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第15話 理不尽な異世界


 冒険者ギルドをあとにした、無駄な時間を過ごしたな。

 まさかあれほどグダグダなことになるとは思わなかった。


 余計な力を使ってしまい脱力感を感じる。

 疲れたな、お昼もすぎたか、腹も減ってきたので食事にしよう。

 

 せっかくだ、昨日見かけた屋台街で食事をとってみようか。


 クロートさんに案内してもらおうとしたが嫌な顔をされた。

 屋台街は市民がおもに手早く食事を済ませる場所だと言われお勧めは出来ないと言われてしまった。


 とりあえず案内してもらう。


 繁華街の手前には多くの屋台が並んでいる通りがある。

 屋台を見渡すとちょっと衛生面に問題があるんじゃないと思うくらい汚かった。


 食品業界で仕事しているからそう感じるのかな、繁華街が目の前だからそちらに行って食事をとった方がいいのか悩んでしまう。


 現地の把握だ。とりあえず食べて見るか。


 屋台の前で何が食えそうな物があるか見ているが、行きかう人は俺の事をちらりと見て避けるように去っていく。

 やはりこの格好では場違いなのだな、早めに服装を替えないといけないか。


 屋台の数は多くあり、どの店を選ぼうか迷ってしまう。

 種類は豊富なのだが得体の知れない食べものが並んでいる。見た感じ海外の先進国で見かける光景のようだけどなにかが違うな。


 食事をとっている人種もさまざまで、人間、獣人、ドワーフ、小人。

 エルフだけは屋台街で見かけなかった。


 串焼きに、肉の鉄板焼き、煮込み料理、パンをひたしたスープ、ナンで挟んだ揚げ物、海外の屋台の紹介動画を見た時に似たような食べ物があったな。


 肉類を頬張る獣人を見かける。やはり獣人は肉類を好むのね。

 逞しい獣人の男がワイルドに肉を貪り食っているのでちょっと怖い感じがした。


 屋台街ではテーブルや椅子がなく、皆が立ち食いをしている。

 立ち食いそば屋のように食べたらすぐ去って行くようなスタイルだ。10分もしないで食べて帰る人が多くいる。

 

 少し気になることを見てしまったので観察し始める。


 食い終わった皿ってどうしているのかが気になってしまったのだ。

 どの店も店員が回収して食い終わった皿を布のようなもので拭き取っているだけで水で洗う様子がどの店もなかった。

 

 汚くないのか? 衛生的にどうなんだよ。


 拭いてる布も茶色く汚れていて、べとべとで汚い、こんな状況を見せられれば屋台では食べたくなくなってしまった。


 しかし、せっかく案内してもらったのだ少しだけでも良いから食べていこうと思う。


 クロートさんにお勧めの料理を聞いてみる。


 勧められた料理は野菜と豆を煮込んだスープと黒パンだった。

 家庭料理で一般的に食べられているらしい。


 他にもいろいろ変わったスープ類もあるが、無難な一般的な料理なのでこれが良いと勧められた。


 注文をクロートさんに頼み、購入してもらう。野菜スープと黒パンを購入してもらった。


 代金はそれぞれ銅貨2枚で購入できた。銅貨4枚か、1枚200円として1食800円くらいだな。


 クロートさんはあとで繁華街のいきつけの店で食べると言われた。

 3人のエルフ少女たちにも食べるかときいたら、肉や魚類がはっているのは食べずらいと言われたので今回は私の分だけだ。

 

 やはりエルフは肉と魚が食べられないらしい。正確にいえば食べられるけど臭みが酷く感じられるので敬遠したいみたいだ。

 そのせいで屋台街にはエルフがいなかったのだな。


 3人のエルフの少女たちは屋台では食べられる物がなさそうなので、昨日買った果物を魔法の収納カバンからだし食べられそうな果物を選んであたえてあげた。

 俺から食べ物をあたえてもらった事に驚いていて、大切に食べていたな。


 いつも何を食べているか聞いたら、使用人に譲ってもらった豆を煮たスープかキースが食べた残り物をあたえられていたらしい。


 主人の命令だからエルフでは食べるのはきつい肉や魚類も我慢して食べていたらしいな。


 肉や魚類を食べても、体調不良とか病気になったりはしないみたいだけど極端に生臭く感じて食べずらいみたいだ。生きるために我慢して食べていたみたいだね。


 キースって性格がねじ曲がっているな。

 わざと食べずらい肉や魚類を与えるとは、よほど心がゆがんだやつではないとできはしないよ。

 そんな話を聞いてしまいさらに気の毒に思えてしまった。


 殺されても当然なやつだったんだ。この世界には神様がいると言うので天罰が当たったのだろう。もっともキースの魂を食べたのは小悪魔みたいだったんだけど。

 俺が殺したのだがそう思う事にしよう。


 クロートさんに購入してもらったスープとパンを受け取った。


 料理を見たら野菜と豆、肉がちょっとだけ入っているスープだった。

 表面に肉の油が浮いている?

