第48話 筋トレ
「うーん、朝か、いつもどうりの朝が来たのか。
いつもどうりか?
まぁ、良いか、生きているみたいだからな。
さてと、カラゲーの時間を6時に合わせて起きだすとするか」
カラゲーが手に入ってから朝6時に時刻を合わせる。
これが朝起きて最初にする俺の仕事だ。
魔法の練習は今日はどうしようかな。
まだ習いたてだけど、そこそこコツが分かって来た。
前からやりたいと思っていた体力のトレーニングも始めて見たい。
正直魔法の練習だけでは飽きてしまったのだ。
あと、なんだかんだとサレンさん達が口うるさいので、習うのが嫌になってしまったんだよね。
自分のペースでやりたいんだよ。
そこまでしなくても良いと思うほど口うるさく言うのだ。
俺は雇い主だよ。
それに魔法については初心者だ。
なんでそこまで魔法分野を追及されなくてはいけないのかと思うんだよな。
こだわりがすごいんだよね。
エルフの人達って魔法の事をどうしてそれほどこだわるのかな?
それこそ魔法の深淵を除きこむくらいの勢いで語るんだよね。
それともエルフって種族の特徴かな?
プライドは高いし、意外と気性が激しいんだよな。
見た目は美しいが、俺が思っているエルフとはなんか違うような気がしてきた。
森の番人ではないイメージだね。
それにサレンさんが言うには、魔法を極めるのだったら、一度、魔法力を全部使い果たし枯渇した状態を経験したほうが良いと言ってきたのはびっくりした。
なんかどこかで聞いたような話だけど、それって危険じゃないのかなと聞いてみたら、思ったとうりに危険な事だけど、一度経験して復活できれば魔力の上限が大幅に上がると言っていた。
どこぞの危ない戦闘民族かと突っ込みを入れたくなったね。
それは上級者が、レベルが上がらなくなって最終的にやる手段じゃないかな。
習いたての俺がやる事じゃないよ。
俺の事なんだと思っているのか疑問に思う。
それともエルフの種族って魔力が高いけど、そういう危険な事を体験して魔力を上げているのかなと思ってしまった。
それを実際やっていたら、かなり危ない種族だよね。
確かに魔力の枯渇するのを、経験したほうが良いかも知れないが、俺にはバッシブスキルは常時発動しているチート能力があるのでそれが無くなると今は困るんだよ。
と言うかバッシブスキルを一日中発動しているから、魔力の量それなりに多いと思うのだから、別に魔法力を底上げしなくては良いのではと思っている。
自然に使っていればその内上がるだろうって感じかな。
それに魔力を使いきると、指一本動かすのもできない状態に陥いり丸一日は動けないみたいだ。
稀に死人も出ると言っていた。
上位魔法を覚える為には必要な事だとも・・・
俺って中級魔法どころか初級魔法がやっと使えるくらいなのに、そんなこと言われても困ってしまうよな。
死人も出るほどの事をやらなければいけないなんて、生き残っても寿命とか縮んでいるのではないかな。
エルフは長寿らしいので良いけど、俺は人間だよ。
あきらかに無理があると思うんだが・・・
死ぬような思いをするまでやることは無いよな。
とりあえず一端休憩を挟んで体力づくりのトレーニングをやろうと思っている。
此処は体力づくりもすると言う名目で魔法の練習を減らしたいと思う。
それに筋力も付けておいた方が絶対良いだろう。
やはり体力あってのものだからね。
それじゃさっそくカラゲーのメモ帳を開きスケジュールを追加するか。
一応、予定として魔法を練習してから、一端休憩を取って昼食の前に一時間ほどおこなうことにしよう。
