表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/96

第28話 ぼったくり


 買い出しに行く準備を整え部屋を後にする。


 さてと、出かけるか、余計な荷物は宿屋で預かってもらおう。


 そういえば最初に泊まった高級宿屋では、鍵付きの宝箱に入れて管理してもらえたけど、この宿屋ではどう扱ってくれるのだろう。

 貴族が借りる宿屋だ。問題なく預かってくれるのだろう。


 しかし、宿屋の従業員たちには不信感を抱かれているのかも知れない。

 先ほどエルフの少女たちを拷問しているみたいな事を見られてしまったからな。


 耳をエリクサーで治していただけだから決して拷問してはいない。誤解している人がいるかもしれないのでそれが怖いな。


 うわさが広まっているのか考えているだけで恐ろしい限りだ。

 きちがいの貴族が昨日から泊まっているとうわさになっているのか心配だよ。


 魔法の収納カバンどうしでは反発して入らないので預けるしかないからな。


 持ち歩くには、意外と嵩張って邪魔で仕方がない。

 1つは常に持っていようと思うのだけど、個数がある貴重なアイテムでもじゃまなんだよな。


 魔法の収納カバンがあってもこれだ。

 冒険者ってよく荷物をもって戦ったりできると思うよ。

 

 とりあえず預けておこう。貴重なアイテムも入っているから盗まれると大変だ。こればかりは宿屋側の管理体制を信用するしかない。


 1階ロビーのフロントへ行き出かける旨を伝える。

 フロントには宿屋のオーナーが居たのであいさつをして行く。


 宿屋のオーナーがこちらに気づいたようで駆け寄って来た。

 荷物を預かってもらえるか聞いてみよう。


 「アンドウ様、お出かけになられますようですね。

 お頼みされていた品物をご用意しました。

 こちらへどうぞ」

 「おぉ、あれか、それでは戴こうとするかな」

 支配人に大げさな身ぶり手ぶりをされながら案内される。


 フロントのカウンターで宿屋の従業員からサンダルを3つほど戴いた。

 おいおい、マジかよ! サンダルでも良いと言ったけどホントにサンダルとは思わなかったぞ。


 無いよりはましだけど気が利かないな、先日泊まった高級宿屋だったら良い靴を用意してくれたと思うのだけど、やはり格下の宿屋なのか。


 やはり、この宿屋サービスがイマイチだな。

 キースが金貨1枚で借りていたのが問題だったのもあるのか。

 賄賂で金貨100枚を出したのはなんだったのだろうと思ってしまった。


 裸足で歩いているエルフの少女たちにサンダルを渡してしまう。


 「すまない、一時凌ぎだがサンダルを用意してもらった。

 これを使ってくれ、服を買う時に新しい靴も購入しよう」

 「はい、ご主人さま」

 嬉しそうに3人が返事した時、近くで見ていたオーナーは驚いた様子でエルフの少女たちを見た。


 エルフの少女たちの耳が治っていることに気づいたのだろう。

 驚愕した表情を見せている。


 そりゃ驚くだろうな、俺だって欠損部分が治るとは思っていなかった。

 エリクサーだが本当に治るなんて信じられない。


 「オーナーさん、荷物を預かってほしいのだがよろしいかな。

 「心得ました。しかと受け賜りたいと思います。

 ・・・ アンドウ様、一つ宜しいですかな」

 「なんですか」

 「私の事はぜひ、レイズと呼んで戴きたい。

 よろしくお願いします」

 「わかったよ、レイズさんね。

 それじゃレイズさん、荷物を預けるけど管理の方はきちんとできるよね。

 もしなくなったりしたら、レイズさんが死んじゃうかも知れないけど良いかな」

