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第53話 食事中の他愛もない話

 夕暮れ時か、魔法の練習は此処までにしておこう。

 

 だいぶコツを掴めてきたせいか、思い描くだけで魔法が使えるようになった。

 まぁ、定番なチート魔法使いって奴なのか。

 初級魔法だが、使えるだけでもたいしたものだろう。


 後ろからサレンさん達の殺気が感じられるので、余計緊張感が有り、逆に集中する事ができたよ。

 実際に魔法を使うのだったら、どんな場面で使うか分からないからこのくらいの殺気を受けて練習をしといた方が良いだろうな。

 問題なのは明日の朝、生きて起きられるかだ。


 ターナさんとのスキンシップを込めてお触りしていたが、やり過ぎててしまったのか。

 かなり気に入らないのかサレンさんが鬼のような顔をしていたのが分かったからな。

 怖くて後ろを振り向けなかった。


 まぁ、良いか、夕食を食べたら機嫌を直してくれるだろう。

 腹いっぱいになれば機嫌が良くなると分かっているからね。

 怒りやすいのも、糖分が足りないのかな。

 甘い物多く与えたほうが良さそうだ。

 何か食事に追加できるか聞いて見るか。

 

 明日からは筋トレやりながら魔法を身体に付与すると言う事をやってみよう。

 呼吸法を応用し、魔力を取り入れ筋力にしみこませる。

 俺の属性は土属性らしくクリエイトの造形物を創り出しやすい能力があるみたいだから、魔法と合わせて使用してみよう。

 残念ながらマナは見えないのでターナさんにでも見て貰いなるべく土属性のマナを身体に取り入れたいと思う。

 普通にマナが浮流していると言うのでマナが無くなると言う事は無いのだろう。

 別に違う属性のマナを使用しても魔法は発動できると言いうので問題はないはずだ。


 クリエイトに適した土属性のマナを取り込んで使えば、より筋力がアップができるかも知れないしな。

 肉体強化の魔法が有るみたいだから、まずはそれを習って、その魔法を持続するように変換させるイメージで筋力を造る用にすれば良いのかと考えている。

 脳みそをプリンに変換できるのであれば、筋力を理想の肉体に改造することもできるだろう。

 肉体づくりの新しい魔法だな、そう言うのもあっても良いだろう。

 

 モテる為に買ったトレーニング本の表紙の絵柄の男性に近い肉体を造り上げられれば良いな。

 表紙じゃなかったか。

 表紙の裏面に全身裸の黒のパンイチでボディービルダーのポーズ取っている写真があったんだよな。

 表紙はさわやかなTシャツを着たジーンズを履いたの筋肉がついた青年だったが、裏表紙はボディービルダーの顔だけ変えた写真と思うくらいに筋力が付いた青年だったんだよね。


 あの写真を見た時すごいなと驚いたよ。

 ちょっと大げさだったけどそのくらいの筋力が欲しいところだ。

 六つに割れてる腹筋なんてできるもんでは無いだろう。

 その写真の青年を理想に描いて筋トレをしようと思う。

 残念だが顔までは変えられないだろうな。

 でもそこそこ男前と自負しているのでそれは別に良い事だな。

 

 今から期待が高まって遣り甲斐が有りそうだよ。

 だいぶ日も落ちてきたな。

 そろそろ宿屋の従業員達が夕食の用意と夜用の明かりの支度をしてくれるか。

 

 ベットメイクと掃除、食事、夜用の蝋燭の取り換えの時は別に移動しなくてはいけないんだよな。

 もっとも引きこもって居るからこんな事になっていると思うけど、普通は居ない時にやるものだよね。

 そう考えると従業員達に迷惑をかけてしまっているのか。

 小額だがチップとか渡した方がよ良いのかな?

