第二章 35話 情報捜査4
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オツカレサマー!!
キョウモヨカッタゾ!!
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二日目の公演が終わった。今回の公演も上手くいったそうでショーを行った方は皆笑顔でいい顔をしていた。また広まって食ったり飲んだりと、どんちゃん騒ぎをしていた。
シュウ達三人はというと、少しその輪から離れて話し合っていた。シュウと小張は少し疲れた表情で座っていた。ワグはというと…
ワグ「どうだどうだよ!このシナリオ!絶対盛り上がるよな!!うひゃー!明日が楽しみだぜ!」
一人明日の公演の台本を作っていてテンションが上がっていた。
シュウ「あの…ワグさん、本当それどころじゃ無くてですね…」
ワグは、ん?と訳がわからん。という顔をしてシュウを見る。
小張「ちょっとその顔やめて、イラッとする。」
ワグは今度は小張の顔をん?っと訳がわからん。という顔で見る。
小張「……。今回の任務の事なんだけど、」
小張は少し黙った後、ワグを嫌な目で見つめてから話を切り出す。
小張「ノブの勧誘なんだけど、諦めようかと思ってるわ。」
ワグ「えぇー!!!何で!!いい感じに進んでたろー!」
シュウ「いやいや…むしろ逆ですよ…」
小張「誰かさんのせいでマイナスから始まったしね。」
ワグ「あぁ…シュウだな。」
シュウ「え、」
小張「大丈夫よシュウ。ワグは頭が悪いの。」
ワグ「あーあー!分かってるわ!俺のせいだろ!……で、何で諦めるんだ?やっぱ俺がミスったからか?」
小張「違うわ。ノブをこのサーカスから外すことは出来ないの。」
ワグ「なんでよ。」
シュウ「んー何て言ったらいいか…BARKERsから無理矢理、焔さんを引き抜くみたいな感じですかね…?」
ワグ「ん?主戦力を引き抜くみたいな感じか?」
シュウ「それも有りますし…無理矢理引き抜く感じなんで団体とも仲が悪くなるし、個人とはもっと仲良くなれない。それでもって焔さんは慕われていますし、奏君も居ます。……分かりますかね?」
ワグはふーむと腕を組み考える。
ワグ「なるほどなぁ、納得したわ!……でもどうするんだ俺ら?」
小張「そこでなんだけど、取り敢えずは一日ショーをしましょ。そして、団長に色々話して協力を要請して、その後朝に帰るわ。椎名がヘリを用意してくれてるみたいだしね。」
ワグ「んーそうかぁ…残念だなぁ仲間が一人増えると思ったのになぁ。」
シュウ「仕方無いですよ…ん?」
シュウは自分達より少しまた離れた所の木々にノブが一人座っているところを見付けた。小張もシュウの反応を見てノブに気づく。
小張「あ、またあそこに…」
ワグ「ちょっと行ってみようぜ!」
シュウ「ちょっと!ワグさん!」
ワグがノブのもとへ走りそれを追いかける形でノブに近付いていった。
近付いていくと、ノブはまた小鳥と戯れているのが見えた。ワグは見えたところでスピードを落とし、二人に対し人さし指を口前に出し、シーッと静かにするよう促す。
ノブ「お前ら静かにしてろよな!」ボソッ
小張(分かってるっての。)
シュウ「」コクコクッ
三人はゆっくりとノブに近付く。
チュンチュン
ノブ「ん。」
ノブより先に小さな小鳥が三人に気付き、ノブはそれに反応する。
ノブ「お前達か。今度は学んだようだな。」
バサバサと軽く羽ばたきノブの前腕に止まる小鳥。
ワグ「あのときは皆びっくりして飛んで行っちまったからな。」
シュウ「その小鳥、大分なついてますね。」
ノブは小鳥を軽く指で撫でて言う。
ノブ「こいつはサーカス初日、巣から落ちて飛べなくなっていた所を助けたんだ。可愛いだろう?」
小張「めっっちゃ可愛いわ!!」
黙っていた小張は我慢が出来なくなったのか眼を輝かせ言った。
小張「私も撫でたい!!」
ワグ「小張は可愛い物好きだからなぁ」
ノブはそっとそのまま小鳥を前に出す。
ノブ「構わないと思う。優しく撫でてやってくれ。」
小張「はぁぁん!可愛いぃ!!」
そっと指で撫でると小鳥は抵抗せずやられるがままだった。
シュウ「動物好きなんですか?ノブさん。」
ノブ「ああ。動物や自然は大好きだ。」
すると少し悲しい顔をして言葉を続ける。
ノブ「動物はなついてくれる。差別もしないからな。ずっと俺の友達なんだ。」
それを聞いた三人はどこかやるせない顔をする。そこで口を開いてしまったのは単純バカなワグだ。
ワグ「なあ、やっぱうちらと来ねぇ?皆能力持ちだし、絶対に差別は無いぜ?」
小張「ちょっとワグ!もう諦めるって話をしたじゃない!」
ワグ「でも気持ち変わるかもしれねぇだろ?なぁノブ!」
ノブはフッと笑い困った顔をする。
ノブ「お前は空気が読めないと言われたことがないか?」
ワグは人さし指を横に振り得意気にほざく。
ワグ「チッチッチ、甘いぜノブ、空気は読むものじゃねぇ。」
ワグ「吸うものだ!!」
まさにアホの発言を得意気に言ったワグに小張とシュウは頭を抱えた。ノブも目が点になっている。
そしてノブは苦笑をした。
ノブ「ハハハッ、まだ二日しか一緒に居てないがお前の事がよく分かったよ。いいやつだなお前は。」
ワグは今一つノブの言葉を分かっていないような顔をして言う。
ワグ「まぁ何かよくわからねぇけどよ!じゃあこのいいやつとずっと一緒に居られるんだぜ?」
ノブはどんどん困ってきた。
ノブ「おいおい、俺のことやサーカス団のことも分からないのに無理矢理だな。」
?「じゃあ、言ってやればいい。きっと親身に聞いてくれるよ。」
ノブは言葉に、人に気付き少しずつ顔が赤くなる。三人は後ろを振り返り声がした方向に振り向く。
ノブ「la、lady…」
声の主はあの、
ワグ「エロい姉ちゃん!!」
ことナイフ使いのアダだった。アダはワグの発言をスルーして言う。
アダ「ついつい私も過去の話をしてしまったよ。引いてもらうには自分を知ってもらうしかないよ。特にこのおバカさんにはね。」
小張「もしかして、バレてました?ノブの勧誘…」
アダ「言ったでしょ?分かってても聞かないって。」
シュウ「そういう意味でもあったんですね…」
ワグ「そ、そうだぜ!引かないぜ!」
ノブは顔がどんどん赤くなる。
ノブ「la、la、ladyが言うなら…話してもいい。俺のこの19年間を。」
小張「え、19歳なの!?年下なの!?」