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第14話 大きすぎた対価要求


 エルフの少女たちと話してみる。


 「先ほどは驚かせてしまったようだね。君たちを見て変な意味で笑ったわけではないよ。

 たぶん誤解していると思ってね。

 俺は異世界から来た者だ。

 この世界の言葉がわからなくてね。

 君たちが言葉の魔法を使えると聞いて、つい嬉しくて笑ってしまったのだよ。

 下雛な笑みを掲げてすまなかった。謝罪させてもらおう」

 俺はエルフの少女たちに頭を下げた。


 「御主人様、いけません。

 私たちのような奴隷に頭を下げるなんて、どうか頭をお上げください」

 「そうか、許してくれるのか、ありがとう礼を言うよ」

 「・・・」

 「早速だがお願いがあるのだが聞いてくれるだろうか」

 「ご主人様、何なりと御申しつけてください」

 「先ほど言ったようにこちらの世界の言葉がわからなくてね。

 話が途切れないように、言葉の魔法がきれそうになったらかけなおしてくれないだろうか」

 「了解いたしました、ご主人様」

 「それと先ほど決闘したキースってやつの全財産をもらおうと思うが、手伝ってくれないだろうか」

 「了解いたしました、ご主人様」

 「キースの持ち物を持ってきてくれないかな」

 そう話したら3人ともキースの遺体にむかって行き、追剥ぎのように持ちものをあさりはじめた。


 あらら、こうなってしまったのね。

 そうこうしていたら、キースの遺体に誰かが近づいて来た。


 「ぼっちゃま、おいたわしや、なぜこのようなご姿に、貴様らどけぼっちゃまに触るな」

 エルフの少女たちにその男は手を上げようとした。


 俺はすぐさま向かいその男の手をつかんだ。男の右手を捻り曲げた。


 「グギャー、貴様なんてことをするんだ。

 こんなことをしてただで済むと思うなよ」

 「なにか言ったかおまえ、おまえこそ何をしているんだ。

 このエルフの少女たちは俺の大切な人たちだぞ。

 それにこのキースってやつは俺との決闘で負けたのだ。

 それも己のすべてをかけての決闘でだ。

 これが契約の神の使いから預かった証明書だ見て見ろよ」

 「こ、これは本物、ひい、許してください。

 知らなかったのです。お命だけはどうかお助けを」

 「良いだろう、おまえは誰だ」

 「私はキース様の執事をやっているクロートです」

 「そうかそれじゃキースの奴隷ではないのだな」

 「はい、その通りです。金で雇われた者です。奴隷ではありません」

 「そうか、良いところへ来た、聞きたいことがある。答えてくれれば先ほどの無礼は許してやろう」

 「わかりました。何なりと御申しつけてください」

 「それじゃ聞くが、この男の財産の事だ。どうなっているか聞かせてくれ、執事だったらお金の流れを知っているだろう。

 答えてくれれば退職金がわりの金は払うぞ、どうだ教えてくれないか」

 「わかりましたお引き受けします」

 キースの執事だったクロートと言う老人から話をひととおり聞いた。


 キースの財産はほとんどが冒険者ギルドと国営銀行へ預けてあったようで、他にも領地を持っているらしいが、統治をしていなく叔父に譲ってしまっていると言っていた。


 金とキースが冒険で手にいれたアイテムがキースの財産と言って良いだろう。それと奴隷のエルフの少女たちかな。


 囲っている女もいるらしいが、それは財産にはならないだろう。


 なるほど、冒険者ギルドと国営銀行から財産を回収すれば良いのだな。それで十分だろう。


 「そうか、それじゃこの決闘の契約によりアレキサンダー・キースの財産は俺の物になった。

 とりに行きたいと思うが手伝ってくれないかな」

 「わかりました。お引き受けします

