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プロローグ

『テイマーズ・クラン』


ソーシャルゲームの一つである。


それも、中学生である僕やその世代に限らず、老若男女の幅広い世代がもっとも嗜んでいるゲームの名称だ。


プレイヤーはモンスターテイマー(魔物使い)になって、マイモンスターを使役しながらダンジョンや戦場を踏破していくゲームだ。


それだけを聞けば在り来りなゲームなんだけど、他との大きな違いは、モンスターが実際に居る動物のような挙動をするところだ。


こいつらモンスターは勝手に動くし、テイマーの指示を素直には理解してくれず、意図しない行動を取ってしまうところがある。 


そんな、思うようにいかない所がペット的な印象を与え好評を博すこととなり、世界中で遊ばれて、今では20億ダウンロードを越え、アクティブユーザーが10億人いるお化けゲームとなった。


そんなゲームで、僕は中学生ながらトップ層に居る。


僕以外のトップ連中は、世界中にいる実況者やプロゲーマーの大人だ。


そんな中に割って入っているのだから、自分でも凄いと思っているけど、それを大っぴらにしたり、声高々に吹聴することはない。


理由は、自分でも何でそんなに勝てているか理屈が分からないからだ。


『何となく、勝てている』


そんな、いつ転げ落ちてもおかしくない状況の活躍を、自慢して回る度胸は僕に無かった。


まあ、別にそれでも構わないと思っている。


僕としては、お気に入りのモンスター『ガイアウルフ』と、このゲームを遊べればそれで良かった。


このゲームのモンスターは一匹一匹個性があって、それが愛着をわかせる一因となっている。


僕もその例に漏れず、『ガイアウルフ』の『ポチ』を気に入っている。

こいつは強くて機転が利く上に、一匹狼的な性格の癖に寂しがりな所が、人間味(狼味?)に溢れていて好印象だ。


だから、『ガイアウルフ』禁止の今回のランカー戦には、参加していない。


「全く、なんでまた『ガイアウルフ』禁止なんてくだらないことするかな。トップ層じゃ、僕しか主戦力にしてないじゃないか。もしかして、僕が狙われたのか? 大人の世界の汚い事情で。陰謀か、陰謀」


なんて愚痴が、ついつい口から出てしまう。


これだけ規模のデカいゲームだと、市場で動いている金額もデカい。そんな、陰謀染みたものが蠢いていても、不思議じゃない。

まあ、そんな不確かなことを嘆いていても仕方がない。けど、ポチを伴わずにランカー戦に参加する気も起きない。


そんな理由で、僕が今やっている冒険はランカー戦では無く、その裏で開催されているフェアリー(妖精)モンスター限定の、お宝争奪のクリスタルダンジョン探索だ。


弱小モンスターと評判のフェアリー種限定のこれは、報酬はしょぼくて初心者でも参加しない様なものだけど、ランカー戦に参加しない以上、主だった大会はこれしかないのだから遊ぶとなると仕方がない。


そして、そのダンジョンももう最深部だ。前人未到の最奥、そこにある宝箱へ僕の3体のフェアリーモンスターは到達していた。


フェアリーモンスターどれも可愛らしい女の子のモンスターで、ここに居るのは黒髪青服のツンツンキャラ、金髪赤服のお嬢様キャラ、ピンク髪白服のお姉さんキャラから成っている。


ぶっちゃけ、たいして育ててもいない、名前すら付けていない、ボックスから出ることも無い、予備ボタンみたいなモンスターだ。


それでも他のプレイヤーを差し置いて、一番最初にここまで来れたのは、トッププレイヤーが伊達じゃないことの証明だろう。

ゲームと言えども、僕がこれまでやってきたことの努力が証明されたみたいで嬉しいものだ。


なんて、僕が感慨深く考えていると、勝手に宝箱を開けてしまう妖精たち。もう少しは、情緒というものを持ってもらいたい。


確認するまでも無く、このゲームはモンスターがAIで勝手に動くのが売りだ。本物の野生動物みたいなモンスターにアドバイスを与えて、思い道理に動かすのがこのゲームの楽しみ方だ。


それは理解しているんだけど、妖精種族の自分勝手さには辟易する。だから、能力の割には、弱小扱いされるし、バカ=妖精みたいにネットで扱われるんだ。


……まあ、いいか。それで、お宝の中身はなんだろうか? こんな初級ダンジョンなのだからそれほど期待は出来ないけど、なんだかんだ言っても楽しみではある。


そして、僕は画面上に浮かぶ不吉な文字を発見することになる。


『大いなる宝珠を手に入れました』


……なんだ? 大いなる宝珠て?

このゲームでは、宝珠というものは存在する。ただの換金アイテムで、敵がときたま落とすものなのだが、それの種類に大いなる宝珠というものは無かったはずだ。


なんて僕が訝しんでいると、妖精たちが勝手にその宝珠を掲げていた。それは、モンスターがアイテムを使用する際のモーションだ。


バカな! モンスターが勝手に道具を使用することなんて、今まで一度も無かったのに!


そして、何処からともなく聞こえる『チェンジリング』という声。


僕がその現象に驚愕して、そしてふと我に返ると、さらなる驚愕が僕を襲った。


さっきまで僕が居たのは、確かに自室だった。けど、今の僕が経っているのはクリスタルの床で、周りにいるのは、3人の羽根が生えた少女達だった。


黒髪青服のツンツンしていそうな同級生に見える少女、金髪赤服の自信満々に見える少女、ピンク髪白服の優しそうな年上に見える少女。


何と言う既視感だろうか。


僕が、そんな眩暈を覚えていたその時、その少女たちの真ん中にいる、ピンク髪の子が話しかけてきた。


「異世界へようこそ♪ テイマーさん、あなたのお名前は、なんて言うのかな?」


そんな、内容を飲み込むことが出来ない、髪色同様の奇抜な内容だった。

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