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第二章 23話 大合奏と獣男


 パアアアッと辺りは明るくなる。


ワグ「何かすげぇドキドキしてきたわ。」


シュウ「俺もです…」


小張「ワグ、さっきもらったパンフレットを見せてくれる?」


ワグ「おう、これだな。」


 ワグはパンフレットを見えるように開いた。


──────────────────────


    バンシャ・フリークショー



 1.音楽に愛された五つ子オーケストラ


 2.毛むくじゃらのハーバート


 3.蛇男と蟹男


 4.一心同体 クランとフラン


 5.軟体一角雑技団


  休憩時間


 6.蠱毒の頂点


 7.百発百中、変幻自在のナイフ術


 8.動物使いのバンシャ


 9.腐れる者


 10.我が期待のホープ請うご期待!!


─────────────────────                    




シュウ「全部気になる内容ですね。」


ワグ「ああ…やべぇな…こりゃ見てみたくなるわ。」


小張「しかも見てここ。」


 小張はパンフレットの端に書いてある文を指差す。そこには、


 「料金は後払いで。本当に下らないと思った方は払わなくても結構です。」

っと書いてあった。


小張「相当自信があるのよ。」


シュウ「料金はいつ払うのだろうって思ってたけどそういう事だったんですね。」


 

 フッと急に明かりが消える─


ワグ「お!始まるぜ!」


 三人は心して見つめる。


 ドルルルルルルルルルルルルルルル

 


 急にドラムロールが流れ出し、下の入口から五人の楽器を持った人が現れる。


 

 一人は金管楽器を咥え、腰にも携えていた。分からないが、種類が違うのは確かだった。

 二人目も金管楽器を腰にしてたが、コントラバスを抱えている。

 三人目はティンパニー3個を腰に繋げた人が出てくる。背中にはシンバルを背負っていた。この人がドラムロールを叩いていた。

 四人目は管楽器を咥え、違う種類の管楽器も最初の人と同様、腰に携えている。

 最後はヴァイオリンを持っていた。この人は金管楽器と管楽器を腰に携えている。


 五人は一気に走りバラけ、全員観客の方を向き止まった。



 そして、ヴァイオリンとコントラバスが先に引き始める─


   ♪~~♫♬~♪~♪

 

 何か…聴いたことあるような歌だった。弦楽器の音はとても力強く且つ、キレイだった。


小張「ドヴォルザーク、新世界第4楽章ね。」

ワグ「はや!よく分かったな!」

小張「フッ、常識よ。」ドヤッ


 ティンパニーもなり始め本格的にオーケストラが始まる。


ワグ「この歌か!!有名だな!!」

小張「いい?オーケストラは黙ってみるものよ。」

ワグ「……くっ」


 シュウはこの演奏に圧倒され、言葉が出なかった。演奏がうまかったからだけではない。この五人は他の楽器もパート事に鳴らし分けてるのだ。しかもお互い見てもないのに息もぴったりで、少しもずれたりミスも無い。まさに楽器のスペシャリストだった。


 新世界の後は、色々な有名所の歌を演奏してくれた。更に驚いたことに、最近のJPOPやRI☆NAの歌も演奏してくれたのだ。


 全て演奏後、五人は観客に一礼して下の出口へ戻っていく。

 とてつもない喝采の拍手が沸き起こる。RI☆NAの歌を演奏してくれた理由も有ってか、ワグは誰よりも大きく拍手をしていた。


ワグ「マジでパネェ!最高だったな!」


シュウ「めちゃくちゃ息ぴったりでしたね!彼らも能力者なんですかね?」


小張「んーどうなんだろう…分からないな。でも異質って感じはしなかったわ。」


ワグ「五つ子ならでは、ってやつかもな。」


シュウ「なるほど…五つ子の絆ってやつですね…」



 そしてまた辺りはパッと暗くなる。


 ライトは入口を照らした…すると鎖でぐるぐる巻かれたロッカーのような鉄の箱を団員の人が引いてやってきた。



ワグ「あ、ありゃなんだ…」


小張「何か危険な臭いがするわね…気を引き締めましょ。」


シュウ「…ゴクッ」

 シュウはあの厳重さと異様さに緊張して生唾を飲んだ。


 すると、先程の団長バンシャの声が聞こえる。



バンシャ「二番目に出演しますは、毛むくじゃらのハーバート!彼は野生の血を引いていまして、私達も色々と手を焼いております。皆様も…お気をつけて。」


 一人の団員は真ん中に箱を一つ置く。


バンシャ「では…鎖を解かせて頂きます。」


 団員二人がかりで鎖を解き始める。


ワグ「一体…どんなのが…」


小張「…」


シュウ「…」


 固唾を飲んで見つめる三人。



 ジャラジャラと鎖が解かれた。



   バン!


 扉が開き、中から出てきたものは…


 



 まさに毛むくじゃらの獣だった。



獣「ウウゥ……ガゥルル」


 その獣は思ったより小さかったが、獰猛そうに唸り、周りをジロジロと見る。


 そのまま箱の方へ歩く…そして箱の上の蓋の部分をはたき落とす。


 おもむろに箱の中に手を伸ばす獣。取り出したのは…シルクハット……?



シュウ「え、?」


 え?と思ったのは自分だけでは無かったようだ、他の二人の顔を見てわかる。目が丸くなっている。


 その獣はシルクハットを被り、器用に入っていたタキシードも着始める。その様子に周りの観客もざわつき始めた。


 そして箱の中にあったマイクを手に取り話始めた。


獣「あ、あーテステス。マイク音声良好良好。ん"ん"、えーそれでは…」


獣「はい!どーも!!今宵二番目を任されたまさに、毛むくじゃらのハーバートでございます!皆皆様方!どうもよろしく!!」


 シルクハットをちらっと外して小粋な挨拶をするハーバートと呼ばれる獣男。


 三人を含めた観客全員がポカーンとした表情を浮かべる。



ハーバート「おっと皆さん?あまりにもポカーンとしているので、こんな話を一つ。」


ハーバート「私はある時…事故の現場に立ち合ってしまいました。そこにいる人たちは皆この私、ハーバートが犯人だと言うのです。そのまま、冤罪のまま裁判にまで発展していきました…そこで裁判官が言ったのです。」


ハーバート「ハーバートさん。何か異議申しだてがあればどうぞ。と私はしっかり言いました。その言葉によって私は無罪を勝ち取ったのです。私はこう言った…」





ハーバート「怪我させてない(毛が刺せてない)!ってね!!」





シュウ「」

小張「」

ワグ「」




  シーーーン…



ハーバート「そう言う気もない(毛もない)!ってね!」



シュウ「」

小張「」

ワグ「」





 その後、数十分、ハーバートの下らないブラックジョークや洒落を聞かされた。

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