第二章 14話 MR.フライト
食堂─
ワグ「マジかよ!フライトに会ってみろって言われたのか!?」
ワグはとても驚いた表情をしていた。
シュウ「はい。能力的にも似ているしきっと成長の糧になるって。」
ワグ「うーん…アイツは多分BARKERsの中で一番変わってるやつだぞ。」
シュウ「マジですか…一番…」
すると恩田もやってくる。
恩田「ぶふぅ、なんの話をしてるんだ?」
ワグ「伊勢原隊長にフライトと会ってみろって話をされたらしいぞ。」
恩田「んばぁ!?マジか!何でだ?」
シュウ「能力が似てるからって…」
ワグ「それ以前に話せねぇよな!」
恩田「そうだなぁ、何か話してて恐怖を感じるなぁ。」
彰「ンァン!そうかしらン♡」
っと彰が三人分のケーキを持ってきた。
彰「ワタシは好きだけどねン♡MR♡」
ワグ「まてまて!ケーキ頼んでねぇぞ!」
彰「ワタシがアナタ達に食べてほしいノン!」
めちゃくちゃ旨そうなモンブラン3つ。
シュウ「ありがとうございます!彰さんはそのフライトさんのどこが好きなんですか?」
彰「それはねン……」
彰「彼がナイスガイだからよン♡♡」
シュウ「」
ワグ「」
恩田「」
彰「待って!!!せめて食べてから帰って!!」
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施設内グラウンド─
ワグ「あーすぐに見つけちゃったわ。」
恩田「ぷふ、基本ここにいるよな。」
シュウ「え、誰ですか?」
ワグ「あれだ、あれ。」
指を指した先にはヤバイ人がいた。
シュウ「あー…あれは…確かに話しかけづらいかも…」
天井付近を飛んでいる人物。あれは完璧に飛んでいる。彼はきっと飛行機なんだろう。そうに違いない。
完璧にTの字を崩さず、
顔は真っ直ぐ前を向け、
なんと言っても顔が険しい、
おまけにあのガタイは普通じゃない。
彰さんといい勝負だがあのピッチピチな服が俺はヤバイぞと物語っている。目も…一切まばたきをしない。
よーく見たシュウはまた一言。
シュウ「あれはヤバイ。」
ワグ「お前の勘は正しいぜ。」
恩田「あの人は本当にヤバイよ。」
シュウ「うぅもう帰りたい。」
ワグ「隊長に言われたなら一回は話さないとまずいだろ…」
そして、ワグは大きな声でフライトに話しかける。
ワグ「おーーい!!フライト!!お前にお客さんだそー!!!」
フライト「」サッ
フライトは姿勢を保ちながら顔だけがサッとこっちを向いた。
恩田「あ、見た。」
シュウ「どうしよう。怖い。」
フライトは軽く空中で旋回してこっちに向かってきた。
シュウ「こっちきた。怖い。」
恩田「逃げたい。でかい。」
そしてフライトはこちらを凝視し声を発した。
フライト「ビューーーーン!!!!!着陸体制に入る!!!こちらフライト!!!着陸体制に入る!!!!」
声は張って大きくそれでいて低かった。
シュウ「怖いよー!!」
恩田「ぎゃーー!!」
凝視しながら逃げる二人を追いかけるフライト。
ワグ「逃げんな逃げんな。」
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フライト「それで!?ワグよ!このフライトに客とはどこぞの誰だ!?」
ワグ「あ、この冴えない少年です。」
シュウ「え、ワグそう思ってたの!?あ、えーと芦屋修二です。よろしくお願いしま
フライト「君も空が好きかね。」
シュウ「え、」
フライト「君も空が好きかねと、君も空が好きかねと!!」
シュウ「え!え!空ですか!?えーと!」
フライト「私はだぁいすきだぁ。」
シュウ「……」
