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第二章 39話 ヒーローショー─最後の挨拶へ


小張「キャッ!助けて!誰か!!」




 小張は観客席にいた。何故客席に?




 そう。これは演出。サクラなのだ。因みに、銃の中に弾は無い。更に言うと小張を人質に取った覆面の男は…






小張「ちょっと、シュウ力強い、痛いよ」ボソッ




覆面の男B「あ、ごめん。」ボソッ






 観客は逃げようとするが出口には覆面を被り襲撃犯に扮した団員が居るため近付く事が出来ない。銃や武器は回収されている為反撃も出来ない。観客は恐怖のドン底に落とされるのだ。




 そこでワグはマイクを持ち叫ぶ。




ワグ「皆!!安心してほしい!!大丈夫!!俺らがついてる!!」






 そう会場に響くと、団員入口から腕が伸びて覆面を被ったシュウに絡み付いた。そう、ノブの能力だ。






シュウ(ゆ、ゆっくりお願いしますよ…)


勢いよくシュウは入口に引き寄せられていった。






シュウ「うわぁーーー!!!」






 入口奥まで引っ張られたシュウ。ノブは少し気にかける。




ノブ「大丈夫か?少し強すぎたか?」




シュウ「だ、大丈夫です、でも…ビックリしました…」






 「ヨシ!では我々も出よう!!」




 声の主は団長のバンシャだ。






 一方観客席では覆面の男達がわざと驚き騒いでいる。




覆面の男「何だと!!何なんだあれは!!」






 観客は展開についていけずワグを見つめる。






ワグ「言ったろ!俺らが居るから大丈夫って!」






 ワグは観客に向けてウィンクをする。するとどこからか猛獣の雄叫びが聞こえ、観客席の通路から四足歩行の動物が覆面の男にぶつかる。






覆面の男C「ぐわっ!!!」




 そのままその動物は馬乗りになり覆面の男の動きを封じる。その動物はあのジョーク好きのハーバートだ。




ハーバート「皆さん!お毛け…じゃなくてお怪我はないですかな?」




覆面の男D「どけ!このやろう!!」


 馬乗りになったハーバートへ他のは覆面がナイフで襲いかかろうとする。




 が、男の動きは止まる。持っていたナイフが手から弾けとんだのだ。




アダ「フフフ、ナイフの使いかたを勉強したらどう?」






 アダが男のナイフに目掛けてナイフを投げたのだ。アダは観客席の中で観客に扮して隠れていたようだ。






 気付けば所々でサーカス団員による鎮圧が行われていた。このままいけば、鎮圧もあっという間…と思っていたが。




覆面の男A「せめてアイツだけは殺すんだ!!」






 そうリーダー格っぽい男が叫ぶとなんと、ショーの入口から三人の覆面が現れた。




ワグ「お!来たな!」






覆面の男E「残念だったな。せめてお前だけでもって話だ。」




覆面の男F「お前には恨みはねぇけどなぁ!」




覆面の男G「やらせてもらう!」






 三人がワグに襲いかかろうとした次の瞬間!






 「グモォォォォオオオ!!」






 一人の覆面が宙を浮く。






覆面の男E「うわ、うわぁぁぁ!!!!」






 浮いたトリックはバンシャ団長が乗るヒグマのケイティが咥えて持ち上げていたのだ。




バンシャ「おっとー?このままだとエサになってしまいますよぉー?」




ケイティ「グモォォォォオオオオオオ!!!」






覆面の男F「ひ、ひやぁぁぁ!!!」




 威嚇された覆面は急いで逃げるが咥えられた者を投げられ下敷きにされる。


 ここまでは良かった。順調に見えたが、一人の残った覆面が刺し違える覚悟でワグに殴りかかったのだ。






覆面の男G「くそがぁぁぁぁ!!」






 バゴォッ!!






 ワグは顔面を殴られる。見ていた観客は絶句した。何故ならば、






ワグ「いってぇなぁ…なぁんてね!」




 ワグの首が一回転しているのだ。首を回し威力を軽減させている。ワグの能力の発動だ。




覆面の男G「な、何!?」




ワグ「それだけでは終わらせねぇぜ!」ガシッ




 ワグは覆面の腕を掴み、腰から上をぐるっと回し無理矢理に背負い投げを繰り出した。覆面は簡単に飛んでいき、のびてしまう。




 この覆面が最後になり、鎮圧に成功する。このショーをまさに体験した観客達は驚きながらも安堵や興奮の感じが見てとれた。




ワグ「皆!!怪我は無かったかー!?それと、団員の皆!!手を貸してくれてありがとう!!お前たちのお陰で難なく助けることが出来たぜ!!」






バンシャ「皆さん!!奮闘した我らがサーカス団に大きな拍手をお願いします!!」




 パチパチと一人が拍手をした後すぐに大きな拍手が会場を埋めた。






シュウ(流石ワグさん…フリークショーを完璧に最後ヒーローショーに変えちゃったよ…)






 ショーは大成功だった。






----------------






 オツカレサマー!!!!


