第二章 12話 Lazy Shiina
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6階オペレーター室付近─
シュウ、ワグ、小張の三人はオペレーター室付近にある、椎名だけの部屋、012号室に向かった。
シュウ「本当椎名さんで大丈夫なのかなぁ…」
小張「んー…機嫌が悪くないと良いけど…」
ワグ「あー、指名任務で無理矢理勤務させられる形だもんなー。面倒くせぇぞこりゃ。」
そして部屋の前まで来て、部屋を三回ノックする。
トントントン
しかし待てども何も起こらない。
ワグ「まぁこうだろうと思ってたわ。」
シュウ「椎名さーん!返事してくださーい!」
小張「シュウ君。彼女はそんなんでは動かないわ。」
シュウ「え、じゃあ皆さんいつもどうしてるんですか?」
小張「こういうときは、」
ワグ「俺が伊勢原隊長にチクるんだ。」
シュウ「えぇ…隊長が動かないと椎名さん動かないのか…」
ワグ「椎名の腰は重いからなぁ…じゃあちょっくら連絡してくるわ!」
ワグは少し離れて通信機で連絡をとる。
シュウ「椎名さんってオペレーターなんですよね?」
小張「そうよ?」
シュウ「誰かの担当とかにもなってるんですか?」
小張「勿論なってるよ!大体5人くらいの能力者に1人のオペレーターがついてるね。」
シュウ「え…しっかり出来てるんですかね…」
小張はうぅーんと困った顔をして、
小張「やっぱちょっと個性的な人達が多いかな、?」
っと苦笑いをする。
シュウ「個性的な…」
ワグが連絡を終えてこっちに来る。
ワグ「伊勢原さんに頼んだわ。そろそろ来るはずだ。」
その、言葉を言った数秒後に本当にドアが開いた。
?「…………」
ドアを開けても女は外に出ようとはしない。
?「…………チッ」
舌打ちをしてドアを閉めようとする女。恐らくこの女が椎名なんだろう。
ガッと閉まりかけるドアに足を挟むワグ。
ワグ「待て待て椎名!何でそうなる、ってギャアアア!!」
ワグの足を挟んだドアが力強くにじり潰そうとしている。
ワグ「痛ててて!やめろ椎名!本気で閉めようとするな!!!」
それでも椎名は出てこようせず、ガンガンとドアを開けたり閉めたりする。
ワグ「痛ぇー!!!!!!このやろう!!!」
シュウ「めちゃくちゃ本気じゃないですか。」
小張「椎名の仕事嫌いは筋金入りだよ。」
ワグは閉まるドアを抑えた。
ワグ「もう観念しろ椎名ぁぁぁ!」
椎名「ぐぐぐ…帰れぇぇぇ!!!」
二人はドア越しに激しい力の戦闘が繰り広げられる。
ワグ「お前!伊勢原さんに言われたんだろうがぁぁぁ!!!」
椎名「隊長からはドア前に届け物置いといたって言われたんじゃあぁぁぁ!!」
シュウ(あー意外と単純なのかー)
ワグ「オラァァァァァ!!」
バァァン!!!
ドア越しの力勝負はワグに軍配が上がった。
椎名「痛ったぁ…女性にそんな力ずくで対抗しますかぁ…?」
自分の右手を気にしながら椎名はそう言った。
姿を現した椎名は、ダルそうな顔をし、完璧に部屋着だろうという服を着て、眼鏡をかけていた。
ワグ「椎名。指名任務の話は聞いているよな?」
椎名「あー聞いてるよ!もう帰っていい?セーブまだしてないんだけど。」
ワグ「おい!重要説明よりゲーム優先かよ!」
椎名「ってか何の説明よ。私、全部資料もらって目通したから。余計な質問は要らないからね。」
ワグ「任務の為の顔合わせも必要だろ。」
椎名「何?顔合わせって。」
チラチラっとシュウと小張の顔を見る。
椎名「はい。顔見せ終わり。私、頭の中にあなた達のデータはしっかり入ってるの。もう疲れたから戻っていい?」
ワグ「シュウ自身は分からないじゃんか!」
椎名「はぁ……じゃあさっさと自己紹介しましょ。」
椎名はシュウの顔を見て
椎名「はい。初めまして。私の名前は椎名花美、Cf所属のオペレーターよ。あなたは芦屋修二くんね、所属はSf。17歳で浮く能力をもってる。まだまだ空中に漂うことしか出来ない。」
シュウ「あ…初めまして……全部知ってるんですね。」
椎名「言ったでしょ?私は全部頭に入ってるって。ついでに言っておくけど、和久廻、Cf所属。能力は体のどの部分でも回す事が出来る、回る能力。小張麗、Bf所属。能力は尖る能力で尖端は鋭利にはまだ尖れないが体のどの部分も長く尖らせる事が可能。どう?もういいでしょ?私は戻るからね。また何か仕事の連絡とかあったら送るわ。面倒臭いけど。じゃあね、さよなら、おやすみなさい。」
バタン!
そう言葉を流した後にドアを閉めてしまった。
ワグ「……まぁこんなやつだ。」
シュウ「何というか……圧倒されました。」
小張「まぁ椎名の仕事は一応完璧にこなすから…しっかりやってくれれば問題ないんだけどね。」
シュウ「うーん……」
シュウは複雑な気持ちを抱えながらも椎名のことは信頼することにした。
バン!!!!
シュウ「!?」
小張「!?」
ワグ「!?」
急にドアが開く。
椎名「芦屋。明日、朝、教育室にいつもの時間に来るように。そういう連絡きたから。」
バタン!
シュウ「あ…了解です…」