第二章 17話 オペレーター
アリサ「そう言えば、シュウさまはまだオペレーター室の中を見たことって無いですよね?一応内部は知っておいたほうが良いと思いますので、後で見にきますか?」
午後の予定はアリサのこの発言で決まった。朝飯を食べたあと、書類を渡し、この発言があった。
アリサ「じゃあ行きましょう!いざ、オペレーター室へー!」
幾「yeahー!行こう行こうー!」
ワグ「あのよー、いざ行くとは言ったけど海井さんに許可取らなくて良かったのか?」
幾「おいおい、ワグービビってるのかー?ただの見学だし問題ないよー!」ニヤニヤ
ワグ「俺、海井さん苦手なんだよなぁ」
シュウ「ワグさんにも苦手な人居るんですね。」
ワグ「あの人はおっかねぇよー…」
アリサ「そうですか?私は嫌いではありませんけど。」
四人は向かいながらペラペラと話す。
シュウ「海井さんってどんな人なんですか?」
ワグ「心がない眼鏡ババアかな?」
幾「それ絶対言ってやるなー」
アリサ「海井さんはオペレーターの一番上、オペレーター長をやってますの!いつも冷静で仕事が早くとても優秀な上司ですわ!」
ワグ「あー俺もそれ言おうとしてた。」
幾「黙れなー」
アリサ「まぁワグさまはこんなに嫌がってますけど、悪い人ではないですのよ?そもそもそんな悪い人はBARKERsには入りませんし!」
シュウ「なるほど…」
幾「まぁワグは単純に悪ふざけしてよく怒られてるだけだからなー!」
シュウ「大丈夫です。分かってました。」
ワグ「あ、ひでぇ!俺何もしてないのに怒ってくることあんぞ!」
幾「あはは、それはないなー」
アリサ「それは無いですわ。」
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オペレーター室入口─
海井「ワグうざいから帰ってくれない?」
ワグ「ほらー!!!!」
幾「あ、あはは…」
アリサ「相当嫌われてるのですわね。」
幾とアリサは苦笑いをする。
シュウ「一体、何をしたんですか、ワグさん…」
シュウは呆れた顔でワグに問い掛ける。
ワグ「え…どれだ…?」
シュウ「あ、沢山あるんだ。」
海井「で、ここに何しに来たの、この糞ガキ連れて。」
ワグ「糞ガキとか、」
アリサ「シュウさまをオペレーター室に案内して差し上げようかと思ってまして…御迷惑でしたか?」
海井「あー…そういうことね。」
海井はシュウをジッと見る。そして口元を少し上げ握手を求める。
海井「こんにちは、初めまして芦屋修二。私の名前は海井留美夏オペレーター長を勤めさせて頂いてます。」
シュウ「あ、よろしくお願いします!」
グッと握手をする。海井は体型はスラッとしていて、眼鏡をかけている目付きは少し悪い。髪はロールアップで束ねていてパッと見、仕事が出来るんだろうなぁと思う容姿である。
海井「ワグと同室なんだってね、悪ふざけはしないように。」
シュウ「あはは、了解です。」
ワグ「何か俺が元凶みたいな言い方やめろし!」
海井「は?お前だろいつも。」
これでもかというくらいの冷たい目と口調で制す。
ワグ「すいませんでした。」
海井「さあ、奥に入るなら入って、今訳あって忙しいやつも居るから騒がしくしないように。特にお前な。」
最後にはワグを睨み言った。
ワグ「うぐぐ…何て奴だ…」
ワグはまるで蛇に睨まれたカエルのように縮こまっていた。
海井「ここがオペレーター室の奥です。」
シュウ「おー…」
オペレーター室の奥は巨大な空間になっていて、半端なく大きなモニターがあり、オペレーターの方々は皆デスクに向かい電話対応をしたり、パソコンを打っている。全員で何十名か居るみたいだ。
シュウ「凄い迫力だな…」
アリサ「ここに居るのは能力を持っている方だけではないのですよ?一般の方もオペレーターをしているのです。」
シュウ「なるほど……一般の方も…あ、気になったんですけど、能力者の人って何人居るんですか?」
海井「今は芦屋修二君含めて53名。昔は100名強いたけど今はもうこれだけね。」
シュウ「意外と少ない!!」
アリサ「10年前、悲しい事件がありましたの…そのせいで大半が亡くなってしまいましたわ…」
シュウ「悲しい事件……一体何があったんですか?」
幾「簡単に言うとNofaceが元本部に攻めて来たんだー私はまだ所属してなかったから深くは知らないけどー…アリサと海井さんは入ってたなー」
海井「正確に言うとまだNofaceじゃなく、無名の悪党集団が攻めこんできたんです。外からも…内部からも…」
シュウ「内部からもって…裏切りですか?」
海井「そうね。自由に動き、どんどん仲間に引き入れ、ただ仕事を頼んでいく方針が穴だらけだったのよ。前団長は人が良かったし良い意味や悪い意味でもアホだったから、、すぐ人を信じる人だったしね。」