 この世界ではチップ制度みたいのは無い見たいけど、賄賂は普通に横行しているみたいだから。


 泊っている男性客が廊下で従業員にお金を渡しているところとかあったんだ。

 まぁ、そういう時には隣の部屋から夜中に変な声が聞こえるんだよね。

 これは賄賂ではないけど如何わしいサービスをしてくれているのだろう。

 それも此処では仕事として認識があると思ってしまった次第だ。

 たぶんこの世界では普通にある事だと思う。

 別に頼んでなくても高級宿屋では来てくれたしな。


 俺はエルフの娘達を愛玩用に使うと宿屋側に言って引き入れたのでそう言う話は無いのだけど、もしかしたら如何わしいサービスの斡旋があったのかも知れない。

 それを考えると非常に残念に思える。

 こればかりは仕方ない事だな。


 そいえば何故かサレンさんとアニスさんが宿屋の従業員を見る目がきついんだよ。

 ターナさんはそうでもないんだけど。

 従業員が来ると必ずと言って良いほど、怖い顔をしているんだよね。

 ベットメイク時に腕組んで見ている時があるからな。

 と言うかそれって俺が何時も魔法の練習中に受けている態度では無いのか。

 そういう性分なのかな。

 エルフの娘達って今一まだ良く分からないんだよな。

 Mな趣味は無いので俺には困るんだよ。

 

 「コンコン。

 アンドウ様、失礼します。

 御夕食の用意いたしたいと思います」

 「お願いしますね」

 「失礼します」


 とりあえず宿屋の従業員達が来たのでソファーに移動して待つ。

 あっ、やっぱりそうだよ。

 サレンさんとアニスさんが食事を用意するのを怖い顔して見ているよ。

 ターナさんはこちらに来てソファーで寛いでいるのに、ソファーに座って寛げばと言ってもかたくなにサレンさんだけは仕事ですからと言って座らないんだよな。

 夕食の準備に何故か従業員の様子を見ているんだよね。

 見ていると言うか威嚇していると感じられる。


 ハッ、まさか毒とか盛られていないか確認しているのか。

 いやー、それはさすがに無いか。

 朝は食事の用意が出来てからのっそりと二人ともを起きてくるからやはり違っているのだろう。


 もしかして自分らで食べられる果物とか確認しているのかな。

 残しておく果物とかあるんだよね。

 勿体ないので俺が貰って食べるのだけど別に何も言わないし毒は絶対に入っていないのだろう。

 どうやら果物でも食べられない物があるみたいだね。

 俺は問題なく食べてしまうんだけど、何が違うのかさっぱり分からない。

 俺は味が良ければなんでも食べてしまうからね。

 此処へ来て食べられない果物は無かったな。


 !

 と言うか、よく考えたら俺用に食事を用意しているから、エルフが食べられない果物が混じっていても当然と言って良いのか。

 うむ、エルフ用に改善は必要だと思うけど、無理して食事を用意して貰っているからこのままで良いか。 

 そこまで言うと宿屋側も嫌味に感じられるからな。

 と言うかサレンさん達をどうにかしたい。


 しっかしなんなんだよこの光景は、朝はまだ寝ているのでそんな事は無いのだが、夕食前はこんな感じで従業員達を威嚇しているんだよ。

 まったくもって怖いってもんじゃない。

 何か気に入らない事が有るから、仕事ぶりを見ているのかな。

 それが一番可能性が有るんだけど、その事は怖くて聞けない。


 ・・・

 

 従業員達の夕食の支度の終わり、大きい蝋燭に火をつけて部屋の中を明るくしてくれる。

 夜用の蝋燭をドアの近くに置いて、声をかけず深くお辞儀をして静かに帰って行くんだよな。

 食事の片付け時に夜用の蝋燭に替えて消灯する。

 これがいつものパターンかな。


 「夕食の用意が出来たので食べましょう」

 「分かりました。

 ご主人様」

 ちなみにこの時だけは三人ともとびきり良い笑顔を見せて席に座るんだよ。

 さっき従業員を見ていた人とは別人なくらいにね。


 「いただきます」

 普段どうりそう言って食事をとりはじめる。

 