 「! ・・・ 心得ました」

 先ほど名前で呼んで戴きたいと言うのが妙に気に入らなかったのはなぜだろう。


 そのせいで荷物がなくなったら死んじゃうかもしれないと嫌みな事を言ってしまった。

 冗談のつもりが本気に受け取られたみたいでレイズさんの額から大量の汗粒がている。


 ホントに焦ると汗が止まらないほど出てきてしまうのだと思ってしまった。


 悪い事を言ってしまったかな、まさかレイズさんがこれほど恐れてしまうとは思っても見なかった。

 これだけ恐れていれば荷物の事は大丈夫だろう。安心して預けて置ける。


 「そういえばレイズさん、洋服の売っているお店ってどの辺りにあるのかな、教えてもらえると助かるけど」

 「貴族御用達のお店でしたら、このホテルを出て右に300メートル歩きそこから東に200メートルほど歩けば白い建物がある街並みに入ります。

 いわゆる貴族通り、シャンゼリア通りと呼ばれております。

 その通りの店並みに服屋など御座います。

 そこでのご利用戴ければ良いと思います」

 右に300? 東に200? なぜ左右と東西南北をあせて使うの?


 この人言ってることがおかしくないか? 髪形と服装も変だけど、一番おかしいのは言動かもしれない。

 近いのだけはわかった、とりあえず行って見よう。


 「なるほどね、そこへ行って見ようか。

 有難うね、レイズさん」

 「少しばかりですがご助力出来て嬉しいと思います。

 ・・・

 アンドウ様、もし宜しければ、私が故意に利用していますお店がありますがどうでしょうか。

 実は紹介状を書いてありますので宜しかったらお手にどうぞ」

 「それは助かる」

 「店の名はニュートピアで御座います。シャンゼリア通りの中央付近に外観が赤と白を基調にした大きな建物があります。

 すぐにわかると思うのでぜひお立ち寄りを、よろしくお願いします」

 「ニュートピアね。ありがとね。

 紹介状を有難く戴ておくよ。機会があったら使わせてもらうね」

 「ご助力出来て嬉しく思います」

 紹介状をもらったのは良いけど、この人が着ている服の御用達の店だよな。


 それに店構えが赤と白を基調しているとはどういう店なんだろう。

 他をまわって気に入った物がなかったら行って見る事にしよう。


 せっかく紹介状をもらったのだからな、それに安くしてくれるかもしれないし、まさか逆にぼったくりをされる事はないだろう。


 顔出しだけでも良いからとりあえず行ってみようか。


 「それじゃ行って来るね。あっ、昼食は用意しなくて大丈夫だから」

 「心得ました。どうぞ行っていらっしゃいませ」

 宿屋のオーナーのレイズさんは胸に手を当て見送ってくれた。


 しかし、額から汗がまだ出ている。俺が言った事を相当に気にしているな。

 まさか荷物がなくなる事はないだろう。


 大粒の汗が出ているので、何か変な病気をもっているのかと思ってしまったよ。

 どうでも良いか、それより買い出しだ。さっさと買い物をかたずけてしまおう。


 貴族御用達の店か、高いのだろうけど良い品はあるのだろう。

 キースから分捕った金はあるし、ここは高級店で買い物としゃれこもうか。


 宿屋を出てレイズさんが言ったとおりの道を進む。


 ! なんだここは入り口に大きな花を飾った白いアーチ状の門があり衛兵が2人立っているぞ。

 入り口かなり洒落た様相を見せている。


 中をのぞくと白い建物が並んでおりここの街並みだけは他と違う。

 言わゆる貴族街と言うところか、この先に俺が入るのが場違いな気がする。


 商店街なのに誰も居なく賑わいがまったくない。時間帯で空いているのかな。

 