 これが一般的に食べられている家庭料理かシンプルだな、食べた事はないがどこかで見たことがある料理だ。

 さて戴こうとするか。 

 

 大きく深く掘られた木のどんぶりに入れられた野菜スープ、黒いパンを細かく千切って浸して食べる料理だ。


 食べてみるが、美味しくなかった。

 塩気がなく苦いのだ。それに野菜のうまみがまったく出ていない。肉の油が分離して臭みを出している? 大豆のような豆が入っているがかたいのだ。


 それに加えパンを浸して食べると、柔らかい苦いぶよぶよの麩を食べているようで気持ちが悪い。


 これはなんだ料理なのか、下準備がまったくされていない。ただ材料を切って入れて塩で煮ただけではないか?

 豆だってかたく水戻しをやっていないよな。


 この味の野菜スープで銅貨4枚、800円か、800円! オレンジ8個買った方が良かったのではないのか。


 これが一般家庭で普通に食べられている料理か、屋台を見る限り人が多くいるので活気があるようにも見えるけど、こんな味が普通なのか?

 

 一般的に毎日食べている料理だよね、文化のレベルは低い? 文化レベルが低いのでこの程度の料理しかできないの?


 クロートさんと味について聞いてみたが、一般的にこれが普通らしい。


 高級宿屋で出た料理もいまいちだったし、料理の技術はそんなに進んではいないみたいだ。


 特に塩気が足りないと思ったので聞いてみると、この地域では塩は高く、行商人の取引次第で塩の値段が変わるので今のところ入ってくる量が少なく高騰しているらしい。


 そのために屋台などでは直接打撃を受け、毎回味付けがかわるらしいな。

 このところ酷いと言われている。


 塩を多く使ったほうがうまいのがわかるが、屋台で出すのにはコスト面で多くは使えないと言う話だった。


 スープが苦いので聞いて見たら、塩が苦いので当たり前の話だと言われてしまった。


 塩が苦いと言うのはこの世界では常識らしい。

 岩塩とかがあるのか聞いてみたら、陸地に塩があるはずがないと言われてしまった


 この世界では湖から取れる塩が流通しているらしい。それも塩の塊が湖の底に結晶化しているのでそれを堀をおこし、引き揚げているみたいだ。

 

 すでに塩の結晶化して湖の底にあるとは、海水から塩を生成して作るのではなかったのでちょっと驚いてしまった。

 まさか塩を海底から掘り起こしているとはね。


 俺の知っている知識と常識は、この異世界を照らし合わせてはいけないとその時思ってしまった。

 

 この世界は魔法が使えるんだから常識そのものが違うのだろう。

 下手な質問はするべきではないな。


 しかし塩が苦いとはね、文化レベルが低いので生成技術が進んでいないのは確かか。

 直接塩の結晶を引き上げているから生成もしていないのかも知れないな。


 南に行けば、塩が沈んでいる大な湖があると言う。

 クロートさんの話では湖と言っているが、たぶん海のことだよね。

 地平線の先まで見えないと言う話なのだからそうなのだろう。

 それもかなり苦い水の湖らしいな。


 おかしな話クロートさんから湖と言う言葉が出るが、海と言う単語が出てこない。

 海と言っても、なんですかそれはと聞き返されてしまった。

 

 言葉は魔法で変換して話せているが、いまいち考えている話と一致しないことがある。

 何か意味合いがあって違ってきているのだろうか?