 俺が一口、口に付けてから食べ始めるのが定番な事だ。

 最近、食べる量が増えたので、量を少しだけ上乗せしてもらった。

 少しだけ賄賂を渡したけどね。


 食事の量が増えたのが良いが、一向にエルフの娘達は太る気配がない。

 と言うかこの娘達大食いチャンピオンとか出られるのでは無いかと思っている。

 あの量の食べ物が何処へ言っているのか一向に分からない。

 胃の中に入っているのか? 

 お腹がまったく膨れないんだよ。

 

 そいいえば、大食いの人って一度食って収録終わったら、次の収録の前にトイレなんかで食べた物を全部履いてしまうって言う話を聞いたな。

 大食いの裏側が酷いって言う。

 食べるよりも履くのがきついって大食いの引退した人が暴露した話がある。

 食べるよりもうまく履けるのが大事だとね。


 それを聞いた時に何だそりゃとがっかりしてしまった。

 食べられる容量は有るので何かあると分かっていたが、実際に暴露話聞くと減滅してしまう。


 食べるより履く方がきついと言うのはおかしいだろう。

 確かに食べた物を履くのだから胃からの消化液もでて喉とか痛んだりするだろう。

 丸呑みでほぼ食うのだから、硬い物とかあるのは確かだよな。

 それで喉とか消化器官を傷めたりするのだったら大変な事だよな。

 大食いの暴露話を聞いたら、番組が面白く見えなくなってしまったんだよ。

 何事にも裏表は有るけど大食い番組は見たくは無い。

 食べ物を粗末にしている。

 それしか頭に残らなくなってしまったんだよね。


 でも今エルフの娘達が食べているのは違うな。

 間違いなく美味しそうに食べているのだ。

 何処へ食べた物が収納されているかは不思議に思うがね。


 「ふぅ」

 「どうしましたか、ご主人様、食事中に溜め息とは食事が合わなかったのですか?」

 「そう言う訳じゃないよ。

 美味しくいただけているからね」

 「ですが、やはり食事が合わないとしか思えませんのですよ。

 無理して私達に合わせているのではないですか?」

 「人間はどちらかと言うと肉や魚を好むと聞いています。 

 私達に合わせて無理して食べているのでしょうか?」

 「それは無いから気にしないで良いよ。

 確かに肉や魚は食べたいけど、こちらの世界では食いたいとまったく思わないしね。

 臭みがかなりあるし、衛生面で、屋台であれを見たら食べる気がまったく沸かなくなってしまったんだよね。

 見ていただけでお腹痛くなりそうだし。

 別の事でちょっと思った事があっただけだよ」

 「そうなのですか」

 決して君達が食べた物が何処へいっているのかなんて聞けないな。


 体積的にお腹の中に収まっているとは到底思えないんだよ。

 いくら果物は繊維と水分の塊だとしても、どう考えても体積的に合わないだろう。

 

 「そうでしたか。

 もしかして気になさったのは昼間の話ですか?

 あのような話を聞けば思うとこもあるのでしょう」

 「アニス別の事でご主人に気を使わしているのではないですか?」

 「?