あと念のためマッサージ時間も入れておこうか、いくら鍛えても怪我しては意味ないしね。
それにしばらくやっていないから筋肉痛が絶対出ると思う。
昼食は時間を計っていたら、だいたい十三時くらいにいつも用意してくれる事が分かった。
十一時頃から一時間だけ肉体造りを始め、あと三十分くらいマッサージにあてよう。
マッサージと称していたづらできるかも知れないしね。
疚しい事を少しだけ思っている。
ジョギングもしたいのだがこの世界で外を走るのは危険だろう。
今はとりあえず筋トレのみ追加する事にしよう。
筋トレ方法は大学時代に女の子にモテたい為に、「モテる男の筋力造り」と言う怪しい本を買ったのでやり方は分かっている。
値段は結構したんだよな。
中身は普通の筋トレ本だった。
一応、インナーマッスルを鍛える呼吸法などのやり方も載っていたので参考にはなった。
美しい筋肉を作るのには必要とか書いてあったね。
おかげで腹回りの下の筋肉を鍛えづらいと聞いたが、付くようになったんだよね。
確かに普通のやり方では鍛えられない方法が載っていたので買って良かったと思う。
呼吸法の筋力造りを参考にして、魔力を取り入れたトレーニングができるか試してみようかな。
まぁ、普通にインナーマッスルを付ける呼吸法に魔力を含ませるだけだからなんてこともないんだけど。
一つ心配なのは魔法の練習を減らすとサレンさんが機嫌が悪くなるかが心配なんだよな。
なんかこのところサレンさんの顔色を伺うような感じがしてならない。
サレンさんて真面目で厳しい人なんだよな。
お母さんみたいに怒るのでその事が嫌なんだよ。
奇麗な人なのに勿体ないな。
そういえばサレンさんて年いくつだろう。
ターナさんが一番幼く見えるのだが、それでも三人とも見た目同じくらいに若く見える。
おかしな話、サレンさんはターナさんの事をたまに、あなたはまだ子供なのですからと言う時があるんだよね。
エルフって若い時の時間が長いらしいからサレンさんてもしかして結構年がいっている可能性があるよな。
それに朝起きるのが遅い。
ターナさんは俺が起きると同時に元気よく起きてくるのだが、サレンさんとアニスさんはまだ寝たままでいる。
ゆっくりと朝食前に貧血気味で起きてくるんだよね。
年なのかなと思ってしまった事があったよ。
まっその事は良いか、とりあえず今日から筋力造りをするメニューを加えよう。
真面目にやっているのがわかれば魔法練習の時間省いても文句は言われないと思うからね。
そう考えていたらターナさんが起きて元気よく挨拶をしてきた。
「お早うございます。
ご主人様、言葉の魔法かけますね」
「お早う、それじゃお願いするね」
一応、言葉の魔法を使わなくとも分かるのだがかけて貰う事にする。
今までずっと言葉の魔法をかけて貰った影響かな。
自然に話せるようになってしまっている。
魔法って不思議だね。
しかし、ホントにターナさんて朝から元気だな。
それに比べて二人はまだ寝ている。
ホントに年が結構いっているのではないかと思えてくるよ。
とりあえず朝からやることは無いので、まだ整理しきれていないアイテムをターナさんが分かる分だけ調べて貰うかな。
アイテムによってどんな効果があるかも詳しく知りたいしね。
試しにちょっとだけ、使ってみるのも良いな。
二人が起きるまでやることにしよう。
朝食の時間になり二人は起きてきた。
いつもどおり食べ終わって一息ついてから魔法の練習を始める。
食事が終わった時に今日のスケジュールをだいたい言っておいた。
筋トレをする事も話しておいた。
俺が持っているアークファクト?