 それでは、冒険者ギルドへ参りましょう。

 目の前ですが案内します」

 「頼むぞ」

 「ですが、こう言っては何ですが全部返して下さるとはかぎりません」

 「どういう事かな?」

 「こう言っては失礼ですが、ギルド職員の中には手癖が悪い者がおります。

 難癖付けて返してくれないこともあるでしょう。

 死んだ場合は冒険者ギルドに寄付すると言う規定になっておりますので」

 「なるほどな。それじゃこの決闘の契約は無効なのかな?」

 「それは御座いません。神が正式に契約した神聖なる決闘です。

 なによりも優先される事項です。

 契約は無効になることなど断じて御座いません」

 「なるほどね、クロートさん。

 キースが預けていたアイテムを覚えていますか?」

 「はい、いっしょにいた時に預けていたアイテムはすべて覚えています」

 「それだったら問題ないでしょう。この神からの証明書があるのですからね」

 「ですが」

 「とりあえず行ってみましょう。

 エルフの少女の皆さん、確か名前はターナさん、アニスさん、サレンさんでしたかな。

 あなたたちもついて来てください。

 フードは被ったほうが良いでしょう。

 キースの遺体は俺が運びますので、あとからついて来てください」

 「了解しました、ご主人様」

 「冒険者ギルドへ参りましょう」

 俺は目の前にあるキースの遺体を持って、冒険者ギルドに入って行った。


 力があったので軽くキースの遺体を運べた。と言うか引きずって行った。


 「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ、はじめて見る方ですね。

 何かとうギルドへ御用ですか?」

 受付の女性が出てきて俺に声をかけた。


 受付窓口に行くまでもなく俺を見た瞬間にこちらへ来たのだ。


 「冒険者アレキサンダー・キースと言う男の持っている金とアイテムをもらいいに来たのだが、話のわかる人を出してもらいたいんだ」

 「冒険者のアレキサンダー・キース様ですか?」

 「こいつだ、このキースって冒険者の持ち物だよ」

 俺はアレキサンダー・キースの遺体を見せた。


 「キャー」

 若い受付の女性は悲鳴を上げる。


 「おっと驚かないでくださいよ。ただ死んでいるだけですからね。

 冒険者ギルドにいるのならば、生きた死んだことなど日常茶飯事でしょう。

 あんまり驚かないでくださいよ。

 「・・・」

 「これが決闘して勝った時に神の使いから預かった証明書です。

 決闘の内容は、己のすべてをかけてとありましたので、こちらに預けてあるキースのすべての財産を回収しようと思ってきました。わかる人をよこしてもらえませんかね。

 正式に神の使いと契約して得た物です。

 契約に従い遂行してもらいたいです」

 「わ、わかりました少々お待ちください」

 受付嬢は下がり、少したったら背の高い、やせ細った男性の冒険者ギルド職員が出てきた。


 「どうも、お待たせしました。こちらへどうぞ」

 豪華なソファーのある場所へ案内された。


 「冒険者アレクサンダー・キース様の持ち物ですか。

 それではキース様はどこにいらっしゃいますか」

 「ここにいますよ、死んでますけどね」

 「ウワー、こ、これはいったいどうゆう事ですか」

 面倒だが説明してやった。というか先ほどの受付の女性、引継ぎで知らせておけよ。


 バカじゃないのか、まったく使えない受付嬢だな。一から説明するのホント面倒なんだよな。


 「・・・ ・・・ ・・・」

 「そうでしたかそのような事がありましたか。

 わかりました至急ギルドで預かったキース様の全財産をお持ちします」

 それから、5分も満たない時間で預けたアイテムとお金を持ってきた。なんか早くないか?