 それはどういう意味ですかサレン」

 「どういう意味と言いますか。

 どうして食事前に服を脱いで寝間着に着替えるのですか。

 それもそんな透けている寝間着にですよ」

 「だって食事を取ると身体が熱くなるのですもの。

 この方が軽くて涼しので良いのですよ。

 別にこの事が、ご主人に気を使わしているなどしていないでしょう」

 「そうですかね。

 その薄い寝間着をなんとかして下さいと私は言ったでは無いですか、殿方にはその姿は刺激すぎますよ。

 そのうちご主人様に襲われますから」

 「そうかしら。

 ご主人様はどう思うかしら、私を襲ってしまいますか?」

 「・・・」

 「こら、アニスご主人様はターナと婚約したのですよ。

 嗾けるようなその言動は気を付けなさい」

 「分かったわよ。

 もう、そう怒らなくて良いじゃないの。

 寝間着だってこれしかないんだもん仕方ないじゃないの」

 「それだったら私の持っている寝間着が有りますのでその服を譲ります。

 食べ終わったら着替えて来て下さい」

 「ええ、あんな地味な服、子供だって着ないわよ。

 それも生地が厚くありませんか。

 サレンて本当にそう言うの気にしないのよね。

 それでは殿方が寄って来ませんよ」

 「余計なお世話です。

 別に見た目なんてなんでも良いでしょう。 

 機能性です。

 軽くて夜は暖かくて良いのですよ。 

 機能性が良ければ私は別に良いのです」

 「うーん、そこまで言うんじゃお借りておきましょうか。

 確かにご主人様はターナと婚約したから、これからは言動は気を付けたほうが良いみたいね。

 だから、サレンそんな怖い顔をしないでいただけませんか」

 「別に怖い顔などしていませんよ。

 その寝間着を気を付けてくれれば良いだけです」

 「私はちょっと残念だけど、そうですよねご主人様」

 「こら、また。

 アニス嗾ける事を言うのじゃありません。

 ご主人様もその気になったら駄目ですよ」

 「もう、分かったわよ。

 サレンて怒りん坊さんだから」

 「・・・

 それで、ご主人様、何か食事に不満が有るのでしたら、私どもからホテル側にクレームを申し上げますが、どうしましょうか?」

 クレームとは物騒な話だな。

 もしかしてサレンさんが不満が有り、何か言いたいだけなのかな。

 そんな感じがしてならない。


 「別に俺は今の野菜と果物だけで十分だよ。

 量的にもまったく問題ないしね。

 欲を言えば穀物が欲しいけど、こちらで料理したものはあまり口にはしたくないしね。

 パンとかこの世界の物は硬くて不味いのであまり食いたいとは思わないし。

 今のところはこのままで良いよ」

 「そうですか」

 「余裕が出来たらこちらにある材料を試して見て、俺が食べていた物が再現できるか作ろうと思っているけどね。

 それはまた後日の話だね。

 今はベジタリアンで良いよ」

 「人間でも肉を食べなくても生きていけるのですね。

 ところでベジタリアンて何ですか?」

 「採食主義者の事だよ。

 肉や魚を一切食べない人が宗教上でいるんだ。

 宗教とか関係なく動物を殺す行為が許せなくて食べない人とかもいるけどね。

 それを超えた人がヴィーガンと言うらしいから」

 「ヴィーガンですか?」

 「そうそう、絶対採食主義者の事だね。

 つなぎで入っている肉や卵など加工された食品でも一斉食わないと言う。

 恐らくだが君達エルフと食生活が似ているのではないかな。

 そういう人が俺が居た世界にはいるからね。

 だから別に俺が肉を食わなくたって平気と言う訳さ。

 それに日本人は百年前はほぼ一般的に肉は食っていなかったし。

 仏教徒は魚も食えなかったみたいだから。

 一般人は魚は食べるけど、それも生でその頃から食べていたみたいだからね。

 動物の肉はあまり食べられていなかったようだから。 

 奥深い森に棲んでいる地域の人が雉や猪を狩って食べるくらいだったみたいだからね」

 「生で魚を食べるのですか?

