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第二章 15話 姉弟喧嘩☆

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 11:30─


シュウ「ふわぁ…んー…」


 今日は朝の授業も無くゆっくり寝ていた。昨日も深夜までワグとふざけていて起きていたが、ここまで眠れたので意外とすっきりしている。っと言うよりワグとの深夜の会話はもう慣れてしまった。


シュウ「あ…」


 シュウはコンソールテーブルに置いてある封筒を見て思い出す。


シュウ(そう言えば読もう読もう思って、忘れてたな。)


 封筒を開け、中にある手紙を開く、母が息子に宛てた手紙だった。



「私の愛してるシュウへ


  あなたがこの手紙を見ている時、もうこの家には居ないでしょう。私は知っていました。あなたが一度決めると頑固な事を。お父さんによく似てね。お父さんも自分の命がもう長くないって分かっていても家族の為に働くと私の制止を聞かず、居なくなりました。私もう家族を失いたくないの。だからこうしましょう。しっかり私達と連絡を取ること、一年に一回は顔を出すこと。そして何か成長していくこと、これが条件です。私はあなたがどう成長していくかとても楽しみではあります。絶対に笑顔で帰ってきてね。」



 シュウはその手紙を胸に当てる。


シュウ(俺は本当に家族に愛されてる…俺は恵まれてるな…)


 もう一度手紙を見る。下にまだ続きが書いてあった。


「追伸 

   きっと莉沙は酷く悲しんで私の説明を聞かないと思います。恐らく鬼ほど連絡をすると思います。邪険にしないであげてね。」



シュウ「」(Oh……)


 シュウはスマホの履歴をしっかり見る。



 莉沙からのチャットがめちゃくちゃ飛んでいた。



シュウ「Oh……」(Oh……)



 ワグがひょこっと顔を出す。


ワグ「何だ何だ!?彼女か?女か?」


シュウ「女だけど家族だよ、ワグさん。」



 しっかり後で相手してあげなきゃな。



----------------------



 15:40施設内グラウンド─



シュウ「……で、今日何で飯をそんな食べるなって言った理由は?」


ワグ「へっへっへ!そんなん決まってるだろ?動くからだ!」


恩田「んぶ、俺も動けってのかぁ?」


ワグ「みんなで動いたら楽しいだろうが!」



 シュウはグラウンド天井ギリギリを飛ぶフライトを見て言う。


シュウ「MR.フライトに皆弟子入りするの?」


ワグ「それはないない!」


恩田「俺全く意味がないな!」


シュウ「じゃあ何を?」


ワグ「フッフッフ、」


 ワグは何か悪い事でも企んでいるような顔で笑う。


ワグ「俺は思うんだ。能力だけでは頼っちゃ駄目だって。だから、、武道場で徒手格闘の訓練だ!!」


恩田「ぶぅわぁ嫌なやつだ。」


シュウ「なるほど…確かに格闘の経験が浅いから勉強になるかも。」


ワグ「っしゃあ!レッツゴー!」


 

   ガチャン!



 武道場の扉を開けると人が混み合っていた。


シュウ「これは…」


ワグ「うお!!姉さんが組み手やってんぞ!!」


シュウ「え、焔さん?」


ワグ「絶対これはやってる!何回か有ったんだこういうこと!見に行くぞお前ら!」


 ワグはシュウと恩田を掴み奥へ突き進む。



 バファッと一番前まで来るとそこには焔さんと奏君が対峙していた。二人とも道着を着ていていつでもやる気と言わんばかりのオーラを感じる。


ワグ「マジか!今始まる感じだな!こりゃ見物だぜ!」


恩田「お、お、俺も見物だなぁ!」


シュウ「奏君が焔さんとって…大丈夫なのかな、、?」


ワグ「奏も何だかんだ成長してるし、なんと言っても良いのが見れる気がする!」


恩田「見れる気がする!!!」


 ワグと恩田の眼はギラついていた。



焔「ちっとギャラリーが多いんじゃねぇか?」


 焔は周りをいつものイラついた目で見る。


奏「確かに…多すぎだね。」


焔「やめてもいいんだぜ?」


 奏の顔が少し苛立つ。


奏「それは、何で?」


焔「はぁ、、最後まで言わねぇと駄目か?」


奏「……ふふ」


 奏はニヤリと笑う。


焔「あ?何がおかしかったんだ?」


奏「姉さんは分かってないんだ。僕には姉さんを倒す必勝法がある。」



オー!?マジカヨ!ヒッショウホウダッテヨ!

