃わないだろう。

 それは仕方ない事だろうな。


 しかしレイズさんと話をしている時に気になることがあった。

 洗浄魔法が危険とか言っていなかったかな。

 話は流してしまったので聞かなかったけど、なんかちょっとだけ気にかかるな。

 かなりの上位魔法だと言う話だし、使える者が少ないのか。

 エルフの三人の娘達は普通に使えるので気にかけていなかった。

 かなり便利な魔法だと思っていたくらいだった。

 と言うか毎日今のところ使って貰っているからな。

 

 確かにサレンさん達はちょっとだけ危ないと言っていたな。

 ターナさんの魔力が強くなったので抑えたほうが良いと言っていたからな。

 まぁ、魔法の匙加減があるんだろうな。

 確かに強すぎる魔法だと何の魔法でも危険になるだろう。

 上位魔法だから余計に扱いが難しいのかも知れないし。

 サレンさん達は毎日使っているし、匙加減も出来るんだろうから気にすることは無いか。


 さてと、午後からもトレーニング頑張ろうとするかな。

 最低でも外を安心して歩けるくらは力を付けたいな。


 午前中と同じ、いやそれ以上にトレーニングを積む。

 鏡台があったのを思い出し、自分映し出して空手の型を確認する。

 空手の先生の顔を思い出させないが、やっていた姿を思い出し、重ねるように型を繰り出す。

 うん、良いな、こんな感じだったかな。

 本来の型とは違うような気がするが、これは仕方ないだろう。

 小学生の頃に、一年だけ習った事だ、正拳づきと型しか基本的に教わっていないしな。

 魔法と組み合わせてオリジナルの武術を作るのだ、此処からは俺の器量次第か。

 努力あるのみと言ったところだな。


 しかし、鏡を見ながらやっていると自分の姿がカッコよく見える。

 始めたばかりなのに筋力も付き始めているので非常に面白い。

 面白い事は良い事だろう、飽きずにトレーニングを積めそうだ。


 ・・・


 夕方までみっちりトレーニングを積めた。

 今日はここまでにして身体を休めるとするか。


 夕食前に、俺が頼んでいた物の一部が届いたな。

 二、三日かかると思っていたが、早かったので驚いてしまったよ。

 まぁ、貴族などが利用する宿屋だから、我がまま言う奴がいるのだろう。

 今が今が今すぐ用意しろとか、ほざく連中が居そうだな。


 届いた物は、まずは塩と茶色い砂糖?

 三温糖ではないよな。

 精製技術が悪いので色が付いているのかな。

 湿った感じがするし、へんな匂いがするので大丈夫だろうか?

 舐めて見たら甘いが何か別の雑味がある。

 ちょっとだけ苦い感じがするのだ、砂糖なのに。

 そういえば何から砂糖を作るのか聞いていなかったな。

 それとは別に乾燥した砂糖があるな。

 これはキビ砂糖か、あっ、違うなこれは果物系から取った果糖か。

 似たような味の物を舐めた事がある。

 果糖は栄養価が高くて身体に吸収しやすいんだよな。

 今の俺にはちょうど良いアイテムだ。

 値段も結構良いので高級品なんだよな。

 問題はなんの果物からとったのだろう。

 まぁ、訳の分からない果物をいつも食べているから別に良いか。


 今のところ砂糖は二種類持ってきたけど良いだろう。

 砂糖でも結構、種類が多くありそうだ。

 使う幅が増えて良い事だろうな。


 あとは豆か、こちらも五種類の豆があるな。

 早めに持ってきてくれたのだから、一般的に流通しているものだろう。


 まずは大きな緑色の生の豆、空豆かな?

 しかしでかいな、一粒五センチくらいある。

 革が厚く、剥いて中の豆を食べるのかな?

 サレンさんが毒がある豆とか言っていたから、これが該当するのかも知れないな。

 後で聞いておこう。

 毒があるならば、灰汁とりしないといけない可能性が有るから聞いた方が良いだろう。

 まさか魔法で除去するのではないよね。

 ありそうなので怖いな。

 これは普通に塩ゆでして食べた方が美味しくないかな。

 あぁ、塩が苦いんだったか。

 まずはそれを解決しないといけないのか。

 塩のにがり取りやってから試してみようかな。

 

 生の豆は一つだけか。

 あとは乾燥したやつが四種類。

 これは困ったな。

 似たような豆があるのだが、異世界の豆だから調理法が合うのか分からない。

 まぁ、甘く煮るくらいだから大丈夫だと思うが。

 でも問題のある豆が一つあるんだけど、このブルーに光っている乾燥した豆はナニ?

 青と言いたいがブルーと言うほど鮮やかな色なんだよな。

 同じ青なのに何故かそう言いたい。

 あきらかに見た事無いものなんだけど、これは手が出しようがないな。 

 ちょっと怖いよ。


 その他の物は大きさが違うが見たことがある物だ。

 一つはなじみの大豆だ。

 これは問題ないだろう。

 いろいろ用途が使えそうだ。

 煮ても良い、すり潰して粉にしても良いのじゃないか。

 こいつだけは安心して問題なく使えそうだ。

 それとこいつも大丈夫だろう。

 小豆だ。

 色は少し赤黒く一回りほど小さいが、これは俺が居た世界の小豆と同じ物だろう。

 そうであれば黒餡子が作れるので嬉しい限りだ。

 白餡よりやはり黒餡方が上手いからな。

 それにこれは金時豆か。

 ちょうど良いな。

 潰さなくても定番な金時豆の甘煮が出来る。

 これは美味しいからな。


 研修で作った事があるので作り方は知っている。

 問題は一メートル以上ある巨釜で作ったのが違うだけだ。

 工場だから仕方ないのだが普通に鍋で似ても同じようなモノだろう。

 でも確か甘みはグラニュー糖以外にソルビトールとマルトースを使って煮たようだが。

 おなじ甘みの原料だ問題はないはず。

 と言うかこちらの砂糖はなにから作られてるかわからないしね。


 あと金時豆だったら甘納豆にも出来るか。

 他の豆でもできそうだがこれがちょうどいい大きさだな。

 まぁ、他の種類の豆とあわせて作っても彩りと味のアクセントがあって良いんだよな。

 問題は乾燥した砂糖を使いたいが砂糖が湿っているからな。

 果糖を使っても良かったのかな?

 それがイマイチ分からんな。

 物は試し実験でやってみても良いか。


 それとこれは無理があるな。

 出来ない事は無いが・・・

 なに、これ石みたいな豆は、確か名前は忘れたが似たようなのが合ったの覚えている。

 これって二日ぐらい煮汁を別に使って戻す豆ではなかったかな。

 重曹とか少し使って柔らかくするんだと思った豆だ。

 水でもやれるが三日以上かかるんだったよな。

 硬くて水戻しが大変な豆だね。

 すぐに使えないので、工場では使った事はなかったか。

 品管で新しい製品作るのに実験用に取り寄せてはあったみたいだったが。

 

 とりあえず、サレンさん達に聞いて、使用できそうな物だけ使おう。

 明日にでも作業を始めようとしようか。

 動けない暇な人がいるのでちょうど良いだろうな。

 水戻しだけ夜のうちにやっておいても良いだろう。


 明日の事を楽しみにして、腹いっぱい夕食を食べて休むとしようか。

 楽しみが増えたので今夜は良く眠れそうだよ。


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