第二章 40話 VS動物使いのバンシャ
バンシャ「逃がしてたまるかぁっ!!!」
ベティ「グヲォォォ!!!!」
ケイティ「グモォォォォ!!!」
小張「ひっ!」
ワグ「うおっ!」
二匹の雄叫びはテント内に強く響き、地面が揺れるようだった。二人の顔色は恐怖から顔色が悪くなる。それを見たバンシャは不適な笑みを浮かべて交渉にでた。
バンシャ「なあ、お二人さんよ、このままかち合ってしまえば死んじまうぜ?黙って動かず無抵抗でこちらに降ってはくれねぇか?」
二人の額には冷や汗が吹き出ていた。そして、小張の頭のなかには葛藤があった。
小張(一旦、嘘でもついて降ったフリをしたほうがいいか…だけど…そうなるとシュウや迎えに来る仲間達が…)
ワグ「お…」
ワグは何かを言おうと声を絞りだそうとする。
小張「ワグ…?」
バンシャ「何だね?最後の言葉になるかもしれんぞ?言葉は選ぶとい、」
ワグ「俺はごめんだね!!!バァァカ!!!」
場は静まる─
バンシャ「な、何ぃ?」
小張「あんたは本当に…」
ワグ「俺は力で押さえ付けられ続けるなんてまっぴらごめんだ!小張!取り合えずこいつをぶっ飛ばすしかねぇようだぜ!」
小張「はぁ…やるしかないようね。…やってやるわよ!」
バンシャ「残念だよ…心の底からね。行け!!ケイティ!」
ドザッドザッドザッ
ケイティ「グモォォォ!!!」
ヒグマのケイティが二人に向かって走り出す。
ワグ「うわっと!」
小張「くっ!」
二人は左右に別れてケイティを避ける。そのままケイティはワグの方へ。
バンシャ「まずは厄介な方から半殺しにさせてもらう!」
靴を脱ぎ裸足になったワグは足の裏をローラーにして逃げる。
ワグ「っとは言ったもののやっぱ熊はやべぇな…」
小張「ワグ!!」
小張はワグに近付くが…
バサハザサバサッ
小張「うっ、このっ!」
ハゲワシのマイクとオウギワシのソニーが行く手を邪魔する。
バンシャ「女は別に埋めてしまっても良いんだけどね…もしかしたら交渉材料にもなるかもしれないからな。」
猛禽類二匹は小張の皮膚を爪やくちばしで切りつけていく。
小張「うぐぅっ!!」
ワグ「やべぇ。このままじゃ本当にやべぇ。」
バンシャ「ベティ!ワグに向かいなさい!!」
白熊にそう命じた時だった、
「待て!!!!」
バンシャ「っ!!」
小張「シュウ!!」
ワグ「シュウ!!」
シュウがショー入り口から姿を表した。
次の瞬間だった─
バンシャ「とらぁっ!!」
小張「危ないっ!!!!」
パシィィン─
バンシャの鞭はワグを捉えた。ワグがシュウを見るために後ろを振り返ってしまったからだ。
が、小張の決死の庇いによりそれは妨げられた。小張は自分の背中を針鼠のように沢山尖らせる。鞭の威力を半減させたのだ。
ワグ「小張!!」
シュウ「小張さん!!」
小張「ぐうっ!!」
ドサッ
小張はワグにのしかかる形で倒れこむ。
バンシャはにやにやと笑っていた。
バンシャ「なるほどな。そうかそうか、まさに棚からぼた餅。君らは皆、能力者なのだね?」
ワグ「大丈夫か小張!!」
小張「……」
小張は能力は消滅し、意識が無かった。
シュウ「小張さんっ!!!」
シュウは駆け寄り小張のことを気にかける。小張の反応がない。
シュウ「何をしたんだっ!!バンシャ!!」
バンシャは勝ち誇った大きな笑いをする。
バンシャ「ガッハッハッハッ!!!心配せずとも死にはせんよ死にはな!!」
ムクッと小張は立ち上がる。
ワグ「お、小張?」
シュウ「小張さん?」
そして─
ワグの顔面を思いきり殴り付けた。
ワグ「ぐぶあっ!!」
シュウは唖然とし、バンシャは腹を抱え、高笑いをする。
バンシャ「ようこそ!我らがバンシャサーカス団へ!!歓迎するよMs.小張!!」