カラゲーなのだがちょっとだけ説明しておく。
アーティファクトと知って三人は興味深々で見てきたね。
大切なものだからと言って念を押して話しておく。
とりあえず十一時になったらアラームが鳴る事だけ知らせておいた。
アラームが鳴ったら魔法の練習は止め、一息ついてから軽装に着替えて今度は筋トレをすると言う事は話してはある。
携帯のアラーム音でピクリと三人は反応をするので、それが結構面白いんだよな。
事前にアラーム音を聞かせたが、聞いたことのない音なので、かなりびっくりしていたようだ。
確かに自然界には存在しない音だから気になるのは無理もないかな。
三人とも軽装に着替えきたようだ。
おいおいアニスさんなんかちょっと下着に近い格好だけどそれで良いのか。
汗かいて濡れて見えてしまうところがでるぞ、俺には目の保養になるけど、それを見ていると真面目なサレンさんが怒りそうなのでちょっと遠慮して戴きたいな。
後でぼそっと話しておくか。
それじゃ始めようとするかな。
「朝方話していたとうり、これからは体力を作る筋トレおこなう。
怪我しないようにやりましょう」
一言いってから筋トレを始めた。
サレンさんから異論が出ると思ったが、体力づくりはした方が良いと素直に受け取ってくれた。
それと俺がどのような筋トレをするか、興味があったみたいだね。
他ではどんな事をやって体力造りしているか知りたいみたいだね。
とりあえず俺がやっていた方法を見せる。
しかし俺が筋トレをし始めたら、冷ややかな目でサレンさんは見ていた。
ターナさんとアニスさんは俺と同じように筋トレを真似して始めたんだけど・・・
「ご主人様、いったい何をなさっているのですか・・・」
「えっ、何って見れば分かるとうりに筋トレだけど、何か問題があるのかなサレンさん」
「体力造りですよね。
それなのに、どうして両手を床について腕をゆっくり上げたり下げりする状態を繰り返すのかと疑問に思いまして・・・」
「えっ、俺のところでは普通に腕たて伏せとかやるけど、まぁ、ゆっくり姿勢を整えてやる方法は一般的とは違って怪我しない方法を取ってやっているからね。
ちょっとだけ違うのだけど何か問題あるかな」
「問題と言うか、ただうつ伏せになって起き上がる動作を繰り返ししているだけですよね。
それがどうして体力づくりになるのか私は疑問に思います」
「うーん、なんて言うかやってみれば分かるけど、その前にサレンさんがおこなっている体力造りってどうやっているんだろう。
教えてくれるかな」
「私達のですか。
私達の場合は両手にこん棒か槍を持って全身を使い振り回す方法を取っていますが、違うのでしょうか?」
「あっ、もしかしてあれか」
恐らくだが少林寺の動画で見た事がある。
たぶんこん棒を振り回すやつだな。
恐らくサレンさんはあれと同じ方法を言っているのだと思うのだけどあれって筋トレになるのかな。
修行だよね。
それにあんなの普通の人がやったら絶対怪我して大変な事になるよ。
筋力ついていない人がやったら間違いなく怪我して病院行きだ。
俺が思っている筋トレとサレンさんが思っている筋トレにはかなりの差があるな。
これは相容れない問題だろう。
これはサレンさんが怒りだす前に、きちんと説明しておかなくてはいけないな。
と言うかなんで怖い顔して俺を睨んでいるの。
俺って、雇主だよね。
雇主なのにこれほど否定的な扱い受けるっておかしく無いか。
それともこの世界ではこういうモノなのかな。
とりあえずサレンさんには丁寧に説明しておこう。
効果がどうあるか、頭で分かれば良いのだが、やってみて貰うのが一番早い。
外から見れば簡単にやってる様に見えるが、実際やってみて結構きつい事わかれば納得はするだろう。
普段使っていない筋力を使うのだから初心者にはかなりきついと思う。
それでも、文句を言われてしまえば俺が悪かったと素直に謝るしかないな。
でもなんで謝るのかが理由が分からないんだけどね。
俺はサレンさんに前にやっていた筋トレ方法を一つづつ実際やって見せ、詳しくどう効果があるか説明してみせた。
結構種類は多い。
それを一からサレンさんにやって貰う事にする。
「ほらほら、どうしたサレンさん。
まだ始めたばかりで十回もやっていないでは無いか。
俺が見せたやり方をすべて二十回づつこなして貰おうと思ったけど最初からこれでは先がやられるな。
これじゃ俺がいつもやっている筋トレを時間内に全部こなせないのではないかな。
昼食が抜きになるぞ。
ちなみに今やっている腕たせ伏せはまだ序の口だ。
これからきついのが待っているからな」
サレンさんはほんの数回、腕たせ伏せをやっただけで顔から汗がびっしょりでていた。
「そんな・・・
たかだか腕を置きあがらせるだけでこんなにきついとは・・・
ご主人様は重力の魔法を使ったんですか、こんなになるのはおかしいですよ」
「そんな魔法が俺に使える訳ないじゃないか。