 とりあえず中へ入って行こうとしたら、頑丈な鎧を着た衛兵の一人と目があってしまった。

 衛兵の人は俺よりも、ひとまわり以上ガタイが大きく、手には槍と斧が組みあわさった重そうな武器を手に携えている。


 かなり強面の顔つきの人だが、俺と目をあわせた瞬間に目線を外し頭を下げ下を向いてしまった。

 もう1人の衛兵を見ると鉄の兜を脱ぎ、頭を俺に対して下げている。


 俺が貴族だと判断して行動をとったのだろうか? こんな強面の衛兵達がひれ伏すなんて、貴族と言う身分の人たちはどれだけ恐れられているのだ。


 エルフの少女たちに

 「さあ、中に入ろう」

 と言って貴族街に入る。


 俺が先に声をかけたから、衛兵はエルフの少女たちに声をかける事もなく自然に入れてしまった。

 みすぼらしい格好をしているから、今回も静止させられるのかと思ってしまった。

 声をかけただけでも、対応は違うのだろう。


 中に入ったのは良いのだが、あきらかに高級商店街とわかる店先が並んでいる。

 どの店に入ったら良いのだろうか迷ってしまう。


 とりあえず女性の服が置いてある店を端から見て行ってみるか、窓ガラス越しから見える洋服が置いてある店に入ってみる。


 しかし問題があった。俺は問題なく入れそうなのだが、どの店もエルフの少女たちは入り口で止められてしまう。


 最初に入った店は、中年のふくよかな太った小さめな女性が俺に声をかけてきた。

 赤い髪を団子上にまとめた目つきの厳しい女性だ。


 エルフの少女たちに嫌悪感を抱いた目つきで見ている。

 この場所では場違いに感じる見すぼらしい服装をしている。見下した目で見ているのだ。


 俺に声をかけてきた。


 「お貴族さまの方、お初にお目にかかります。

 私はこの店を任されておりますノーベルと申します。

 よろしくお願いします」

 「ああ、よろしく」

 「お聞きしたいのですがどなかたの紹介状はありますでしょうか?」

 「紹介状? もしかしてこの店は一元さんお断りの店なのか」

 「いいえ、そう言う事は御座いません。

 ですが紹介状がない方でしたら後ろにおります従者の方々はお店の中にお通しすることはできません。

 貴族さまの方ならばわかると思いますが、ご理解して戴きたいと存じます。

 その点を踏まえて当店をご利用して戴きたい」

 貴族さまの方ならばわかるか、嫌みな婆さんだな。


 エルフの少女たちの服装が見すぼらしすぎて店内に入れるのを断ったのだろう。

 しかし入れないと選んで買えないじゃないか、さてどうしたものか。


 「それは困ったな。

 今日は彼女たちの服と靴を用意したくて来たのだが、なんとか見せてもらえないだろうか。

 チップははずむよ。頼むよマダム ノーベル」

 「! 失礼ですが私はまだ独身です。

 お貴族さまと言えども、勘違いでマダムと言うのはやめて戴きたいです」

 「おっと、これは失礼した。ミス ノーベル、マダムと言った事は謝るよ。

 それより彼女らの洋服を繕ってもらいたいのだが何とか頼むよ」

 これはやっちまったのか。


 この手のタイプの女性を怒らせると良い事はないと思う。これは俺のせいで店の中には入れなさそうに思えるけどどうなんだろう。

 いや最初から入れてもらえなさそうな気がしたが余計に駄目になったか。


 「お貴族さま、店の代々からの決まりで従者の方は一部の方のみしか入れない事になっております。

 申し訳御座いませんが当店の決まりでしてご理解ください」

 きつめな口長でミス ノーベルは言った。


 今一部の従者の方は入れるって言ったよね。それってこのおばはんの気分で入れるって事ではないの?

