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第13話 決着 誰も気づいていない危ない事件?


 突然、契約の神ミトラースと言う神の従者、カレンと言う白き天使によって、キースとの決闘が開始されてしまった。


 こちらとしては見届け人がいることは良いのだが、どう見ても赤い小さな小悪魔、レッドデーモンだ。


 まさか神様の意を借りて人間を騙しているのではないのかな。


 疑問に思いつつ、目的が何であるのかが非常にあやしくあるのだが、他の冒険者も見届け人になっているのでこれはこれで良いだろう。


 ここからはキースとの距離は7メートルくらいはある。この範囲でも十分に俺のチート能力は使える。射程距離内と言って良い。


 キースがしかけた瞬間にチート能力を使った方が良いか。それとも先に俺が動いてチート能力を使って殺した方が良いか迷うな。


 今のところどちらも動かない状態でいる。


 キースは幸い剣をまだ抜いておらず、柄に手を置いたままだ。

 腰にさしている剣なのでそれほどは長さはない普通の剣だと思う。


 でも剣の技術によって、踏み込みなので間合いの長さも変わるだろう。そうなるとどこまで届くか見当がつかない。


 まさか魔法剣で抜いたとたんに魔法攻撃とか飛んでくるとかないよな。斬撃の衝撃破とかあったらたまったもんではない。


 俺はこの異世界に来て戦闘の経験があまりない。無さすぎだ。


 元の世界でも戦闘経験なんかないだろう。けんか一つしたことがなかった。

 