ただ説明したとおり、筋力を鍛える方法をしているだけだよ。
もっとも普段は使わない筋肉を使う訳だからそれなりにきついのかも知れないけどね。
使っていない筋力をまんべんなく鍛えるのが筋トレなんだよ」
「・・・」
「侮って貰っては困るな、サレンさん。
あっ、それとたぶん使っていない筋肉使うのだから、明日の朝、筋肉痛で痛みがでるかも知れないね。
覚悟した方が良いよ」
「そんな・・・」
「おいおい、まだ始まったばかりじゃないか。
この程度で値を上げて貰っては困るんだけどな。
これからが本番だからな」
俺は厭味ったらしくサレンさんに言ってしまった。
サレンさんは何とか腕たせ伏せを二十回こなしたが汗だくでハアハアと息をきらし伏せっている。
まぁ、やったことない事をやるのだから仕方ないか。
以外に簡単に見えても結構きついんだよね。
特にゆっくり姿勢を整え怪我しない方法でやると数回でもきついトレーニングあるからね。
でも一番効率の良い筋トレ方法だと思う。
まぁ、ジム通いでなくあくまでも自宅でできる筋トレ方法だけど。
それからトレーニングを全員で始めた。
「良し一時間たった。
トレーニングは此処までにしよう」
そう言ったのだが返事が誰からも来ない。
サレンさんとアニスさんはぐったり這いつくばっていて動こうともしない。
ターナさんも息をきらしているな。
ターナさんだけは俺が言った種類の筋トレ全部こなしているんだよね。
無理してやるのは筋トレじゃないからと言ったのだが最後までやりきっていた。
たいしたもんだと思っている。
それに加え、二人はほんとに体力無いんじゃないか・・・
半分もこなせず汗だくで動けないでいる。
アニスさんなんて体中びっしょり濡れて黒の下着が透けて見えるよ。
なんて厭らしい姿をしているんだ。
サレンさんは髪の毛をばらばらにし山姥のようになっている。
なんだこの対照的な二人は同じエルフの女性だと思えないよ。
とりあえず少し休んでからマッサージのやることにしよう。
予定では三十分かけてマッサージするつもりだったができそうにないかな。
でもやらないと明日の朝、筋肉痛でつらいと思うんだけど・・・
とりあえずターナさんが話せるようになったらやり始めよう。
あっ、そういえば魔法で体力を回復させる魔法が使えるか聞いてみよう。
あるならこしたことが無い。
ターナさんが動けるようになったので魔法で体力回復できないか聞いてみた。
「ターナさん、大丈夫かい」
「大丈夫です」
「それは良かった。
でも無理して全部はやることは無いよ。
最初に言ったように自分でできるペースで無理なくやるのが筋トレだからね」
「明日からはそうします」
「そうだね。
回数を減らしてやってみることにしよう」
「分かりました」
「ターナさん、体力回復できる魔法ってあるのかな」
「回復魔法でも体力は回復できますが、上位魔法で体力を回復できるリジェネートと言う魔法があります。
ですが私には勉強不足で使う事ができません。
サレンができますけど・・・」
「うむ、あの状態じゃどう見ても無理そうだね。
それじゃ回復魔法を二人に使ってやってくれないかな。
それで回復したら、リジェネートと言う魔法をかけて貰う事にしよう」
「分かりました」
そう言って二人に回復魔法をターナさんはかけた。
なんとか話せるくらいまで回復する。
「サレンさん、大丈夫かな。
無理してやる必要は無いと言ったんだけど・・・
まぁ、結果は半分も出来てはいなかったしね。
明日もやるけど、今度は回数減らして全部やる方法に切り替えよう。
さすがに二十回づつは俺もやりすぎたと思っているからさ、悪かったね。
明日からもっと無理しなくやることにしよう」
「はい、分かりました」
サレンさんは素直に返事してくれた。
「サレンさん、魔法を使って体力の回復できるかな。
はい、できますがもう少し待ってください。
お願いします」
「ゆっくりで良いよ。
俺とターナさんは大丈夫だから、君達二人だけ、かけて貰っても良いからね」
「分かりました。
ですがリジェネートの魔法は範囲魔法陣を使う魔法です。
魔法陣の中に入いった者が魔法の効果を受ければ、誰でも体力を徐々に回復する魔法ですのでご安心を」
「なるほどね。
そんな変わった魔法があるんだね。
直接本人にかけなくても良いとは、それじゃサレンさんのペースで良いから魔法を使ってね」
十分くらい休んだら、サレンさんがリジェネートと言う魔法を使った。
床に大きな円形の魔法文字で書かれた青緑色の魔法陣が現われた。
魔法陣の文字部分から光を発し、その光が体中を包み込む。
魔法陣は消え去り、青緑の光が身体に残って体力を少しづつ回復していく。
「どうやらみんな回復したみたいだね。
サレンさんどうだった俺が教えた筋トレの方法は」
「・・・
完敗です。
私が侮りすぎていました。
明日から精進したいと思います」
えっ、完敗ってどういう事?
