第二章 19話 スーパーアイドルRI☆NA ☆
--------------------
シュウ「うん、うん、だから心配しないでも大丈夫だよ。本当心配症だなぁ」
莉沙「そりゃ心配するよ!いきなりなんだもん居なくなるの!」
シュウは莉沙から何度もメッセージが飛んできていたのを思い出し電話をしてあげていた。
莉沙「お兄はどこか抜けてたり、気弱な所もあったり、なのにどこか無謀な所があるんだから!」
シュウ「ははは、まぁ何とかやってるよ。」
莉沙「でも元気な声聞けて良かったなぁ、ホッとしたよー…」
シュウ「大袈裟だよ莉沙、あ、どう?家の様子は。家事とかしっかり出来てるか?」
莉沙「んー何とかやってるよー!お母さんが最近仕事から早く帰ってくれるようになったから家事とかは大変ではないかな!でも正直、家で一人は寂しいところがあるかも。」
シュウ「莉沙は寂しがりだからなぁ。」
そう、莉沙はとても寂しがりだ。まだ莉沙が小さいころはよく一人で寝れず枕を持って来たりしたものだ。
莉沙「私は寂しがりじゃないもーん!お兄いなくても頑張れてるもん!」
頑張れてると言っている時点で寂しがりなんじゃないかと思う。現に母さんから聞いたが、居なくなった時、莉沙は大泣きしたそうだ。
シュウ「ははは、そうだな!昔よりかは、な!」
チラッと置いてある時計を見る。
シュウ(あ、やべ!こんな時間!まだ明日の話をワグさんと話さないといけないことあるんだった!)
シュウ「あ、ごめん!莉沙!明日大事な仕事があるんだ!今から同僚に聞かなきゃいけないから!」
莉沙「あ…うん…わかった…」
シュウはあからさまにしゅんとしている莉沙に優しく語りかけた。
シュウ「大丈夫だよ莉沙。絶対また連絡する。約束するよ。だからそんなに落ち込むなって。」
莉沙「ふーん!別に落ち込んでないしー!……仕事頑張ってねお兄!」
シュウ「おう!ありがとうな!じゃあまた!」
莉沙「じゃあねー!」
電話を切りワグを探すが部屋には居なかった。
シュウ「どこいったんだろ…通信で聞いてみるか…」
なんとこの通信機はスマホと連動して通信相手を設定することが出来る。先端のボタンを押す回数によって連絡出来る人が選べる。
カチカチ
ワグメグルニレンラクヲトリマス
カチ
ピピピ ピピピ
ワグ「お?どうしたーシュウ!」
シュウ「どうしたーじゃないですよ!今どこですか?明日大事な任務なのに!」
ワグ「あー?今なー!こっちには大事な任務よりもっと大事な事があんだよー!」
シュウ「え、すいません…違う仕事ですか?」
ワグ「んー…ある意味仕事だな…そうだ、お前もこいよ!食堂に結構集まってるぜ!」
シュウ「ん?この時間に食堂ですか?」
今時間は19時を差していた。
シュウ「後ろ騒がしいですが、少し遅めのパーティーかなんかですか?」
ワグ「まぁ例えるなら仕事よりパーティーだな!早く来いよな!始まるからすぐに!」
シュウ「あ、分かりました、すぐに行きます!」
シュウは急いで食堂に向かう。
----------------------
食堂─
ワー!ワー! ガヤガヤ!! ワー!ワー!
食堂はいつにも見ない盛り上がりだった。一体何の集まりなのか、と思ったが騒がしい人の頭に[I Love RI☆NA]とかいてあるハチマキを着けてるのを見てすぐ分かってしまった。
シュウ(この人達……RINAのライブをテレビ中継見るために集まっている…)
確かに食堂の壁に大きなモニターがあったり、壁からスクリーンをおろして見るライブはスゴいだろう…だが、ここまで人が集まるのだろうか、この大きな食堂に一杯一杯に集まる男女、男性だけではなく、女性も多く集まっている。
シュウ(あ、ワグさんとか皆あそこに固まってる!)