 この異世界ではチート能力ある。力が普通の人よりはあるくらいだろう。

 よく考えて見ればそんな程度しかないんだ。この世界では戦闘経験も知識もなさすぎる。


 決闘とは安易すぎたかな。失敗した、浅はかすぎたか。

 異世界だから当然、未知な攻撃をやってくるだろう。


 キースを嘗めすぎた。すでに決闘は始まってしまったのでどうしようもない。


 いまあるチート能力を使うしか俺には手がないのだ。


 先に仕掛ける。今すぐにでも発動しよう。

 そうでないと殺される。先手必勝だ。


 東の蛮族の貴族か、まさかあのガイルが殺られるとはな。

 剣の技術は俺より上だ、そのせいで前から気に入らなかった。


 やつが殺されるとは信じがたい、でもガイルが使っていた魔法のカバンをあいつが持っている。間違いなく殺されたのだろう。


 この男、アンドウと言うやつ、かなりふざけている。

 素手で構えて私の出方を待っているが、あきらかに素人だ。


 すきだらけというか、戦いそのものをやったことなどない感じがする。


 だがなにか危険なモノを感じる。得体のしれない何かだ。


 先ほどの話もそうだが、あの話術も俺が話を持っていこうとすると常に先手を取る。

 見た目は若いが奇跡の果実の効果によって、かなりの歳を若返っていると思われる。

 本来、50歳以上の年齢はいっているだろう。


 話もうまく奇策にたけている。それに貴族ならば、おそらく人心術を使うのだろう。


 間違いない。こいつは魔導士だ。

 それも状態異常系を使う幻惑魔導士。


 厄介なやつだな。

 状態異常の類は斥候のやつが持っているのが多い。

 すぐさま対応できる何らかの状態異常系魔法を放つことが目的とされている。

 情報を得て必ず生きて戻ってくることが前提で逃げる事を優先させる魔法を得意としている。


 それ以外で専門で魔導士でサポート専門の奴らもいる。


 睡眠、麻痺、暗闇、誘惑、毒を得意とする上位状態異常系を使う者達だ。

 猛毒を使って村など即時滅ぼせる危険なやつらもいる。


 上位状態異常系魔法を食らったら屈強な上位戦士でも遅れ劣ることなどざらにある。

 一番気をつけなくてはならない相手だ。


 あの東の蛮族の国からここまで1人でやって来たやつだ。

 一見すきだらけだが油断はできない。


 すきだらけ、まさかこれもあいつの手の内か、すでに幻惑系の魔法を使っている可能性もあるな。


 貴族なんて人心掌握のために平気で危険な魔法も使うやつらだからな。

 俺にあった時からすでに使っていたのかも知れない。人を操れるならばどんな危険な魔法でも使う。


 人の事は言えないが、目の前のやつは手慣れて使っているだろう。

 俺にはわかるそういうやつだあいつはな。


 話しをしていてわかっている。異常だ、俺の事をかなりムカついている。理由はなぜかわからないが。


 気に障ったことを言ったのはわかるが異常なんだよ。顔が笑っているが目は決して笑っていない。為政者にある感じがしてならない。


 ほんのちょっとだけ腕試ししようと思ったけど失敗だったか、こいつは本気で俺を殺す気だ。


 今ここで俺を殺さなくてもいずれ闇で殺すつもりだ。


 とんでもないやつに関わってしまったようだ。貴族は危ないやつばかりなんだよな。家を出てから久しく忘れていたようだ。


 だがやつには弱点がある。先ほどあいつが言った通りに私があいつの服が欲しくて攻撃できないとかまをかけてきた。逆にそれを利用してやる。


 やつの服は切り裂いたってかまわん。服は欲しいが命よりはましだ。


 それにあの奇跡の果実さえ手に入れば十分すぎる。なんたって1つで300日若返るんだからな。


 それに魔導士だったら弱点もある。今俺の手の中に握られてる魔法封じの水晶粉だ。


 これさえばらまけばやつは魔法をつかえずそれで終わりになる。

 複数の魔導士だったらいざしらず、1人で戦う魔導士だったらこの粉でなにもできなくなる。


 数秒だがそれで十分だ。魔法を仕掛けたところ返り討ちにしてやる。

 魔法を放つ様子を見せたら水晶粉をばらまき、速攻で俺の間合いに入り、胴体を狙って切り裂けば終わりって寸法さ。



 仕掛ける、チート能力発動。

 俺はチート能力の発動と同時に殴りにいった。

 おもいっきり顔面をぶったたく、頭を吹っ飛ばすくらいにな。


 仕掛けてきたな、今だこの魔封じの粉をばら撒く。


 あれ? 体が動かないどうしたのだ。

 あれ! あれ! れ。


 「ドガン」

 俺はキースの顔面をおもいっきり右拳で殴った。


 右拳はまともにキースの顔面に入り、キースは後で見ていた野次馬の冒険者の中に突っ込んでいった。


 キースが吹っ飛んで巻き込まれた冒険者も倒れ落ちる。


 「ドサ、ドサン、ドサ、ドサン」

 キースは15メートルくらい吹っ飛び転げまわった。


 すぐさま小悪魔が倒れたキースに近づき安否を確認している。


 しかし俺はその瞬間にとんでもない光景を見てしまった。

 家政婦が見た以上のモノを見てしまったのだ。


 小悪魔がキースの胸に手をおいた時に紫の炎の玉が現れ、その瞬間に小悪魔は紫の炎の玉を食べてしまったのだ。


 おいおい、あの紫の炎、魂?

 今たぶん魂を食ったぞ、あの小悪魔やはり悪魔じゃないのか。おそらくだが間違いない魂を食べやがったよ。


 でも誰も気づいていないのか? おかしいだろう。

 小悪魔はこちらに寄ってきた。


 来るな、あっちいけ悪魔野郎。


 「勝者、安藤明アンドウ アカリ

 勝利宣言をして右手を上げている。


 まわりにいた野次馬の冒険者のどよめきが響いた。

 俺が勝ったことが驚いているらしい。


 違うよ別の事件でこちらの方が驚きだよ。

 この小悪魔、天使のふりをしてキースの魂を食べやがった?

 なんてやつだ怖い、怖すぎだ。


 「契約の神ミトラースによって勝者の意向は遂行されます。

 この契約書をお受け取りください」

 そう言って何かが書いてあるぼろい紙切れを渡してきた。


 そして小悪魔は光を纏った状態で天に消えていった。


 ちょっと待て先ほどの決闘より、危ない事件が起きていたんですけどこの場にいた者は誰もわからないのか?

 俺はドン引きしてしまった。


 まわりの冒険者連中はキースが負けたことによって引いているみたいだけど、こちらはそれどころではないよ。

 悪魔がキースの魂を食っていったんだからな。


 とりあえず決闘に勝った証明書をあの小悪魔からもらったけど、これって大丈夫なのか?


 キースの全財産をもらったらこの決闘証明書を処分しよう。

 早めに処分しよう、なんか危なくて持っているの怖いよ。

 でも証明書だから持っていたほうが良いんだよな? この対応には迷う。


 とりあえずチート能力で勝てて良かった。

 キースは魂を食われたので教会での復活もできないだろう。

 もっとも死人が蘇る事がこの世界で出来ればの話だが。


 俺は賭けに勝って手に入れたエルフの少女たちに近づく。


 「確認したいのだが先ほどの決闘で君たちは俺のものになった。

 それは、わかっているのかな」

 「はい、新たなるご主人様、よろしくお願いします」

 3人の声が唱和した。


 俺はにやりと笑いエルフの少女たちを見てしまった。

 俺の笑った顔を見た瞬間に3人のエルフは縮こまり震えてしまった。


 しまった。

 決闘に勝ったのと言葉を話せる魔法が使えるようになると思って嬉しさのあまりに笑ってしまったのだよ。

 変な意味で笑ったのではないのだから、そんなに怯えないでくださいね。


 第一印象が重要だ。

 これではとんでもない悪人に見えてしまったのかもしれない。

 なんとか誤解を解くように努力しなくてはいけないな。


 しかしこんな奇麗なエルフの少女たちだ。

 魔が差して悪い事をしてしまうかも知れない。


 でも彼女たちの心が癒えるまでは悪い事はしないように心がけようかな。俺は紳士だからな。


 今からジェントルマンになったのだ。



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