アリサ「それから団長になった龍義さまが体制を一新させたんですわ。信頼出来る人間を隊長にして、その下に付ける形を作ったのです、そして表向きは連絡係で本当は監視役としてオペレーターを作って個々の能力者に付けるようにしたのですわ。」
シュウ「そうだったんですね…色々深い事情があったんだ…」
海井「まぁそういうことよ。あなたたち指名任務近いんでしょ?ひなびと会ったほうが良いんじゃない?」
シュウ「ひなびさん?」
幾「小張やー三雄とかー後7名くらい受け持つオペレーターだなー」
シュウ「あれ?オペレーターって大体4~5名の担当って聞いた気が…しかも三雄も居るって相当忙しいんじゃ…」
幾「だからいつもアイツは忙しそうにしてる感じだなーそれでもアイツは仕事は出来る。まぁ見れば分かるさー」
五人はそのひなびと言われた人の元へいく。
後ろ姿で分かった。なるほど。これなら出来そうだ。……でもめっちゃ忙しそうだ。
ひなびと言われたオペレーターは脇付近から腕が両方合計で六本、生えていた。六本は忙しそうに動いている。電話を取ったり、資料を取ったり書いたり、パソコンを打ったり…
幾「やほー大丈夫かーひなびー」
ひなび「あっはい!はい!剣崎ですか?はい!その日は大丈夫ですね!はい!小張はすいません、その日は空いてないですね、はい!申し訳ないです!はい!失礼します!」
プルルルル プルルルル プルルルル
幾「まぁそうだよねー」
シュウ「忙しそうですね…」
海井「ひなび。」
ガチャ
ひなび「はい!こちら宝来ひなび!ちょっと!エミリア!こっちに電話しないでよ!もー!通信機が繋がらないって?分かった分かった、何?ダンがどこに?って?知らないよ!切るよ!」
プルルルル プルルルル プルルルル
海井「」
ピッと海井は回線のボタンを押す。
ひなび「はい!こちら、宝来ひなび!もしもし?もしもーし!いたずら電話?もー…あ、もしもし!こちら宝来ひなび!あれ聞こえないし……ちょっと!誰か!回線切れてな……い?」
ひなびは周りを見渡したその瞬間海井と目が合う。
ひなび「海井さんかー!もー!忙しいのに!」
海井「ひなび、お客さん。回線は比較的暇なやつに回したから。それとそんなに忙しくて大変なら他の者に仕事を回せ。」
ひなび「うー…私こんな能力だから…これくらいしか頑張る事が出来ないから…」
海井「はいはい。だったら早く自己紹介して。こちらが芦屋修二君よ。」
シュウ「あ、どうも。初めまして、忙しいところすいません、芦屋修二です。」
ひなび「あぅ初めまして。宝来ひなびです。こんな私ですが、よろしくお願いします。」
宝来ひなびと名乗ったオペレーターは気が弱そうで髪がとても長く、六本ある腕をくっと股に縮ませペコペコと会釈をしていた。
ひなび「あ、あの、私、すいません、見た目怖いですよね。ちょっと何とかします。」
そう言うとズルズルと二本の腕を縮こませ、綺麗に無くなった。
ひなび「すいません、これが限界で、四本は出てしまいます。」
シュウ「おー!とてもカッコいい能力だと思いますよ!」
シュウのその言葉は偽りではなく、本当にカッコいいと思いながらの言葉だった。その言葉にひなびは顔を明るくし、
ひなび「え、え、カッコいいですか?あの、私の能力は生える能力って言われてて、体の部分を生やす事が出来るんです!ほら!」
ひなびは耳を1つ新しく頬に生やした。
シュウ「おー!」
ひなび「しっかりこの耳も聞こえるんですよ!」
ピクピクっと耳を動かす。
シュウ「おー!動いた!!」
ひなび「えへへ//」
アリサ「ず、ズルいです!私も一緒に楽しみたいです!」
海井「あーうるさいうるさい。これで顔合わせは完了ね。仕事もまだ沢山あるみたいだし。アリサも、幾も、もう充分過ぎるほど休憩は取ったわよね?」
ポンっと幾とアリサの肩に手を置く。
音坂はガクッと肩を落としチーンと音を鳴らす。
幾「はぁーい」
アリサ「チーン…ですわ。」
海井「じゃあそういうことでこの二人は返してもらうわ。後は何も悪さもせずスムーズにここを出てちょうだい。」
シュウ「わ、わかりました!」
シュウとワグはそそくさとオペレーター室を出た。
シュウ「ワグさんずっと黙ってましたね。」
シュウは笑いながら言う。
ワグ「本当海井のババア大っ嫌いだ!!!」
ピピピ
即座に通信が入る。
海井「聞こえてんだよ。ワグは今後減給な。」
ワグ「ぎゃー!忘れてたー!こいつの能力!!」
後からワグさんに聞いたら海井さんは「聞く」能力を持っていて能力の発動中はどんなに遠い話し声でも聞くことは可能らしい。能力の限界は秘密だと誰にも教えていないという。