 「お待たせしました。お預かりしました金貨300枚とその他貴重なアイテム23点です。

 お持ちしましたのでどうぞご確認ください」

 「バカなこんなに少ないはずではないはずですよ。

 金貨だって5000枚くらいは預けていたはずだ。

 貴重なアイテムだって700点以上もあったはず。

 私は全部覚えているんだぞ」

 キースの執事をしていたクロートさんが声を荒げた。


 「そうでしたかな? でしたらどのようなアイテムがあったのかを詳しく教えてください。お持ちしますよ。

 ですが、キース様が確認しないとわかりませんよね。

 あなたが嘘をいっている可能性もありますから。

 残念ですがキースさんはすでにお亡くなりになられていますが」

 「貴様、渡した金をくすねる気か」

 「ひとぎきの悪いことを言わないで下さいよ。

 キースさんから冒険者ギルドで預かった物はこれで全部です。間違い御座いません」

 「くそう」

 「クロートさん、まぁ、良いでしょう。

 私がこれからやりますので確認だけお願いしますね」

 「わかりました、でもどのようにしたら良いのですか」

 「お任せください。神の意向を使います」

 「? 神の意向ですか」

 「そうですよ。

 神の契約は遂行されなくてはいけないと、あの使い魔、もとい天の使いでしたかな、言っていましたのでその契約を利用します。

 もしこの人がうそを言っているようでしたら神罰がおきてもおかしくはないのでしょう。

 それを確かめたいと思います」

 「そのような事が出来るのですか」

 「ええ、試しにやってみたいと思います」

 「わかりました。それではお任せいたします」

 「それではあらためてお聞きします。

 冒険者のアレクサンダー・キースが持っていた財産は金貨300枚とその他貴重なアイテム23点だけだったですか」

 「間違い御座いません」

 ギルド職員は先ほどと同じ答えをした。


 「そうですか、それではもしあなたがうそを言っていたら神による罰が当たるかも知れませんね。

 俺とキースとの決闘は己の財産をすべて渡すって事でしたから、キースの財産はすべて俺の物になったのですよ。

 この契約証明書に書いてありますから、うそでしたら神罰が当たっても知りませんよ」

 「ハハハッ、神罰ですか、それは怖いですね。ですがこれで全部です。間違いないです」

 「そうですか、神に誓えますか」

 「神に誓えますよ」

 俺はその瞬間に、目の前の冒険者ギルド職員の男にチート能力を使い殺した。


 「ドサリッ」

 交渉していた冒険者ギルド職員は倒れてしまった。


 「ザワ、ザワ、ザワ、ザワ」

 まわりで見て聞いていた冒険者ギルド職員と他の冒険者達がざわつき始める。


 他の冒険者ギルド職員が駆けつけ、倒れていた職員を介抱するが息をしていないことを確認する。


 死んでしまったようだ。と言うか俺がチート能力で殺したんだけどね。


 突然、冒険者ギルド職員が死んだことにより、冒険者ギルド館内は異様な雰囲気に包まれはじめた。


 「どうやら、うそをついてしまったので神罰が当たったのではないでしょうか。

 そうでないとこんな事は起きないでしょう」

 「・・・ ・・・ ・・・」

 「すまないが、俺も忙しいのだ。キースの持ち物についてわかっているギルド職員を出してくれないかな」

 次の冒険者ギルド職員に対応させる。


 「先ほどは失礼しました。確認しましたところキース様がお預けになったお金とアイテムが間違っていたようで追加で渡したいと思います。

 金貨1000枚とアイテム56点になりますご確認ください」


 「クローとさんどうですか」

 「あきらかに少ないです」

 クロートさんは呆れたような感じで首を横に振る。


 「そうですかそれではあなたがうそをついていないか神に誓ってもらえませんか」

 「え!」

 「どうしました確認ですよ」

 「わ わかりました。神に誓ってうそ偽りは言っていません」


 「ドサリッ」

 同じように対応していた冒険者ギルドの職員は倒れてしまった。


 先ほどと同じように俺がチート能力を使って殺したのである。


 「これはどう言う事ですかね。何やら冒険者ギルドの職員はうそをついている方がいるみたいですね。

 きちんと対応できる方を出してくださいよ」

 そう言って次の対応を促す。


 しかし同じような事を何度か繰り返した。


 「金貨2500枚とアイテム201点になりますご確認ください」


 「ドサリッ」

 これで6人目だ。同じように対応していた6人目の冒険者ギルド職員が死んでしまった。冒険者ギルド館内は騒然となる。


 「悪いが、冒険者ギルドの責任者を出してもらえないかな。

 そうでないとこの不始末、収集がつかないぞ」

 俺は怒気を混じった声で館内に言い放った。


 「わかりました、すぐに上の職員を呼んできます」

 少したってから冒険者ギルドの副所長がやって来た。


 「大変失礼しました。冒険者ギルド副所長をやっていますエルドラと申します。

 先ほどの職員の不手際がありまして、大変失礼いたしました」

 「話は聞いておりますよね」

 「はい、聞き及んでおります。

 どうやら部下に手違いがあったようで、冒険者アレキサンダー・キース様のアイテムは特別な倉庫が用意してありまして、部下では取り出せないところにしまってあったようです。