シュウに気付いたワグはシュウを呼ぶ。
ワグ「おーい!こっちこっち!まだ始まらなくて良かったなー!」
そこには、恩田、アリサ、幾、走川が居た。ワグ、恩田、走川は既にハチマキとサイリウムを持っている。
シュウ「あ、こんばんは!皆さんRINAファンだったんですね!」
ワグ「おうよ!」
恩田「んぶぁ!」
走川「もちのろんだ!!」
アリサ「さ、さ!私の隣に座ってくださいな!特等席ですわよ!」
ちょいちょい、と手招きしてシュウを呼ぶ。
シュウ「あ、ありがとうございます!失礼しますね!」
席に座るシュウにアリサは言う。
アリサ「凄いですわよね!この賑い!皆さんRINAさまが好きなのですわ!」
シュウ「確かにRINAは凄いアイドルですけど…こんなにBARKERsの人達集まりますか?」
幾「それは理由があるんだぞー?」
リンっと音を立て人差指を立て言う。
幾「RINAは私たちと同じ仲間なんだー!」
シュウ「RINAも能力者だったんですか!?」
幾「そうそうー因みにRINAは昔はここに住んでたしなー!生で見たことあるよー!」
ワグ「マジで悔しいぜその話!俺が入ったときには既に居ないのな!マジでひでぇ話だよ、こんなにもファンなのに!」
シュウ(そう言えば壁にもポスター貼ってあったもんな…)「RINAさんはもうここへは帰っては来ないんですか?」
アリサ「そうですわね、RINAさまはアイドルの道を捨てることは出来ないと言っておりましたので。」
走川「RINAは本当に明朗快活の言葉を体現するような子だったな。一緒にランニングしたのは良い思い出だ!」
恩田「んぶ…良いなぁ俺もワグと同じで入ってきたときには居なかったから…本当残念だなぁ」
アリサ「誰にでも優しく、色んなことに心から興味を持って一緒に楽しむような人でしたわね。」
シュウ「周りを見れば本当に愛されてるんだなぁって分かりますよ。」
もう一度思うが本当にこの集まりようと熱気は凄い。よく見ると端に、千歳隊長と副隊長の溶定さん、近くにはフランクさんと伊賀崎さん、伊勢原隊長はTVモニター近くに、焔さんと奏君も一緒に奥に座っていた。
シュウ「本当一大イベントですね…」
アリサ「凄くワクワクしてきますわ♪」
ワグ「お!お!出てくるぞ!はじまんぞ!!」
モニターに映るライブ会場の電気はパッと消え、観客はシーン…となる。それに合わせてこちらの食堂の照明も自然と消え、皆も静かになる。
するとRINAの代表曲の曲調がとてもポップな[You're star!]という歌のイントロが流れる。
そして─
パァァァン!!!
っという音と共にキレイな光の粒子がバーッとステージから巻き上がりRINAが中央からポンッとジャンプし飛び出た!