 そんな話は聞いた事もありません。

 食べたら死んでしまいますよ」

 「こちらではそうかも知れないけれど。

 大丈夫なんだよな。

 まぁ、詳しくは説明が面倒なので言わないけど。

 取った魚をその場で冷凍して保存すれば新鮮さを保てる方法があるんだよ。 

 あと血抜きが必要かな。

 美味しく食べる為に血抜きをして臭みを取る方法があるんだよ。 

 動物も魚も同じようにね。

 その方法を知れば君達も食べられるかも知れないね」

 「私はどんな方法があっても、やはり遠慮しておきたいですね。

 どうしてもあの動物独特の臭みが気になりますから。

 肉などは食べても身体には影響はないのですがどうもあの獣臭い匂いが嫌なのです」

 「なるほど、やはり食べられる事は食べられるんだ。

 日本に来て食べさせてあげて見たいよ。

 臭みが無いので君達でも肉や魚が食べられると思うんだけどね」

 「私達が美味しく肉を食べられるなんてそんなんことは有り得ませんわ。

 いくら異世界だってそれだけは考えられません」

 「うむ、確かに、それはあるかな。

 あくまで俺が予想してみただけだからね。

 ごめんね、気に触ったら謝るよ」

 「別に気にしていませんけど、ご主人様達の祖先は肉を食べていなかったのですよね。 

 突然、食が変わるって事はおかしい事ですよ。

 何かありましたのですか?

 よほど何かが無ければ変わらない事だと思います」

 「確かにそれもそうだね。

 大きな戦争が八十年前にあったからね。

 それも世界大戦だ。

 街が焼野原になるほどの食糧事情が枯渇した時代があったから。

 何でも生きる為に食わなくてはいけない時代があったんだよ。

 あくまで人が食べれる物だよ。

 それに他国では肉を普通に食べていたから、美味しい食べ物が有れば真似して食べるのは必然でしょう。

 それで食べられる物が広まればなんでも口にすることになるから」

 「ご主人様の国で私達が美味しく食べられる物ってありますか?」

 「うーん、そうだな。

 今食べている物が美味しいと感じていれば、加工した物がより美味しく食べられる物がたくさんあると思うよ。

 と言うか、果物はともかく野菜はほとんど加工して食べるからね。

 その方が美味しい物がたくさんあるんだよな。

 それは何処でも一緒でしょう」

 「そうなのですか。

 私達はそんなには料理はしませんよ。

 水は貴重ですし、火を起こして料理するのにも長時間かかると薪とか必要ですから、ある程度の物資が必要になります。

 家庭では鍋で水を沸かし、野菜や豆などを入れ煮たて、塩で味付けするのが一般的ですからね。

 味が美味くついた料理はお店でお金を出して戴くのが普通です。

 その為に働いてお金を稼ぐのですから」

 「そうなの・・・」

 ちょっと待て俺が考えていたお金の使い方がこの世界では違うのかな?


 まずは生活用品の為にお金を使うのが普通なんだよね。

 生活用品それは食料品も入ると思うのだけど、違うのかな。

 食料と食料品がは違う部類に入るの?

 サレンさんの良いようだと娯楽品の為にお金を稼ぐ言い方をしている。

 まぁ、家で野菜など作っているのであれば食料はお金を払って買う物ではないのか。

 特に欲しい物が無ければお金を稼ぐ必要が無いって事かな?

 

 あぁぁ、そうか、そう言う事か。

 お金を使う、貯めるって習慣が少ないのだな。

 それかわざとしない又はできないって事だろううな。


 確かロシアのユーチューバーで自国では貯金をしないと言う動画を見た事があった。

 子供のころ欲しいおもちゃとか買うのに小遣いを少しづつ貯めていたが一年後物価が倍以上に変わってお金を貯めても買えないと言う。

 国の情勢でお金の価値が変わるから、まず貯金ができないと言っていたな。

 日本に来て初めて貯金をしたとか。

 二十年たってもほぼ日本では値段が変わらず、ジュースでも値段が上がっても十円か二十円なのが信じられないと言っていたな。

 お金を貯めてもインフレして弾けて、国が通貨事態変更することにもなり、前のお金が使えなくなることがあるとか。

 そう言う事が有ったのでお金の価値が不安定で信用できないと言う。

 通貨事態国が変えてしまうのだから信用できないのだろうな。


 それに父親が働いていたチーズ工場で給料が支払われず、現物支給で大きなチーズ三つが一カ月の給料代わりに支給されたとか、庭で野菜を育てそれを食べながらなんとか苦しい状況を凌いで生きていたとか、そう言う話を動画で言っていたな。