 そんな気がしてならないのだが絶対に気のせいではないよな。


 かなり不機嫌そうに俺の事を見ているからな、マダムって言ったのが悪かったのか。

 てっきり貴族風にしゃれた話し方をした方が良いかと思ってつい口ばしってしまった。


 普段だったら絶対にマダムなんて言葉は使わない。と言うか生まれて一度も使った事のない言葉だ。


 それが仇になってご機嫌を損ねてしまったのか、これはミスったな。

 どう見てもエルフの少女たちを店の中へ入れてもらえなさそうだ

 一応もう一度聞くだけ聞いてみるけど無理そうな話だ。


 よし賄賂を渡していれてもらおう。


 「失礼した。ミス ノーベル、これでなんとか融通が利かないだろうか」

 俺は懐から財布を取り出し金貨を1枚、ミス ノーベルに渡そうとする。しかし、受け取ってくれなかった。

 

 「お貴族さま、当店ではそのような事は受け付けておりません。

 他の店をご利用したらいかがでしょうか。

 まあ、他の店も同じように入れませんと思いますけどね」

 嫌みがかった口長で話した。


 なんか気分が悪くなる口長だな。嫌みったらしくてならない。

 でも俺のせいだから仕方ないのか。


 ! そうか他の店でも、貴族やお金持ちの利用する店だから、最初から従者の事は論外で入れないのか。

 いや違うな、荷物持ちとかで従者とか入れると思うのだから、やはり店主次第ってわけか。


 どの店も同じように入れないと言うのだったら、俺が適当に服を選んで買って渡すしかないのか。

 それか宿屋のオーナーのレイズさんからもらった紹介状の店に行って見るしかない。

 しかし、あの服装のしたオーナーが利用している店だよ。服装から見て怪しさ満点だ。


 どこにも入れてもらえなかったら最終的には行くしかないんだよな。

 とりあえず、ここは俺だけでも中に入って適当な服を買って彼女たちに着せれば問題なく他の店には入れると思う。


 いわゆる見た目だ。見た目が良ければ入れてくれるだろう。

 幸い見た目はだんぜんエルフの少女たちは美しいからな、これについては問題はないはず。


 そうしよう、着られそうな服を買って他の店で買えば良いじゃないか。

 1着だけ、1人1着だけは、まずは用意しよう。


 彼女たちには悪いがここで少し待っていてもらおう。


 「ミス ノーベル、俺だけでも入らせてもらえないかな」

 「よろしいです。どうぞ中へお入りください。

 当店は歓迎します」

 「お邪魔するよ」

 エルフの少女たちに1着づつ服を買ってくるからここで少しの間待っててと話す。


 「ミス ノーベル、 店先で悪いが彼女たちをここで待たせてもらっても結構かな」

 先ほど財布から出した金貨を手に握らせ、待たせてもらうことにする。


 ミス ノーベは金貨を受け取り了解してくれた。

 結局は受けとるのねと思いながら店の中に入る。


 「お貴族さま、失礼ですがお名前を教えて戴けませんか」

 「安藤と言う。よろしく頼むよ」

 「アンドウ様でごらっしゃいますな。

 アンドウ様におかれましては当店をご利用して戴き有難う御座います。

 当店は1、2階は婦人服を取り扱って御座います。

 3階には男性服が少しだけ御座いますが、オーダーメイドでのお取り扱いとなっておりますのでよろしくお願いします」

 「窓ガラス越しから女性服は多く見えたのだが、男性の服も取り扱っているのか、それは何よりだ」

 「当店は女性服が多いです。

 女性の服は仕立て直しが男性服よりやり易く、多く商品を並べております。

 それに男性は女性と違って服の種類は選ばないでしょう。

 同じ服を何着も作るのが定番です。

 アンドウ様は異国のお貴族さまの方ですよね。

 その見事な服の仕立て、こちらでは見たことない服装です。

 もしよかったら当店でのオーダーメイドをお受付できますよ。

 ぜひ型紙など取らせて戴きたい次第です」

 「それも良いかな。だが今は後にしようと思う。

 従者の娘たちを入れてくれていたら、すぐにでも頼んだかも知れない」

 俺はちょっと嫌みぎみに言ってしまった。


 「左様で御座いますか」

 ミス ノーベルは残念そうに呟く。


 「ごゆっくりお買い物を楽しんでください」

 「ああ、そうするよ」

 とは言ったものの早めに選んで買ってしまおう。次の店が重要なのだ。


 とりあえず靴も置いてあるな、服はサイズがわからない。

 けど店内にあるワンピースかな? この服は頭からすっぽり着れば良いのだろう?