RINA「yeah!!皆ー!!元気ー!?じゃあ行くよ!!You're star!!」
会場はウォーー!!!!っと歓声が響く、するとやはりここの食堂でも同じくらいの歓声を出した。
シュウ「うわっ凄いな皆、」
アリサ「フフフ♪これくらいじゃまだまだですわよ?更に皆さんヒートアップするんですから!」
もうワグや恩田、走川は応援グッズを使い応援していた。っというかこの三人は今にも踊りそうな勢いだ。
ワグ「いきなり、You're star!はやべぇ!!俺ら殺すつもりかよおい!」
そして、二曲目が終わり、RINAは話始める。
RINA「Yaa-!!今日は来てくれて本当にありがとうね!!RINA超感激だよー!!今日も歌って歌って骨抜きにしてやんぜー!、なんて!」
テヘッとした表情を見せるRINA。
こちらの会場は皆それに殺された。
恩田「ぐぶぁ」
走川「うぐぉわぁ」
ワグ「ぐひゃぁ」
フランク「うひゃん」
伊賀崎「隊長……」
RINA「じゃあじゃあ次行くよ!次もテンションアゲアゲで!!SUPER BRAVO.7!!」
ワグ「おーー!!熱い選曲だなぁー!!」
走川「俺はこれが大好きでたまらん!!RINA!!たまらんぞ!!」
恩田「汗がとまらないぞぉー!!」
シュウ自身も歌を聴いていて気分がノッてきていた。隣のアリサもノッてきているみたいだし、幾なんかもう横に体が動いている。
フランク「RINAチャン!!!RINAチャァァン!!!」
伊賀崎「………」
熱く、心に響く歌が3曲続き、またRINAは話始める。
RINA「んー?皆疲れてきたー?休憩するー?」
ライブ会場はしなーい!!や大丈夫ーー!!の言葉が響く。
走川「もっとくれRINA!もっとくれ!!」
アリサ「端から見たら変態ですわね。」
RINA「じゃあーそろそろあの曲行っちゃおうかなー!…皆!好きな人っているー?」
ワグ「きたー!!あの曲だ!!」
恩田「ぶふ!!キタコレキタコレ!!」
走川「はぁはぁもっと、もっと、」
RINA「私はねー好きな人、たっっくさんいる!沢山のファンの方々、大好き!!」
ワァァァァァァっと会場は盛り上がる。
ワグ「俺も大好き!」
恩田「俺も大好き!」
走川「俺も大好き!」
フランク「私も大好き!」
四人は凄いタイミングでハモる。
RINA「私ねー?他にも大好きな人がいるんだ!私を支えてくれてる裏方の人も、家族が居なくて、その時に支えてくれた人も!私の事を可愛がってくれた頑固なおじいちゃんも、毒舌だけどめちゃくちゃ優しいおばあちゃんも大好き!!」
ワグ「ん、これって、」
走川「巌鉄さんと千歳さんだな。」
シュウ「えー!!」
幾「先に言っとくが、血は繋がってないからなー?」
シュウ「あ、よかった。」
アリサ「RINAさまは特に巌鉄さまになついてましたからね。」
シュウ「めちゃくちゃ意外だ…でも巌鉄さんはどこに?」
アリサ「いつもの事ですわ、わざとらしくライブの日は仕事を夜に入れるんですの。本当は一番見たいのは巌鉄さんなのに素直になれないんですわ。」
シュウ「なるほど…そうなんですね、巌鉄さんらしいっちゃらしいですが…」
トラック内─
剣崎「くそぉ!!何で俺も仕事出ないといけねぇんだぁ!!見てぇよRINAのライブ!!」
巌鉄「うるせぇぞケン!!!黙ってろ!!!」
剣崎「でもよぉ親父ぃ…頑固過ぎるぜぇ…せめてラジオくらい…」
巌鉄「うるせぇ!!!駄目だ駄目だ!!!」
剣崎「はぁ…」
(でも俺は知ってる。親父は今回のライブを録画していることを…)
剣崎「見れねぇのは俺だけかよぉ…誰か録画してねぇかなぁ」
RINA「そんな大好きな人に向けて歌います!愛の詞!」
ワグ「俺にも向けてくれぇー!!」
恩田「俺も愛してほしいなー!」
走川「走りに行ってこようかなぁー!あぁ!?」
シュウ「もう病気だよ。」
だが、RINAの歌はそうなるのも頷けた。歌唱力だけではなく、表現力も感情も何もかも心に突き刺さる。