 日本に来日してあまりにも物価が安定していて驚いたとか。

 日本は物価が高いと言う話を聞いたが、それは質の良い物ばかりなのでそれを考えると実際は物価がとても安いと言っていたな。

 むこうでは買ってもすぐ物が壊れるし、食べ物も新鮮では無い物が普通に売られているらしいな。

 それを考えると日本は物価がものすごく安いと言う話だね。

 まぁ、壊れてすぐ買い直すのだったら逆に高くつくしね。

 

 こちらの世界はそれ以上に過酷な感じがするのでもしかしたらお金が入ったら貯めずに娯楽にすぐ使ってしまうと言うのが当たり前なのだろう。

 お金が有るのは一部の人のみなのか。

 貴族みたいな奴らは搾取する方なので勝手にお金が入ってくると思っているのだろう。

 金持ちは何もしなくてもお金が入ってくると言う話があるから、貴族はその部類に入るのだろうな。

 異常な特権もあるし。

  

 「一応聞くけど、それって美味しいの?」

 「美味しいかどうか分かりませんが、一般的に食べられている物です。

 お腹が膨れて生きられれば良いのです」

 「そうなのね・・・」

 あぁ、やはりそうなのか。

 お腹が膨れて生きられば良いんだ。


 ?

 あれ、でも水って魔法で創れるけどそれって利用しないのかな。

 水が貴重なのは分かるが応用で魔法水を使わないの?

 火も同じだよね。

 魔法をうまく利用すれば生活にやくにたつと思うんだけどどうなんだろう。

 生活では魔法を使わないのか。

 ある意味、力があるのに勿体ない事だよな。


 それに生きられれば良いと言うけど何をもってして生きれれば良いのだろうかな。

 楽しみがあって生きるのではないのか。

 なんか話が噛み合わないところが有り、俺としては理解が苦しむ事が有るんだよな。

 それほどこちらの生活環境が過酷と言って良いのか。

 ドラゴンが亜人を連れ、町に略奪しに来るのだから相当にやばいところだと分かっているが理解が難しいな。


 「確かにそう言いう事があるのか。

 ・・・

 でもちょっとだけでも食べ物を加工すれば簡単に美味しい物が出来ると思うけど」

 「それはどういう物ですか」

 「料理では無いのだけど、例えば果物をちょっとだけ加工するとか。

 このみかん少し酸っぱいけど、一つ一つ分離して皮をむき、甘い砂糖蜜で一日つけたりすれば、甘いみかんができるよね。

 蜂蜜につけても良いだろう。

 それだけでも美味しいと思うよ。

 それを応用して、果物を潰して砂糖を入れて煮詰めればジャムになるでしょう。

 加工した食品になる。

 ジャムにしてパンに塗って食えば甘くて美味しくパンが食べられるしね」

 !

 あれ、こちらにはジャムは無いのかな?

 そういえば見たことが無いな。

 蜂蜜のような甘いのが固いパンに塗ってあったのは知っているけど。

 ジャムがあったかが分からないな。


 「ジェムがあるか知らないけど、パンに塗って食べれば美味しくいただくことは出来るのは確かだよね。

 それにこのみかんの革だって加工すれば美味しく食べられるしね。

 捨ててしまうんだよね、これって。

 「そうですが・・・」

 煮沸消毒して乾かして、細かく千切りに刻んで砂糖を塗しながら乾燥させればピールになるし。

 それにみかんの革って食べなくても、汚れを落とす成分とか入っているから洗い物にも役にたつしね。

 他にはこの林檎みたい果物を薄く切って天日で乾燥させるだけでも林檎チップスになるから、日持ちが出来る加工食品にもなるし、難しい料理しなくてても美味しく食べられる方法はいくらでもあるからね。