 

 これだったらサイズはある程度背丈があえば大丈夫だろう。

 腰上にベルトをすれば良いのだろう。


 下着はさすがに買えないが、生地が厚めで色の濃い肌がなるべく見えない袖の長いワンピースとかだったら問題はないはず。

 とりあえずワンピースと靴を買って他の店でそろえれば問題なかろう。

 そう思いながら、良さそうな服を選んでいく。


 うん、まずはこの服で良いだろう。

 濃い鮮やかな藍色の服だ。所々に鮮やかな花の刺繡が入っているがそれほど目立たなく無難な仕立てで出来ている。


 サレンさんに似合いそうだな、それに背丈のサイズも良さそうだ。

 

 とりあえず値段を聞いてみるか、俺は値段がついていないので店主のミス ノーベルに聞いてみる。


 「ミス ノーベル、この服は1着いくらするのだ。

 それとあそこにある靴が1足いくらか聞きたい」

 「アンドウ様、これは、お目が高い。この服は1着金貨30枚です。

 あちらの靴は1足で金貨50枚になります。

 当店で1、2を争う良い品物ですよ」

 「えっ、そうなのか、なるほど、なるほどな」

 店主のミス ノーベルはニコニコした顔で手を擦りながら俺に言ってきた。


 藍色の服が金貨30枚だと、240万円なのか、靴は1足金貨50枚だよな、400万円か、640万円、どう見てもぼったくりだろう。


 「フッ」 

 ついあきれて笑いが出てしまった。


 何がこの店で一番良い品だ。俺は目の前にあったサイズが合いそうなワンピースを選んだだけだぞ、確かに良い品物だけど。


 靴だって歩きよさげな靴を選んだだけで、他に高級そうな宝石をあしらったハイヒール? があるじゃないか。

 あのハイヒールはいくらするんだよ。まったくぼったくるにもほどがあるんじゃないか。


 こちらの今日使おうと用意した金額は、金貨20枚の160万円分、服が1着も買えないじゃないか。


 あっ、そうか値段がついていない。海外で売るお店と同じ感覚なのか。

 日本では正確に値段がついているけど、海外では値段がついていないのは当たり前と言う事だよな。


 人を見て売る。こちらで交渉して安く値切るってことかよ。


 一応、貴族の立場の俺だ。値切り交渉なんてそんな事は出来るわけがなかろう。

 このおばはんそれをわかってふっかけてきたのならばたちが悪い。


 くそう、俺は舐められてるって事か、いくら貴族御用達の高級店でもこれはないだろう。


 ここはエルフの少女たちには悪いが他の店で買おうか、あまりにもぼったくりすぎているので我慢がならない。


 それに他の店も見て服の相場を知りたいのでここは買うのをやめておこう。少し様子を見よう。


 「店主、良く見たら素材が悪いな、これはやめておく事にしよう」

 「そんなはずは御座いません。素材も仕立ても一級品です」

 「そうかな、俺の服を見て見ろ、せめてこれに近い素材と仕立てた物を手にしたいな」

 「そんな事は。

 ! こ これは。

 と 当店ではこのような高級な素材をした品物は持ち合わせは御座いません」

 店主のミス ノーベルは俺の服をまじまじ見て目の色を変えてきた。


 「大変失礼しました。この店で一番良い生地と仕立てをした服をご用意しますのでお待ちください」

 「俺も時間がない、ここは後にしておこう」

 言い訳じみたミス ノーベルの話を切って、俺は早々と店を出る。


 俺の服を良く見てから店主のミス ノーベルの態度がおかしくなった、それほどこちらの世界の物とは違うのかな?

 キースもかなりの金額出そうとしていたしな。


 まぁ、良いか、さすがにあんなぼったくりの店で買うのは御免だ。

 別の店を見て判断しよう。

 そう思いながら次の店に行く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