  オツカレサンー!!!!


   ヨカッタゾーキョウモ!!!!




 全てのショーが終わりみんなの顔はやりきった気持ちの良い顔をしていた。特に、覆面を被り、暴漢者に扮した団員と鎮圧した団員は観客たちの反応が非常に良好だったため興奮冷めやらぬ。という感じだ。




 シュウ達三人はというと、皆とは離れてこの後について話していた。






小張「お疲れ様、ワグ!」




シュウ「お疲れ様ですワグさん!めちゃくちゃ盛り上がってましたよ!」




 ワグは嬉しそうににやにやしながら答える。




ワグ「そうだろそうだろ?このワグさまがやってのけたんだぜ?」




小張「その発言にイラッとしたけど今日は確かにワグのお陰だし、誉めてあげる。」




シュウ「これでサーカスの人達も仕事増えるといいですね!」




ワグ「そうだな!…で、これからはどういう予定なんだ?」




 ワグは小張に問いかけ、小張は真剣な面持ちで答える。




小張「これからは、私とワグ、シュウは一人で行動するわ。」




シュウ「俺一人ですか!?」




小張「大丈夫。やってもらいたいことは団員の方への最後の挨拶だから。いきなり居なくなるのはちょっと悪い気がしてさ。」




シュウ「なるほど…そういうことだったら任せて下さい!」




ワグ「ってことは俺らはバンシャ団長に脱退することを話すんだな!」




小張「そういうこと。その後は椎名が迎えを申請してくれてるからそれに乗って帰るわよ。」




シュウ「分かりました!」


ワグ「おう!」




小張「じゃあちゃっちゃと行くよ!迎えと被らないようしないと!」






 小張とワグはバンシャの元へ急ぐ。




シュウ(じゃあ…まずは、オジーさんかな?)




 シュウはぱっと頭に思い浮かんだオジーに先に挨拶しに行くことにした。




-------------




 団長部屋─






 トントン、、






 小張は部屋をノックするが、返事が無かった。




小張「何か、デジャヴね。最初もこうだったかも。」




ワグ「調度ショーが終わったから電話で忙しいんじゃね?そういうときは入っていいんじゃねぇか?クランフランもそうしてたし。」




小張「じゃあ入っちゃおうか。」




 ガチャン─






---------




オジー「Whats!?もう出ていってしまうのかい!?まだ数日の仲じゃあねぇか!!」




シュウ「すいません…実は、仕事の関係でこのサーカスの調査に来てたんです…でも!全然悪いこともなくてこれからも仲良くしていきたいなと!」




オジー「おいおいおい!そんなの当たり前だろうが!!そうだ!他のやつにも話さないといけねぇな!おい!お前らシュウが話があるそうだ!!」




 ザワザワザワ ナンダナンダ?




シュウ「えっとですね…先程も言ったのですが、、」






----------




バンシャ「~~~~!」




 バンシャの声が聞こえ始める。二人はそれでも遠慮なく前に進み、バンシャの前まで着いた。






バンシャ「これからもお金の方の支援を、はい、はい。ありがとうございます!」




 っと言った瞬間に二人に気付く。




バンシャ「あ、申し訳無い。立て込んでしまいました、次の公演の話はまた後程…」ガチャン




 バンシャは電話を切り、ニカッと二人に笑いかける。小張は少しその行動に何故だか分からないが、嫌悪感を抱いた。




小張「すいません、無理矢理切らせてしまった感じになってしまいました。」




 バンシャは大袈裟に腕を広げておどけて話す。




バンシャ「いやいやいや!構わんよ!君たちなら全然問題は無いさ!ただ、少し聞いてて気持ちの良い話では無かったかもだからね!切らせて頂いたよ!」




小張「そうですか…」


ワグ(どうしたんだ?小張。)