 まさか切ってそのまま食べるとか、塩かけて食べるとか無いと思うんだけど違うのかな。

 と言うか今食べている野菜は切ってあるだけで、そうなんだけどどうなんだろうか」

 「ご主人様、今食べている方法が一般的ですが・・・」

 「そうなのね・・・

 なるほど。

 料理はあまりしないんだね、君達は」

 「料理は料理屋で食べる物ですから」

 「それは勿体ないな。

 一工夫すれば美味しく食べられるのに。

 君達は豆類も食べるのでしょう。

 お湯で一晩湯煎して豆をふやかせれば柔らかくなる。

 柔らかくなった豆を砂糖などで煮詰めて甘くし、それを潰すか越してやれば甘い餡子が出来るからね。

 まぁ、潰して餡子にしなくても、甘くて美味しい煮豆が食べられるしね。

 餡子状態にすれば非常に使いやすく、結構なんでも合うから米に包めばおはぎににもなるし、潰して餅状態にしてあえればあんころ餅に簡単にできるし、ジャム同様にパンに挟めばアンパンとして美味しく食べられるしね。

 「お豆は私達でも食べますけど、毒が少し有りますよ。

 その為茹でるのですが・・・」

 「あっ、そうだったか。

 確か空豆とかお多福豆とかとには革に毒があったはずだね。

 毒は熱に弱いから茹でて灰汁を取るはずだったか。

 茹でると灰汁が出るよね。

 それを取り除けば毒を除去できるよ。

 何回か茹で直して灰汁を取って革をむけば中の身は安全に食べられるからね」

 「そうでしかた」

 「一応、俺の居た世界ではそうなのだけどこちらではどうなのか分からないな。

 ただ料理とは美味しく作るだけではなく、安全に食べられるようにすると言う意味合いもあるしね。

 そう考えるとこちらの世界で料理が発達してないのは残念な事だよね。

 食べられる物が限られてしまうからね」

 !

 もしかして三人が果物を手に付けないのが有るけど、それって毒があるのかな。

 まぁ、エルフには毒な果物が有るのだろう。

 俺は、普通に食べても大丈夫なのでそれは気にすることは無いか。


 「・・・

 他にもきりがないくらい考えればレシピがあるし工夫次第では別に肉や魚など食わなくても美味し物などたくさんあるからね。

 パンだって小麦から作るのは普通だけど米からだって工夫すればできるから。

 こちらでは酵母を作って入れられていないみたいだから、パンが固いみたいだけど、酵母なんて果物からできるから、それを使えば柔らかいパンが焼けるしね。

 あれ重曹が必要だったかな?