隣で聴いてるアリサはポロポロと涙をこぼし、幾は眼を瞑り横に体をゆらししっかりと聴いている。ワグたちは泣きまくり、千歳に対する歌でもあるため、千歳はハンカチで涙を拭っていた。シュウ自身も勿論平常ではなく、目頭が赤くなり涙がポロッ流れてきていた。
シュウ「良い歌だなぁ…」
意識せず、この言葉がこぼれるほどに。
RINA「~♪~♫♬~♪」
RINAのライブは後半に差し掛かっていた。すると後ろRINAの綺麗な歌声正反対の声が食堂に響いた。
彰「ンアン♡!みんなン!私のケーキの為に集まってくれてありがとン♡!」
シーーーン
皆ライブに集中しているのか、わざとなのか彰を無視をした。
彰「アーーーン♡!!ひどい!!!無視とかひどい!!!大声出しちゃうんだからもう!!!」
伊勢原「彰。分かるだろ?」
彰「う…隊長ぉ…分かってるわよン!百々ちゃん!手伝ってちょうだい!」
百々「ヤダ」
彰「アフン…」
彰は一人でこつこつとケーキを各テーブルに置き始めた。
アリサ「シュウさま、楽しいですか?」
アリサはコクッと首を傾げて聞く。
シュウ「え、何でですか?めちゃくちゃ楽しいですよ?つまんなそうに見えましたか?」
アリサ「んー、楽しそうですが、もっと楽しみたそうな顔をしてますわ?もう皆さん家族のような仲なんです、もっと中に入ってはっちゃけてもよろしいんですのよ?」
シュウは少し痛いところを突かれた感じになった。確かにそうかもしれない、シュウ自身も仲間だとは思っているが、自分で周りとの壁を勝手に作っていたのだ。
シュウは黙ってしまっていると、
アリサ「フフフ♪大丈夫。きっと皆さんシュウさまがどんなにテンションを上げようと乗ってくれますわ!」
シュウ「ですけども、、恥ずかしいですね…」
アリサはシュウの眼を少しだけじっと見た後ニコッと笑い手首を掴む。
アリサ「フフ♪もっと気楽に行きましょう?」
シュウ「え、ちょちょっと!わわっ!」
アリサはシュウを引っ張りワグなどの壊れているグループへ連れていく。
アリサ「はいはい!私達も混ぜてほしいですわ!」
シュウ「あ、う、」
ワグ「来たなぁシュウ!盛り上がりがたんねぇぞ!」
走川「そんなんではカロリーは消費しないぞ!」
恩田「んぶぃ!これ貸してやるな!」
恩田はシュウとアリサにサイリウムを渡す。
アリサ「これを振り回せばよいのですね!」
アリサは眼を輝かせる。
シュウ「どのタイミングで振るんだろ、」
ワグ「バーカ!シュウ!タイミングなんてノリで良いんだよ!楽しみたいところで体が勝手に振ってるからよ!」
シュウ「は、はい!」
彰「青春ねン。」
伊勢原「ハッハッハ!私も入って来ようかな!」
海井「た、隊長!それは…」
伊勢原「ハッハッハ!冗談だよ冗談!」
海井「ははは…冗談ですか、」
(そんなはしゃいだ隊長を見てみたかった!!)
そして、長いようで短かった最高なライブはとうとうラストになってしまった。
RINA「はぁ、はぁ、ふー…Ya-!元気、落ちてないー?もうラストになっちゃうけど、最後は心の底からenjoyしてねー!」
ワグ「イエーーイ!!」
シュウ「イエーーイ!!」
アリサ「イエーーイ!!」
恩田「はあ、はあ、イエーーイ!!」
走川「うおわぁぁぁあ!!」
フランク「ぎゃああああ!!」
幾「後の二人終わったらきっと恥ずかしがるんたろうなー」
RINA「じゃあラストはこの曲だよー!A Song for Tomorrow!明日からも元気にいこーね!!」
ワーーーー!!ワーーーー!ワーーーーー!!
会場は一番の大盛り上がりだ。勿論こっちでもそうだった。
シュウは最後のRINAの歌をみんなで一体になって聴くことが出来た。この日はきっとシュウの中で最高な日になっただろう。
RINA「Ya-!!皆ありがとうー!!!」
ya-!!イラストはそらとさんからだよー!ありがとうー!!