 湖、海なにかこの世界で違う事があるのかも知れない。


 意味合いが違っているならば、言葉を慎重に選らばないといけない。言いまわし次第で取り違えられて勘違いとか多くでるかもしれないな。

 不快をかわないよに言葉を選んで話さないといけないか。



 塩が苦いならば、にがりの成分を取り除けば良いのだろう。

 そうはうまくいかないかにがりの成分があるかもわからない。

 他の未知な成分で苦いのかもしれないからな。


 試しに露店で売っている塩を買って、にがりの成分を取り出せるか試してみるか。

 成功すれば、うまい塩を作って販売すれば一財産できるかも知れない。


 大豆はこの世界であるようだから、にがりで豆腐も作れそうだし。

 エルフの少女達に食べさせてみればどんな反応するかみて見たい。

 エルフは豆類が主食らしいから、うまくいけば好感度あげられるかも知れない。


 それには塩の作り方か。


 確か夏休みの宿題の自由研究で親に海に連れて行ってもらって、塩作りを体験した事があった。

 時間はかかったが、あの時はちゃんとできたんだよな。


 確か最初に親父は海水をバケツで汲んできて、細かい布でろ過し砂とごみをとりのぞいていた。


 あとは鍋に入れて海水を焦がさないように煮詰めていけば良かったはずだ。

 火の扱いだけ気をつければ問題はない。


 にがりをとるのは煮詰めてくると塩の結晶ができはじめる。

 あと少しで固まるどろどろの状態になった時に、タオルなどを用意して、きつく絞ってやればにがりがはいった水と分離できる。


 父親と自由研究でやった時はそうだったんだよな。

 タオルで絞る前舐めてみたらかなり苦かったな。

 絞ったら苦くはなくなったんだよね。


 絞った液体はにがりになると言っていたけど、そのにがりの意味が子供の頃はわからなかった。

 豆腐を作るのに必要だとか聞いたけど、まったく理解できなかったからな。


 家に帰りおぼろ豆腐を作ってもらった時に、固まったのを見たので不思議だなと思っただけの記憶が残っている。


 鍋に成分無調整の豆乳を沸騰させ、タオルで絞ったにがりを入れたら固まってきたので驚いた。


 それよりも、苦い液体だしタオルで絞ったから汚い液体を入れるのかと当時は思っていたよ。


 小学生の頃父親と一緒になってやった自由研究を思いだしてしまったな。


 それくらいの知識しかないけど大丈夫だろう。

 俺の性格として苦味がとれるまで試行錯誤でいろいろ試して結局できるまでやってしまうからな。

 苦くない塩を作るのにそう難しくないと思われる。

 

 うまくできればこの異世界で鰊御殿ではないが、塩御殿ができるかもしれないな。


 屋台での食事はうまくなかった。ちょっとだけ食べて、残してしまった。

 高級宿屋でもそうだったけど、残してしまうな。


 元の世界に居た時は残すのは良くないと躾けられたので、今までは全部食べていたけれど、ここへ来てからたてつづけに食があわず残している。


 なぜか、小学校で給食を残して先生に怒られた記憶がよみがえってくる。

 あの時は、嫌いなものがあって食べられなかったけど、それと同じようにわがまま言っているように感じた。


 いくらまずくても残すとは、これからは気を付けるとするかな、異世界だ何かの拍子で食べ物にありつけなくなることがあるかも知れない。

 

 エルフの少女たちが食べている果物の方が断然おいしそうに見えた。

 その光景を見ていたら、果物を買ってそのまま食った方が俺にはあっているそう結論に達してしまった。

 食べ残しも無くていいだろう。


 食糧は果物、豆、穀物、野菜の順番に購入したほうがいいな、エルフの少女の3人も同じものを食えるからいいだろう。


 屋台でも見たが水を料理いがいにはあまりつかっていない、水は貴重らしく洗う余裕がなさそうに思えた。

 水が貴重ならば生活全般に苦労するのではないかと思えて来たな。


 ! そうか、奇麗な飲める水の確保を優先的におこなわないといけないのか。

 昨日、川で水を革袋に汲んだのしかなかったな。

 もしかして、水って買うものなのか。

 海外では売っているが、ここではどうしているのだろう。

 先に調べておいた方がいいな。水が重要な事を忘れていたからな。


 ちょっと考えただけでいろいろやることがあるな。

 なんかこの先が不安で憂鬱になってきたよ。


 ふぅ、食事はぜんぜん足りないけどを終わりにして、銀行へ換金しに行ってこよう。

 面倒事を先にかたずけてから、あとで果物でも食べようかな。


 しかし、面倒な話だな、冒険者ギルドの一件もあるのでまともに対応してくれるか心配だ。

 国営銀行での換金だと言うのでそんな事はないと思いたい。


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