フライト「私は空を愛している。どこぞの誰よりも。空も私を愛している。心からな。」
シュウ「そうなんですか、」
フライト「私は!!!」
シュウ「」ビクッ
フライト「空の番人。いや、空の守護者に選ばれたんだ。空という恋人を、私は守らなければなあないんだ。これは運命なのだぁ。」
ワグ「シュウも空の番人だぞ。」
フライト「」ピクッ
シュウ「は!?ちょっとワグさん!何を!」
フライト「貴様…空の番人を気安く名乗ることは許されんぞ。」
シュウ「いや、別に名乗ったことは…」
フライト「理由に寄っては万死に値する!!!」
シュウ「ワグさん!!!」
ワグ「シュウはフライトと似てる能力を持っているんだ。」
フライトはワグを一切見ずにシュウを凝視する。
フライト「この私と、似てるだと?この私と同じ、空に愛された能力を?嘘だったらただでは済まされないぞ。」
シュウ「えっと……空中を浮く能力を……本当すいません。」
フライト「なん…だと……?」
シュウ「あ、いや、本当すいません。」
フライト「素晴らしい!!!!!」
シュウ「」ビクッ
フライトはグッとシュウを抱き締めた。
ワグ「おー合格したな。」
恩田「良かった良かった。」
フライト「同じ空の守護者なのだな!!シュウとやら!!」
シュウ「あ、えと、そうなんですかね?」
フライトはシュウを離し、握手を求めた。
フライト「ハッハッハ!!!何、謙遜しなくてよい!!そうそう、私の名前を言ってなかったね!私の名前はフライト!MR.フライトと呼んでくれたまえな!!」
ガシッとしっかり握手をする。
シュウ「あ、はい、MR.フライト。」
フライト「いやはや、同朋に出会うとは実に良い気分だ。共に空を守ろう!平和な青い空を!」
シュウ「あ、そうですね、、はい!平和な青い空を!」
フライト「ハッハッハッハ!!よい!実によい!!!」
シュウ「えっと、MR.フライトの所属はどこなんですか?」
フライト「なに、気にするな!早速共に空を飛ばないか?」
シュウ「」(あ、こりゃ本当駄目だ。)
ワグ「あーフライトはMf所属だ。」
シュウ「え!Mfに!?医療関係無くない!?」
フライト「君はどれくらい空が好きかな?」
ワグ「でも実はBf所属でも有ったんだぜ?フライトは元は軍人、」
ワグが話を終える前にフライトはワグの胸ぐらを掴み持ち上げた。
ワグ「ガッ…フライト!」
フライト「私はもう戦闘機ではない!!!戦闘機になどなるものか!!!私は旅客機になりたかったのだ!!!私を戦闘機だと言うやつは許せん!!!」
ワグ「わ、わかったフライト、俺が悪かった…」
シュウ「フライトさん落ち着いて!!」
恩田「んぶぁ!やめるんだフライト!」
フライト「あの時…俺は…俺は旅客機の資格を無くしたんだ!!守ろうとした空は汚れていた!!あの時の俺は戦闘機をやめたのだ!!私が守ろうとした空は、守っていたと思っていた空は、泣いていた。泣いていたんだ!!」
ワグ「ぐっ…離せ…フライト…!」
シュウ「フライトさん!!!」
恩田「フライト!!!」
フライト「ふん!!」
ドサッ!!
ワグ「ぐわっ!」
フライトはワグを放り投げ、怒りの形相で更に言葉を繋げた。
フライト「今は旅客機にはもうなれん俺だが、今はメディカルウィング。俺は空を汚させはしない。テイクオフ!!!!」
バシューーー!!
フライトはまた飛んでいった。
シュウ「大丈夫ですか!?ワグさん!」
恩田「大丈夫か?」
ワグ「痛てて、、フライトは本当にわかんねぇ奴だなぁ。」
シュウはフライトを見る。
シュウの目に写るフライトはとても悲しげに見えた。