俺と筋トレで勝負していたのかな?
まっ、良いか、言葉の魔法の訳が違っているのかも知れない。
たまにあるみたいだから、とりあえず理解したと言う事で納得しよう。
「それじゃ、マッサージをおこなうとしようかな。
本当は三十分かけてするつもりだったけど、どうしようかな。
とりあえずやり方は教えるから、後でで良いからそれぞれやって貰えるかな」
本当は彼女達を触りたいのだがそういう雰囲気ではない。
「マッサージって何ですか、ご主人様」
「身体をほぐして筋肉を楽にさせてあげると言う方法があるんだよ。
ようするに、先ほど筋肉に負担をかけたよね。
筋肉もそうだがつないでいる筋とか他の部分もかなり負担がかかっている。
筋肉や周りをほぐして血の巡りをよくしたり、硬くなったところを揉んで柔らかくさせて身体の負担を軽減させると言う事だね。
とりあえずやり方があるから教えてあげるよ。
これは間違ったやり方だと逆に筋肉や筋を痛めてしまう可能性があるから、正当なやり方を知らないと怪我もすることもあるんだよ。
教えてあげるので同じよにやって貰えるかな」
俺は基本的なマッサージのやり方を教えた。
筋に沿ってゆっくり軽くも見込むように親指でほぐす方法を、そして痛みがあるところは絶対に触らず痛みのない周りを軽くほぐす程度にやる事を教える。
「そうそう、そんな感じだね。
それで痛いところがあったら絶対に揉みほぐしては駄目だよ。
逆に痛めてしまうからね」
「ご主人様、このやり方って私、知っていますよ。
サレンとアニスの肩にたまにやりますからね。
たぶんそれと同じ方法だと思います」
「なるほどね。
サレンさんとアニスさんは肩こりが酷いんだ。
それじゃターナさん、二人にも同じようにやってあげたら良いと思うよ。
そうでないと明日足腰立たないからね」
「・・・
これ、ターナそんなことは言うのじゃありません。
私は別に肩などこっていませんからね。
ただ硬くなっているだけですから」
いや、それが肩こりって言うのじゃないかな。
「私はお願いしようかな。
前から肩こりが酷いのよね」
確かにアニスさんは酷そうだね。
そんな大きな物つけていればなると思うよ。
それに比べサレンさんは何故、肩こりになるんだろう。
かなり控えめなサイズだと思うのだが・・・
やはり年なのかな。
筋トレでも一番体力が無い事が分かってしまったな。
これは本当に若作りしているだけかも知れんぞ。
年配の方に接するよう、今まで以上言葉選ばないといけないかな。
年とると口うるさくなる傾向があるからな。
「ターナさん、お願いがあるのだけど」
「何でしょうか」
「洗浄魔法を使って貰えないかな。
汗びっしょりでみんな汚れているからね」
「分かりました」
「あ、ターナちょっと待ってください」
「どうしたのですか?」
「いえ、洗浄魔法、威力を抑えて使って貰えないかしら。
あなたの魔力は以前よりも上がっています。
それに朝方使ったばかりでしょ。
あまり使いすぎると良くないと思いますので」
「ん、サレンさん、洗浄魔法って使いすぎると危ないのかな」
「ちょっと、違う意味があるのですが、あまり使いすぎると良くない事はあります」
「ああっ、なるほど、そう言う事か。
強い魔法だと善玉菌も殺してしまうと言う事なのね。
確かに身体には守ってくれる良い菌も存在するから、そいつが死滅すると抵抗力が無くなってしまうと考えられるから、危ないと言う事なのね」
「?