 引継ぎ業務が不十分でしたご容赦ください。

 何分、キース様がっ持っていたアイテムは貴重な物が多くて管理が難しかったのです。

 特別な場所に保管していたのです。

 そのことを気付かずに部下に対応させてしまいました。

 誠に申し訳御座いませんでした、お許しください」

 「能書きは良いから、全部持って来いよ。

 全部持ってこなかった場合は、おまえも神罰で死ぬと思うぞ。

 そのことは覚悟しとけよな」

 この数時間で俺の心は荒んでしまった。


 「わかりましたそのようなことは御座いません。

 それでは少々お待ちください。今お持ちいたします」

 少したってから他の冒険者ギルド職員とともにキースが預けていたお金とアイテムを持ってきた。


 「お待たせしました。お預かりしたお金とアイテムを渡しますのでご確認ください。

 金貨5000枚とアイテム456点です。

 どうぞご確認ください」

 クロートさんは貴重なアイテムの入れた物がないと気付いて首を横に振る。

 

 またかよ、それにこいつバカだろう。


 預けている金額が金貨5000枚ぴったりとはありえない話ではないか。


 この冒険者ギルドを良く利用して引き出したりしているはずだ。誤差は必ず出るはず。うそを付いている事がお金の件だけでもわかるぞ。


 「副所長さんこれで全部で間違いないですかね」

 「間違い御座いません」

 「それじゃ確認です神に誓ってと言ってください」

  副所長は汗を垂らしながら神に誓ってと言った。


 「神に誓ってうそはいっていません」


 「ドサリ、ドタ、ドタ、ドサリ、ドタドタ」

 「キャー」

 副所長と手伝っていた冒険者ギルド職員が倒れた。近くで見ていた冒険者ギルド女性職員の1人が悲鳴を上げた。


 「それじゃ、次ね。わかる方でてきてよ」

 まったく呆れるしかないな。


 「おいおいてめえさっきから聞いていれば神とかどうとか言ってんじゃねえよ。なんなら俺たちが相手になるぜ」

 「はい?」

 8人の屈強な冒険者達が俺に絡んで来た。

 