バンシャ「それで?何か私に用があるんだろう?何かね何かね!」




小張「実は…」




-----------






ハーバート「そうかぁ…うーんそれは残念だなぁ…」




クラン「私達、もっと仲良くなれると思ったのに。」


フラン「……悲しいなぁ…」




シュウ「ま、まぁでも!これで最後になるわけではありませんよ!今小張さんとワグさんが団長と掛け合ってうちの所と協力関係でいたいと話してくれてると思いますし!」




アチク「へっ、まぁ直ぐに戻ってくるかもしれねぇしな、一角雑技団みたいによ!」




シュウ「?何かあったんですか?ってか全然見ないですね一角雑技団の方々。」




デニス「た、た、確か、一角雑技団は退団するって言って直ぐに戻ってきてやっぱやりたいって、」




シュウ「…それくらい居心地が良かったんだと思います。正直、自分もここは居心地が良くて、とても暖かい場所だと思ってますから!」




オジー「うおおおおお!!!うれしい事言ってくれるじゃあねぇか!!!」






-----------




 全てを伝えた後、バンシャはショックを受けた顔をしていた。




バンシャ「そうか…そういう事だったのか。」




小張「はい。でもこれからは協力関係を作って行けたらなっと。」




バンシャ「……本当に出ていってしまうのか?」




ワグ「ごめんな、でも楽しかったぜ!俺!」


小張「申し訳無いです。」




バンシャ「……そうか………そうだ!じゃあ最後に一緒に片付けを手伝ってくれないか?」




小張「片付けですか?」


ワグ「お!良いぜ!それくらいはやらせて欲しい!」




バンシャ「じゃあ早速行こう!まずはショーをした巨大テントからだ!」




-----------




シュウ「そう言えば、どんなバックがついててここまで凄いサーカス団になったんですかね!それほどバンシャさんは凄腕の団長だったってことですよね!」




ハーバート「んー、どうだったか、凄腕の団長なのは違いないが、バックに誰かが付いたとかでは無くて…えっと…んー…そうだ!組織に加入したって言ってたな!」




シュウ「へぇー秘密結社的なやつですかね?ほら、フリーメイソンとか!」




 シュウはテンションが上がっていた。ハーバートはうーんと考えだす。




ハーバート「あ、いや、違うなぁ……」




 中々出てこないか…と思った矢先にハーバートは一気に目が明るくなる。




ハーバート「思い出した!」






 そして、ある団体を口に出した─








ハーバート「Nofaceって言ってたな!」






 


シュウ「No……face……。ッッ!!!」




 シュウは小張達の下へ走り出した。




 それは反射的にであった。




 あってはならない事が起きていたのだ。




 バンシャはNofaceと関わっていた。




 きっと小張とワグの身が危ない。




 周りの制止を聞かず、一心不乱だった。




------------




バンシャ「私はね、このサーカスを建てた理由として一番に心に思ったのは、我らのようなフリークな人間を差別から無くす為、皆に世界のスポットライトを当てる為に作ったのだ。」




小張「なるほど…凄い良いことだと思います。」




ワグ「流石は団長だな!皆言ってたぜ良い団長だって!」




バンシャ「そう思ってくれているものがいるのならやっている甲斐があるというものだ。」




 バンシャは少し神妙な面持ちで言葉を繋げる。




バンシャ「だが…その為には必要な事が沢山あるのだよ。」ボソッ






----------




 団長部屋─




  バンッ!!


シュウ「小張さん!!ワグさん!!」




 シュウは奥まで入るが、そこには三人の姿が無かった。




シュウ「クソッ!!一体どこに行ったんだ!!」






----------




 サーカステント内─




小張「必要な事?」




バンシャ「そう。必要な事だ。大事な事。」




ワグ「何だそりゃ?」




バンシャ「それはね、、」






-----------




 広場に出て近くに居たアダに団長の居場所を聞き出すシュウ。




シュウ「アダさん!!団長は!?小張さんやワグさんはどこに行きました!?見かけてないですか!?」




 アダは驚いた表情でシュウを見て答える。




アダ「どうした?何かあった?」




シュウ「お願いです!!探してるんです!!」




 そこにノブがやって来て会話に加わる。




ノブ「団長ならショーテントに入っていったぞ?ワグとかも連れていた。それが、」


シュウ「ノブさん!ありがとう!!」




 シュウはノブの言葉を最後まで聞かずに走ってショーテントに向かった。




ノブ「……」


アダ「……?」




------------






バンシャ「金と権力さ。その為ならば俺は、、何だってする。やっと……やっと手にいれたんだ、チャンスを…」




 ショー入口から動物達が出てきてバンシャの脇を固める。








小張「…っ!」


ワグ「ま、マジか…っ」






バンシャ「逃がしてたまるかぁっ!!」



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