 ザワザワ ガヤガヤ ザワザワ ガヤガヤ


 その言葉に周りはざわつき、騒ぎ始める。


焔「必勝法だぁ?」


奏「うん。必勝法。」

 キッと焔を見る奏。


焔「お前に負けるアタシじゃねぇよ。」

奏「僕は負けないよ焔。」



 焔の眉がピクッと動いた。



焔「奏。今、ごめんなさいしたら2割程度でやってやる。」

奏「僕を子供扱いしない事だね。」



焔は髪を掻く─バチバチっと火花が少し周りに散る。


焔「奏……」




焔「ブッ飛ばす!!!!!」



 まず先に出たのは焔だった。周りは歓声をあげている。


 焔は右足で地面を蹴り飛び出した。その勢いで左足を出し奏の右肋を狙う。


奏「くっ!」バッ


 奏は右下段払いで何とか蹴りを捌く。

 


 だが間髪入れずにその勢いのまま右逆突きが奏の顔面に飛ぶ。


焔「…っ」シュッ


 奏はすかさず左上段受けでまた捌く。


奏「っ!」ガシッ


焔「あめぇ!!!!」


焔の右足は三日月蹴りとなり奏の腕が上がりがら空きとなっている左肋に突き刺さっ……らなかった。奏は膝を上げ蹴りをガードしていたのだ。


焔「やるじゃん。」


奏「今度はこっちだよ!!」


奏は右上段突きを打つがすんなり後ろに下がり避けられる。


奏「今だ!!!」

焔「!?」


   ブワッ!!!


 体を飛ばす程の風が奏の背中を押し、奏はその勢いで左上段突きを焔の顔面飛ばす。


焔「遅いぜ奏!!!」ガシッ


 焔は奏の左手首を右手で掴み止める。



奏「これを待ってたんだ!!」

焔「何、!?」


 奏は焔の右二の腕付近の袖を掴み、くるんと回り背負い投げの状態を取る。


奏「セイヤァァ!!!」ブワッ!!


また風が焔を押し背負い投げの助力をする。 


焔「ッッッらぁぁッ!!」ボウッ


 焔の踵付近が急速に燃え、凄い勢いで飛び、奏の手から逃れる。


奏「くっ、そんな、」


その反動でバランスを崩し、よろめく奏。


 焔は近くで着地し左によろめいた奏の顔面を右ショートフックでぶん殴った。


焔「うらっ!!」

奏「うぐぁっ」


ごろごろ後ろに転がる奏。



 ヤベェモロニハイッタゾ ダイジョウブカ?


シュウ「凄い…これが…能力者の格闘…」

ワグ「これはちょっとレベルが高すぎるな。」



 奏はフラフラとやっとの思いで立ち上がる。


 焔はスタスタと奏に近寄る。



ワグ「奏殺されるんじゃねぇか!?」

恩田「ぶふ!!止めないと!!」



焔「奏……」


 奏の近くに来た焔。もう誰にも止められる距離ではない。


奏「姉…さん…」




  ダキッ!!



 焔は奏を抱き締めた。




ワグ「あれ、」

恩田「んあ…」



焔「あーーー!!お前は本当に可愛いやつだなぁ!!!」


奏「ね、姉さん!ちょ、ちょっと!」


焔はさらにギューッと抱き締める。



ワグ「なんじゃあれは。」

恩田「……羨ましいなぁ…」



焔「アタシが教えたようにしっかり技が使えてるじゃねぇか!!正直ヒヤッとしたぞ奏?しっかり練習してんだな!!本当に嬉しいよ奏!!」


 ワシャワシャと奏の頭を撫でる。


奏「わわわ!姉さん!!周りが見てるよぉ!」

挿絵(By みてみん)


ワグ「俺もあの胸に抱かれたい。」

恩田「きっと柔らかいんだろうな。」


シュウ「二人とも凄い格闘だったなぁ…」



 シュウとワグと恩田はとても良い映像を記憶に刻んだのだった。

イラストはそらとさんからです!ヽ(・∀・)ノ

ありがとうございます!

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