 おそらく冒険者ギルドの職員が頼んで出てきたのだろうな。まったくバカな連中だいまだにわかってない。

 これだけ職員が死んでいれば異常事態だろうよ。俺が何か仕掛けているのが気づかないのかね。


 「良いだろう相手になってやるよ。こちらもいい加減ムカついているのだからな、かかってこいよ」

 俺はチート能力を使い、むかってきた8人の冒険者達をすぐに殺した。


 殺したあとに殴りまたは蹴り飛ばす。殴り飛ばした冒険者達は壁や窓にぶつかりひしゃげたまま死んでいる。

 殴り飛ばす前にことは切れてしまっているのだがね。


 「バカなあいつら、B級の冒険者達だぜ。それを殴っただけで倒せるはずなどないはずだ」

 冒険者ギルド館内は重々しい冷やかな静寂に包まれる。


 俺は管内の冒険者ギルド全職員にたいして大きな声で言い放った。


 「館内の冒険者ギルド職員に告げる。冒険者アレクサンダー・キースの持っていたアイテムをすべて俺に引き渡せ。

 うそを言ったり1つでもかけた場合おまえたち職員全員、神の裁きを受けるだろう。

 俺がキースとの決闘で契約したのは己のすべてと言ったのだ。

 髪の毛1本も残さず相手に渡すと言う内容だった。

 俺の元に全部アイテムが来ないのでこのような神罰が今起きているのだろう。

 あと30分だけ待つそれで全部渡せないようだったら、おまえら全員ここで死ぬだけだ。

 それで良いなら別に俺はかまわないがね。

 それと所長を呼んで来い。

 あたまがいねえのだったらおかしいだろうが」

 ギルド職員達は他の冒険者の相手などの業務を止め、一斉に動き出しキースが持っていたアイテムを探しに行った。


 冒険者ギルドの所長がやっと出てきたが、残念なことにすべてのお金とアイテムが戻ってこないと言う話をしてきた。


 「私が冒険者ギルド所長のアレイスです。

 お見知りおきを。

 ・・・誠に申し訳ない。

 お預かりしていたお金は用意できますが、アイテムが数点戻ってきていません」

 「戻ってきていない? どういうことかな」

 「今現在、貸し出ししているアイテムがありましてキース様にもそれは確認してあります。

 貸し出しで戻ってくるのがいつになりますかわからないのと現在所在不明なアイテムが何点か御座います」

 「それは、冒険者ギルドがなくしたって事で良いのかな」

 「そのような事になります。

 大変な不祥事です。誠に申し訳御座いません。

 つきましては弁償と言う形でお金でお支払いしたいと思いますがどうでしょうか?」

 「まぁ、俺は良いけど、きちんとした査定で出してもらいたいな」

 「もちろんです」

 「それじゃ査定して残りのアイテム出してもらえるかな」

 「了解しました」

 時間が少したってからお金とアイテムを持ってきた。


 「お預かりしていた金貨6312枚とアイテム762点です。では、ご確認ください」

 クロードさんも確認し自分で覚えていたアイテムを全部あった事を確認する。

 「5点ほどたりませんね。それも貴重なアイテㇺが5点ほどありません」

 「保障金として金貨1万枚でどうでしょうか。

 冒険者ギルドとしては、これでお許してもらいたいのですがどうでしょう」

 「まぁ、良いでしょう。俺としてはそれで手をうちますね」

 「ご配慮、有難うございます。

 金貨6321枚とアイテム762点ご用意できました。お持ち帰りください」

 キースが持っていた魔法の収納カバンがあったのでそれにお金とアイテムを詰め込んでいく。


 俺が持っている魔法の収納カバンより質が良いみたいだ。それも数が多く持っていた。


 「それでは所長さん、最後に確認しますが。神に誓ってうそ偽りを言っていないか言ってもらえませんか」

 「? あのどうしてでしょうか。すでに持ち物は全部お渡ししたはずですが」

 「あくまで確認のためですよ。もしかしたらなくなっていたアイテムがこの場にあって、それを金貨1万枚でごまかしたと考えられる可能性があるのでね。あくまで確認ですよ」

 「そんなことはありませんと思いますが」

 「それでしたら言ってもらえませんか、神に誓ってうそ偽りはないと言ってください」

 悪い笑みを浮かべ俺は言った。


 「・・・」

 所長は答えなかった。


 「ドサリッ」

 「どうやら所長さんはうそを言っていたみたいですね。契約の神様をなめているんもですか、これではここにいるギルド職員全員死にますよ」

 俺がそう言ったらギルド職員の1人がアイテムを5個ほど持ってやって来た。


 「これで全部です。お許しください」

 「ありましたようですね。まっ、良いでしょう。

 最初から全部出せばこんなことにならなかったでしょうね。

 金貨1万枚は迷惑料として戴いておいてもよろしいでしょうか」

 「どうぞ、お持ちください」

 震えながら冒険者ギルド職員は答える。


 「そうですか、それは良かったです。お世話になりましたね、では失礼したいと思います」

 俺は追加で持ってきたアイテムを魔法収納カバンに入れ帰ろうとする。


 「そうそう、ちょっとした忠告です。神様にはうそをつかない方が良いですよ。

 俺みたく細かく神と契約する人がいるとうそをついた場合に神罰が当たるかもしれませんからね。

 さてと、これからは銀行ですかね。何人神罰が受けるか楽しみですね。

 その前にお昼すぎたみたいので昼めしにしませんといけませんね」

 そう言って冒険者ギルドをあとにする。


 キースの遺体も邪魔だったので魔法の収納カバンに入れてしまった。


 俺の心は短時間でかなり荒んでしまったようだ。


 まったくこれだと冒険者ギルドは信用できないな。これで俺は冒険者にはなれなくなってしまったのかな。


 俺が去ったあとも冒険者ギルド館内は凄然としていた。ギルド職員と見ていた冒険者たちは全員震えていたのだ。


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