言っている意味が分からないのですが、あまり使いすぎると良く無いのは事実です」
「ん、まっ、良いか。
それじゃターナさん宜しく頼むよ」
「分かりました。
それじゃかけますね。
洗浄魔法」
淡い白い光が身体を包み込む。
そして煙のように汗と汚れが消えていった。
「おぉ、さっぱりしたよ」
「本当ですね。
さっきまでビショビショだったのに奇麗になりましたわ」
なんかアニスさんが言うと厭らしく聞こえるのだが気のせいだろうか。
「それじゃ、匂いが付いてないか確認するかな」
そう言って俺はターナさんのところへ行き匂いを嗅いでみた。
「くんくん。
うん、ターナさんていつもどおり良い匂いがするね」
「ご主人様、お許し下さい」
「確認だよ。
ターナさんが匂っていないかをね」
「・・・
ご主人様、その行動は問題あります。
女性の匂いを嗅ぐとは、それは夫である人でしか許されない行為です。
エルフの種族では愛情表現になります。
お控え下さい」
「えっ、そうだったんだ。
知らなかったよ。
でもターナさんて本当に良い匂いがするんだよね。
それじゃどう、ターナさん俺のところへ嫁に来ない。
ターナさんだったら歓迎するよ」
どさくさに紛れて告白する。
「そんな私なんてご主人様のところへなんてどうしたら良いでしょう」
ターナさんは赤くなって俯いてしまった。
「ご主人様、ターナはまだ成人も迎えていない子供です。
からかうのはやめて下さい」
サレンさんはそう言って怒ってしまった。
「これは失礼した。
ターナさんがあまりに魅力的だったので、つい出来心で言ってしまったよ。
気を悪くしたらごめんね」
「私は別に気にしていません。
ご主人様が私を貰ってくれるなら歓迎します。
でも私成人していないんで、里の掟では無理なのですよ」
「そうなんだ、悪かったね。
・・・
そういえば、成人て言ったけど、それってエルフの年齢では何歳から成人になるんだろう。
それとも成人と言う意味が別にあるのかな」
「成人になるのは百歳を超えてから、成人の儀式を受けることができるのです。
私はまだ六十六歳ですから、まだまだ先の話ですね。
それに、儀式のクエストは、人によって違っていて難しいので二百歳前後で成人として認められらるのが多いですね。
中には三百歳くらいになってから成人と認められる人もいます。
それどころか命を落とす人もいますと聞いています」
「成人の儀式、クエスト?
何か試練を受けて成人になると言う事なのかな」
「そう言う事です」
「なるほどね」
成人の儀式ね、そんな試練があるんだ。
それも命を落とす者もいるのか。
エルフって成人になるのも大変なんだな。
しかし平均で二百歳前後で成人か。
二百歳と固定して計算すれば、ターナさんは六十六歳で、この世界は一年が百日だから俺の世界の年数で考えればサンロクゴで計算すると・・・
だいたいで十八歳前後って言って良いのかな。
エルフって長生きみたいだから、感覚そのものが人間と違っているだろう。
若い時代が長く続くと言う話だから、それで精神年齢とかも考えると、ターナさんはエルフの感覚で十三歳前後て思っても良いのかな。
接した感じには、そのくらいに思えるんだよね。
それで、サレンさん達は成人しているみたいだから早くて百で成人だよね。
でも平均二百だから二百越え?
そうなると俺の世界での年齢だと、五十歳前後と考えて良いだろう。
エルフ族の感覚年齢だと、成人だから二十五歳くらいと考えて良いだろうな。
まぁ、エルフは長生きだと聞いたので年は言っているけど彼女らの感覚では普通の事なのだろうな。
でもサレンさんておばさんくさいんだよね。
予想以上に年が言っているかも知れない。
精神年齢が三十五歳くらいと俺は思っているのだがなんか当たっているような気がする。
直接聞いて見れば良いけど、答えてくれるか分からないな。
とりあえず、サレンさんとアニスさんは結構長生きしているとだけ判断しておこう。
「ターナ、年齢の事を話すのは、私達エルフ族では禁句ですよ。
ご主人様も、お聞きなさるのは辞めてくださいね」
「・・・
あぁ、分かったよ。
どこの世界でも女性に年齢を聞くなんて、失礼な事だからね」
「ご理解できて有難うございます」
怖いな・・・
先に釘を打たれてしまったよ。
エルフに年齢を聞くのは禁句なのね。
それだけは覚えておこう。
でもサレンさんて本当にいくつなんだろう。
俺が思っている以上に年がいっているのかも知れないな。