 でもなんか似たようなものがこの世界でもあったような気がするな。

 まぁ、いろいろ美味しい物は有るんだよ。

 こちらの世界でざっとだが調味料とか見たけどそれを使えば旨い物くらい簡単にできそうだからね。 

 味の好みが有るから俺が美味しいと思うのが違ってきているのかも知れないから一概には言えないんだがね」

 俺の話を聞いてエルフの少女達三人はポカンとしている。


 サレンさんなんか口からよだれが垂れているよ。

 何か美味しそうに想像したモノが頭の中で浮かんだのだろうかな。

 でも俺が言ったモノは料理ではないんだよな。

 それでよだれ迄たらすとはこの世界の食生活ってどうなっているのだろうか。


 「サレン、口からよだれが垂れてますよ」

 「えっ、そうだったかしら、私としたことが・・・

 ご主人様が話したことを聞いたらなんか想像できて、美味しそうに思えただけですよ。

 確かに砂糖水に酸味のある果物を付けるだけでも美味しそうですね。

 それにジャムですか。

 良い事を聞きました。

 後で試してみます。

 あと豆を甘く煮たてて潰せば、餡子と言うモノが出来るのですよね。 

 私でも簡単に出来そうなので、是非教えて貰いたいです」

 「えっ、今まで本当に果物を切って食べていただけなのか、勿体ないな。

 もしかしたら酸っぱい食べられないレモンとかまったく食べなかったりしてね。

 苦いライムとかも。

 甘い砂糖水に少しだけ絞って混ぜてジュースにすればとても美味しい飲み物とかできるよ。

 酸っぱい酸味をかなり抑えれば甘いく美味いものになったりするから。

 まさかそんな事も知らないとはやはり文化形態がだいぶ俺の居た世界とは違うみたいだね」

 「あ 甘い 砂糖は髙い物ですからそれは仕方ない事です」

 「確かに、でも高いみたいけど普通に売っていたみたいだよ。

 それに蜂蜜らしき物も見かけたしね」

 「ご主人様の世界ではそんな簡単に甘みがある調味料が手に入る物なのですか」

 「うーん そうだね。

 いろいろ甘みが取れる植物を大規模に作っている農家が有るし、それを加工している大きい工場が世界各地でたくさんあるからね。

 手には簡単に入るかな。

 値段だってそんなにはしないよ。

 そこにある大きいみかんが有るよね。

 それが五個と同じ重さの砂糖が買えるくらいの値段で売っているかな。

 砂糖一キロで二百円しないからそう考えると、砂糖の方よりもそのみかん五個の方が高いかも知れないか。

 みかんは国内では季節もんだしな。

 それも砂糖はこちらで見た茶色い砂糖ではなく真っ白な甘い砂糖がね」

 「ゴクリ。

 そ それは本当の事なのですか」

 「本当の事だよ。

 あれ、もしかしてサレンさんて甘い物が好きなのかな」

 「べ 別にご主人様の話が上手なので興味を持っただけですよ。

 それに甘いものはみんな好きだと思いますから。

 私が特別に好きとかでは無いですよ」

 「なるほどね」

 これは良い事を聞いたな。

 サレンさんは甘い物を餌にすれば、簡単に釣れてしまうかも知れないな。


 今度適当に甘い菓子を作って餌付けでもしてみようかな。

 材料さえ手に入れれば何とかできるだろう。

 キースが持っていた魔法の炊き出し用のアイテムがあるしな。

 それにこの部屋にはベランダがあるからそこで作ってみても良いかも知れないな。

 従業員に買い出しでも頼んで見るか。

 この宿屋かなり大きいけど売店とか中にないからな。

 有れば良いのだけ勿体ない。

 

 甘い物を与えればサレンさんを餌付けできるかも知れないしな。

 それに糖分が足りないから怒りやすくなるのだろう。

 その為にも甘い物を取らせた方が良いよな。

 明日、聞いてみよう。


 「でもご主人様って本当にお話がお上手ですよね」

 「えっ、ちょっと心外だな。

 別に上手く話しているわけではないよ。

 本当にできる話しているだけだからね。

 疑われているのならば実際にやってみても良いよ。

 そうすれば嘘では無かった事が証明できるからね」

 「申し訳御座いません。

 疑ってしまって・・・」

 「まぁ、別に良いよ。

 気にしていないから、文化形態が違っているのと技術の進みが違うだけだから当然の事だとは理解できるよ。

 俺の居た世界では魔法なんてないしね。

 それだけでも大いに違うから、それと単一種族で知的生命体が人間しかいないからね」

 「そうでしたね」

 「後で機会が有れば、君達が美味しくいただけそうな物、試しに作ってみるからそれを教えてあげるよ。

 誰にでも簡単に出来る物だからね。

 でも料理では無いから、それ以上の事は自分で考えて料理してみれば良いんじゃないかな」

 「それは嬉しい限りです」

 「お願いします」



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